一括相談無料 資金調達診断 →

資金繰り更新 2026.10.17

資金ショートとは?倒産との違い、起きる日の見つけ方と8つの前兆

ハカセ
結論

資金ショートとは、支払いの日に預金と使える借入の枠を合わせても支払額に届かない状態で、黒字でも起きます。倒産との違い、日ごとの残高で起きる日を見つける計算、払えなかったときの流れと8つの前兆を解説します。

初めての方へファクタリングを使う前に知る5つのこと・申込みから入金まで →

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

資金ショートとは?倒産との違い、起きる日の見つけ方と8つの前兆

この記事は、通帳の残高を見て「今月の支払いは足りるだろうか」と不安になった中小企業の経営者・個人事業主に向けて書いています。資金ショートの意味と倒産との違い、起きる日の見つけ方、払えなかったときに起きること、早めに気づくための前兆と、気づいたときの動き方を説明します。

この記事を7枚で

1 / 7
残高0 この1日がショート 預金の残高(日ごと)

この記事の流れ

資金ショートは「ある1日」の話

この記事で何がわかるの?

資金ショートは、払う日に使えるお金が足りないことです。起きる仕組みと日の見つけ方、払えなかった後の流れ、前兆と動き方を順に見ます。

何を見ている言葉か資金ショートある1日のお金赤字期間の売上と費用債務超過財産と借金

POINT 1

赤字・債務超過とは別もの

赤字や債務超過とは違うの?

赤字は期間の売上と費用、債務超過は財産と借金を見る言葉です。資金ショートはその日のお金だけを見るので、黒字でも起き、赤字でも起きないことがあります。

この章を読む
2026年の年末(銀行の休業日)12/30水12/31休1/1休1/2休1/3休1/4月支払い入金5日離れる31日の期日が前後の営業日に動く

POINT 2

休業日で入金が遅れる

年末年始は何に気をつけるの?

2026年12月31日が期日の入金は、次の営業日の1月4日まで入りません。支払いが前の営業日の30日に動くと、入金と支払いは5日離れます。

この章を読む
日ごとの残高(万円)042012/149012/1037012/1519012/25-7512/304251/4

POINT 3

月はプラスでも30日に足りない

月がプラスなら大丈夫だよね?

計算例の会社は、12月の入金600万円・支払い595万円で月はプラスです。それでも12月30日に75万円足りず、1月4日の入金で425万円に戻ります。

この章を読む
払えなかったのは、何の支払いか手形・給与期日を過ぎると戻せない税金・社会保険料督促のあと差押え仕入・家賃など前もって相談すれば動く

POINT 4

何が払えなかったかで重さが違う

払えないものによって違うの?

手形は不渡りから記録が残り、給与は遅らせられません。国税は督促状のあと10日を経過しても納めないと差押えに進みます。仕入代金などは前もって相談します。

この章を読む
数週間前から出るサイン(8つのうち4つ)前日に入金を何度も確かめる引落しの前に口座間で移す払う順番を毎回選んでいる社長のお金で会社の支払い

POINT 5

前兆は通帳の動きに出る

前兆はどこに出るの?

支払いの前日に入金を待つ、引落しの前に口座間でお金を移す、といった動きはショートが近いサインです。1つでも当てはまれば、次の入金までの残高を出します。

この章を読む
1か月前借入の相談2〜3週支払い・納税の相談数日前枠・前倒し・売却当日守る支払いを決める過ぎた後連絡と記録

POINT 6

気づいた時期で手が変わる

気づいたら、何をすればいい?

1か月以上前なら借入の相談、2〜3週間前なら支払いと納税の相談ができます。数日前・当日は守る支払いを決め、足りない分だけを埋めます。

この章を読む
01

結論:資金ショートは「払う日に、使えるお金が足りない」こと

社長

資金ショートって、赤字になるってこと?

違います。支払いの日に、預金と使える借入の枠を合わせても支払額に届かない状態です。黒字でも、入金より支払いの日が先に来れば起きます。すぐ倒産ではなく、何が払えなかったかで重さが決まります。

ハカセ

資金ショートとは、支払いの日に、預金と使える借入の枠を合わせても、その日の支払額に届かない状態です。赤字かどうか、決算書がどうかは関係ありません。黒字の会社でも、入金の日より支払いの日が先に来れば起きます。

要点は次の3つです。

  • 起きる日は、月末の残高では見えない:月の収支がプラスでも、月の途中の「残高がいちばん少なくなる日」に足りなければショートします。
  • ショートしても、すぐ倒産ではない:倒産に近づくかどうかは、払えなかったのが何の支払いかで決まります。手形・でんさいと給与は重く、仕入代金などは前もって相談すればずらせることがあります。
  • 前兆は数週間前から出る:支払いの前日に入金を待つ、引落しのたびに口座間でお金を移す、といった動きは、資金ショートが近いサインです。気づくのが早いほど、費用の安い手を選べます。

この先は、まず意味と倒産との違い(2章)、起きる仕組み(3章)、計算例(4章)を見ます。続いて、払えなかったときに起きること(5章)、8つの前兆(6章)、気づいた時期ごとの動き方(7章)を説明します。最後に、ファクタリングで埋めない方がよい場合(8章)と、よくある失敗(9章)です。

同じ会社の12月を、2つの見方で比べる(4章の計算例・万円)

月の合計で見る予定表の入金と出金を足す

12月の入金の予定
600万円
12月の出金の予定
595万円
差し引き
5万円のプラス
判断
今月は足りる

日ごとの残高で見る入金と支払いを日付順に並べる

12月1日の朝の預金
420万円
12月30日の支払い
265万円
12月30日の残高
75万円足りない
判断
年末に資金ショート
02

資金ショートとは:赤字・債務超過・倒産との違い

社長

債務超過や倒産と、何が違うの?

見ている物差しが違います。赤字は期間の売上と費用、債務超過はある時点の財産と借金です。資金ショートは「ある1日」の話で、それが重い支払いで起き、埋められなかったときの行き着く先が倒産です。

ハカセ

資金ショートは法律の言葉ではなく、会社の現場で使われる言葉です。「資金繰りがショートする」「キャッシュショート」とも言います。意味は、払うべき日に払うお金が手元に無いことです。

「使えるお金」に入るもの、入らないもの

ショートするかどうかを決めるのは、その日に実際に動かせるお金です。普通預金・当座預金の残高と、当座貸越(あらかじめ決めた枠まで、残高を超えて引き出せる契約)の空きがこれに当たります。

売掛金・在庫・設備は、帳簿の上では財産でも、その日の支払いには使えません。売掛金は「いつ入るか」がはっきりしている入金予定として扱います。数えるお金の範囲は資金繰りとは(利益・キャッシュフローとの違い)で詳しく説明しています。

似た言葉との違い

資金ショートは、赤字・債務超過・倒産と混同されやすい言葉です。何を物差しにしているかで分けると、違いがはっきりします。

言葉 何を見るか 資金ショートとの関係
資金ショート 支払いの日の、使えるお金と支払額 —
赤字 一定の期間の売上と費用(損益計算書) 赤字でも預金や借入があればショートしない。黒字でもショートする
債務超過 ある時点の財産と借金(貸借対照表) 債務超過でも、期日に払えていればショートしていない
支払不能 期日の来た借金を、全体として続けて払えないか 1回のショートでは当たらない。ショートが続き、広がった状態
倒産 払えなくなり、事業を続けられなくなったか ショートが重い支払いで起き、埋められなかったときの行き着く先

表のとおり、資金ショートは「ある1日」の話です。赤字や債務超過は、ショートを起こしやすくする原因の1つにすぎません。

資金ショートと倒産の境目

破産の手続きを始める原因の「支払不能」は、期日の来た借金を、支払能力が無いために全体として続けて払えない状態を指します。※11つの支払いが1日遅れただけでは、ふつうはここまで進みません。

ただし手形・でんさいは例外で、1回払えないだけで記録が残り、6か月以内の2回目で銀行と取引ができなくなります。黒字でも倒産と呼ばれる場面と、その法律上の理由は黒字倒産とは(原因と前兆)で説明しています。

この章の根拠(1件)
  1. 破産法2条11項・15条1項
03

資金ショートが起きる仕組み:月末ではなく「日ごとの残高の谷」で起きる

社長

月の収支がプラスなら、心配いらないよね?

いいえ。残高は入金で上がり支払いで下がるので、月の途中に谷ができます。その底がマイナスに沈んだ日に起きます。入金の遅れ、支払いの前倒し、使える枠が減ることがきっかけで、休業日のずれも効きます。

ハカセ

預金の残高は、入金のたびに上がり、支払いのたびに下がります。1か月の動きを線で描くと、山と谷ができます。資金ショートは、この谷の底がマイナスに沈んだ日に起きます。

その日の残高は「前の日の残高+その日の入金−その日の支払い」です。月の合計がプラスでも、大きな支払いが入金より前に固まっていれば、谷は深くなります。

谷を深くする3つのきっかけ

資金ショートのきっかけは、入金・支払い・枠の3つのどれかが、予定から動くことです。

  1. 入金が遅れる・減る:取引先の支払いが遅れる、値引きや相殺で額が減る、取引先が倒産する。予定日に入らない入金は、その日の谷をそのまま深くします。
  2. 支払いが前に来る・増える:納税・賞与・保険料など年に数回の支払い、急な修理や返品の返金、仕入先からの前払いの要求。
  3. 使える枠が減る:当座貸越の枠の見直し、借入の更新が止まる、カードの利用枠の引き下げ。外から見えにくく、気づいたときには谷を支えるものが無くなっています。

3つとも、会社の利益とは別に動きます。だから資金ショートは、決算の数字より先に、日付の入った予定で見る必要があります。

個人事業主は、生活のお金も同じ谷に入る

個人事業主やフリーランスは、事業と生活の口座を分けていないことが多くあります。その場合、家賃・カードの引落し・国民健康保険料・所得税の予定納税なども、同じ残高から出ていきます。

事業の入金は月に1〜2回なのに、生活の引落しは月の中に散らばっています。入金の前に引落しが重なると、事業は回っていても口座はショートします。口座を分けるか、少なくとも引落しの日を予定表に書き込んでおきます。

銀行の休業日で、入金と支払いの日が離れる

見落としやすいのが、カレンダーによるずれです。銀行の休日は、土曜・日曜・祝日と、12月31日から1月3日までです。※1期日がこの日に当たると、入金も支払いも前後の営業日に動きます。

どちらに動くかは、契約や取引先の決まりで違います。「支払いは前の営業日、入金は次の営業日」という組み合わせになると、その月だけ、入金より先に支払いが来ます。2026年11月から1年間で、月末か25日が休業日に当たる日は次のとおりです。

期日 前の営業日 次の営業日 離れる日数
2026年12月31日(木) 12月30日(水) 1月4日(月) 5日
2027年1月31日(日) 1月29日(金) 2月1日(月) 3日
2027年2月28日(日) 2月26日(金) 3月1日(月) 3日
2027年4月25日(日) 4月23日(金) 4月26日(月) 3日
2027年7月25日(日) 7月23日(金) 7月26日(月) 3日
2027年7月31日(土) 7月30日(金) 8月2日(月) 3日
2027年9月25日(土) 9月24日(金) 9月27日(月) 3日
2027年10月31日(日) 10月29日(金) 11月1日(月) 3日

1年のうち、月末が休業日になる月が5回、25日が休業日になる月が3回あります。いちばん離れるのは年末で、12月31日が期日の入金は1月4日まで入りません。月末に入る売掛金が多い会社ほど、この5日間に支払いが重なっていないかを確かめておきます。

表の祝日は、内閣府が公表している祝日の一覧で確かめました。※2取引先ごとの決まりは、契約書や請求書の支払条件で確かめます。

この章の根拠(2件)
  1. 銀行法15条1項・銀行法施行令5条1項
  2. 内閣府「国民の祝日について」
04

数字で確かめる:月の収支はプラスなのに、12月30日に75万円足りなくなる計算

社長

本当に、月はプラスなのに足りなくなるの?

計算例の会社は、12月の入金600万円・支払い595万円で5万円のプラスです。でも31日の入金が1月4日にずれ、支払いは30日に集まるので、12月30日に75万円足りません。1月4日には425万円に戻ります。

ハカセ

3章のカレンダーのずれだけで資金ショートが起きる例を、1つの会社の数字で追います。従業員6人の会社の2026年12月です。この会社の契約では、支払いは期日が休業日なら前の営業日、入金は次の営業日になります。

12月の予定を、日付順に並べる

12月1日の朝の預金は420万円です。入金と支払いの予定を日付の順に書き、1行ごとに残高を出します(単位は万円)。

日付 内容 入金・支払い 残高
12月1日 朝の預金 — 420
12月10日 売掛金の入金(A社) +100 520
12月10日 源泉所得税・住民税の納付 −30 490
12月15日 外注費 −120 370
12月25日 給与 −180 190
12月30日 材料の仕入(31日払いが前の営業日に) −150 40
12月30日 家賃 −25 15
12月30日 借入の返済 −40 −25
12月30日 社会保険料の引落し −50 −75
1月4日 売掛金の入金(B社。31日の予定が次の営業日に) +500 425

12月の予定表に書いた入金は600万円、支払いは595万円で、月の合計は5万円のプラスです。それでも12月30日に、75万円足りません。B社の500万円が12月30日までに入れば残高は425万円で、何も起きなかった月です。

この例で、3つの数字がわかります。いちばん少ない日は12月30日、不足は75万円、解消するのは1月4日です。不足は5日間だけで、原因ははっきりしています。この3つがわかれば、手の選び方は7章のとおり絞れます。

「あと何日もつか」は、平均で割らない

手元のお金が何日もつかを、「預金÷1日あたりの支払い」で出す方法があります。この会社なら、12月の支払い595万円を31日で割ると1日約19.2万円で、420万円は約22日分です。

しかし実際の支払いは、毎日少しずつではなく、10日・15日・25日・30日にまとまって出ていきます。平均で割った日数は、谷の位置も深さも教えてくれません。確かめるのは、次の式です。

今日の残高+使える枠 ≧ 次の確実な入金の日までに出ていく支払いの合計

12月16日の朝に当てはめると、残高は370万円です。次に確実に入るのは1月4日のB社の500万円で、それまでの支払いは給与180万円と30日の265万円、合わせて445万円です。370−445で75万円足りないことが、2週間前の時点でわかります。

谷を浅くする組み替えを、同じ表で試す

不足の日と額がわかったら、日付を1つ動かしたときの残高を、同じ表で出し直します。新しくお金を集める前に、組み替えだけで谷が埋まらないかを確かめるためです。

組み替え 12月30日の残高 その後
何もしない 75万円足りない 1月4日に425万円へ戻る
材料の仕入150万円を、1月5日払いにしてもらう 75万円残る 1月5日に払った後も425万円
B社に、500万円を12月28日までに払ってもらう 425万円残る 年末の谷が無くなる
当座貸越の枠を100万円作っておく 枠のうち75万円を使う 1月4日の入金で枠を戻す

どの組み替えも、相手に頼むのは「5日分の日付」だけです。11月のうちに表を作っていれば、どれも年末の前に相談できます。気づくのが12月30日の当日では、相談できる相手も時間も限られます。

自社で同じ計算をする手順

  1. 通帳の今日の残高と、当座貸越などの枠の空きを書く。
  2. 次の大きな入金の日までの支払いを、日付・相手・金額で全部書き出す。給与・税金・社会保険料・返済・引落しを漏らさない。
  3. 入金の予定は、日付が確かなものだけを入れる。期日が休業日なら、次の営業日に動かす。
  4. 日付の順に残高を出し、いちばん少ない日・不足額・解消する日の3つを決める。

月をまたいで3か月先まで並べると、繰り返し起きる不足かどうかも見えます。日ごとの表の作り方と書式は資金繰り表の作り方(月次と日次の違い)で説明しています。

05

資金ショートしたらどうなるか:払えなかった支払いごとの、その後の流れ

社長

もし払えなかったら、そのあと何が起きるの?

何が払えなかったかで違います。手形は不渡りから記録が残り、給与は決まった日に全額払う義務があります。国税は督促のあとに差押えに進みます。仕入や家賃などは、前もって相談すれば日をずらせる余地があります。

ハカセ

資金ショートした日に何が起きるかは、どの支払いが払えなかったかで大きく違います。法律や規則で日数が決まっているものもあります。重いものから順に見ます。

払えなかった支払い その後の流れ 決まっている日数など
手形 資金不足で不渡りになり、不渡報告で金融機関に知らされる。6か月以内に2回目を出すと取引停止処分 不渡報告は交換日から4営業日目。処分後2年間、当座預金と貸出の取引ができない
給与 決まった日に全額を払う義務に反する。従業員の生活に直結し、人が離れる 違反には30万円以下の罰金の定め
国税(法人税・消費税・源泉所得税など) 督促状が届き、それでも納めないと財産の差押えに進む 督促状は納期限から50日以内。発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないと差押え
社会保険料 期限を指定した督促状が届き、それでも納めないと国税の滞納処分の例で処分される 督促状の期限は、発する日から起算して10日以上後
借入の返済 延滞として記録され、遅延損害金がかかる。続くと残りを一括で返すよう求められることがある 契約(銀行取引約定書・金銭消費貸借契約)で決まる
仕入・外注・家賃 期日の翌日から遅れの扱いになり、遅延損害金を求められることがある。次から前払いや取引の停止を求められることもある 遅延損害金は約定が無ければ法定利率の年3%
口座振替(リース・カード・公共料金) 引落しができず、再振替や振込での支払いを求められる 各社の規約で決まる

表の上の2つは、期日を過ぎるとほとんど取り返しがつきません。下の段に行くほど、前もって相談すれば日をずらせる余地があります。

手形・でんさい:1回目から記録が残る

手形が資金不足で払えないと、支払う銀行は不渡りの情報を登録し、交換日から4営業日目に不渡報告に載ります。※1その後6か月以内に2回目を出すと取引停止処分になり、銀行は2年間、当座預金と貸出の取引ができません。※2

でんさいにも同じような決まりがあります。受け取った手形が落ちなかった側の対応と、不渡りの仕組みは手形の不渡りとはで説明しています。

給与:遅らせる相談の相手ではない

給与は、通貨で、直接、全額を、毎月1回以上、決まった日に払うと法律で決まっています。※3違反には30万円以下の罰金の定めがあります。※4資金ショートが見えたら、給与はほかの支払いを動かして守る支払いと考えます。

税金・社会保険料:督促から差押えまでの日数は短い

国税を納期限までに納めないと、税務署は納期限から50日以内に督促状を出します。※5督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないと、財産を差し押さえなければならないと決まっています。※6

差し押さえられるのは、預金や売掛金です。売掛金が差し押さえられると、取引先に税務署から通知が届き、取引先にも資金の事情が知られます。

国税を納期限に納められなかったときの流れ(法律で決まっている日数)
  1. 納期限この日までに納めれば、督促は来ない
  2. 督促状納期限から50日以内に届く
  3. 差押え督促状を発した日から10日を経過しても完納しないとき

納期限50日60日

社会保険料も、期限を指定した督促状が届き、期限までに納めないと国税の滞納処分の例で処分されます。督促状の期限は、発する日から起算して10日以上後です。※7どちらも、払えないとわかった時点で、納期限の前に相談すれば分割などの猶予を受けられることがあります。猶予の要件と延滞税・延滞金の割合は資金繰りが苦しい・支払いに間に合わないときの対処の順番にまとめています。

取引先への支払い:遅れの費用より、信用の方が高くつく

代金の支払いに期日があるときは、期日が来た時から遅れの責任を負います。※8遅延損害金は、約束した利率が無ければ法定利率で計算し、相手は損害を証明しなくても請求できます。※9法定利率は、2026年4月から2029年3月までは年3%です。※10

4章の75万円を5日遅らせたとしても、年3%なら遅延損害金は約308円です。お金の負担は小さくても、黙って遅らせれば次から前払いを求められたり、取引を減らされたりします。期日の前に、払える日を添えて相談するかどうかで、同じ5日の遅れの重さが変わります。

この章の根拠(10件)
  1. 電子交換所規則40条・41条
  2. 電子交換所規則39条2項・42条
  3. 労働基準法24条
  4. 労働基準法120条
  5. 国税通則法37条1項・2項
  6. 国税通則法40条・国税徴収法47条1項
  7. 健康保険法180条・厚生年金保険法86条
  8. 民法412条1項
  9. 民法419条1項・2項
  10. 民法404条・法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」
06

資金ショートの前兆:数週間前に通帳と予定に出る8つのサイン

社長

ショートが近いって、どうやって気づけばいい?

通帳と予定に出ます。支払いの前日に入金を何度も確かめる、引落しの前に口座間でお金を移す、などです。1つでも当てはまれば、次の確実な入金の日までの残高を出しましょう。

ハカセ

資金ショートの前兆は、決算書ではなく、日々のお金の動かし方に出ます。ここで挙げるのは、ショートの数週間から数日前に出やすいサインです。経営の数字に出る長い目のサインは、黒字倒産の前兆の章で扱っています。

資金ショートが近いときに出る8つのサイン
  • 支払いの前日に、入金が来たかを何度も確かめる入金を待たないと払えない支払いが、月に何回あるか
  • 引落しの前に、別の口座からお金を移している移した回数と額を、通帳で数える
  • どの支払いを先にするか、毎回選んでいる払う順番を「残高を見てから」決めていないか
  • 入金予定の取引先に、入金日を問い合わせた予定日に入らなかった入金が、直近3か月にあったか
  • 当座貸越の空きが、次の大きな支払いより小さい枠の残りと、次の給与日・月末の支払いを比べる
  • 社長個人の口座やカードで、会社の支払いをした会社への貸付けとして記録しているか
  • 税金・社会保険料を、納期限の後に納めた督促状が届いていないか
  • 2週間先までの支払いの合計を、すぐに言えない予定表が頭の中だけになっていないか

どれも、谷の底が0に近づいたときに出る動きです。1つでも当てはまれば、4章の手順で次の確実な入金の日までの残高を出します。2つ以上が同じ月に重なるなら、谷がすでにマイナスに届いている月があると考えて動きます。

社長のお金で埋めるのは、前兆を隠す

社長が個人のお金を会社に入れると、通帳の上ではショートが起きていないように見えます。しかし不足そのものは消えておらず、次の月も同じ谷が来ます。入れたお金は役員からの借入として記録し、いつ返すかを決めておきます。手続きと決算書での見え方は役員借入金の注意点で説明しています。

前兆を見逃しやすい会社

  • 入金が月末の1回に集まる会社:月の途中の谷が深くなりやすく、月末の残高だけを見ていると気づきません。
  • 経理を外に任せている会社:試算表が届くのは翌月で、ショートの前兆が出る数週間前には間に合いません。通帳だけは社長が毎週見ます。
  • 年に数回の支払いがある会社:納税・賞与・保険料の月は、ほかの月と同じ感覚で見ると谷を見落とします。
07

起きそう・起きたときの対処の入口:気づいた時期で打てる手が変わる

社長

足りないとわかったら、まず何をすればいい?

ショートする日までの時間で決まります。1か月以上前なら借入の相談、2〜3週間前なら支払いと納税の相談です。数日前・当日なら、手形・でんさいと給与を先に守り、ほかは支払先へ連絡します。

ハカセ

資金ショートが見えたときに選べる手は、ショートする日までの時間で決まります。時間があるほど、費用がかからない手や安い手を選べます。ここでは時期ごとの入口だけを示します。手を打つ順番と、それぞれの手の詳しい中身は対処の順番の記事に任せます。

ショートする日まで、どのくらいあるか:時期ごとの入口
  1. 1か月以上前借入を相談する3か月の資金繰り表を持って、取引のある銀行・公的融資に相談する
  2. 2〜3週間前支払いと納税を相談する支払先に払える日を添えて相談し、税・社会保険料は納期限の前に猶予を相談する
  3. 数日前枠と入金の前倒し当座貸越の空きを確かめ、取引先に入金を早められないか頼む。足りない分だけ売掛金の売却を考える
  4. 当日守る支払いを決める手形・でんさいと給与を先に守り、ほかは午前中に支払先へ連絡する
  5. 過ぎた後連絡と記録払えなかった相手に払う日を伝え、督促状が来たらすぐ窓口に相談する

1か月以上前に気づいたとき

銀行や公的融資は、書類をそろえて審査を受けるため日数がかかります。逆に言えば、時間があるうちに相談すれば、年率の低いお金で谷を埋められます。4章の会社なら、11月中に年末の5日間の不足を見つけて、75万円を短期の借入でつなぐのがいちばん安い手です。保証付きの融資の流れは信用保証協会の仕組みで説明しています。

2〜3週間前に気づいたとき

4章の会社が12月16日に気づいたなら、30日の支払いのうち、どれを1月4日の後に回せるかを相談します。材料の仕入先に「12月31日の150万円は、1月5日にお支払いします。B社から1月4日に500万円の入金があります」と伝えて合意できれば、新しいお金を集めずに済みます。合意した日付と金額は、メールなどで残しておきます。

数日前・当日に気づいたとき

時間が無いときは、支払先への連絡と並行して、すぐ使えるお金を探します。当座貸越の空き、入金の前倒しの依頼、それでも足りない分だけの売掛金の売却が候補です。

図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、最短の入金時間を公表している178サービスでは、152サービスが最短1日以内としています。ただし扱う金額の下限を公表している97サービスのうち、25サービスは下限が50万円以上です。不足が小さいと、扱ってもらえない会社があります。日数は最短の目安で、書類がそろっていない日は間に合わないこともあります。

過ぎてしまったとき

払えなかった相手には、その日のうちに連絡し、いつ払えるかを伝えます。黙っている時間が長いほど、相手は回収の手続きに進みます。手形・でんさいの不渡りを出したとき、督促状が届いたときは、次の期日の前に、弁護士・税務署・年金事務所などの窓口へ相談します。

08

ファクタリングで埋めない方がよい場合と、ほかの方法

社長

急いでるなら、売掛金を売ればいいんじゃない?

短い谷ほど年率は高く見えます。手数料10%で5日早めると実質年率は約811%です。休業日のずれなら支払先への相談、税金なら猶予の相談を先に当たります。売るときも足りない額だけにとどめます。

ハカセ

ファクタリング(売掛金を期日の前に売って現金にすること)は、数日で用意できる代わりに、年率に直すと費用が高くなります。短い谷ほど、年率は高く見えます。

4章の会社が、1月4日に入る売掛金のうち100万円を、12月30日に手数料10%で売ったとします。手取りは90万円、手数料は10万円です。実質年率は「手数料額÷手取り額÷入金までの日数×365」で、手数料10%・5日なら約811%です。同じ5日を支払先に待ってもらえれば、遅延損害金を払うとしても約308円で済みます。

年率の出し方は手数料の計算と実質年率で、自社の条件は手取りと実質年率のシミュレーターで計算できます。

ほかの方法を先に当たる場面

場面 先に当たる方法 理由
ショートの原因が、休業日のずれなど数日だけ 支払先への相談、当座貸越 費用がかからないか、ごく小さい
足りないのが税金・社会保険料 納期限の前の猶予の相談 高い費用で集めたお金で納めるのは順番が逆
ショートする日まで1か月以上ある 銀行・公的融資の相談 年率が大きく違う
毎月どこかでショートしている 返済条件の変更、経営の立て直しの相談 売掛金の売却を続けると、手数料で利益が削られる
不足が、売れる売掛金より大きい 専門家への相談 売っても埋まらず、次の月の入金も減る

反対に、手形・でんさいの期日や給与日が数日後に迫り、確実な入金で数日後に戻る不足なら、費用を承知で売掛金を売る意味があります。そのときも、足りない額だけにとどめます。迷うときは資金調達診断で、急ぎの度合いと金額から候補を絞れます。

急いでいるときほど避けたい相手

金融庁は、ファクタリングを装った高い金利の貸付けを行う業者がいると注意を呼びかけています。※1売った側が買い戻す義務を負う、手数料が売掛金の額に比べて大幅、といった条件は貸付けとみなされるおそれがあります。焦って申し込む前に、契約の名前ではなく中身を確かめます。

この章の根拠(1件)
  1. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
09

資金ショートでよくある失敗と注意点

社長

資金ショートで、ありがちな失敗って何?

月末の残高だけを見る、入金を期日どおりに予定に入れる、黙って遅らせる、税金を払うために高いお金を集める、などです。払えないときは期日の前に、払える日とその根拠を添えて連絡します。

ハカセ

月末の残高だけを見る

月末の残高は、谷を越えた後の数字です。4章の会社も、1月4日の残高だけを見れば425万円あります。見る数字を「次の確実な入金の日までの、いちばん少ない残高」に変えるだけで、ショートの多くは前もって見つかります。

入金の予定を、期日どおりに入れる

取引先の支払いは、遅れることも、休業日でずれることもあります。予定表には、入金を遅めに、支払いを早めに書きます。過去に遅れたことのある取引先の入金は、予定日より後ろに置いておくと安全です。

黙って遅らせる

払えないことを伝えないまま期日を過ぎると、相手は「払う気が無い」と受け取ります。相談すれば待ってもらえた支払いで、信用を失います。連絡は期日の前に、払える日と、その根拠になる入金を添えてします。

税金を払うために、高いお金を集める

税金や社会保険料は、督促から差押えまでが短いため、慌てて手数料の高いお金で納めがちです。しかし納期限の前に相談すれば猶予を受けられることがあり、そのほうが費用はずっと小さく済みます。先に窓口へ相談します。

同じ谷を、毎月同じ方法で埋める

毎月決まった日にショートするなら、それは入金と支払いの日付の組み方の問題です。支払日を入金の後に動かす、取引先と入金の条件を話し合う、短期の借入の枠を作るなど、谷そのものを浅くする手を考えます。

一人で抱え込む

資金ショートは、外に知られたくない出来事です。しかし顧問の税理士、取引のある銀行、商工会議所などに、日ごとの予定表を見せて早めに話すほど、使える手が増えます。予定表が1枚あれば、相談の時間は短く済みます。

出典(13件)公的機関の資料・法令。2026.10.17に確認
  1. 破産法(e-Gov法令検索)第2条11項・第15条laws.e-gov.go.jp
  2. 銀行法(e-Gov法令検索)第15条laws.e-gov.go.jp
  3. 銀行法施行令(e-Gov法令検索)第5条laws.e-gov.go.jp
  4. 内閣府「国民の祝日について」(祝日の一覧 syukujitsu.csv)www8.cao.go.jp
  5. 電子交換所規則(全国銀行協会)第39条〜第42条www.zenginkyo.or.jp
  6. 労働基準法(e-Gov法令検索)第24条・第120条laws.e-gov.go.jp
  7. 国税通則法(e-Gov法令検索)第37条・第40条laws.e-gov.go.jp
  8. 国税徴収法(e-Gov法令検索)第47条laws.e-gov.go.jp
  9. 健康保険法(e-Gov法令検索)第180条laws.e-gov.go.jp
  10. 厚生年金保険法(e-Gov法令検索)第86条laws.e-gov.go.jp
  11. 民法(e-Gov法令検索)第404条・第412条・第419条laws.e-gov.go.jp
  12. 法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」www.moj.go.jp
  13. ファクタリングの利用に関する注意喚起(金融庁)www.fsa.go.jp

FAQ

よくある質問

資金ショートとはどういう意味ですか?

資金ショートとは、支払いの日に、預金と当座貸越などの使える枠を合わせても、その日の支払額に届かない状態のことです。赤字かどうかとは別の話で、黒字の会社でも、入金の日より支払いの日が先に来れば起きます。月末の残高ではなく、日ごとの残高のいちばん少ない日で決まります。

資金ショートしたら倒産しますか?

1回の資金ショートで、すぐ倒産するとは限りません。倒産に近づくかどうかは、払えなかったのが何の支払いかで決まります。手形は1回目の不渡りから記録が残り、6か月以内の2回目で取引停止処分になります。給与も遅らせられない支払いです。仕入代金などは、期日の前に相談すればずらせることがあります。

資金ショートと赤字・債務超過の違いは何ですか?

赤字は一定の期間の売上と費用、債務超過はある時点の財産と借金を見た言葉です。資金ショートは、ある1日に払うお金があるかを見た言葉です。赤字や債務超過でも期日に払えていればショートしていませんし、黒字で財産が多い会社でも、支払いの日に預金が足りなければショートします。

資金ショートしそうかどうかは、どう確かめればいいですか?

今日の残高と使える枠を足し、次の確実な入金の日までに出ていく支払いの合計と比べます。支払いを日付・相手・金額で書き出し、日付の順に残高を出すと、いちばん少ない日・不足額・解消する日の3つがわかります。預金を1日あたりの支払いの平均で割る方法では、谷の位置と深さはわかりません。

税金や社会保険料が払えないと、いつ差押えになりますか?

国税は、納期限から50日以内に督促状が届き、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないと、財産の差押えに進むと法律で決まっています。社会保険料も、督促状で指定された期限までに納めないと、国税の滞納処分の例で処分されます。払えないとわかったら、納期限の前に窓口で猶予を相談します。

資金ショートの前兆にはどんなものがありますか?

支払いの前日に入金を何度も確かめる、引落しの前に別の口座からお金を移す、どの支払いを先にするか毎回選んでいる、当座貸越の空きが次の大きな支払いより小さい、社長個人のお金で会社の支払いをした、といった動きです。1つでも当てはまれば、次の確実な入金の日までの残高を出して確かめます。

READ NEXT

あわせて読みたい

「資金繰り」の記事から すべて見る →

NEXT

あなたの条件で、使える会社を探す

業種・状況・入金の期限・金額の9つの質問に答えると、使える方法と会社を理由つきで返します。会員登録はいりません。

9つの質問で診断する →全社の一覧で比べる