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資金繰り更新 2026.11.07

支払いが足りない会社が今日やる7つ|不足額と残り日数の早見表

ハカセ
結論

会社の支払いが足りないときは、まず不足額と足りなくなる日を出し、支払先への連絡と入金の前倒しなど費用の小さい手から打ちます。この記事では、不足額と残り日数で7つの手を選ぶ早見表と、今日送れる連絡の文例を示します。

初めての方へファクタリングを使う前に知る5つのこと・申込みから入金まで →

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.11.08

支払いが足りない会社が今日やる7つ|不足額と残り日数の早見表

今月の給与や仕入の支払いに、会社の口座のお金が足りないと気づいた。この記事は、そんな経営者・個人事業主が、今日から2週間のうちに打てる手を選ぶためのものです。足りない額と残りの日数さえ分かれば、使う手はかなり絞れます。

この記事を7枚で

1 / 7
支払いが足りないと気づいた日数字を出す不足額と日連絡する支払先・銀行安い手から費用の小さい順 早見表・文例・費用の比べ方

この記事の流れ

今日やるのは3つだけ

支払いが足りないと気づいた日は、不足額と足りなくなる日を出し、支払先に連絡し、費用の小さい手から使います。早見表・文例・費用の比べ方を7枚で示します。

日ごとの残高(万円) 18018日-10025日-22026日130月末40月末

POINT 1

不足額と期限を30分で出す

今日から月末までの出入りを5行の表に書きます。例の会社は月末に40万円残りますが、26日に220万円足りません。月末の残高だけでは見落とす不足です。

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50万300万1,000万今日〜3日1週間2週間月末ここ まで

POINT 2

額と日数のマスで手を選ぶ

足りなくなる日までの日数を行、不足額を列にした早見表で、交わるマスだけを読みます。どのマスにも支払先への連絡が入り、ファクタリングは埋まらない分にだけ出てきます。

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電話 外注費120万円 月末の翌営業日に 一部払いの案も メール 日付と金額を その日に残す 期日が近く、金額が大きい先から

POINT 3

支払先には期日の前に連絡

期日が近く金額が大きい先から電話します。伝えるのはいくら・いつまで待ってほしいかと、期日に払える額。了解をもらったら、その日のうちにメールで残します。

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延期・当座貸越当日早期支払い数日ファクタリング当日〜数日共済の一時貸付金10日〜2週間公庫の融資1か月程度

POINT 4

今日使える手は3つに絞られる

延期の合意と当座貸越は当日、ファクタリングは当日〜数日です。早期支払いは数日、共済の一時貸付金は10日〜2週間、公庫の融資は1か月程度。今日の不足に融資は間に合いません。

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300万円を30日早く手にする費用当座貸越約4,900円早期支払い3万円ビジネスローン約3.7万円ファクタリング30万円 金利は仮の値。ファクタリングは手数料10%

POINT 5

ファクタリングは足りない分だけ

300万円を30日早く手にする費用は、早期支払いが3万円、手数料10%のファクタリングは30万円で、実質年率は約135%です。使うなら足りない額と日数だけに絞ります。

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1残高の表を週1回書き直す2支払日と入金日を組み替える3借入枠を平時に作る

POINT 6

来月同じことにしない

しのいだ翌日から、日ごとの残高の表を週1回書き直します。支払日と入金日の組み合わせを変え、借入枠は困っていない時期に銀行へ相談して作っておきます。

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01

結論:今日やるのは「数字を出す→連絡する→安い手から」

支払いが足りないと分かった日にやることは、3つだけです。不足額と足りなくなる日を出し、支払先に先に連絡し、費用の小さい手から順に使います。慌てて手数料の高いお金を先に入れると、来月の不足がかえって大きくなります。

打てる手は、次の7つです。上から順に費用が小さく、相手の了解が得やすいものを並べています。

  1. 支払先に延期・分割を頼む:費用はふつうかからない。今日決まる。
  2. 銀行の借入枠(当座貸越)を使う:枠を持っていれば今日使える。
  3. 売掛先に早く払ってもらう:少し値引きして頼むこともある。数日かかる。
  4. 手元の資産を使う:経営セーフティ共済の一時貸付金、社長個人の資金など。
  5. ファクタリング:請求書を売って当日〜数日で現金にする。費用は高い。
  6. 税金・社会保険料の猶予を申請する:今月の納付分が重いとき。
  7. 融資を申し込む:2週間以上先の不足に向く。今日の不足には間に合わない。

この記事は、最初の30分で出す数字(2章)、足りない額と日数の早見表(3章)、支払先への連絡の文例(4章)、入金を早める手(5章)、ファクタリングを使うときの判断と費用(6章)、使わない方がよい場合(7章)、来月の備え(8章)、よくある失敗(9章)の順に進みます。

3か月先までの資金繰り表の作り方、支払先との交渉の型、リスケや公的な貸付の一覧は、資金繰りが苦しい・支払いに間に合わないときの対処の順番にまとめています。この記事は「今日〜2週間」に絞ります。

今日の分かれ道:どの手から打つか
  1. 1週間ほど待てば入金で埋まる不足か?はい → 支払先に延期・分割を連絡するいいえ → 次へ
  2. 銀行の借入枠(当座貸越)が残っているか?はい → 今日のうちに銀行へ連絡して枠を使ういいえ → 次へ
  3. 支払期日前の請求書があるか?はい → 売掛先に早期支払いを頼み、だめならファクタリングの見積りいいえ → 次へ
  4. 毎月のように足りないか?はい → つながずに、資金繰りの立て直しの相談へいいえ → 融資と猶予の申込みを今週中に
02

最初の30分で出す2つの数字:いくら・何日に足りないか

この章は、まだ「なんとなく足りない」としか分かっていない人向けです。不足額が分かっている人は3章へ進んでください。

出す数字は2つです。いちばん残高が少なくなる日と、その日にいくら足りないか。月末の残高だけを見ると、月の途中の不足を見落とします。

5行の表で済ませる

今日から月末までの出入りを、日付の順に書きます。使うのは通帳(ネットバンキングの明細)、支払予定、入金が決まっている請求書の3つです。入金は「決まっている分」だけ書き、見込みは書きません。

次は、18日に気づいた会社の例です(単位:万円)。

日付 出入り 金額 残高
今日(18日) 口座の残高 180
25日 給与 −280 −100
26日 外注費 −120 −220
月末 取引先Aからの入金 +350 130
月末 家賃・借入の返済 −90 40

この会社は、月末には40万円残ります。足りないのは26日の220万円、期間は26日から月末までの数日です。「月末の入金で埋まるずれ」だと分かれば、高い手を使わずに済む見込みが立ちます。

5行の表で書き漏らしやすいもの

  • 口座からの引き落とし:リース料、カードの利用代金、口座振替の保険料や公共料金。支払予定の一覧に載っていないことが多い。
  • 入金日が休日に当たる請求書:支払日が土日祝日なら、前の営業日か後の営業日にずれる。どちらかは取引先しだいなので、後ろにずれる前提で書く。
  • 振込の締切:給与の振込は、ネットバンキングで前日や数営業日前までの予約が要ることがある。「25日に払う」は「24日に口座にお金が要る」の意味かもしれない。

3つめは見落とされやすく、不足の日が1〜2日早まります。銀行の給与振込の締切を、今日のうちに確かめておきます。

月をまたいで毎月足りなくなりそうなら、この5行では足りません。3か月の表で見る必要があり、その作り方は資金繰り表の記入例にあります。

どの支払いから守るか

足りない額が分かったら、次は払う順番です。支払いの種類ごとに、遅れたときに起きることが違います。一行で並べると次のとおりです。

支払い 遅れたときに起きること 今日の扱い
給与 法律で期日に全額を払う義務がある。違反には罰金の定めがある 最優先で守る
手形・でんさいの決済 期日に落ちないと不渡り・支払不能となり、銀行取引に響く 動かせない支払いとして守る
税金・社会保険料 延滞税・延滞金がかかり、督促のあとは差押えに進む 払えないなら期限前に猶予を相談
借入の返済 延滞の記録が残り、次の融資が受けにくくなる 返済日の前に銀行へ相談
仕入先・外注先・家賃 契約や相手しだい。黙って遅れると取引を失う 延期・分割を頼む先

表の下の行ほど、相談で動かしやすい支払いです。給与と手形・でんさいは動かせない前提で、それ以外を動かして残高を作ります。※1

支払いごとに、遅れてから督促・差押え・不渡りまで何日あるかは、資金ショートとはで法令の日数とともに並べています。

気づいた日の4つの手順
  1. 最初の30分日ごとの残高を出す通帳・支払予定・入金予定から5行の表に
  2. 次の1時間支払先へ連絡する期日が近く金額が大きい先から電話とメール
  3. 午前中銀行に借入枠を確かめる当座貸越の残りと、今日使えるか
  4. 午後入金を早める手を打つ売掛先への早期支払いの依頼と見積り
この章の根拠(1件)
  1. 労働基準法24条・120条
03

足りない額と残り日数で選ぶ早見表

2章で出した「不足額」と「足りなくなる日までの日数」を、次の表に当てはめます。自分の行(日数)と列(額)の交わるマスだけ読めば、最初に打つ手が決まります。

足りなくなる日まで 50万円まで 300万円まで 1,000万円まで
今日〜3日 支払先に一部払い+延期の連絡、当座貸越、社長個人の資金 延期の連絡、当座貸越、それでも残る分だけファクタリング 延期の連絡を複数の先に、当座貸越。残りはファクタリングを複数の請求書で
1週間 延期の連絡、売掛先への早期支払いの依頼 延期の連絡、当座貸越、早期支払い。間に合わない分をファクタリング 延期の連絡、銀行への短期の借入の相談、早期支払い
2週間 延期の連絡、早期支払い、共済の一時貸付金 早期支払い、共済の一時貸付金、銀行の短期の借入 銀行の短期の借入、税・社会保険料の猶予の申請
月末(2〜4週) 延期の連絡、早期支払い 銀行の借入、共済の一時貸付金、猶予の申請 銀行・公庫の融資を今週中に申し込む、猶予の申請

表から分かるのは、どのマスでも「支払先への連絡」が入っていることです。費用がかからず、今日決まる手だからです。ファクタリングは、日数が短く、ほかの手で埋まらない分が残るマスにだけ出てきます。

手ごとに、今日そろえるもの

マスで選んだ手を今日動かすには、相手に見せる材料が要ります。手ごとに、そろえるものと連絡する相手を並べます。

手 連絡する相手 今日そろえるもの
延期・分割の依頼 支払先の担当者・家主 支払いの額と期日、払える日の根拠になる入金予定
当座貸越・借入枠 取引のある銀行の担当者 日ごとの残高の表、通帳、契約の内容(枠の額)
早期支払いの依頼 売掛先の経理の担当者 請求書の控え、値引きする率
共済の一時貸付金 中小機構(共済の窓口) 加入の内容、解約手当金の額
ファクタリング ファクタリング会社 請求書、通帳の入出金の記録、本人確認の書類
税・社会保険料の猶予 税務署・年金事務所 納付書、日ごとの残高の表、今後の入金予定

どの手にも共通するのは、2章の「日ごとの残高の表」です。この1枚があると、相手は「いくら・いつまで」をすぐ判断できます。表は最初に作り、すべての連絡に添えます。

借入枠を持っているかで、話が大きく変わる

当座貸越は、口座の残高が0円を下回っても、決めた枠まで払える借り方です。銀行とすでに契約していれば、今日の不足をその場で埋められ、利息は使った日数の分だけです。

反対に、枠がない会社が今日から新しく借りるのは、ほぼ間に合いません。公庫の融資は、申込みから送金まで1か月程度かかります。銀行の新しい借入も審査に日数がかかります。枠がないなら、今日の不足は「連絡」と「入金の前倒し」で埋め、融資は来月以降のために今週中に申し込みます。借り方の種類と審査の準備は運転資金の融資を受けるにはで説明しています。

2章の例を当てはめると

18日に気づいた会社は、不足額220万円、26日まで8日です。「1週間・300万円まで」のマスなので、延期の連絡、当座貸越、早期支払いの順に当たります。この例の続きは4章と5章で見ます。

04

支払先に今日連絡する:延期・分割の頼み方と文例

この章は、仕入先・外注先・家主など、相談で動かせる支払いがある人向けです。給与と手形・でんさいは、ここでは動かしません。

連絡する順番

  1. 期日がいちばん近い先:期日の前に話せるのは今日だけ、という先から。
  2. 金額が大きい先:1社に応じてもらうだけで不足の多くが埋まる。
  3. 付き合いが長い先:取引を続けたい理由が相手にもある。

2章の例なら、26日の外注費120万円が最初の連絡先です。月末の入金のあとに回してもらえれば、26日の不足は100万円まで縮みます。

電話で伝えること

電話は短く、数字から話します。言うのは「どの支払いを・いくら・いつまで待ってほしいか」と「期日に払える額」の2つです。理由は一言で足ります。

〇〇社の〇〇です。26日にお支払いする外注費120万円について、ご相談のお電話です。月末に取引先から入金があるため、全額を月末の翌営業日のお支払いにしていただけないでしょうか。難しければ、26日に40万円、残り80万円を月末の翌営業日にお支払いします。

電話のあとに送るメール

電話で了解をもらっても、その日のうちにメールで残します。担当者が代わっても、約束が残るからです。

本日お電話でご相談した件の確認です。〇月26日お支払い予定の外注費120万円を、〇月〇日(月末の翌営業日)にお支払いいたします。ご了承いただきありがとうございます。当日は振込後にご連絡します。内容に違いがあれば、このメールにご返信ください。

家主・リース会社に頼むとき

家賃やリース料は、毎月同じ額が口座から引き落とされることが多い支払いです。引き落とし日の前に連絡しないと、残高不足で落ちなかった、という形で相手に知られます。今月分を2回に分ける、翌月分と合わせて払う、といった案を、引き落とし日の数日前までに伝えます。

やってはいけない連絡

  • 連絡せずに遅らせる:相談すれば待ってもらえた支払いで、信用を失います。
  • 入金の根拠がない日付を言う:その日に払えなければ、2回目の約束違反になります。言う日付は、入金が決まっている日のあとだけにします。
  • 相手の資金繰りを考えない:相手が小さな事業者なら、自社の入金が相手の給与の原資かもしれません。全額の延期より、一部を期日に払う案を出します。

相手が応じにくいときの話の進め方や、相談する相手の選び方の詳しい型は、支払先との交渉の章にあります。

05

入ってくるお金を早める:早期支払い・借入枠・手元の資産

この章は、延期の連絡をしても不足が残った人向けです。2章の例では、外注費を月末へ回してもらっても、25日の給与の時点で100万円足りません。

売掛先に早期支払いを頼む

入金予定の請求書があれば、売掛先に支払日を早めてもらえないか頼みます。費用は値引き分だけで、ファクタリングよりずっと小さく済みます。相手が支払いの処理に数日かかるので、頼むのは早いほどよい手です。

いつもお世話になっております。〇月末にお支払いいただく予定の請求書(〇月分、350万円)について、ご相談です。もし可能でしたら、〇月24日までにお振込みいただけないでしょうか。早めていただける場合は、請求額から1%を値引きいたします。ご無理であれば、予定どおりで問題ありません。

値引きを付けると、相手にとっては早く払うほど得になる取引です。350万円で1%なら3.5万円です。相手の経理の締めに間に合うかどうかで決まるので、断られても関係が悪くなる頼み方ではありません。

銀行の借入枠を使う

当座貸越や、あらかじめ決めた枠の中で借りられる契約があれば、今日のうちに取引のある銀行へ電話します。確かめるのは次の3つです。

  1. 枠の残りはいくらか
  2. 今日使えるか(手続きの締切の時刻)
  3. 金利と、いつまでに返すか

電話がつながらないときや、担当者に資料を渡したいときは、次のようなメールを送ります。

いつもお世話になっております。〇〇社の〇〇です。今月25日の給与の支払いに、100万円の不足が見込まれます。月末に取引先から350万円の入金が決まっており、不足は月末までの数日です。当座貸越の枠の残りと、今日から使えるかを教えてください。日ごとの残高の表を添付します。

添付するのは、2章の5行の表です。いくら・何日・どの入金で戻るかが一目で分かると、銀行の担当者も社内の確認が早く済みます。

枠がない場合でも、今月の不足を伝えておくこと自体に意味があります。来月以降の融資の相談の入口になるからです。

手元の資産を使う

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入している会社は、取引先が倒産していなくても「一時貸付金」を借りられます。限度額は解約手当金の95%の範囲内で、期間は1年の一括返済です。ただし、請求書と書類が届いてから着金まで10日〜2週間程度かかります。2週間先の不足には使えますが、今日の不足には間に合いません。条件と額の計算は経営セーフティ共済で説明しています。

社長個人の預金から会社に貸すのも、今日できる手です。その場合は、金額・返す時期を書いた簡単な書面を残し、会社の帳簿に「役員借入金」として記録します。

手ごとの、お金が動くまでの日数の目安
  1. 延期・分割の合意当日(連絡した日に決まる)
  2. 当座貸越の枠当日(枠が残っている場合)
  3. 売掛先の早期支払い数日(相手の支払いの処理しだい)
  4. ファクタリング当日〜数日
  5. 共済の一時貸付金書類が届いてから10日〜2週間程度
  6. 公庫の融資申込みから1か月程度

今日2週間1か月

図のとおり、今日の不足に使えるのは、延期の合意・当座貸越・ファクタリングの3つに絞られます。1週間あれば早期支払いが、2週間あれば共済の一時貸付金が加わります。

06

ファクタリングで今日〜数日で埋めるときの判断

この章は、ここまでの手を打っても、数日以内に埋まらない分が残った人向けです。ファクタリングは、支払期日前の請求書を売って、先に現金にする方法です。

使える場面と、使えない場面

使えるのは、取引先に出した請求書(売掛金)があり、その入金日が不足の日より後にある場合です。2章の例なら、月末に入る取引先Aの350万円の請求書がそれにあたります。

請求書がない、取引先がまだ検収していない、すでにほかの会社に売った請求書しかない、という場合は使えません。同じ請求書を2社に売るのは、詐欺などの犯罪になりえます。

早さの目安:図鑑のデータから

図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、最短の入金を1日以内と公表しているのは152(77%)でした。ただし「最短」は書類がそろった場合の値です。初めての申込みでは、書類の確認で翌日以降になることもあります。

当日の入金に間に合わせるための締切の時刻を公表しているところは少数です。申込みの前に電話で確かめます。今日中に間に合わせる動き方と会社の選び方は即日入金のファクタリングにまとめています。

数字で確かめる:300万円を30日早く手にする費用

同じ300万円分のお金を30日早く手にする費用を、手ごとに比べます。金利は計算のための仮の値で、実際は契約しだいです。計算は build/stats/shikin-short-chokusen.py で確かめました。

手 前提 30日分の費用 実質年率
当座貸越 年2%と仮定 約4,900円 約2%
売掛先の早期支払い 請求額の1%を値引き 3万円 約12%
ビジネスローン 年15%と仮定 約3.7万円 約15%
ファクタリング 2社間・手数料10% 30万円 約135%

ファクタリングは、手数料10%で入金まで30日なら、30万円÷270万円÷30日×365で実質年率は約135%です。費用は早期支払いの10倍、当座貸越のおよそ60倍になります。早い代わりに、いちばん高い手だということが数字で分かります。

請求書300万円分を30日早く手にする費用
  1. 当座貸越(年2%と仮定)約4,900円
  2. 早期支払い(1%値引き)3万円
  3. ビジネスローン(年15%と仮定)約3.7万円
  4. ファクタリング(手数料10%)30万円

相手との合意・銀行の枠借入売掛金の売却

だからこそ、ファクタリングは「足りない額だけ」「足りない日数だけ」に絞ります。2章の例で、延期と早期支払いのあとに残った不足が100万円なら、売る請求書もその分に近い額にします。手数料の率ごとの年率は手取りと実質年率のシミュレーターで確かめられます。

2章の例の会社は、どう埋めたか

18日に気づいた会社が、延期の連絡(外注費120万円を月末の翌営業日へ)をしたうえで、残る100万円をどう埋めるか。3つの場合を比べます(単位:万円)。

場合 使った手 いちばん少ない日の残高 かかった費用
A 早期支払いが通った 取引先Aの350万円を24日に前倒し(1%値引き) 36.5(外注費を払った後) 3.5万円
B 早期支払いは断られた 25日から月末まで当座貸越100万円(年2%と仮定) 0(25日) 約329円
C 借入枠もなかった 来月10日に入る別の請求書112万円を手数料10%で売る 0.8(25日) 11.2万円

同じ100万円の不足でも、使う手で費用は数百円から11万円まで開きます。Cの場合は、来月10日に入る112万円がまるごとファクタリング会社へ渡るので、来月の資金繰りの表から外しておく必要があります。来月も同じ不足が来るなら、7章の「使わない方がよい場合」に当たります。

申し込む前に確かめる3つ

  • 手数料の金額:率だけでなく、手取りがいくらになるかを円で聞く。
  • 償還請求権の有無:売掛先が払わなかったときに、自社が買い戻す義務があるか。
  • 売掛先からの入金を、期日にそのまま渡せるか:2社間では、入ったお金を業者へ送る必要がある。

3つめは見落とされやすい点です。月末に入る350万円をほかの支払いに回してしまうと、今度はファクタリング会社への支払いに困ります。そうなったときの手順はファクタリングが払えないときで説明しています。

07

ファクタリングを使わない方がよい場合と、ほかの方法

早く現金になる手ほど、使ってはいけない場面があります。次のどれかに当てはまるなら、ファクタリングより先に別の手を考えます。

毎月のように足りない

先月も今月も足りない、来月も足りそうだ、という会社は、ずれではなく収支そのものが赤字の可能性があります。ここで請求書を売ると、手数料の分だけ来月の入金が減り、来月はもっと足りなくなります。

この場合は、今月の不足を延期と猶予でしのぎつつ、借入の返済条件の見直し(リスケ)や経営の立て直しの相談に進みます。国が47都道府県に置く中小企業活性化協議会は、最初の窓口相談を無料で受けています。進め方は毎月足りないときの章にあります。

足りないのが税金・社会保険料

今月の不足の原因が、法人税・消費税や社会保険料の納付なら、高い費用でお金を集めて納めるのは順番が逆です。国税は、納期限から6か月以内に申請すれば「換価の猶予」で分割の納付が認められる場合があります。納期限までに払えないと分かったら、所轄の税務署の徴収担当に早めに相談します。※1

申請の書類と、猶予中の延滞税の計算は法人税・消費税が払えないときで説明しています。社会保険料は年金事務所が相談先です。

足りないのが給与

賃金は、通貨で、直接、全額を、毎月1回以上、一定の期日に払うと法律で決まっています。給与は「待ってもらう相談」をする支払いではありません。ほかの支払いを動かして、給与を先に守ります。※2

それでも全額がそろわないときは、黙って遅らせるのがいちばん悪い対応です。期日に払える分は払い、残りをいつ払うかを、全員に書面で示します。たとえば給与280万円のうち200万円しか用意できないなら、200万円を期日に払い、残り80万円の支払日を入金の予定とあわせて伝えます。これは違反をなくすものではないので、社会保険労務士などに早く相談します。

不足の原因が、売掛先の支払いの遅れ

今月足りないのが、売掛先が期日に払ってくれないせいなら、まずその売掛先への催促が先です。期日の翌営業日に、請求書の番号・額・期日を書いて連絡します。

遅れている売掛先の請求書をファクタリングに出すのも、おすすめできません。支払いが遅れている先の請求書は、買取を断られるか、手数料が高くなりやすいからです。償還請求権のある契約なら、売掛先がさらに遅れたときに、自社が買い戻すことにもなります。

社長個人のカードローンで埋めようとしている

個人のカードローンや消費者金融で会社の支払いを埋めると、会社の資金繰りの問題が、社長個人の借金に変わります。金利も高く、会社の帳簿にも見えにくくなります。会社の不足は、会社の名前で使える手から当たります。

この章の根拠(2件)
  1. 国税庁 No.9206
  2. 労働基準法24条
08

今月をしのいだあとに、来月同じことにしない3つの手

今月をしのいだ翌日に、3つのことを始めます。どれも費用はかかりません。

1. 日ごとの残高の表を、週に1回書き直す

2章の5行の表を、来月の分まで伸ばします。入金と支払いの実績で毎週書き直すと、不足は1週間前ではなく1か月前に見えるようになります。1か月前に見えれば、融資の申込みが間に合います。

来月の表には、毎月の支払いのほかに、年に数回しか来ない支払いを先に書き込みます。賞与、法人税・消費税の納付、保険料の年払い、車検などです。今月の不足も、こうした支払いが重なって起きていることがよくあります。

2. 支払日と入金日の組み合わせを変える

今回の不足が「入金は月末、支払いは月の途中」から来ているなら、組み合わせを変えれば来月も同じことは起きにくくなります。取引先に請求の締め日を早めてもらう、外注先の支払日を入金の後ろにする、といった交渉です。交渉は困っていない時期の方が通りやすいので、今月をしのいだらすぐ始めます。

3. 借入枠を、困っていないときに作る

3章で見たとおり、当座貸越の枠がある会社は、今日の不足をその日に埋められます。ただし枠は、業績が落ちてから頼んでも作りにくいものです。決算が出たあとの、困っていない時期に銀行へ相談します。共済の加入も、同じく平時の備えです。

09

よくある失敗と注意点

支払いが足りないとき、つまずくのは手の選び方より、手を打つ順番であることが多いです。

高い手から使う

いちばん多い失敗は、費用の高い手を先に使い、費用のかからない延期の連絡を後回しにすることです。電話1本で済んだはずの不足に、30万円の手数料を払うことになります。早見表のとおり、連絡はどのマスでも最初の手です。

足りない額より多く集める

不安から、足りない額より多めに集めると、余分な手数料や利息を払います。集める額は、2章の表で出した不足額を上限にします。

うたい文句で業者を選ぶ

急いでいるときほど、「審査なし」「誰でも」とうたう広告が目に入ります。金融庁は、ファクタリングを装って高い金利で貸し付けるヤミ金融業者に注意を呼びかけています。受け取る額が請求書の額に比べて著しく低い取引は、偽装の疑いがあるとしています。見分け方は危ないファクタリング業者の見分け方にあります。

個人の給与を売る

経営者や従業員が、個人の給与を先に売る「給与ファクタリング」は、金融庁が貸金業にあたるとしている取引です。会社の支払いのために個人の給与を売るのは、避けてください。

延期の約束を守れない日付で結ぶ

今日の電話を早く終えたくて、入金が決まっていない日付で約束してしまう。その日に払えなければ、相手は次の相談に応じてくれません。約束する日付は、入金が決まっている日の後ろにします。

お金は用意できたのに、振込の時刻に間に合わない

入金が午後になり、その日の支払いの振込に間に合わない、という失敗もあります。ファクタリングや早期支払いで入るお金は、何時に口座に入るかまで確かめます。払う側の振込の締切時刻と並べて、間に合わないなら支払先に「午後の着金になる」と先に伝えます。

しのいだあとに表を捨てる

今月をしのいで安心し、2章の表をそれきりにする。来月も同じ日に同じ不足が来ても、気づくのはまた直前です。8章のとおり、週に1回の書き直しを続けます。

出典(7件)公的機関の資料・法令。2026.11.07に確認
  1. 労働基準法(e-Gov法令検索)第24条・第120条laws.e-gov.go.jp
  2. No.9206 国税を期限内に納付できないとき(国税庁)www.nta.go.jp
  3. 一時貸付金制度(経営セーフティ共済・中小企業基盤整備機構)kyosai-web.smrj.go.jp
  4. よくあるご質問:一時貸付金を受け取るまでの期間(中小企業基盤整備機構)kyosai-faq.smrj.go.jp
  5. 国民生活事業をはじめてご利用の方へ(日本政策金融公庫)www.jfc.go.jp
  6. 中小企業活性化協議会による支援(中小企業基盤整備機構)www.smrj.go.jp
  7. ファクタリングの利用に関する注意喚起(金融庁)www.fsa.go.jp

FAQ

よくある質問

会社の支払いが今月足りないとき、最初に何をすればいいですか?

最初の30分で、今日から月末までの出入りを日付順に書き、いちばん残高が少なくなる日と不足額を出します。月末の残高だけを見ると、月の途中の不足を見落とします。数字が出たら、期日が近く金額が大きい支払先から延期の連絡をし、費用の小さい手から順に使います。

支払いを待ってもらうときは何と伝えればいいですか?

どの支払いを、いくら、いつまで待ってほしいかと、期日に払える額の2つを数字で伝えます。理由は一言で足ります。全額の延期が難しければ一部を期日に払う案を出し、了解をもらったらその日のうちにメールで日付と金額を残します。入金が決まっていない日付は約束しません。

今日中にお金を用意する方法はありますか?

今日の不足に使えるのは、支払先との延期の合意、銀行の当座貸越の枠、ファクタリングの3つです。図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、最短の入金を1日以内と公表しているのは152でした。ただしファクタリングは費用が高いので、延期と借入枠で埋まらない分だけに絞ります。

給料が払えないときはどうすればいいですか?

賃金は期日に全額を払うと法律で決まっているので、仕入や外注費など相談で動かせる支払いを先に動かして給与を守ります。それでも足りないときは、黙って遅らせず、期日に払える分を払い、残りの支払日を全員に書面で示します。違反がなくなるわけではないので、社会保険労務士などに早く相談します。

支払いが1日遅れるとどうなりますか?

支払いの種類で違います。給与は法律の義務に反し、手形やでんさいは不渡り・支払不能として銀行取引に響きます。税金・社会保険料は延滞税・延滞金がかかり、督促のあとは差押えに進みます。仕入先や外注先は契約と相手しだいですが、期日の前に連絡すれば延期に応じてもらえることがあります。

毎月支払いが足りないのはなぜですか?

入金が月末に寄り支払いが月の途中に寄っているずれなら、支払日と入金日の組み合わせを変えると直ります。ずれではなく毎月の収支が赤字なら、請求書を売ってつなぐほど手数料の分だけ翌月の不足が増えます。その場合は返済条件の見直しや、中小企業活性化協議会などへの相談に進みます。

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