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資金繰り更新 2026.10.15

資金繰りが苦しい・支払いに間に合わないときの対処の順番

結論

資金繰りが苦しいときは、まず3か月の資金繰り表を作り、残高がいちばん少なくなる日・不足額・解消する日を数字で出します。そのうえで給与を守ると決め、支払先への相談、税金・社会保険料の猶予、返済条件の変更、公的融資の順に当たり、それでも埋まらない数日分だけをファクタリングなどで補います。毎月足りないなら、中小企業活性化協議会などへの相談が先です。

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  • 16件公的な出典

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.15

資金繰りが苦しい・支払いに間に合わないときの対処の順番

この記事は、来月の給与・仕入・家賃・税金・社会保険料を足すと、入ってくるお金より多いと気づいた中小企業の経営者に向けて書いています。慌てて高い費用のお金を集める前に、表を1枚つくり、費用のかからない手から順に打てば、多くの場合は打つ手が見えてきます。順番に沿って、ひとつずつ確かめていきましょう。

01

最初に出す3つの数字と、苦しさの型

「資金繰りが苦しい」という感覚のままでは、相談先も手段も選べません。最初にやることは、次の3つを数字で出すことです。

  1. 残高がいちばん少なくなる日:月末ではなく、月の途中にあることが多い。
  2. その日の不足額:「いくら足りないか」。調達する額の上限の目安になる。
  3. 不足が解消する日:入金によってプラスに戻る日。戻らないなら、それ自体が大事な情報。

この3つが分かると、苦しさがどの型かが見えます。型によって、効く手がまったく違います。

型 表に出る形 主に効く手
ずれ型 月の途中で一時的にマイナスになり、月末の入金で戻る 支払日の相談、売掛金の入金を早める相談、短期のつなぎ
一時的な落ち込み型 賞与・納税・大口の仕入などが重なった月だけマイナスになり、翌月以降は回復する 税金・社会保険料の猶予、運転資金の融資
構造型 毎月の収支(入金−支払い)がマイナスで、3か月先までずっと残高が減り続ける 返済条件の変更、経営の見直し、専門機関への相談

ずれ型なら数日〜数週間をしのげばよく、構造型なら一時しのぎを重ねるほど傷が深くなります。どの型かを決めるには、次の3か月の資金繰り表が必要です。

02

3か月の資金繰り表の作り方(記入例つき)

資金繰り表は、いつ、いくら入り、いくら出ていくかを並べた表です。会計ソフトの損益の数字ではなく、通帳を実際に動くお金で書くのがポイントです。売上が立っても入金が翌月なら、入金の月に書きます。

書く順番

  1. 出発点を決める:今日の預金残高(すぐ使える口座の合計)を「前月からの繰越」に書く。
  2. 入金を書く:売掛金は「請求した月」ではなく「入金される月」に。取引先ごとの締め日と支払日を請求書の控えで確かめる。入金が不確かなものは書かないか、別の行に分ける。
  3. 決まった支払いを書く:給与、家賃、借入の返済、リース料など、毎月同じ日に出ていくもの。
  4. 税金と社会保険料を書く:健康保険・厚生年金の保険料は、その月の分を翌月末日までに納めます。給与から天引きした源泉所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。
  5. 変動する支払いを書く:仕入・外注費は、発注済みの分と、売上の見込みから出した分。
  6. 月ごとに残高を出す:「繰越+収入−支出−返済+新しい調達」を翌月の繰越にする。

注意したいのは、給与の二重計上です。給与は従業員に振り込む手取りの額で書き、天引きした税金と保険料は、実際に納める月に別の行で書きます。また、従業員が常時10人未満で源泉所得税の「納期の特例」を受けている会社は、7月から12月の分を翌年1月20日にまとめて納めます。1月に思わぬ大きな支払いが出てくるので、表に入れ忘れないでください。

記入例:従業員9人の会社の11月〜1月

10月中旬の時点で作った例です(単位:万円)。大口の取引先からの受注が減って売掛金の回収が落ち、12月には賞与が重なります。

項目 11月 12月 1月
前月からの繰越 450 310 −30
売掛金の回収 720 650 960
現金売上 30 30 30
収入の計 750 680 990
仕入・外注費 360 340 360
給与(手取り) 280 280 280
賞与(手取り) 0 150 0
家賃 40 40 40
社会保険料(前月分) 80 80 105
源泉所得税・住民税(前月分) 25 25 40
その他の経費 55 55 55
支出の計 840 970 880
収支(収入−支出) −90 −290 110
借入の返済 50 50 50
新しい調達 0 0 0
翌月への繰越 310 −30 30

1月の社会保険料と源泉所得税が増えているのは、12月の賞与にかかる分が加わるためです。月ごとに見ると、足りないのは12月末の30万円だけで、1月には戻ります。「一時的な落ち込み型」に見えます。

苦しい月は、日ごとに分けて見る

ところが、12月を日付順に並べると景色が変わります。

日付 出入り 金額 残高
1日 前月からの繰越 310
5日 家賃 −40 270
10日 源泉所得税・住民税 −25 245
10日 賞与 −150 95
15日 売掛金の回収(取引先A) +250 345
20日 仕入・外注費 −340 5
25日 給与 −280 −275
26日 その他の経費 −55 −330
月末 売掛金の回収(取引先B)・現金売上 +430 100
月末 社会保険料 −80 20
月末 借入の返済 −50 −30

月末だけ見れば30万円の不足ですが、実際には25日の給与の時点で275万円、26日には330万円足りません。入金が月末に寄り、支払いが月の半ばに寄っているためです。月ごとの表だけで安心せず、苦しい月は日付順に並べ直す、というのが資金繰り表のいちばん大事な使い方です。

この例で3つの数字を出すと、いちばん少ない日は12月26日、不足額は330万円、解消は1月末(繰越30万円)です。毎月の収支は11月がマイナス、1月はプラスなので、構造型とまでは言えませんが、余裕のない状態が2か月続きます。ここから、次の順番で手を打ちます。

表を作るときのよくある失敗

  • 入金を希望で書く:「たぶん来月入る」売上を入れると、表が甘くなります。請求済みで支払日が決まっている分だけを入れ、見込みは別の行に分けます。
  • 年に数回の支払いを忘れる:賞与、賞与にかかる社会保険料、納期の特例の源泉所得税、法人税・消費税の納付、保険料の年払い、車検などは、月ごとの表に入れ忘れやすい支払いです。
  • 入金日が休日にずれるのを見落とす:支払日が土日祝日や年末年始に当たると、入金が前後にずれることがあります。取引先の扱いを確かめておきます。
  • 一度作って終わりにする:実際の入金・支払いとずれていくので、週に1回は実績で書き直します。
03

打つ手の順番:早さと費用で並べる

手段は「費用が小さく、相手が応じやすいもの」から順に当たります。ただし、時間がかかる手は早く申し込まないと間に合わないので、順番に考え、同時に動き出すのが実際のやり方です。

順 打つ手 主な費用 相談先 向く型
0 給与を守ると決める ― ― すべて
1 仕入先・外注先・家主に支払日を相談 原則かからない(契約で遅延の取り決めがあれば確認) 取引先の担当者・家主 ずれ型
2 税金・社会保険料の猶予を申請 延滞税・延滞金が免除または軽減される 税務署・都道府県や市区町村・年金事務所 落ち込み型・構造型
3 借入の返済条件の変更(リスケ) 利息は払い続ける 取引のある金融機関 落ち込み型・構造型
4 公的融資・保証付きの融資・共済の貸付 利息・保証料 日本政策金融公庫・金融機関・信用保証協会・中小機構 落ち込み型
5 売掛金を早く受け取る相談、ファクタリング 値引き分、または手数料 取引先・ファクタリング会社 ずれ型の残り

最初の2週間の動き方

記入例の会社が10月中旬に不足に気づいた場合、次のように同時に動き出します。時間のかかる手ほど先に申し込むのがポイントです。

時期 やること
1〜2日目 3か月の資金繰り表と12月の日ごとの表を作る。決算書・試算表・借入の一覧をそろえる
3〜5日目 メインの金融機関と日本政策金融公庫に、融資と返済条件の変更を相談する。売上の減り方を数字で示せるよう、前年同月と比べた表を用意する
1週目のうちに 12月20日の仕入・外注費について、大口の外注先に支払日の相談をする
2週目 12月に納める税金・社会保険料の額を確かめ、払えない見込みなら税務署・年金事務所に猶予を相談する。賞与の額と時期を就業規則でどう定めているか確かめ、見直すなら社会保険労務士に相談したうえで従業員に早めに説明する
以後、毎週 入金・支払いの実績で資金繰り表を更新し、融資の審査の進み具合を確かめる

給与をいちばん先に守る理由

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うよう法律で定められています。※1違反には30万円以下の罰金が定められています。※2法律の問題だけでなく、給与が遅れれば従業員が離れ、事業そのものが回らなくなります。給与は「待ってもらう相談」をする支払いではなく、ほかの支払いを動かして守る支払いです。

今日・明日の支払いに足りないとき

時間がない場合も順番は同じですが、同じ日のうちに並行して動きます。

  1. 午前中に、足りない額と支払先を確定する:通帳の残高と、今日・明日に出ていく支払いだけを書き出す。
  2. 支払先に電話する:全額が無理なら、一部を期日に払い、残りをいつ払うかを具体的に伝える。
  3. 取引のある金融機関に連絡する:当座貸越(あらかじめ決めた枠まで残高を超えて引き出せる契約)などの枠が残っていないか確かめる。
  4. それでも足りない場合に、ファクタリングを検討する:申込みの前に、手数料の金額と実質年率、償還請求権の有無を確かめる。急ぐ場合の流れは即日の資金化で説明しています。

今回をしのいだら、翌日には3か月の資金繰り表に戻り、来月以降に同じことが起きないかを確かめます。

この章の根拠(2件)
  1. 労働基準法24条
  2. 労働基準法120条
04

支払先との交渉:何を、誰に、どう伝えるか

新しくお金を調達するより先に、支払いを後ろへずらせないかを考えます。費用がかからないか、かかっても小さく済むからです。記入例の会社なら、12月20日の仕入・外注費340万円のうち200万円を、月末の入金の後に回してもらえれば、20日から月末までの残高が200万円増えます。

相談する相手の順番

  • 付き合いが長く、自社への売上の割合が大きい取引先:取引を続けたい理由が相手にもあり、話を聞いてもらいやすい。
  • 支払額が大きい相手:1社に応じてもらうだけで効果が大きい。
  • 家主・リース会社:1〜2か月分の分割に応じてもらえることがある。

反対に、相手が小さな事業者で、自社からの入金がその会社の給与の原資になっているような場合は、無理を頼むと相手の資金繰りを壊します。相手の事情も考えて選びます。

伝え方

連絡は支払日の前にします。黙って遅らせると、相談すれば待ってもらえた支払いで信用を失います。伝える内容は次の4つです。

  1. いつの支払いを、いくら、いつまで待ってほしいか
  2. 期日に払える額(全額が無理でも一部を払う)
  3. 残りを払う日と、その根拠になる入金(どの取引先から、いつ、いくら)
  4. 次に同じことが起きないようにする対策

たとえば「12月20日のお支払い340万円のうち、140万円は期日どおりお振込みします。残りの200万円は、月末に取引先Bから入金予定の売掛金で、12月30日にお支払いします」と、資金繰り表をもとに具体的に伝えると、相手も判断しやすくなります。合意できたら、日付と金額をメールなどの文書で残し、約束した日は確実に守れるよう資金繰り表に書き込みます。一度約束を破ると、二度目の相談は難しくなります。

05

税金・社会保険料の猶予

税金と社会保険料は「払えないから後回し」にすると、延滞税・延滞金がかかり、督促のあとは財産の差押えを受けることがあります。一方で、期限内に相談すれば、分割で納められる制度があります。高い費用でお金を集めて納める前に、まず猶予を検討します。

国税:換価の猶予と納税の猶予

国税庁によると、次の要件をすべて満たすと、原則1年以内の期間で「換価の猶予」が認められる場合があります。

  • 国税を一時に納付すると、事業の継続や生活の維持が難しくなるおそれがある
  • 納税について誠実な意思がある
  • 猶予を受けたい国税のほかに、滞納している国税がない
  • 納期限から6か月以内に申請書を出している
  • 原則として担保を出す

担保は、猶予を受ける金額が100万円以下の場合、猶予期間が3か月以内の場合、担保にできる財産がない場合などは不要です。災害、病気、事業の休廃業、事業の著しい損失などがあった場合は、「納税の猶予」という別の制度もあります。

猶予が認められると、財産の差押えや売却が猶予され、猶予期間中の延滞税が免除または軽減されます。猶予を受けた国税は、原則として猶予期間中に毎月分割して納めます。期間は1年の範囲で、財産や収支の状況から最も早く完納できると認められる期間に限られ、やむを得ない理由があれば、当初の期間と合わせて2年を超えない範囲で延長が認められることがあります。

申請には「換価の猶予申請書」と「財産収支状況書」を出します(猶予を受ける金額が100万円を超える場合は「財産目録」と「収支の明細書」)。ここで、前の章で作った資金繰り表がそのまま役に立ちます。所轄の税務署の徴収担当に、納期限の前に相談するのが原則です。

延滞税は、どのくらいかかるのか

国税庁によると、2026年(令和8年)の延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。たとえば国税200万円の納付が60日遅れた場合、200万円×2.8%×60÷365で約9,200円です。猶予を受ければ、さらに免除または軽減されます。

この数字は「遅らせても安い」という意味ではありません。督促を受けたまま放っておけば差押えに進みます。言いたいのは、税金を払うために手数料の高いお金を集めるのは、順番が逆だということです。高い費用で調達する前に、猶予の申請を検討してください。滞納がある場合の資金調達は税金を滞納しているときでも説明しています。

地方税(住民税・事業税など)

都道府県や市区町村に納める地方税にも、「徴収の猶予」と「申請による換価の猶予」の制度があります。※1※2申請による換価の猶予は、事業の継続などが難しくなるおそれがあり、納付に誠実な意思があると認められる場合に、1年以内の期間で受けられるものです。申請できる期間は各自治体の条例で決まるため、納税通知書に書かれた窓口に早めに確かめます。

社会保険料:換価の猶予

日本年金機構によると、厚生年金保険料等を一時に納付することで事業の継続などが難しくなるおそれがあり、納付への誠実な意思があると認められる場合は、納期限から6か月以内に申請すると「換価の猶予」を受けられます。認められると、一定の期間内に分割して納められ、猶予期間の延滞金の一部が免除されます。災害などで事業所の財産に相当な損害を受けた場合は「納付の猶予」もあります。相談先は管轄の年金事務所です。

猶予を受けずに納付期限を過ぎると督促状が届き、その指定期日を過ぎて納めると、納付期限の翌日からの日数に応じて延滞金がかかります。2026年の割合は、納付期限の翌日から3か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以降が年9.1%です。従業員から天引きした保険料も含まれるお金なので、遅れそうなときは期限前に年金事務所へ連絡してください。

この章の根拠(2件)
  1. 地方税法15条
  2. 地方税法15条の6
06

金融機関への相談・返済条件の変更(リスケ)

毎月の借入の返済が重いときは、返済額を減らしたり、返済期間を延ばしたり、一定期間は元金を払わず利息だけにしたりする「条件変更」(リスケジュール、略してリスケ)を金融機関に相談できます。記入例の会社なら、月50万円の返済の元金を半年止めてもらうだけで、毎月の残高が50万円ずつ楽になります。

金融庁は2024年6月7日、金融機関に対し、返済期間や据置期間が来る既存の借入の条件変更や借換えについて「申込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること」を求めています。条件変更の相談をしたこと自体を理由に、門前払いされるものではありません。

相談に持っていくもの

  • 3か月(できれば6か月〜1年)の資金繰り表
  • 直近の決算書と、今期の試算表
  • 売上が落ちた理由と、いつ・どう戻す見込みかの説明
  • 経費の削減や、採算の悪い取引の見直しなど、自社でできる改善策
  • ほかの金融機関からの借入の一覧(残高・毎月の返済額)

相談は、延滞してからではなく、返済日の前にします。複数の金融機関から借りている場合は、メインの金融機関に先に相談し、ほかの金融機関にも同じ説明をするのが一般的です。条件変更をしている間は、新しい融資が受けにくくなることがあります。足りない額が大きいなら、条件変更と運転資金の融資(借換えを含む)を一緒に相談します。信用保証協会には、複数の保証付きの借入をまとめて月々の返済を軽くするための「借換保証制度」があります。

07

公的融資・信用保証協会・共済の貸付

支払いをずらしても足りない分は、新しく資金を用意します。費用が低い順に当たりますが、審査に時間がかかるので、資金繰り表で不足が見えた時点で申し込みます。記入例の会社は10月中旬に不足に気づいたので、12月の不足に間に合わせる時間がまだあります。融資とファクタリングの仕組みの違いはファクタリングと融資の違いにまとめています。ここでは、資金繰りが苦しいときに使える制度に絞ります。

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付

日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」は、社会的な要因などで業況が悪化した事業者が、経営を立て直すための運転資金などを借りられる融資です。対象には、たとえば次のような事業者が含まれます。

  • 最近の決算期の売上高が、前期または前々期より5%以上減っている
  • 最近3か月の売上高が、前年または前々年の同じ時期より5%以上減っていて、今後も減ることが見込まれる

国民生活事業の融資限度額は7,200万円、運転資金の返済期間は10年以内(うち元金を返さない据置期間は3年以内)です。記入例の会社のように、大口取引先の受注が減って売上が落ちている場合は、当てはまるかを公庫の窓口に確かめる価値があります。

信用保証協会の保証

信用保証協会は、中小企業が金融機関から借りるときに保証をする公的機関で、47都道府県と4市にあります。資金繰りが苦しいときに関係する主な制度は次のとおりです。

制度 対象・中身 保証限度額
セーフティネット保証(経営安定関連保証) 取引先の倒産、国が指定する業況の悪い業種、災害などで経営に支障が出ている事業者(1号〜8号)。市区町村の担当窓口で認定を受ける 普通保証2億円、無担保保証8,000万円(一般の保証とは別枠)
小口零細企業保証 従業員20人(商業・サービス業は5人)以下などの小規模企業者 2,000万円(既存の保証付き借入と合わせて)
流動資産担保融資保証(ABL保証) 売掛金や在庫を担保にした借入を保証。保証割合80%、保証料率は年0.68% 2億円
借換保証 複数の保証付き借入の一本化などで、月々の返済を軽くする 各協会に確認

申込みは、取引のある金融機関か、各地の信用保証協会の窓口から行います。セーフティネット保証は、市区町村の認定書が先に必要なので、本店所在地の市区町村の担当課へまず問い合わせます。

経営セーフティ共済の一時貸付金

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入している会社は、取引先が倒産していなくても、臨時に事業資金が必要なときに「一時貸付金」を借りられます。限度額は解約したときに受け取れる解約手当金の95%まで、借入期間は1年で一括返済、利率は令和6年4月1日時点で年0.9%(金融情勢で変わります)です。利息は借入時に前払いで差し引かれます。加入していれば審査の手間が小さく、低い費用でつなげる手段なので、資金繰り表を作るときに解約手当金の額を確かめておきます。

記入例の会社が手を打ったあとの12月

記入例の会社が、外注先に200万円を月末へ回してもらい、返済の元金を据え置いてもらい、12月14日に300万円の融資を受けられたとします(利息は省略)。

日付 出入り 金額 残高
1日 前月からの繰越 310
10日 家賃・税金・賞与の支払い後 −215 95
14日 融資の入金 +300 395
15日 売掛金の回収(取引先A) +250 645
20日 仕入・外注費(相談後) −140 505
25〜26日 給与・その他の経費 −335 170
月末 回収+430、外注費の残り−200、社会保険料−80、返済の元金0 +150 320

いちばん少ない日の残高はプラス95万円になり、1月末の見込みも430万円まで戻ります。融資の額は、日ごとの表で見た最大の不足額(330万円)から、支払日の相談で動かせる分を差し引いて決めていて、余分な利息を払わずに済む額です。資金繰り表があると、借りる額の根拠を金融機関に説明しやすくなります。

08

ファクタリングを選ぶ場面と、費用の見方

ファクタリングは、支払期日前の売掛金を売って早く現金にする方法です。仕組みはファクタリングとはで説明しています。ここで大事なのは、この記事の順番のどこに置くかです。

選んでよい場面

  • 不足が「ずれ型」で、数日〜数週間後に確実な入金がある
  • 支払日の相談、猶予、融資を進めたうえで、それでも間に合わない日がある
  • 売る売掛金の取引先がしっかりしていて、支払いが遅れる心配が小さい
  • 足りない額と日数が、資金繰り表ではっきりしている

記入例の会社で、公庫の融資が12月25日に間に合わなかったとします。支払日の相談(200万円を月末へ)と返済の元金据置だけが認められたとすると、残高のいちばん少ない日は26日でマイナス130万円、月末の入金で20万円に戻ります。この「4〜5日、130万円」を埋める手段としてなら、ファクタリングは候補になります。逆に、1月以降も毎月足りない構造型の会社がファクタリングを繰り返すと、手数料の分だけ毎月の収支がさらに悪くなります。

費用は年率に直して比べる

ファクタリングは早い反面、費用が高くなりやすい方法です。実質年率は「手数料額÷手取り額÷入金までの日数×365」で計算します。手数料10%で入金まで30日なら、10÷90÷30×365で約135%です。期間が短いほど年率は跳ね上がり、150万円の売掛金を手数料10%で10日早く受け取る場合(手数料15万円、手取り135万円)、15÷135÷10×365で約406%になります。前の章で見た延滞税の年2.8%と比べると、桁が違います。計算のしかたと早見表は手数料の計算方法と実質年率にあります。

使う場合も、足りない額だけにとどめ、申込みの前に手数料の金額、償還請求権(売掛先が払わなかったときに買い戻す義務)の有無、契約書の控えがもらえるかを確かめます。売掛金を早く受け取るほかの方法(取引先への早期支払いの相談など)は売掛金を入金前に現金化する方法で比べています。

09

やってはいけないこと

  • 給与ファクタリングや、登録のない業者から借りる:金融庁は、ファクタリングを装って高い金利で貸し付けるヤミ金融業者の存在を確認しているとして注意を呼びかけています。貸金業には財務局か都道府県の登録が必要で、無登録営業は刑事罰の対象、年109.5%を超える利息の契約は契約自体が無効です。個人の給与を買い取る「給与ファクタリング」がなぜ違法とされるかは給与ファクタリングが違法とされる理由で説明しています。経営者が個人でこうした業者を使い、会社に入れるのも同じく危険です。
  • 売掛金の額に比べて受け取る額が極端に少ない取引をする:金融庁は、買取代金が債権額に比べて著しく低い場合は偽装ファクタリングの疑いがあるとしています。
  • 税金や社会保険料を払うために、高い費用で調達する:先に猶予を申請します。
  • 足りない額より多く調達する:余分な利息や手数料を払うことになります。不足額は資金繰り表で決めます。
  • 黙って支払いを遅らせる:相談すれば待ってもらえた支払いで信用を失い、取引そのものを失うことがあります。
  • 同じ売掛金を二重に売る、架空の請求書で申し込む:追い詰められたときほど起きやすく、詐欺などの犯罪になり得ます。
  • 赤字の穴埋めに、一時しのぎを毎月くり返す:次の章の相談先に早く進みます。

どの方法が合うか迷うときは、資金調達診断で、必要な金額と日数から選択肢を整理できます。

10

毎月足りないなら:中小企業活性化協議会に相談する

資金繰り表で毎月の収支がマイナスのまま戻らない構造型なら、つなぎの資金をいくら集めても、足りない時期が先に延びるだけです。売上・利益の立て直しや、借入の返済の組み直しまで含めて考える必要があります。

中小企業基盤整備機構によると、「中小企業活性化協議会」は、国が47都道府県に設置した公正中立な機関で、財務上の課題を持つ中小企業・小規模事業者を支援しています。支援は段階に分かれています。

段階 中身 費用
第一次段階(窓口相談) 経営上の問題点を整理し、助言する 無料
第二次段階 収益力改善支援、再生計画の策定支援、廃業・再チャレンジ支援のいずれか 協議会が外部の専門家に依頼する場合、その活動費などの一部を負担

相談を受けるのは、地方銀行出身者や公認会計士などの専門家です。協議会が進める私的整理は、金融機関などの債権者以外に経営の苦しさを知られない手法を取り入れており、風評による信用の低下を避けながら立て直しを進められるとしています。

相談に行くときも、3か月の資金繰り表、決算書、借入の一覧が出発点になります。顧問の税理士や取引のある金融機関とあわせて、「来月どうするか」だけでなく「半年後・1年後にどうなっていたいか」を話せる相手を、早めに確保しておきましょう。

出典(16件)公的機関の資料・法令。2026.10.15に確認
  1. 労働基準法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  2. No.9206 国税を期限内に納付できないとき(国税庁)www.nta.go.jp
  3. No.9205 延滞税について(国税庁)www.nta.go.jp
  4. No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例(国税庁)www.nta.go.jp
  5. 地方税法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  6. 厚生年金保険料等の猶予(換価の猶予・納付の猶予)(日本年金機構)www.nenkin.go.jp
  7. 納付期限(日本年金機構)www.nenkin.go.jp
  8. 延滞金について(日本年金機構)www.nenkin.go.jp
  9. コロナ資金繰り支援策の転換を踏まえた事業者支援の徹底等について(金融庁)www.fsa.go.jp
  10. 経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)(日本政策金融公庫)www.jfc.go.jp
  11. 信用保証協会と信用保証制度(全国信用保証協会連合会)www.zenshinhoren.or.jp
  12. さまざまな保証制度(全国信用保証協会連合会)www.zenshinhoren.or.jp
  13. 経営に支障が生じている方(全国信用保証協会連合会)www.zenshinhoren.or.jp
  14. 一時貸付金制度(経営セーフティ共済・中小企業基盤整備機構)kyosai-web.smrj.go.jp
  15. ファクタリングの利用に関する注意喚起(金融庁)www.fsa.go.jp
  16. 中小企業活性化協議会による支援(中小企業基盤整備機構)www.smrj.go.jp

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