資金繰り更新 2026.11.05
支払いサイトとは?意味・言い換えと一般的な日数、計算方法と業界別の目安
支払いサイトとは、締め日から代金を支払う日までの期間で、月末締め翌月末払いなら約30日、納品日から数えると最長約60日です。計算方法、入金サイトとの差で決まる運転資金、業界別の日数、短くしてもらう交渉を解説します。
初めての方へファクタリングを使う前に知る5つのこと・申込みから入金まで →
フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

この記事は、取引先から「うちの支払いサイトは60日です」と言われた方や、売上はあるのに入金が遅くてお金が回らないと感じている経営者・個人事業主に向けて書いています。支払いサイトの数え方がわかると、その条件が長いのか、毎月いくらを立て替えているのかを数字で確かめられます。
この記事を7枚で
1 / 7結論:支払いサイトは「締め日から支払日まで」。入金側との差が立て替えになる
支払いサイトって、そもそも何のこと?
取引の締め日から、代金を支払う日までの期間です。「月末締め翌月末払い」なら約30日。ただ、納品日から数えると最長で約60日かかります。入金側との差が、手元で立て替えるお金になります。
支払いサイトとは、取引の締め日から代金を支払う日までの期間です。「月末締め翌月末払い」なら約30日、「月末締め翌々月末払い」なら約60日と呼びます。
同じ取引を売る側から見ると、入金サイト(回収サイト)になります。自社が代金を受け取るまでの日数が、自社が支払うまでの日数より長いと、その差の分を手元のお金で立て替えることになります。
気をつけたいのは、締め日から数えた日数だけで判断しないことです。納品日から数えると、月末締め翌月末払いでも最長で約60日かかります。
この記事で扱うことは次のとおりです。
- 意味と、入金サイト・回収サイトとの違い
- 計算方法:締め日から数える日数と、納品日から数える日数(早見表)
- 入金サイトと支払いサイトの差で、運転資金がいくら要るか(計算例)
- 業界ごとの日数:財務省の法人企業統計から計算した値
- 自社のサイトが長すぎないかの確かめ方
- 入金サイトを短くしてもらう交渉のしかた
- 交渉で縮まらないときのほかの方法と、使わない方がよい場合
- よくある失敗と注意点
支払いサイトとは:意味と、入金サイト・回収サイトとの違い
入金サイトとは、何が違うの?
同じ期間を反対側から見た呼び方です。買う側にとっての支払うまでの期間が支払いサイト、売る側にとっての入金されるまでの期間が入金サイトです。回収サイトも入金サイトと同じ意味です。
「サイト」は、取引の代金が支払われるまでの期間を指す商取引の言葉です。法律で決められた用語ではないので、「支払サイト」「支払いサイト」と書き方は会社によって違いますが、意味は同じです。
締め日・支払日・サイトの関係
会社どうしの取引では、納品のたびに払うのではなく、1か月分などをまとめて請求し、決まった日に払う掛け取引が一般的です。このとき出てくる言葉は3つです。
| 言葉 | 意味 | 例:月末締め翌月末払い |
|---|---|---|
| 締め日 | 請求の対象をいったん区切る日 | 毎月の末日 |
| 支払日 | 締めた分の代金を払う日 | 翌月の末日 |
| サイト | 締め日から支払日までの期間 | 約30日 |
支払条件は「○日締め○日払い」の形で書かれます。支払日が「翌月」か「翌々月」かで、サイトはおよそ1か月変わります。
入金サイト・回収サイトとの違い
支払いサイトと入金サイトは、同じ期間を反対側から見た呼び方です。買う側にとっての「支払うまでの期間」が支払いサイト、売る側にとっての「入金されるまでの期間」が入金サイトです。回収サイトも、入金サイトと同じ意味で使われます。
| 呼び方 | 誰から見た期間か | 自社にとって長いと |
|---|---|---|
| 入金サイト(回収サイト) | 売る側:売上の代金を受け取るまで | 手元のお金が減る(立て替えが増える) |
| 支払いサイト | 買う側:仕入や外注の代金を払うまで | 手元にお金が残る(相手が立て替える) |
取引先が「うちの支払いサイトは60日」と言うとき、自社から見ればそれは入金サイト60日です。話す相手の立場で、同じ言葉の向きが変わる点に注意します。
多くの会社には、取引先からの入金を待つサイトと、仕入先や外注先に払うサイトの2つがあります。資金繰りで見るのは、この2つの差です。
支払条件はどこに書いてあるか
自社のサイトを確かめるときは、記憶ではなく書類で見ます。見る場所は、取引基本契約書、発注書(注文書)、取引先から届く「支払条件のお知らせ」、自社が出す請求書の控えです。
取適法の対象になる取引では、発注する側に、代金の支払期日などを書面か電磁的記録(メールなど)で示す義務があります。※1支払期日が書かれていない発注書が届いたら、その場で確かめておくと後のずれを防げます。
手形サイト
代金を約束手形で受け取るときは、手形を受け取ってから満期日(現金になる日)までを「手形サイト」と呼びます。支払日に手形を受け取っても、お金が使えるのはさらに先です。
2026年1月からは、取適法(中小受託取引適正化法)の対象になる取引で、手形での支払いが禁じられました。満期が支払期日より後になる電子記録債権(でんさい)などでの支払いも、原則として支払遅延にあたると公正取引委員会は説明しています。
この章の根拠(1件)
- 中小受託取引適正化法4条
支払いサイトの計算方法:締め日から数える日数と、納品日から数える日数
サイトの日数は、どうやって数えるの?
条件の呼び名は締め日からの日数です。資金繰りに効くのは、納品日からの平均です。同じ「サイト60日」でも、納品日から見ると最長で約90日になります。
支払いサイトは、締め日から支払日までの日数で数えます。ただし実務では「翌月末払いなら30日」のように、月単位でまとめて呼ぶのがふつうです。
計算で出す3つの日数
- 締め日からのサイト:締め日から支払日まで。条件の呼び名になる日数です。
- 納品日からの最長:締め日の翌日に納品した分が、支払日までにかかる日数。締め日からのサイトに約1か月を足します。
- 納品日からの平均:月の中で納品がならしてあると考えると、締め日からのサイトに約半月を足した日数です。
資金繰りに効くのは3の平均です。取引先が法律の決まりを守っているかを見るときは、受け取った日から数える2の最長を使います。
よくある支払条件の早見表
1か月を30日として出した目安です。実際の日数は月の長さ(28〜31日)で数日ずれます。
| 支払条件 | 締め日からのサイト | 納品日からの最長 | 納品日からの平均 |
|---|---|---|---|
| 15日締め当月末払い | 約15日 | 約45日 | 約30日 |
| 月末締め翌月10日払い | 約10日 | 約40日 | 約25日 |
| 月末締め翌月末払い | 約30日 | 約60日 | 約45日 |
| 20日締め翌月末払い | 約40日 | 約70日 | 約55日 |
| 月末締め翌々月10日払い | 約40日 | 約70日 | 約55日 |
| 月末締め翌々月末払い | 約60日 | 約90日 | 約75日 |
同じ「サイト60日」でも、納品日から見ると最長で約90日になります。条件を比べるときは、締め日からの日数ではなく納品日からの平均にそろえると、違いがはっきりします。
- 月末締め翌月10日払い約40日
- 月末締め翌月末払い約60日
- 20日締め翌月末払い約70日
- 月末締め翌々月末払い約90日
納品日30日60日90日
計算例:5月1日に納品した場合
「月末締め翌々月末払い」の取引で、5月1日に納品したとします。5月31日に締められ、支払日は7月31日です。締め日からは61日、納品日からは91日かかります。
同じ条件で5月31日に納品した分は、支払日まで61日です。同じ月の売上でも、納品した日によって入金までが1か月違います。
支払日が土日・祝日にあたるとき
支払日が金融機関の休日にあたるとき、前の営業日に払うか、次の営業日に払うかは契約で決めます。決めていないと、月によって入金日が数日ずれます。
資金繰り表には、早い方ではなく遅い方の日で書いておくと安全です。入金が予定より早ければ余裕になり、遅れて足りなくなることを防げます。
検収日や請求書の到着日が基準になっている取引
締めの基準が納品日ではなく、検収日(受け取った側が中身を確かめて合格とした日)や、請求書が届いた日になっている取引もあります。検収に1週間かかったり、請求書が締め日に間に合わなかったりすると、その分は翌月の締めに回ります。
この場合、入金は丸1か月遅れます。条件表の「サイト」が短くても、実際の入金日を通帳で確かめると長くなっていることがあります。
自社の平均の入金サイトを出す
取引先が多いと、1社ずつの条件からは全体が見えません。そこで、毎月の請求額で重みをつけた平均を出します。請求額の大きい取引先ほど、資金繰りへの影響が大きいからです。
| 取引先 | 毎月の請求額 | 支払条件 | 納品日からの平均 |
|---|---|---|---|
| A社 | 150万円 | 月末締め翌々月末払い | 約75日 |
| B社 | 100万円 | 月末締め翌月末払い | 約45日 |
| C社 | 50万円 | 15日締め当月末払い | 約30日 |
計算は(150万円×75日+100万円×45日+50万円×30日)÷300万円で、約58日です。3社の日数をそのまま平均すると50日になり、実際より短く見えてしまいます。
決算書から大まかに出す方法もあります。期末の売掛金の残高を、1か月の売上で割って30を掛けます。売掛金が600万円、月商が300万円なら、600÷300×30で約60日です。
入金サイトと支払いサイトの差が、運転資金を決める(計算例)
サイトの長さで、何がそんなに変わるの?
月商300万円の例では、売掛金750万円と買掛金270万円の差、約480万円を常に立て替えています。入金サイトを30日短くすると、300万円が手元に残ります。
運転資金とは、事業を回すために手元に置いておく必要があるお金です。サイトの面から見ると、売上の代金を受け取るまでの間に、先に仕入や外注の代金を払う「立て替え」の額にあたります。
月商300万円の会社の計算例
次の条件の会社で、立て替えている金額を出してみます。
- 売上:毎月300万円。入金は月末締め翌々月末払いで、納品日からの平均は約2.5か月。
- 仕入・外注:毎月180万円(売上の60%)。支払いは月末締め翌月末払いで、平均は約1.5か月。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| まだ入金されていない売掛金 | 300万円×2.5か月 | 750万円 |
| まだ払っていない買掛金 | 180万円×1.5か月 | 270万円 |
| 差:立て替えている額 | 750万円−270万円 | 480万円 |
この会社は、利益が出ていても、常に約480万円を手元のお金で立て替えています。給与や家賃は毎月出ていくので、実際に必要な額はさらに大きくなります。
サイトを30日変えると、いくら手元に残るか
| 変えること | 手元に残るお金 |
|---|---|
| 入金サイトを30日短くする(翌々月末→翌月末) | 300万円(売上1か月分) |
| 支払いサイトを30日延ばす(翌月末→翌々月末) | 180万円(仕入1か月分) |
同じ30日でも、入金側を縮める方が多く残ります。売上の方が仕入より大きいからです。支払いを延ばすことは相手の資金繰りを苦しくすることでもあるので、まず入金側から考えます。
売上が伸びると、お金が足りなくなる
この会社で月商が50万円増えると、売掛金は50万円×2.5か月で125万円増えます。一方、仕入は30万円増えるだけなので、買掛金は30万円×1.5か月で45万円しか増えません。
差し引きで、立て替えは80万円増えます。利益が出ているのに預金が減る「黒字なのに苦しい」状態の原因のひとつが、このサイトの差です。大きな受注を受ける前には、サイトの差からいくら必要になるかを先に出しておきます。
新しい取引先との最初の3か月がいちばん苦しい
同じ考え方で、新しい取引先との仕事が始まった直後を見てみます。4月から毎月300万円の仕事を受け、入金は月末締め翌々月末払い、外注への支払いは月末締め翌月末払いで毎月180万円とします。
| 月末 | 入金 | 外注への支払い | この取引の累計 |
|---|---|---|---|
| 4月末 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 5月末 | 0円 | 180万円(4月分) | −180万円 |
| 6月末 | 300万円(4月分) | 180万円(5月分) | −60万円 |
| 7月末 | 300万円(5月分) | 180万円(6月分) | +60万円 |
外注費だけで見ても、最初の2か月は手元のお金から出ていきます。給与など自社の経費を足すと、累計がプラスに戻るのはさらに後です。新しい取引を始めるときは、最初の入金日までにいくら出ていくかを先に数えておきます。
業界の平均:財務省の法人企業統計で見る、入金と支払いの日数
うちのサイトは、ほかと比べて長いの?
財務省の法人企業統計から計算すると、中小企業の全産業は入金側46日・支払い側47日でした。製造業は入金側60日と長め、小売業は28日と短めです。
支払いサイトの業界平均を、そのまま集計した公的な統計はありません。そこで、財務省の法人企業統計(令和4年度の年報)の決算の数字から、入金側と支払い側の日数を業種ごとに計算しました。
計算のしかたは、入金側が「(受取手形+売掛金)÷売上高×365」、支払い側が「(支払手形+買掛金)÷売上原価×365」です。中小企業は資本金1億円未満の会社の合計で、どちらも期末の残高から出しています。
| 業種 | 中小企業の入金側 | 中小企業の支払い側 | 差(入金側−支払い側) | 全規模の入金側 | 全規模の支払い側 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全産業 | 46日 | 47日 | -1日 | 59日 | 55日 |
| 製造業 | 60日 | 51日 | +9日 | 72日 | 62日 |
| 卸売業 | 59日 | 52日 | +7日 | 66日 | 65日 |
| 情報通信業 | 56日 | 56日 | +0日 | 70日 | 51日 |
| 運輸業、郵便業 | 55日 | 44日 | +11日 | 52日 | 45日 |
| 広告業 | 52日 | 61日 | -9日 | 68日 | 75日 |
| 建設業 | 45日 | 46日 | -1日 | 68日 | 59日 |
| 職業紹介・労働者派遣業 | 42日 | 20日 | +22日 | 45日 | 17日 |
| 小売業 | 28日 | 37日 | -9日 | 27日 | 41日 |
| 飲食サービス業 | 14日 | 34日 | -20日 | 15日 | 35日 |
表から読み取れることは次のとおりです。
- 中小企業の全産業では、入金側46日・支払い側47日でした。早見表でいう「月末締め翌月末払い」の納品日からの平均(約45日)に近い水準です。
- 製造業(60日)・卸売業(59日)・情報通信業(56日)・運輸業(55日)は、入金側が長めです。
- 小売業と飲食サービス業は、現金やカードで売る分が多く、入金側が支払い側より短い業種です。
- 規模を問わない全体では、入金側が59日と、中小企業より13日長くなっています。
入金側(受取手形+売掛金÷売上高)支払い側(支払手形+買掛金÷売上原価)
この数字を読むときの注意
- 期末の残高で計算しているため、決算月の売上の多い少ないで値が動きます。
- 支払い側は売上原価で割っています。原価には人件費なども入るので、外注の支払いサイトそのものより短めに出ます。
- 人材派遣などで支払い側が20日と短いのは、原価の大半がスタッフの給与で、買掛金にならないためと考えられます。給与は毎月払うので、実際の立て替えは表の差(22日)より大きくなります。
- 1社ごとの条件ではなく業種全体の平均です。自社の条件が長いかどうかの目安として使います。
自社の数字を業種の平均と比べる
前の章で出した自社の平均の入金サイトを、表の中小企業の入金側と比べます。たとえば製造業で、自社の平均が約75日なら、業種の平均の60日より15日長いことになります。
月商300万円なら、15日分は300万円×15÷30で150万円です。業種の平均並みの条件なら、手元にあと150万円残っていた計算になり、これが交渉で取り戻せる額の目安になります。
業種ごとに使えるサービスや、その業種ならではの入金の事情は、建設業のファクタリングや人材派遣業のファクタリングなどの業種別のページにまとめています。
自社のサイトは長すぎないか:確かめる順番
長すぎるかどうかは、どう確かめればいい?
まず、取適法やフリーランスの決まりがある取引かを見ます。対象なら受け取った日から60日以内です。次に納品日から60日を超えていないか、業界の平均より長くないかを確かめます。
取引先の条件が長いと感じたら、次の順に確かめます。上から順に、交渉の材料として強いものです。
- 法律の決まりがある取引か:取適法の対象になる取引や、フリーランスとして受けた仕事は、代金の支払期日を受け取った日から60日以内に定める決まりがあります。対象になる取引の条件と2つの法律の比較は、請求書の買取と60日ルールの章にまとめています。
- 納品日から数えて60日を超えていないか:締め日からの日数ではなく、早見表の「納品日からの最長」で見ます。月末締め翌々月末払いは、最長で約90日です。
- 法律の対象外の取引でも、60日を目安にする:公正取引委員会は2025年11月、取適法の対象外の取引も含めて、支払サイトを受領日から60日以内に短くし、できる限り現金で払うよう事業者団体に要請しています。
- 業界の平均より長くないか:上の表の、自社の業種の中小企業の入金側の日数と比べます。
- 支払手段で延びていないか:手形やでんさいで受け取っていると、現金になるまでがさらに延びます。満期日までを足した日数で比べます。
1か2にあたる場合は、交渉の前に公正取引委員会や中小企業庁の相談窓口に相談することもできます。相手の会社名を出さずに、決まりに反しているかを聞くこともできます。
入金サイトを短くしてもらう交渉のしかた
取引先に「早く払って」なんて言いにくいよ……。
相手が払う総額は変わらないので、値上げより受け入れてもらいやすいことがあります。月2回締めなど相手の負担が軽い形から提案し、まずは請求書を締め日に間に合わせるなど自社でできることから始めます。
入金サイトの交渉は、値上げの交渉より受け入れてもらいやすいことがあります。相手が払う総額は変わらず、変わるのはお金が出ていく時期だけだからです。
交渉の前に用意する3つの数字
- 取引先ごとの今の条件(締め日・支払日・支払手段)と、納品日からの平均日数。
- その取引先が自社の売上に占める割合と、毎月の請求額。
- 縮めたい日数と、それで手元に残る額(毎月の請求額×縮める月数)。
3の額が大きいほど、交渉に使う時間の価値は高くなります。複数の取引先があるなら、請求額が大きくサイトが長い取引先から当たります。
交渉しなくても縮められること
入金が遅れる原因が、自社の側にあることも少なくありません。次のことは、取引先に頼まなくても今月から変えられます。
- 請求書を締め日に間に合わせる:締め日を過ぎると翌月の締めに回り、入金が1か月遅れます。月末締めなら、月末の前に出せるよう作業の順番を組みます。
- 差し戻しをなくす:宛名、発注番号、金額の内訳、振込先に不備があると、直している間に締めを過ぎます。取引先ごとの書き方の決まりを一覧にしておきます。
- 検収に必要な書類を納品と一緒に出す:検収日が基準の取引では、納品書や作業報告書がそろうまで検収が止まります。
- 電子で請求できるか聞く:郵送の数日がなくなり、締め日に間に合いやすくなります。
頼み方の選択肢
相手の負担が軽いものから並べました。いきなり「支払日を1か月早めてほしい」と頼むより、軽い形から提案すると話が進みやすくなります。
| 頼み方 | 相手の負担 | 早まる日数 |
|---|---|---|
| 締め日を月2回にする(15日と月末) | 支払いの事務が月2回になる | 平均で約半月 |
| 支払日を早める(翌々月末→翌月末) | お金が出る時期が1か月早まる | 約1か月 |
| 手形・でんさいを振込に変える | 手形を発行する手間が減る | 満期日までの日数 |
| 着手金・中間金をもらう(期間の長い案件) | 代金の一部を先に払う | 案件の途中で一部が入る |
| 早く払ってもらう代わりに少し割り引く | 割引の分、相手が得をする | 割り引く条件しだい |
締め日を月2回にする形は、相手の支払総額も支払日の決め方も大きく変わらないので、提案しやすい形です。割り引く形は、次の章で見るとおり、割引の率を年率に直してから判断します。
伝え方の例
口頭で済ませず、メールや書面で次のように伝えます。
現在、御社のお支払いは月末締め翌々月末払いでいただいております。来期の契約更新にあわせて、月末締め翌月末払いへの変更をご検討いただけないでしょうか。請求書は締め日の翌営業日に電子でお送りし、ご確認の手間が増えないようにいたします。
ポイントは3つあります。お願いの理由を「相手の手間が増えない」形で添えること、契約更新や単価の見直し、新しい案件の見積もりなど条件を話す場で切り出すこと、決まったら発注書や契約書に新しい締め日と支払日を書いてもらうことです。
取引先が法律の対象になるとき
取適法の対象になる取引で、支払期日が受け取った日から60日を超えているなら、お願いではなく法律の決まりの話になります。期日を過ぎた代金には遅延利息の定めもあります。
相手が決まりを知らないだけのこともあります。公正取引委員会の資料を添えて、まず条件の見直しを求めます。
- 1時間今の条件を数字にする取引先ごとの締め日・支払日・支払手段と、納品日からの平均日数を一覧にする
- 30分縮めたら残る額を出す毎月の請求額×縮める月数。300万円の取引先で1か月なら300万円
- 時期を選ぶ契約更新や見積もりのときに頼む相手の手間が増えない形(月2回締め、電子の請求書)を添えて頼む
- 決まったら書面に残す発注書・契約書・取引条件の通知に、新しい締め日と支払日を書いてもらう
断られたときの次の手
一度で条件が変わらなくても、交渉は終わりではありません。次のように、範囲を狭めたり形を変えたりして頼み直します。
- 新しい案件だけ変えてもらう:今の契約はそのままにして、次に受ける案件から新しい条件にしてもらいます。
- 期間の長い案件を分けて請求する:納品が数か月先になる案件は、工程ごとに分けて検収と請求をしてもらいます。
- 早期支払いの制度がないか聞く:取引先によっては、申し出れば早く払う仕組みを持っています。費用は次の章のとおり年率で確かめます。
- 次の契約更新の時期を確かめておく:断られた理由を聞き、その事情が変わる時期にもう一度相談します。
自社の支払いサイトを延ばしてもらう交渉
仕入先や外注先に支払いを待ってもらう交渉は、相手の資金繰りを苦しくします。相手が中小企業やフリーランスなら、60日の決まりにあたることもあります。いま支払いに間に合わないときの頼み方は、資金繰りが苦しいときの対処の順番の「支払先との交渉」の章で扱っています。
交渉で縮まらないとき:ほかの方法と、使わない方がよい場合
交渉してもダメだったら、どうすればいい?
早く受け取る方法を年率に直して比べます。1%割引で30日早くなら約12.3%、手数料5%で60日なら約32.0%です。毎月続く差なら、融資や当座貸越の枠としてまとめて用意します。
サイトが変えられないときは、入金を待つ間のお金を別の方法で埋めます。費用と早さが違うので、足りない期間の長さで選びます。
| 方法 | 費用のかかり方 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 取引先の早期支払いの制度 | 受け取る額から割り引かれる | 取引先に制度がある |
| 銀行・信用金庫の短期の融資、当座貸越 | 借りた期間の利息 | 毎月同じ時期に足りなくなるとわかっている |
| でんさい・手形の割引 | 満期までの割引料 | でんさいや手形で受け取っている |
| ファクタリング(売掛金の売却) | 買い取りの手数料 | 数日から数週間のうちに要る |
融資とファクタリングの違いは、ファクタリングと融資の違いで詳しく比べています。
融資で埋めるときは、サイトの差で必要額を説明する
サイトの差で毎月お金が寝ているなら、それは事業を続ける限りずっと要るお金です。毎回その場でつなぐより、運転資金の融資や当座貸越の枠として、まとめて用意する方が費用を抑えられます。
金融機関に相談するときは、計算例のように「売掛金の残高−買掛金の残高」で必要額を示します。売上が増える予定があれば、増える立て替えの額も添えます。必要額の根拠が数字で示せると、話が具体的になります。
年率に直して比べる
割り引いて早く受け取る方法は、年率に直すと費用の重さが比べられます。式は「割り引かれる額÷手取り額÷早まる日数×365」です。
- 早期支払いで1%割り引き、30日早く受け取る:1÷99÷30×365で、年率約12.3%。
- ファクタリングで手数料5%・60日早く受け取る:5÷95÷60×365で、年率約32.0%。
1%の割引は小さく見えますが、年率では銀行の融資の金利より高くなることが多い水準です。手数料の計算と年率の早見表は手数料の計算と実質年率に、手取り額は手取りと実質年率のシミュレーターで確かめられます。
ファクタリングを使わない方がよい場合
- サイトの差が毎月続く場合:毎月300万円の売掛金を手数料5%で売ると、手数料は月15万円、年180万円です。サイトの差は毎月続くので、使い続けると利益が削られます。総額の比べ方はメリット・デメリットで扱っています。
- 必要な日まで1か月以上ある場合:サイトの交渉や融資の申込みが間に合います。費用の安い方法から当たります。
- 取引先が60日の決まりを守っていない場合:売掛金を売って埋める前に、まず条件の見直しを求めます。
ファクタリングそのものの仕組みは、ファクタリングとはで説明しています。
よくある失敗と注意点
やってしまいがちな失敗って何?
締め日からの日数だけで「30日」と思い込む、請求書が遅れて翌月の締めに回る、サイトを見ずに大きな受注を受ける、などです。手形やでんさいは満期日までの日数で比べます。
1. 締め日からの日数だけで「30日」と思い込む
月末締め翌月末払いは、月初に納品した分は入金まで約60日かかります。資金繰り表には、納品日からの日数で入金の月を書きます。
2. 請求書が遅れて、翌月の締めに回る
締め日に請求書が届いていないと、1か月分まるごと入金が遅れる取引があります。「締め日必着」か「締め日までの納品分」かを、取引先ごとに確かめます。
3. 検収に時間がかかる取引を見落とす
検収日が締めの基準なら、納品から検収までの日数がサイトに足されます。月末近くの納品は、検収が翌月にずれやすい点に注意します。
4. サイトを見ずに大きな受注を受ける
月商300万円の例では、売上が50万円増えるだけで立て替えが80万円増えました。大きな受注の前に、入金の月と、それまでに出ていくお金を並べておきます。
5. 割引と引き換えに、高い費用でサイトを縮める
早く払ってもらう代わりに割り引く場合、1%でも30日なら年率約12.3%です。割り引く率を年率に直し、融資の金利と比べてから決めます。
6. 自社の支払いを一方的に延ばす
自社が発注する側で、相手が取適法やフリーランス法の対象なら、60日を超える支払期日は決まりに反するおそれがあります。延ばしてもらうときは相手に事情を話し、合意したうえで書面に残します。
7. 手形やでんさいの満期を足し忘れる
支払日に手形やでんさいで受け取ると、現金になるのは満期日です。サイトを比べるときは、満期日までの日数で比べます。
請求書の日付と支払期限の欄の書き方は、請求書の支払期限の決め方と書き方で文例つきで説明しています。
出典(5件)公的機関の資料・法令。2026.11.05に確認
- 財政金融統計月報第859号<法人企業統計年報特集>(令和4年度)業種別,規模別資産・負債・純資産及び損益表(財務省 財務総合政策研究所)www.mof.go.jp
- 法人企業統計による財務営業比率の計算(財務省 財務総合政策研究所)www.mof.go.jp
- 委託事業者の義務(公正取引委員会)www.jftc.go.jp
- サプライチェーン全体での支払の適正化に関する事業者団体等への要請について(公正取引委員会 令和7年11月11日)www.jftc.go.jp
- 2024年公正取引委員会フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)www.jftc.go.jp
FAQ
よくある質問
支払いサイトとは何ですか?
支払いサイトとは、取引の締め日から代金を支払う日までの期間のことです。「月末締め翌月末払い」なら約30日、「月末締め翌々月末払い」なら約60日と呼びます。同じ期間を売る側から見ると入金サイト(回収サイト)になり、自社の入金サイトが支払いサイトより長いと、その差の分を手元のお金で立て替えることになります。
月末締め翌月末払いの支払いサイトは何日ですか?
締め日から数えると約30日です。ただし納品日から数えると、月初に納品した分は入金まで最長約60日、月の中でならすと平均約45日かかります。資金繰りを考えるときは平均の約45日を、取引先が60日の決まりを守っているかを見るときは最長の約60日を使います。
入金サイトと支払いサイトの違いは何ですか?
同じ期間を反対側から見た呼び方です。売る側にとって代金を受け取るまでの期間が入金サイト、買う側にとって代金を払うまでの期間が支払いサイトです。取引先が「支払いサイト60日」と言えば、自社から見れば入金サイト60日です。資金繰りで見るのは、自社の入金サイトと支払いサイトの差です。
支払いサイト60日は長いですか?
締め日から60日(月末締め翌々月末払い)なら、納品日から数えて最長約90日になり、長い部類です。取適法やフリーランス法の対象の取引は、受け取った日から60日以内に支払期日を定める決まりがあります。対象外の取引でも、公正取引委員会は受領日から60日以内に短くするよう事業者団体に要請しています。
支払いサイトの業界平均はどれくらいですか?
そのまま集計した公的な統計はありません。財務省の法人企業統計(令和4年度)から計算すると、資本金1億円未満の中小企業の全産業で、入金側46日・支払い側47日でした。製造業は入金側60日、卸売業59日と長めで、小売業28日、飲食サービス業14日は短めです。期末の残高から出した目安です。
入金サイトを短くしてもらうにはどうすればいいですか?
取引先ごとの条件と、縮めたら手元に残る額を数字にしてから、契約更新や見積もりの機会に頼みます。締め日を月2回にする、手形を振込に変えるなど、相手の負担が軽い形から提案すると進みやすくなります。決まったら発注書や契約書に新しい締め日と支払日を書いてもらいます。
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