法律更新 2026.10.16
給与ファクタリングが違法とされる理由と、使ってしまったときの対処
給与ファクタリングは「給料を売るだけ」とうたいますが、給料は本人に直接払う決まりがあるため、業者は結局利用者本人から回収するしかなく、最高裁判所は2023年の決定で「貸付け」に当たると判断しました。手数料は年率に直すと数百〜千数百%で、法律の上限を大きく超えます。これから使う方は申し込まず公的な方法を先に、もう使った方は記録を残して警察・弁護士・司法書士などに相談してください。
- 22分読み終わるまで
- 9章見出し
- 26件公的な出典
フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.15

この記事は、次のどちらかに当てはまる会社員・アルバイトの方に向けて書いています。
- 給料日まで数日〜数週間、どうしてもお金が足りず、「給与ファクタリング」という言葉を見つけて調べている。
- すでに使ってしまい、次の給料日に払えそうにない。業者からの電話や、勤務先・家族に知られることが怖い。
先に要点を書きます。給与ファクタリングは「給料を売るだけで借金ではない」と宣伝されますが、国は貸金業(お金を貸す商売)に当たるとしており、最高裁判所もそう判断しています。手数料を年率に直すと数百〜千数百%になり、法律の上限を大きく超えます。これから使おうとしている方は申し込まず、下の「代わりの方法」を先に当たってください。もう使ってしまった方は、一人で払い続けたり、別のところから借りて返したりする前に、記録を残して相談してください。
給与ファクタリングとは:「給料を売る」形をとった、実質はお金の貸し借り
給与ファクタリング(給料ファクタリングとも呼ばれます)は、会社員などが勤務先からこれから受け取る給料(給料を受け取る権利=賃金債権)を業者に売り、給料日より前にお金を受け取るとうたう取引です。国民生活センターは、お金の流れを次のように説明しています。
- 利用者が、給料を受け取る権利を業者に売る。
- 業者が、手数料を引いた金額を利用者に渡す。
- 給料日に、勤務先から利用者に給料がいつもどおり振り込まれる。
- 利用者が、手数料を含めた金額を業者に払う。
見てのとおり、お金を最後に業者へ払うのは利用者本人です。「先にお金を受け取り、給料日に多めに返す」という点で、借金と変わりません。国民生活センターは、業者が「債権の買い取りなので金銭の貸し付けではない」とうたっていても、実態は貸金業であり借金と同じだと注意を呼びかけています。広告では「借金ではない」「ブラックOK」「借金せず現金化」といった言葉が使われていたと、相談事例に書かれています。
金融庁も、業として、個人が勤務先に対して持つ給料の権利を買い取ってお金を渡し、その個人を通じて回収することは貸金業に当たると明言し、「給与ファクタリングは利用しないでください」と呼びかけています。貸金業を営むには財務局か都道府県の登録が必要で、登録のない業者はいわゆるヤミ金融です。
事業者向けのファクタリングとは別物
「ファクタリング」は本来、会社や個人事業主が取引先からまだ受け取っていない代金(売掛金)を期日前に売る取引で、金融庁は法的には債権の売買だと説明しています。ファクタリング図鑑が公式サイトの記載を調べた86サービスでも、対象を法人か個人事業主と書いているのが74サービスで、給与・給料・賃金を買い取るという記載は1件もありませんでした。事業者向けのファクタリングが合法かどうか、どこから貸付けとされるかはファクタリングは違法かで説明しています。
なぜ違法とされるのか:2023年2月20日の最高裁判所の決定
給与ファクタリングが貸金業に当たるという考え方は、まず金融庁が2020年3月に文書で示しました。金融庁は、給料は本人に直接払う決まりがあるので、給料を買い取った業者は「いかなる場合であっても」勤務先に支払いを求めることができず、常に労働者本人に支払いを求めることになる、だから経済的には貸付けと同じ働きをする、と説明しています。※1
この考え方を最高裁判所が刑事事件で認めたのが、2023年(令和5年)2月20日の決定です。※2裁判所の公開している決定文で、次の内容を確かめました。
どんな事件だったか
- 東京都内に事務所を置き、「給料ファクタリング」と称する取引をしていた業者が、都知事の登録を受けずに、2020年3月13日から7月27日までの間に969回、合計504名の顧客に、名目で合計2,790万9,500円を振り込んだ(実際に渡した額は合計2,734万2,120円)。
- 取引は、顧客の給料の権利の一部を、額面から4割程度割り引いた額で買い取るというものだった。
- 契約書では、勤務先が給料を払わない危険は業者が負うとされていた。一方で、顧客は希望すれば「買戻し日」に額面で買い戻せること、顧客が希望すれば勤務先への通知を買戻し日まで出さずにおくことも決められていた。
- 実際には、すべての顧客との間で買戻し日が決められ、勤務先への通知は出されていなかった。
- このうち8名からは、法律の上限(1日あたり0.3%)で計算した利息11万8,074円を101万7,816円上回る、合計113万5,890円の利息を受け取っていた。
単純に割ると、1回あたり平均で約2万9,000円、1人あたり平均で約1.9回です。少額を、短い期間に何度も使う人が多かったことがうかがえます。
「売買」なのに「貸付け」とされた筋道
業者側は「これは債権の売買だから貸付けではない」と主張しましたが、最高裁は次の順に考えて退けました。裁判官全員一致の判断です。
- 給料は本人に直接払う決まりがある:給料を受け取る前に権利を他人に譲っても、勤務先はなお本人に直接払わなければならず、権利を買った業者は勤務先に支払いを求めることができない。※3※4
- だから業者は利用者から回収するしかない:業者は実際には、顧客に買い戻させるなどして回収するほかなかった。
- 利用者も買い戻すしかない:顧客は勤務先に知られないよう通知を出さないことを望んでおり、通知を避けるため、事実上、自分で買い戻さざるを得なかった。
- 結論:形の上では売買の代金で、勤務先の不払いの危険を業者が負うと書いてあっても、実質は業者と利用者の二者の間の「返す約束があるお金の受け渡し」と同じ働きをする。だから貸金業法と出資法でいう「貸付け」に当たる。※5※6
大事なのは、契約書の言葉ではなく、実際に誰がどうやってお金を返すのかで判断された点です。「売買契約書」「債権譲渡契約書」という題名でも、給料日に自分が払う仕組みなら同じ問題を抱えています。
違法とされると、業者には何がかかるか
貸付けに当たる以上、登録なしに営めば刑事罰の対象です。※7※8業として年20%を超える利息を約束したり受け取ったりすることも、年109.5%(1日0.3%)を超えればさらに重い刑の対象になります。※9※6罰せられるのは貸した側で、お金を受け取った利用者を罰する決まりはこれらの法律にはありません。詳しくはファクタリングは違法かの「使った側は罪に問われるか」で説明しています。
この章の根拠(9件)
- 金融庁 一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)令和2年3月5日
- 最高裁判所第三小法廷 令和5年2月20日決定(令和4年(あ)第288号)
- 労働基準法24条1項
- 最高裁昭和43年3月12日判決
- 貸金業法2条1項
- 出資法5条3項
- 貸金業法11条1項
- 貸金業法47条
- 出資法5条2項
使うと実際にいくら払うことになるか:年率に直すと数百〜千数百%
業者は「金利ではなく手数料」と言いますが、国民生活センターは、実態は利息と同じだとしています。負担の重さを比べるには、手数料を年率に直します。式は次のとおりです。
実質年率 = 手数料の額 ÷ 手取りの額 ÷ 給料日までの日数 × 365
最高裁の事件と同じく額面から4割引かれ、給料日の14日前に売った場合、年率は約1,738%になります。検算すると、額面5万円なら手取り3万円・手数料2万円で、2万円÷3万円=0.667、÷14日=0.0476、×365=17.38。年率に直して約1,738%です。
国民生活センターが公表した相談事例も、同じ式で計算しました。事例には給料日までの日数が書かれていないため、ここでは30日と仮定しています。日数が短いほど年率はさらに高くなります。
| 例 | 受け取った額 | 給料日に払う額 | 手数料 | 実質年率 |
|---|---|---|---|---|
| 最高裁の事件の型(4割引き・14日) | 3万円 | 5万円 | 2万円 | 約1,738% |
| 相談事例1(子どもの治療費) | 7万円 | 12万円 | 5万円 | 約869% |
| 相談事例3(失業後の生活費) | 3万円 | 5万円 | 2万円 | 約811% |
| 相談事例4 | 3万7,000円 | 5万7,000円 | 2万円 | 約658% |
| 相談事例2(毎月利用) | 4万2,000円 | 5万5,000円 | 1万3,000円 | 約377% |
| 相談事例6(手数料20%) | 4万円 | 5万円 | 1万円 | 約304% |
手数料20%・30日の例でも、1万円÷4万円÷30×365で約304%です。金融庁が「年率換算すると数百〜千数百%」と書いているのは、この幅のことです。
法律の上限と比べると
お金の貸し借りの利息には上限があります。10万円未満の元本なら年20%が上限で、それを超える部分は無効です。※1また、業として貸す人が年109.5%を超える利息を約束すると、その契約自体が無効になります。※2上の例を、この上限で計算した利息と並べます(1年=365日で計算)。
| 例 | 年20%で計算した利息 | 年109.5%で計算した利息 | 実際の手数料 |
|---|---|---|---|
| 3万円を14日(最高裁の事件の型) | 約230円 | 1,260円 | 2万円 |
| 4万円を30日(相談事例6) | 約658円 | 3,600円 | 1万円 |
検算:4万円×20%×30÷365=約658円、4万円×109.5%×30÷365=3,600円です。4万円を1か月使う対価として1万円を払うのは、契約そのものが無効になる線の約2.8倍、年20%の線の約15倍にあたります。最高裁の事件でも、8名から受け取った利息113万5,890円は、1日0.3%で計算した11万8,074円の約9.6倍でした。
繰り返すと、手取りの給料が毎月減り続ける
給与ファクタリングの怖さは、1回の高さよりも繰り返しにあります。相談事例2では、5万5,000円分を申し込んで4万2,000円を受け取り、毎月の給料日に5万5,000円を払う形で、毎月利用していました。1回の手数料1万3,000円を12か月続けると、1年で15万6,000円を手数料だけに払う計算です。しかも毎月の給料日には5万5,000円が先に出ていくので、手元に残る給料はいつも少なく、翌月もまた使う、という循環から抜けにくくなります。
金融庁も、手数料を払うと本来受け取る給料より少ない金額しか受け取れなくなるため、生活がかえって悪化し、破綻するおそれがあると注意しています。
この章の根拠(2件)
- 利息制限法1条
- 貸金業法42条1項
もう使ってしまったら:払う義務はどこまであるか
いちばん多い疑問が「業者に払わないといけないのか」です。先に正直に書くと、一律の答えはありません。払う義務がどこまで残るかは、契約の中身、手数料の高さ、業者の悪質さによって変わり、争いになれば最終的に裁判所が個別に判断します。ここでは、法律と最高裁の判断で確かめられる範囲だけを書きます。
- 上限を超える利息の部分は無効:給与ファクタリングが貸付けに当たるなら、利息制限法の上限を超える部分は無効です。※1
- 年109.5%を超える契約は、契約自体が無効:上の表のとおり、給与ファクタリングの手数料は多くがこの線を大きく超えます。金融庁も、年109.5%を超える利息の契約をした場合は契約自体が無効だと説明しています。※2
- 不法な目的で渡したお金は、返せと求められないことがある:不法な原因のために渡したものは、返還を求めることができないという決まりがあります。※3最高裁判所は、ヤミ金融業者が年利数百〜数千%という著しく高い利息の貸付けの形でお金を渡した事件で、業者は渡したお金を返せと求めることは許されず、借りた人が業者に損害賠償を求めるときに、借りたお金の分を差し引くことも許されないと判断しました。※4
ただし、この最高裁の判断は、組織的なヤミ金融の事件についてのものです。自分の給与ファクタリングにそのまま当てはまるか、元金にあたる部分も含めて払わなくてよいのかは、この記事では言い切れません。契約が無効になる範囲や払ったお金の扱いの考え方は、貸付けとされた契約はどうなるかにまとめています。
自分の判断で「全部止める」「全部払う」の前に
- 支払いを止めるかどうかは、専門家に相談してから決める:何も手を打たずに止めると、取り立てが激しくなったり、勤務先や家族に連絡されたりするおそれがあります。
- 弁護士・司法書士に頼むと、業者は本人に直接請求し続けられなくなる:弁護士や司法書士が依頼を受けたと書面で通知した後に、正当な理由なく本人に電話や訪問で支払いを求め続けることは、貸金業を営む者には禁じられています。※5無登録の業者も「貸金業を営む者」に含まれます。
- 別のところから借りて払わない:別の給与ファクタリングやカードローンで穴を埋めると、払う相手と手数料が増えるだけです。業者が「ほかで借りて返せ」と求めること自体が、貸金業を営む者には禁じられている言動です。※6
- 払ったお金を取り戻すには、交渉や裁判が必要:無効を主張しても、お金が自動的に戻るわけではありません。業者の所在が分からなくなっていることもあります。
この章の根拠(6件)
- 利息制限法1条
- 貸金業法42条1項
- 民法708条
- 最高裁平成20年6月10日判決
- 貸金業法21条1項9号
- 貸金業法21条1項6号
取り立てが怖いとき・勤務先に連絡すると言われたとき
国民生活センターの相談事例には、期日の前日に「何時に振り込むか」を聞かれた直後に勤務先と自宅へ電話された、家族全員に執拗な電話が来た、「親の所へ回収に行く」と言われた、といったものが並んでいます。申込みのときに勤務先や家族の連絡先を聞き出され、それが取り立てに使われているとも指摘されています。
法律で禁じられている取り立て
貸付けの取り立てで、人を脅したり、私生活や仕事の平穏を害する言動をしたりすることは禁じられています。登録を受けた業者だけでなく、「貸金業を営む者」すべてが対象です。※1給与ファクタリングでよく問題になるものを挙げます。
- 正当な理由なく、午後9時から午前8時までに電話・訪問をする。※2※3
- 正当な理由なく、勤務先など自宅以外に電話をかけたり訪問したりする。※4
- 借りていることを、家族や職場など本人以外に知らせる。※5
- 家族など本人以外に「代わりに払え」と求める。※6
- こうしたことを「する」と予告する。※7
取り立てのルールの全体と罰則はトラブル事例と相談先の表にまとめています。また金融庁は、権利の実行であっても、社会通念上がまんすべき程度を超えれば違法となり、恐喝罪や脅迫罪が成立することがあるという最高裁の考え方を紹介し、悪質な取り立てを受けたら警察に相談するよう呼びかけています。※8
「勤務先から給料を直接もらう」と言われても
業者が「勤務先に債権譲渡の通知を送る」「会社から直接給料を受け取る」と言うことがあります。しかし、上で見たとおり、給料は本人に直接払う決まりがあり、給料の権利を買った人でも勤務先に支払いを求めることはできません。※9※10勤務先に通知が届いても、勤務先が給料を業者に払う仕組みにはなりません。通知は、法的な回収の手段というより、「職場に知られる」という圧力として使われていると考えたほうが実態に近いでしょう。
職場に知られるのが怖いときの考え方
- 先に自分から相談する選択肢もある:業者から電話が来る前に、信頼できる上司や総務・人事に「違法な業者から取り立ての電話が来るかもしれない」と伝えておくと、職場の人が電話に慌てず対応できます。勤務先にとっても、給料を業者に払う必要がない点は同じです。
- 職場に電話が来たら:取り次がず、相手の名前・電話番号・用件・時刻を記録してもらいます。その記録は、警察や弁護士に相談するときの材料になります。
- 身の危険を感じたら110番:押しかけや脅しが続くとき、緊急でなければ警察相談専用電話(#9110)、危険が迫っているときは110番です。
- 業者に新しい個人情報を渡さない:「本人確認のため」と家族や同僚の連絡先、追加の写真や書類を求められても、応じる前に相談先に確かめます。
この章の根拠(10件)
- 貸金業法21条1項
- 貸金業法21条1項1号
- 貸金業法施行規則19条1項
- 貸金業法21条1項3号
- 貸金業法21条1項5号
- 貸金業法21条1項7号
- 貸金業法21条1項10号
- 最高裁昭和27年5月20日判決
- 労働基準法24条1項
- 最高裁昭和43年3月12日判決
証拠の残し方:相談の前にそろえておくもの
警察や弁護士・司法書士に相談するとき、何がいつあったかが分かる記録があると、話が早く進みます。消さずに残し、可能ならコピーやスクリーンショットを別の場所にも保存してください。
| 残すもの | 具体的には | 何に役立つか |
|---|---|---|
| 契約の書類 | 「債権譲渡契約書」「売買契約書」など。メールやLINEで送られてきた画面も | 買戻し日・通知を出さない約束など、最高裁の事件と同じ仕組みかどうかを確かめる |
| お金の記録 | 受け取った振込の明細、払った振込の控え、現金書留の控え | 実際に受け取った額と払った額、手数料の年率を計算する |
| 業者の情報 | 名乗った会社名、サイトのURL、電話番号、振込先口座の名義、担当者名 | 登録の有無を調べる、相手を特定する |
| やり取りの記録 | 着信履歴、通話の録音、SMS・LINE・メールの画面 | 脅しや、禁止された時間帯・場所への連絡があったことを示す |
| 取り立てのメモ | 日時、相手、言われたこと、誰に連絡されたか(勤務先・家族) | 被害の全体を時系列で伝える |
| 渡した個人情報の控え | 免許証・保険証・給与明細の写真、伝えた家族や勤務先の連絡先 | 悪用されたときに、どこから漏れたかを説明する |
お金の記録は、次のような表にしておくと、相談先がひと目で全体をつかめます。国民生活センターの相談事例2の数字で書くと、こうなります。
| 日付 | 受け取った額 | 払った額 | 差(手数料) |
|---|---|---|---|
| 1回目の申込み日 | 4万2,000円 | ― | ― |
| 次の給料日 | ― | 5万5,000円 | 1万3,000円 |
| 同じ日に再び受け取り | 4万2,000円 | ― | ― |
| その次の給料日 | ― | 5万5,000円 | 1万3,000円 |
| 合計(2か月) | 8万4,000円 | 11万円 | 2万6,000円 |
何社も使っている場合は、会社ごとに1枚ずつ作ります。記憶があいまいな部分は「不明」と書いてかまいません。分かる範囲で正確に書くことが大切です。
相談先:どこに、何を相談するか
相談先は、困っていることの種類で選びます。電話番号と受付時間は、2026年10月に各機関の公式ページで確かめたものです。変わることがあるので、かける前に公式ページでも確かめてください。
| 困っていること | 相談先 | 電話 |
|---|---|---|
| 脅し・押しかけ・家族や職場への執拗な連絡 | 警察(警察相談専用電話)。危険が迫っていれば110番 | #9110 |
| 払う義務の範囲、支払いを止めるか、払ったお金を取り戻せるか | 弁護士(各地の弁護士会の法律相談)、司法書士 | 各弁護士会・司法書士会の窓口 |
| 相談料が心配、どの専門家に行けばよいか分からない | 法テラス(日本司法支援センター)サポートダイヤル | 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時) |
| 借金が重なっている、家計を立て直したい | 財務局・都道府県・市区町村の多重債務相談窓口(金融庁のページに一覧) | 窓口ごとに異なる |
| まず話を聞いてほしい、どこに行けばよいか整理したい | 消費者ホットライン(近くの消費生活センターにつながる) | 188 |
| 業者が登録業者か、どこが問題か整理したい | 金融庁 金融サービス利用者相談室 | 0570-016811(平日10時〜17時、IP電話は03-5251-6811) |
| 貸金業についての相談・苦情 | 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター | 0570-051051(9時〜17時、土日祝・年末年始を除く) |
窓口ごとに補足します。
- 法テラス:収入(手取りの月収)と資産(現金・預貯金)が一定の基準以下なら、弁護士・司法書士の無料法律相談を受けられます。1回30分、同じ問題につき3回までです。依頼する費用の立替えの制度もあります。
- 司法書士:法務大臣の認定を受けた司法書士は、140万円以下の争いなら、相談に応じたり、業者との交渉の代理をしたりできます。※1※2※3給与ファクタリングは1回数万円のことが多いので、司法書士も相談先になります。
- 消費生活センター:国民生活センターは、給与ファクタリングの業者などに「お金を払う前に、まずは消費生活センター等に相談を」と呼びかけています。
- 金融庁の相談室:業者との間に入って交渉する窓口ではありませんが、どこが問題か、次にどこへ行くかを整理できます。
業者が登録を受けているかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で調べられます。各窓口の役割や弁護士の選び方はトラブル事例と相談先にも書いています。
この章の根拠(3件)
- 司法書士法3条1項7号
- 司法書士法3条2項
- 裁判所法33条1項1号
給与ファクタリングの代わりに:お金を用意する公的な方法と、その条件
「来週の家賃が払えない」「急な治療費が要る」。そんなとき、給与ファクタリングより先に当たれる方法があります。条件が合わないものもあるので、当てはまるものを上から順に確かめてください。
| 方法 | 窓口 | 主な条件 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 給料の非常時払い | 勤務先 | 出産・病気・災害などの費用で、本人が請求する。すでに働いた分だけ | かからない(自分の給料を早く受け取るだけ) |
| 勤務先の給与前払い制度 | 勤務先(総務・人事) | 勤務先が制度を入れていること。働いた分に応じた額が上限 | 手数料がかかることがある |
| 勤務先の社内貸付 | 勤務先 | 勤務先に制度があること | 勤務先の規程しだい |
| 緊急小口資金 | 市区町村の社会福祉協議会 | 低所得世帯(市町村民税非課税程度)などで、緊急かつ一時的に生活が苦しくなった | 無利子・保証人不要 |
| 自立相談支援機関 | 市区町村などの窓口 | 生活や仕事、家計に困りごとがある | 相談は無料 |
| 支払いを待ってもらう相談 | 家賃・電気・ガス・携帯電話などの請求元 | 期日の前に連絡する | 延滞の費用がかかる場合がある |
1. 給料の非常時払い
労働者が出産・病気・災害などの「非常の場合」の費用にあてるために請求したときは、勤務先は給料日の前でも、すでに働いた分の給料を払わなければなりません。※1「非常の場合」には、本人だけでなく、本人の収入で生活している家族の出産・病気・災害、本人や家族の結婚・死亡、やむを得ない理由で1週間以上帰省する場合も含まれます。※2
使える範囲には限りがあります。これから働く分の前借りではなく、すでに働いた分の給料を早く受け取る制度です。単に生活費が足りないという理由は、条文に挙がっている場合に含まれていません。勤務先が応じない場合は、勤務先を管轄する労働基準監督署に相談できます。この決まりに違反した使用者は罰金の対象です。※3
2. 勤務先の給与前払い制度・社内貸付
勤務先によっては、働いた分の給料を給料日前に受け取れる「給与前払いサービス」を入れています。金融庁は、勤務先が導入し、働いた実績に応じた額を上限として前払いする仕組みで、受け取ったお金が給料そのものであって返す必要がないといった条件のもとでは、貸付けに当たらないという考えを示しています。※4給与ファクタリングとの違いは、お金の出どころが勤務先の制度で、上限が「働いた分」に決まっている点です。
ただし手数料がかかることがあり、金融庁も、すでに借金を抱えている人が手数料を払い続けると生活がかえって悪化するおそれがあるとして、多重債務につながらないよう配慮を求めています。使う場合も、給料日に受け取る額がいくら減るかを先に確かめてください。
会社が従業員に貸すお金は貸金業から除かれており、社内貸付の制度を持つ会社もあります。※5あるかどうかは、就業規則や総務・人事で確かめます。
3. 緊急小口資金(生活福祉資金)
都道府県の社会福祉協議会が行う、国の生活福祉資金の一つです。厚生労働省の示す条件は次のとおりです。
- 使いみち:緊急かつ一時的に生活の維持が難しくなった場合の少額の費用
- 借りられる額:10万円以内
- 返し始めるまで:借りた日から2か月以内(据置期間)
- 返す期間:据置期間の後、12か月以内
- 利子:無利子/保証人:不要
- 対象の世帯:低所得世帯(必要なお金をほかから借りることが難しい、市町村民税非課税程度の世帯)、障害者世帯、高齢者世帯
貸すかどうかは、条件に加えて返せる見込みも見て決められます。窓口は住んでいる市区町村の社会福祉協議会です。申込みから受け取りまでの日数や必要書類は地域で違うので、早めに電話で確かめてください。
4. 自立相談支援機関・自治体の窓口
生活困窮者自立支援制度では、生活や仕事、家計の困りごとを、市区町村などの自立相談支援機関で相談できます。支援員が一緒に支援の計画を立て、家計の見直しの手伝い(家計改善支援)や、離職などで住まいを失うおそれがある人への家賃相当額の支給(住居確保給付金、収入・資産などの要件あり)につなぐこともあります。「毎月どうしても足りない」なら、1回のお金より、この相談が先です。
5. 支払いを待ってもらう・登録業者から借りる
家賃や公共料金、携帯電話の料金は、遅れる前に請求元へ連絡し、分割や支払日の変更ができないか相談します。どうしても借りる場合は、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で登録を確かめた業者にします。登録業者の利息は法律の上限の範囲です。ただし、借金で借金を返す状態なら、借りる前に上の多重債務相談窓口に相談してください。
この章の根拠(5件)
- 労働基準法25条
- 労働基準法施行規則9条
- 労働基準法120条1号
- 金融庁 グレーゾーン解消制度に基づく回答(平成30年12月20日)
- 貸金業法2条1項4号
似た名前で注意したいもの:先払い買取・後払い現金化など
給与ファクタリングが知られるようになってから、別の名前で同じように「先にお金を渡し、後で多く払わせる」手口が出ています。消費者庁・金融庁・警察庁などは、次のものに注意を呼びかけています。
| 呼び名 | どんな仕組みか | 何が危ないか |
|---|---|---|
| 先払い買取現金化 | 手元にない商品(スマホやゲーム機の画像、商品券など)を買い取るふりをして先にお金を払い、後で「商品を送らなかった違約金(キャンセル料)」の名目で、より高いお金を払わせる | 違約金や商品券の購入代との差が大きく、多重債務に陥るおそれ。個人情報の悪用やネットでさらされる被害 |
| 後払い(ツケ払い)現金化 | 形の上は後払いでの商品の購入。代金を払う前に現金を受け取り、給料日などに商品代金を払う | 商品代金と先に受け取ったお金の差が大きい。生活がかえって悪化し、多重債務に陥るおそれ |
| 年金を担保にした貸付け | 年金を受け取る権利を担保にお金を貸す | 国の年金担保貸付制度は2022年3月末で申込みを終えており、2022年4月以降の年金担保の貸付けは例外なくすべて違法 |
| SNSの個人間融資 | SNSや掲示板で「個人間で貸す」とうたう | 登録のない者が業として行う違法な貸付けの事案。金融庁が注意を呼びかけている |
名前ではなく、仕組みで見分ける
呼び名は次々に変わります。「給与ファクタリング」と書いていなくても、次の問いに一つでも「はい」があれば、申し込まずに相談先へ連絡してください。
- 先にお金を受け取り、給料日などに、受け取った額より多く払う仕組みになっていないか。
- 「借金ではない」「手数料であって利息ではない」「審査を通さず振り込む」と強調していないか。
- 勤務先や家族の連絡先、身分証や給与明細の写真を、最初に求められていないか。
- 「前払い」をうたっているのに、勤務先が導入している制度ではない(勤務先が知らない)ものではないか。
- 会社名・住所・貸金業の登録番号が分からない、または金融庁の検索で見つからないものではないか。
給与ファクタリングは、今月の不足を来月に先送りし、しかも大きく増やす仕組みです。足りないお金の相談は、勤務先、社会福祉協議会、自治体の窓口、そして困ったときの警察・弁護士・司法書士へ。使ってしまった方も、記録を持って相談すれば打てる手はあります。
出典(26件)公的機関の資料・法令。2026.10.16に確認
- 裁判例結果詳細 最高裁判所第三小法廷 令和5年2月20日決定(令和4(あ)288)www.courts.go.jp
- 令和4年(あ)第288号 貸金業法違反、出資法違反被告事件 令和5年2月20日 第三小法廷決定(全文PDF)www.courts.go.jp
- 裁判例結果詳細 最高裁判所第三小法廷 平成20年6月10日判決(平成19(受)569)www.courts.go.jp
- ファクタリングの利用に関する注意喚起:金融庁www.fsa.go.jp
- 給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!:金融庁www.fsa.go.jp
- 金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)令和2年3月5日www.fsa.go.jp
- 確認の求めに対する回答の内容の公表(給与前払いサービス):金融庁 グレーゾーン解消制度www.fsa.go.jp
- 給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意!(国民生活センター 2020年6月12日)www.kokusen.go.jp
- 給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意! 報告書本文(国民生活センター)www.kokusen.go.jp
- 違法な貸付(ファクタリング等)や悪質な金融業者にご注意ください!
- 多重債務についての相談窓口 : 金融庁www.fsa.go.jp
- 登録貸金業者情報検索サービス : 金融庁www.fsa.go.jp
- 生活福祉資金貸付条件等一覧|厚生労働省www.mhlw.go.jp
- 生活福祉資金貸付制度|厚生労働省www.mhlw.go.jp
- 生活困窮者自立支援制度|厚生労働省www.mhlw.go.jp
- お問合せ窓口(サポートダイヤル)|法テラスwww.houterasu.or.jp
- 無料法律相談のご利用の流れ|法テラスwww.houterasu.or.jp
- 貸金業法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 貸金業法施行規則(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 利息制限法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 労働基準法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 民法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 司法書士法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 裁判所法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
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