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契約更新 2026.10.17

でんさいの現金化は割引が先?ファクタリング・譲渡との費用と手順の違い

ハカセ
結論

でんさいを期日前に現金化するなら、まず取引のある金融機関の割引を当たり、断られたらでんさいのファクタリングを考えます。500万円・90日の計算例で費用を比べ、手順と、譲渡後に保証の責任が残るかの見分け方を説明します。

初めての方へファクタリングを使う前に知る5つのこと・申込みから入金まで →

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

でんさいの現金化は割引が先?ファクタリング・譲渡との費用と手順の違い

取引先からの代金を「でんさい」で受け取ったが、支払期日まで待つと今月の支払いに間に合わない。そんなとき、でんさいを期日前にお金に換える方法と、その費用を知りたい人に向けた記事です。

でんさいの現金化には、金融機関の割引、仕入先への譲渡、ファクタリング会社への売却という3つの道があります。それぞれの費用・手続き・あとに残る責任を、500万円の計算例とでんさいネットが公表する取扱高で比べます。

この記事を7枚で

1 / 7
でんさい 500万円 期日まで待つ 仕入先へ譲渡 金融機関の割引 ファクタリング

この記事の流れ

でんさいを、
期日前に現金にする

この記事で何がわかるの?

手元のでんさいの使い道は、待つ・譲渡・割引・ファクタリングの4つです。500万円の計算例で費用を比べ、手順と、あとに残る責任の違いを7枚で説明します。

費用 払われないとき 待つ0円売掛先に請求譲渡0円保証が残る割引安い保証が残るファクタリング高め保証なしも可

POINT 1

安い方法ほど、責任が残る

安い方法には、何か落とし穴があるの?

譲渡や割引は安い代わりに、原則として保証の責任が残ります。売掛先が期日に払えなければ、自社が代わりに払います。ファクタリングは保証しない形も選べます。

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割引で引かれる額 額面 × 年あたりの率 × 日数÷365 500万円・期日まで90日 年2%と仮定24,658円 年5%と仮定61,644円

POINT 2

割引は、年あたりの率×日数

割引の費用はどう決まるの?

割引で引かれる額は日数に比例します。500万円を90日前に年5%と仮定して割り引くと6万1,644円です。割引を扱うかは金融機関ごとの判断です。

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売掛先払う側 あなたの会社売る側 ファクタリング会社(買い手) 譲渡の記録 期日のお金は買い手へ直接 売掛先は開示で最新の債権者を見られる 「知られずに」は当てにしない

POINT 3

売ると、お金は買い手へ直接

売ったら、お金はどこに入るの?

でんさいを売ると、期日の代金はファクタリング会社の口座へ直接入ります。売掛先は開示で最新の債権者を見られるので、知られない前提にしません。

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500万円・期日まで90日の費用 割引 年2%2.5万円割引 年5%6.2万円手数料3%15万円手数料8%40万円手数料3%は実質年率で約12.5%

POINT 4

500万円・90日で比べると

500万円・90日だと、どれくらい違う?

手数料3%は15万円で、実質年率は約12.5%です。年5%の割引と同じ費用になるのは、期日まで約219日のときです。図鑑の197サービスで、でんさいを書くのは1サービスでした。

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1待てるなら待つ2仕入先へ譲渡3取引銀行で割引4ファクタリング

POINT 5

安い順に、上から当たる

どの順番で当たればいいの?

待てるなら待ち、仕入先が使えるなら譲渡、次に取引銀行の割引、断られたらファクタリングです。足りない額だけを分割して使えば、費用は小さくなります。

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「保証しない」と指定しないと 保証付きで記録される 譲渡先が金融機関に限られた でんさいは売れない

POINT 6

保証記録と、譲渡制限に注意

手続きで気をつけることは?

「保証しない」と指定しないと、保証付きで記録されます。譲渡先が金融機関に限られたでんさいは、ファクタリングに出せません。期日の直前も記録できません。

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01

先に結論:現金化の第一候補は金融機関の割引。断られたらファクタリング、支払いに回すなら譲渡

社長

手元のでんさい、期日前にお金にするならどうすればいい?

まず取引のある金融機関の割引を当たり、断られたらファクタリングを考えます。支払いに回すなら譲渡です。どの方法も、保証記録を付けるかで、あとに残る責任が変わります。

ハカセ

でんさいは、でんさいネットが扱う電子記録債権で、約束手形とよく似た仕組みです。この記事では、でんさいで代金を払う取引先を「売掛先」と呼びます。仕組みや始め方の基本はでんさいとはにまとめています。この記事は、手元のでんさいを期日前に使う方法の選び方に絞ります。

要点は次の5つです。

  • 費用がいちばん低くなりやすいのは、取引のある金融機関の割引です。引かれる額は「額面×年あたりの率×期日までの日数÷365」で決まります。
  • 割引を受けるかどうかは金融機関ごとの判断です。でんさいネットは、各金融機関の取扱い状況を把握していないとしています。
  • 仕入先もでんさいを利用していれば、譲渡で支払いに充てられます。お金は動きませんが、原則として保証の責任が残ります。
  • 割引を断られたときの手として、でんさいをファクタリング会社に売る方法があります。手数料は1回あたりの率なので、年率にそろえて比べます。
  • どの方法も、譲渡のときに「保証記録」を付けるかで、あとに残る責任が変わります。売ったのに責任が残る、という誤解がいちばん多い落とし穴です。

章の順番は、4つの方法の違い→割引→ファクタリング→数字での確認→手順→選び方→使わないほうがよい場合→よくある失敗です。

でんさい500万円分を、期日の90日前にどうするか:4つの方法と費用の目安
0円期日まで待つ費用はかからない。期日の当日に口座へ口座へ入金される
0円仕入先へ譲渡支払いに回せるが、原則として保証の責任が残る
2.5万〜6.2万円金融機関の割引年2〜5%と仮定した場合。断られることもある
15万〜40万円ファクタリング手数料3〜8%と仮定した場合。対応する会社は少ない
02

でんさいを期日前に使う4つの方法:お金の出どころと、残る責任が違う

社長

現金にする方法って、いくつあるの?

待つ、仕入先へ譲渡、金融機関の割引、ファクタリングの4つです。割引や譲渡は安い代わりに、原則として保証の責任が残り、売掛先が払えなければ自社が払います。

ハカセ

手元のでんさいの使い道は、待つ、仕入先へ回す、金融機関で割り引く、売るの4つです。担保にしてお金を借りる方法もありますが、これは金融機関の融資の一つです。

4つの方法は、どれもでんさいネットの「譲渡記録」で権利が移るか、移らないかの違いです。電子記録債権の譲渡は、譲渡記録をしなければ効力が生じません。※1

方法 お金を出す人 費用 期日に払われなかったとき 向いている場面
期日まで待つ 売掛先(期日に) かからない 売掛先に支払いを求める 期日までの資金が足りている
仕入先へ譲渡 お金は動かない 記録の手数料 保証付きなら自社が払う 仕入先への支払いが先に来る
金融機関の割引 金融機関 割引料(年あたりの率) 保証付きなら自社が払う 取引銀行が割引を扱っている
ファクタリング ファクタリング会社 手数料(1回あたりの率) 保証しない譲渡なら負わない 割引を断られた・急ぐ
担保にして借りる 金融機関 利息 借りたお金は返す まとまった額を続けて借りたい

表からわかるのは、費用の安さと、責任の残り方が逆になりやすいことです。割引や譲渡は安い代わりに、もとの売掛先が払えなければ自社に戻ってきます。

譲渡保証記録:でんさいを人に回すと、原則として保証人になる

でんさいを譲渡すると、原則として「譲渡保証記録」も一緒に記録されます。手形を裏書した人が、不渡りのときに払う責任を負うのと同じ仕組みです。

受け取る側が保証を求めなければ、保証しないで譲渡することもできます。ただし、保証しない譲渡を扱わない金融機関もあります。※2

現金化の方法を選ぶときは、この保証が付くかどうかを「費用」と同じ重さで見ます。保証が付けば、売ったあとも売掛先の倒産の影響を受けます。※3

仕入先への譲渡は、相手の了解をとってから

譲渡はお金がかからない方法ですが、受け取る仕入先にとっては、期日まで待つ代金になります。振込で払う約束の相手に、黙ってでんさいに切り替えると、支払条件を変えたことになりかねません。

仕入先がでんさいに対応しているか、いつ期日のでんさいなら受け取れるかを、事前に確かめてから譲渡記録をします。

ふつうの請求書の買取との違い

請求書(売掛金)を売るファクタリングでは、売ったことをほかの人に主張するために、売掛先への通知・承諾か、登記が要ります。でんさいは記録そのものが権利なので、譲渡記録をすれば移ります。

請求書の買取全体の仕組みと、ほかの早く入金してもらう方法は請求書の買取(現金化)で比べています。この記事では、でんさいならではの違いだけを扱います。

この章の根拠(3件)
  1. 電子記録債権法17条
  2. でんさいネット よくあるご質問 ID38・ID39
  3. 電子記録債権法33条・でんさいネット よくあるご質問 ID42
03

でんさいの割引:手続きと、断られやすい場合

社長

銀行の割引って、誰でも受けられるの?

受けるかどうかは金融機関ごとの判断です。売掛先の信用がわからない、期日が近すぎる、自社が赤字や税の滞納がある、といった場合は断られやすくなります。別の取引銀行で受けてもらえることもあります。

ハカセ

割引は、手元のでんさいを金融機関に譲り渡し、期日までの日数分の割引料を引いた額を受け取る方法です。手形の割引と同じ考え方で、金融機関から見ると手形を扱うのと近い取引です。

割引の手続き

  1. 取引銀行に、割引を扱っているかを尋ねる:でんさいの利用の契約をした金融機関が窓口です。割引は別の契約や審査が要ることがあります。
  2. でんさいの中身を伝える:記録番号、売掛先、金額、支払期日です。インターネットバンキングの画面か、開示で確かめられます。
  3. 割り引く額を決める:全額でなくてもかまいません。足りない額に絞って割り引けます。
  4. 金融機関への譲渡の記録をする:割引も、仕組みの上では金融機関への譲渡です。原則として保証記録が付きます。
  5. 割引料を引いた額が入金される:入金の日や時刻は金融機関ごとに違います。

割り引いたでんさいに保証記録が付いているときは、決算書に「電子記録債権割引高」のような注記をする扱いが示されています。手形の割引高と同じ考え方です。※1

割引料の決まり方

割引料の率は年あたりで示され、期日までの日数が長いほど引かれる額は増えます。率そのものは、金融機関が売掛先の信用や、自社との取引の状況などを見て決めます。

公表された統計はないので、この記事の計算例では年2%と年5%を仮に置きます。実際の率は、取引銀行の見積もりで確かめます。

割引を断られやすい場合

  • 売掛先の信用がわからない:割引の可否は、払う側が期日に払えるかで決まります。聞いたことのない会社のでんさいは慎重に見られます。
  • 期日が近すぎる:支払期日の直前は、譲渡の記録ができない期間に入ります。割引の手続きもできません。
  • 金融機関との取引の状況:金融機関から見ると、割引は自社に対する与信の取引の一つです。これまでの取引の内容もあわせて判断されます。
  • 自社の決算が赤字・税の滞納がある:保証付きで受けるので、自社が払えるかも見られます。

1つの金融機関で断られても、別の取引銀行で受けてもらえることがあります。でんさいは、複数の金融機関でそれぞれ利用の契約を結べます。

割引の代わりに、でんさいを担保にして借りる

でんさいを手放さずに、借入れの担保として金融機関に差し入れる方法もあります。受け入れるかどうか、条件をどうするかは、割引と同じく各金融機関の判断です。※2

担保にして借りた場合、帳簿の上ではでんさいは手元に残り、借入金が増えます。期日に入るお金で借入れを返す形になるので、毎月のように受け取るでんさいを、まとめて資金繰りに使いたい会社に向きます。

割引とファクタリングで、確かめられることの違い

項目 金融機関の割引 でんさいのファクタリング
主に見られること 売掛先の信用と、自社との取引 売掛先の信用
費用の示し方 年あたりの率(日数に比例) 1回あたりの率が多い
保証記録 原則として付く 付けない形を選べることがある
使える相手 でんさいの利用の契約をした金融機関 でんさいの利用者になっている会社だけ
譲渡先が金融機関に限られたでんさい 使える 使えない

費用だけでなく、払われなかったときに誰が損をかぶるかが違います。安さを取るか、リスクを手放すかで選ぶ、と考えると整理しやすくなります。

この章の根拠(2件)
  1. でんさいネット よくあるご質問 ID157
  2. でんさいネット よくあるご質問 ID148
04

でんさいのファクタリング:請求書の買取と何が違うか

社長

でんさいを売るのは、請求書を売るのと何が違うの?

期日のお金は、ファクタリング会社の口座へ直接入ります。売掛先は開示で最新の債権者を見られるので、売ったことは調べればわかります。知られない前提にしないことです。

ハカセ

でんさいのファクタリングは、でんさいをファクタリング会社に譲渡の記録で売り、手数料を引いた代金を受け取る取引です。でんさいネットは、でんさいを「支払・決済の手段」、ファクタリングを「売掛債権を期日前に売って現金にするサービス」と分けて説明しています。※1

つまり「でんさいのファクタリング」は、でんさいという決済の手段を、ファクタリングという売り方で現金にするものです。買い手のファクタリング会社も、でんさいの利用者である必要があります。

でんさいのファクタリング:記録が買い手に移り、期日のお金は買い手の口座へ直接入る

譲渡記録で売る

売掛先債務者
① でんさいで代金を払う(発生記録)
あなたの会社債権者
② 譲渡記録(保証するか選ぶ)③ 手数料を引いて代金を入金
ファクタリング会社新しい債権者
売掛先の口座
④ 支払期日に期日に送金(あなたの会社を通らない)
ファクタリング会社の口座

違い1:期日のお金は、買い手の口座に直接入る

でんさいの代金は、支払期日にその時点の債権者の口座へ送られます。売ったあとは、売掛先のお金がファクタリング会社に直接入ります。

請求書の2社間ファクタリングのように、いったん自社で受け取って買い手に送り直す手間はありません。送り忘れや、使い込んでしまうトラブルも起きにくい形です。

違い2:売掛先は、開示で最新の債権者を確かめられる

譲渡の通知は、でんさいネットから譲受人に届きます。一方で売掛先は、開示を請求すれば、最新の譲渡の記録を見られます。

保証記録を付けて譲渡した場合は、間にいた譲渡人の名前も保証人として見えます。保証記録を付けなければ、中間の譲渡人は開示されません。※2

つまり、でんさいを売ったことは、売掛先が調べればわかります。「取引先に知られずに」という宣伝をそのまま信じないことです。請求書の場合の知られ方は取引先に知られるかで説明しています。

違い3:買い手は、取引の行き違いを理由に払いを止められにくい

でんさいを譲り受けた人には、売掛先は「納品に不満がある」といった、もとの当事者どうしの事情を理由に支払いを拒めません(買い手がそれで売掛先が困ると知って取得した場合などを除きます)。これを抗弁の切断といいます。※3

買い手から見ると、請求書より回収の見通しが立ちやすい債権です。そのぶん、請求書のファクタリングより手数料が低めに出ることがあります。ただし、売掛先の信用が低ければ高くなります。

違い4:保証しない譲渡にすれば、払われなかったときの責任を負わない

ファクタリングの契約に「償還請求権なし」と書いてあっても、譲渡の記録に保証記録が付けば、自社は電子記録保証人になります。契約書と記録の両方で、責任が残らない形かを確かめます。

償還請求権(払われなかったときに、売った側が買い戻す義務)の考え方は償還請求権とはで説明しています。

違い5:売掛先が「譲渡先は金融機関だけ」と決めていることがある

でんさいネットでは、売掛先がでんさいの譲渡を禁止することはできません。ただし、譲渡先を参加金融機関に限る設定はできます。※4

この設定があるでんさいは、金融機関でない会社には譲渡できないので、ファクタリングには出せません。申し込む前に、画面の「譲渡制限」の欄を確かめます。

違い6:二重に売られる心配が小さい

請求書の売掛金は、同じものを2社に売る「二重譲渡」が起きうるので、買い手は登記などで自分の権利を守ります。でんさいは、譲渡の記録で譲受人として記録された人が権利を取得するので、記録を見れば今の持ち主がはっきりします。※5

買い手の確認の手間が少ないぶん、手続きは請求書より早く進むことがあります。記録が権利そのものなので、記録の前に契約の条件をすべて決めておきます。

この章の根拠(5件)
  1. でんさいネット よくあるご質問 ID163
  2. でんさいネット よくあるご質問 ID176
  3. 電子記録債権法20条1項
  4. でんさいネット よくあるご質問 ID31
  5. 電子記録債権法19条1項
05

数字で確かめる:でんさいネットが公表する取扱高と、500万円・90日の計算例

社長

500万円・90日だと、費用はどれくらい違うの?

年5%の割引なら6万1,644円、手数料3%のファクタリングなら15万円で、実質年率は約12.5%です。図鑑の197サービスで、でんさいの買取を書いているのは1サービスでした。

ハカセ

統計:譲渡は12か月で9.5兆円。期日を待っているでんさいは15.0兆円

でんさいネットが公表する取扱高(2025年10月〜2026年9月の12か月)で、期日前に使われた量を見ます。利用者数や発生件数の全体はでんさいとはの統計の章にあります。

項目 12か月の数字 1件あたり
譲渡の記録 201万7,136件・9.5兆円 471万円
分割記録 36万6,362件・1.40兆円 382万円
新しく発生した分(比べるため) 1,052万7,335件・51.3兆円 488万円
月末の残高(2026年9月末) 15.0兆円 ―

譲渡の金額は、発生した金額の18.5%にあたります。譲渡には、仕入先への支払いのほか、金融機関の割引やファクタリングへの売却も含まれます。統計はその内訳を分けていません。

分割の件数は、譲渡の件数の18.2%です。一部の額だけを使う使い方が、ふつうに行われていることがわかります。

2026年9月末の残高15.0兆円は、12か月の月平均の発生額(4.28兆円)の約3.5か月分です。受け取ってから期日まで、数か月待つでんさいが多いことのおおまかな目安になります。

図鑑のデータ:でんさいの買取を書いているのは1サービス

図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、サービス名や必要書類にでんさい(電子記録債権)を書いているのは1サービスだけでした。そのサービスは、手続きを「譲渡記録請求」と案内しています。

ほかの会社が扱っていないとは限りませんが、公式サイトで確かめられる会社は少ないということです。申込みや見積りの比較では、最初に「でんさいの買取に対応していますか」と尋ねるのが早道です。

計算例1:でんさい500万円分を、期日の90日前に現金にする

割引の率は年2%と年5%、ファクタリングの手数料は3%と8%を仮に置きます。実質年率は「手数料額÷手取り額÷日数×365」で計算します。

方法(仮定) 費用 手取り 手取りに対する年率
割引 年2% 2万4,658円 497万5,342円 約2%
割引 年5% 6万1,644円 493万8,356円 約5%
ファクタリング 手数料3% 15万円 485万円 約12.5%
ファクタリング 手数料8% 40万円 460万円 約35.3%

手数料3%・90日のファクタリングは、実質年率で約12.5%です。年5%の割引と比べると、費用は約2.4倍になります。

でんさい500万円分を期日の90日前に現金にするときの費用(譲渡と、期日まで待つ場合は0円)
  1. 割引(年2%と仮定)24,658円
  2. 割引(年5%と仮定)61,644円
  3. ファクタリング(手数料3%)150,000円
  4. ファクタリング(手数料8%)400,000円

金融機関の割引(年あたりの率×日数)ファクタリング(1回あたりの率)

逆に、年5%・90日の割引と同じ費用になるファクタリングの手数料は、1.23%です。年2%なら0.49%です。ファクタリングの見積もりがこの水準より高ければ、まず割引を当たる理由になります。

計算例2:必要なのが200万円なら、分割して200万円だけ使う

500万円を丸ごと現金にする必要がなければ、200万円だけ分割して使います。残りの300万円は、期日に口座へ入るのを待ちます。

  • 200万円だけ割引(年5%・90日):2万4,658円
  • 200万円だけファクタリング(手数料3%):6万円(500万円を全部売るより9万円少ない)

費用は使う額に比例するので、足りない額だけを現金にするのがいちばん効きます。分割ができるのは、手形にないでんさいの強みです。

計算例3:期日が近いほど、ファクタリングの年率は上がる

割引で引かれる額は日数に比例して小さくなりますが、ファクタリングの手数料は1回あたりの率で決まることが多いです。同じ手数料3%でも、期日まで90日なら実質年率は約12.5%、30日なら約37.6%になります。

一方、500万円を年5%で30日前に割り引くと、引かれるのは2万548円です。期日の近いでんさいほど、ファクタリングは割高になりやすいと覚えておきます。年率の計算は手数料の計算と実質年率、手元の数字では手取りと実質年率の計算で確かめられます。

計算例4:割引とファクタリングの費用が並ぶのは、期日まで約7か月

割引の費用は日数に比例し、ファクタリングの手数料は日数で変わらないことが多い、という違いを使うと、両者が同じ費用になる日数を出せます。式は「手数料の率÷割引の年率×365」です。

  • 割引 年5%と手数料3%:約219日(約7.2か月)
  • 割引 年2%と手数料3%:約548日(約1年6か月)
  • 割引 年5%と手数料8%:約584日(約1年7か月)

期日までがこれより短ければ、割引のほうが安くなります。数か月先のでんさいが多い実情から見ると、割引を受けられるなら、ほとんどの場面で割引が有利だということです。

計算例5:その費用を、利益で取り戻すにはいくら売ればよいか

費用の重さは、売上に置き換えると実感しやすくなります。粗利率(売上に対する粗利の割合)を20%と仮に置くと、次のようになります。

  • 割引 年5%の6万1,644円:売上30万8,220円ぶんの粗利
  • 手数料3%の15万円:売上75万円ぶんの粗利
  • 手数料8%の40万円:売上200万円ぶんの粗利

手数料8%で500万円を現金にすると、200万円を売ってようやく取り戻せる計算です。毎月続けるなら、その売上の粗利が毎月まるごと手数料に回ることになります。

06

でんさいを期日前に現金にする手順

社長

どんな順番で進めればいいの?

でんさいの中身を確かめ、足りない額を決め、期日の直前を避けて取引銀行に割引を相談します。断られたら見積もりを取り、年率にそろえて比べてから、保証の有無を決めて譲渡の記録をします。

ハカセ

割引でもファクタリングでも、手順の前半は同じです。お金が要る日から逆算して、次の順で進めます。

  1. でんさいの中身を確かめる:売掛先、金額、支払期日、譲渡制限の有無、記録番号。インターネットバンキングか開示で見られます。
  2. 足りない額を決める:資金繰り表で、いつまでにいくら足りないかを出します。その額だけを切り出して使います。
  3. 期日の直前を避ける:支払期日の2営業日前(金融機関によっては6営業日前)からは、譲渡の記録ができません。割引もファクタリングも、その前に終わらせる段取りにします。※1
  4. 取引銀行に割引を相談する:割引料の率、入金の日、保証記録が付くことを確かめます。
  5. 断られたら、ほかの取引銀行とファクタリング会社に見積もりを取る:ファクタリングは2〜3社に、でんさいの買取に対応しているかから尋ねます。
  6. 年率にそろえて比べる:割引は年あたりの率、ファクタリングは1回あたりの率です。同じ物差しにしてから選びます。
  7. 保証の有無を決めて、譲渡の記録をする:ファクタリングで「償還請求権なし」の契約なら、保証しない譲渡にします。一部だけ譲渡するなら、切り出す額も指定します。
  8. 帳簿に付ける:保証付きで割引や譲渡をしたら、その残高を注記します。売却の損は勘定科目を分けて記帳します。仕訳はファクタリングの仕訳と勘定科目を参考にしてください。

見積もりを頼むときに伝えること

割引でもファクタリングでも、最初の問い合わせで次の8つを伝えると、返事が早くなります。

  • 記録番号(でんさいごとの20桁の番号)
  • 売掛先の会社名と、取引の年数
  • 額面と、現金にしたい額(分割するか)
  • 支払期日と、入金してほしい日
  • 譲渡制限の有無
  • 保証記録を付けるか、付けないかの希望
  • 代金のもとになった取引の書類(注文書・検収の記録)
  • ほかの会社に同じでんさいの相談をしているか

最後の点は、見積もりを並べるときに正直に伝えます。でんさいは記録で持ち主が決まるので、先に譲渡の記録をした相手が権利を得ます。2社と同時に話を進めるなら、どちらで決めるかを先に決めておきます。

譲渡を受けた側は、内容に誤りがあれば、譲渡日から5営業日以内なら取り消せます。急ぎのときは、記録をしたあとも相手の確認が済むまで目を離さないことです。※2

この章の根拠(2件)
  1. でんさいネット よくあるご質問 ID34
  2. でんさいネット よくあるご質問 ID32
07

どれを選ぶか:問いでたどる分かれ道と、場面ごとの答え

社長

結局、どれを選べばいいの?

費用の安い順に、待つ→譲渡→割引→ファクタリングと上から当たり、当てはまるところで止まります。売掛先の経営が心配なら、保証しない形で売るしかリスクは手放せません。

ハカセ

選び方は、費用の安い順に「待つ→譲渡→割引→ファクタリング」と当たっていくのが基本です。上から順に、当てはまるところで止まります。

手元のでんさいを、期日前にどうするか
  1. 支払期日まで待てるか?はい → 何もしない。期日の当日に口座へ入金されるいいえ → 次へ
  2. 払いたい相手(仕入先など)が、でんさいを受け取れるか?はい → 足りない額に絞って譲渡するいいえ → 次へ
  3. 取引銀行が割引を受けてくれるか?はい → 足りない額に絞って割引にするいいえ → 次へ
  4. ほかの取引先の金融機関で割引を受けられるか?はい → 利用の契約を結び、割引にするいいえ → 次へ
  5. でんさいの買取に対応するファクタリング会社があり、年率にして納得できるか?はい → 保証の有無を決めて売るいいえ → 支払いの延期・融資など、ほかの方法へ

場面1:来週、仕入先に300万円払う

仕入先がでんさいに対応しているなら、手元のでんさいから300万円を分割して譲渡するのがいちばん安く済みます。割引料も手数料もかかりません。

ただし保証付きの譲渡になるので、もとの売掛先が期日に払えなければ、300万円は自社に戻ってきます。売掛先の経営が心配なら、割引か保証しない売却を考えます。

場面2:今月末の給与と税金のために、現金が200万円要る

給与や税金はでんさいでは払えないので、割引かファクタリングで現金にします。月末まで日があれば、まず取引銀行に割引を相談します。

割引の審査が月末に間に合わないときに、ファクタリングの見積もりを並行して取ります。計算例2のように、200万円だけ切り出せば費用を抑えられます。

場面3:売掛先の経営が危ないという話を聞いた

保証付きで割引や譲渡をしても、売掛先が払えなければ自社が払うことになり、リスクは手元に残ります。リスクごと手放したいなら、保証しない形で売るしかありません。

ただし、信用に不安がある売掛先のでんさいは、ファクタリングでも手数料が高くなるか、断られます。売れなかったときに備えて、資金繰りの別の手も同時に用意します。

場面4:毎月、同じ取引先から決まった額のでんさいを受け取る

毎月のでんさいを毎回割り引いていると、割引料が固定の費用になります。月500万円を年5%・90日で割り引き続ければ、1回6万1,644円が毎月かかります。

この形が続くなら、でんさいを担保にした借入れの枠や、運転資金の融資を金融機関と相談するほうが、手間も費用も読みやすくなります。期日を短くしてもらえないか、取引先と話す材料にもなります。

08

でんさいを現金化しないほうがよい場合と、ほかの方法

社長

現金化しないほうがいいのは、どんなとき?

期日まで数日しかないとき、毎月現金化しないと回らないとき、年率で数十%になるときなどです。支払日の延期の相談や、支払条件の見直し、融資と並べて比べます。

ハカセ

現金化にはどれも費用がかかります。次の場合は、現金化に動く前に、ほかの方法と比べてから決めます。

期日まで数日しかなく、足りない期間も短いとき

期日の直前は記録の手続きができず、割引もファクタリングも使えません。数日だけ足りないなら、支払先に支払日を少し延ばしてもらう相談のほうが現実的です。

足りないお金が、この1回で終わらないとき

毎月でんさいを現金化しないと回らないなら、問題は入金の遅さそのものです。でんさいの期日が長すぎないか、支払条件を見直す相談をします。取引先の金融機関で、運転資金の融資を相談する手もあります。

支払いに間に合わないときの対処の順番は、資金繰りが苦しいときの対処にまとめています。

取適法の対象の取引で、長い期日のでんさいを渡されたとき

2026年1月から下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」になりました。対象の取引では、支払期日までに代金の満額を現金で受け取るのが難しいでんさいで払うことに、制限があります。

割引しないと期日に間に合わないでんさいを渡されたら、割引料を自分で払う前に、決まりを確かめます。詳しくは取適法(旧下請法)とはで説明しています。

ファクタリングの見積もりが、年率で数十%になるとき

計算例1の手数料8%・90日は、実質年率で約35.3%です。この水準の費用を毎月払うと、利益の多くが手数料に消えます。

一度きりのつなぎなら選ぶ理由はありますが、続けて使う前に、融資や支払条件の見直しと並べて比べます。年率での比べ方は、先に挙げた手数料の計算と実質年率の記事にまとめています。

売掛先に、期日前に払ってもらえるとき

売掛先によっては、期日前に資金化できる仕組みを自分で用意していることがあります。でんさいの案内状や、売掛先の担当者に確かめると、割引より安く済む場合があります。

09

よくある失敗と注意点

社長

やってしまいがちな失敗は?

「保証しない」と指定せず保証記録が付いていた、期日の直前に動く、必要以上に全額を現金化する、などです。譲渡先が金融機関に限られたでんさいは、ファクタリングに出せません。

ハカセ

1. 「償還請求権なし」で売ったのに、保証記録が付いていた

譲渡のときに「保証しない」と指定しないと、保証記録が付いた形で記録されます。契約書の言葉ではなく、記録の画面で保証の有無を確かめます。

2. 期日の直前になってから動く

手順の3で見たとおり、期日の直前は記録ができません。割引の審査や、ファクタリングの見積もりにかかる日数も足して、お金が要る日の2週間ほど前には相談を始めます。

3. でんさいで払われる代金の請求書を、別に売ってしまう

代金がでんさいで払われる取引の請求書を、ふつうの請求書の買取に出すと、期日のお金はでんさいを持っている人の口座へ入ります。同じ代金を二重に売るのと同じ問題になるので、支払方法がでんさいであることを申込みで伝えます。

4. 全額を現金化して、要らない分まで費用を払う

計算例2のとおり、必要な額だけ分割すれば費用は小さくなります。分割の額は1円単位で決められます。

5. 1回あたりの手数料と、年あたりの割引料を並べて比べる

「手数料3%」と「割引の率 年5%」を見比べて、ファクタリングのほうが安いと思う失敗です。90日なら、手数料3%は実質年率で約12.5%です。同じ物差しにそろえてから比べます。

6. 譲渡先が金融機関に限られたでんさいを、ファクタリングに出そうとする

譲渡制限の付いたでんさいは、ファクタリング会社には譲渡できません。見積もりを取る前に、でんさいの記録で制限の有無を確かめておくと、無駄な申込みを減らせます。

7. 支払不能になってから、売ろうとする

払われなかったでんさいも、条件を満たせば記録の手続き自体はできます。しかし、払われなかったと記録に残る債権を買う相手は、まず見つかりません。※1

売掛先の支払いが遅れがち、取引の量が急に減った、といった気配があるなら、期日を待たずに割引か保証しない売却を検討します。期日を過ぎたら、回収の手続きに切り替えます。

8. 「でんさいを即日買い取る」とうたう相手の正体を確かめない

でんさいを売るには、買い手もでんさいの利用者で、譲渡の記録を受ける必要があります。記録の手続きをせずに、書類の写しだけで代金を出すと言う相手は、売買ではない取引の可能性があります。運営会社の所在地や、契約書の中身を確かめてから進めます。

この章の根拠(1件)
  1. でんさいネット よくあるご質問 ID40
出典(16件)公的機関の資料・法令。2026.10.17に確認
  1. 電子記録債権法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  2. でんさいネット:統計情報(請求等取扱高 2013年2月〜2026年9月)www.densai.net
  3. でんさいネット:よくあるご質問(でんさいの割引 ID147)www.densai.net
  4. でんさいネット:よくあるご質問(でんさいを担保にする ID148)www.densai.net
  5. でんさいネット:よくあるご質問(でんさいとファクタリングの違い ID163)www.densai.net
  6. でんさいネット:よくあるご質問(譲渡の制限・譲渡先の限定 ID31)www.densai.net
  7. でんさいネット:よくあるご質問(記録番号の内訳 ID9)www.densai.net
  8. でんさいネット:よくあるご質問(複数の窓口金融機関での利用 ID90)www.densai.net
  9. でんさいネット:よくあるご質問(譲渡のフロー ID32)www.densai.net
  10. でんさいネット:よくあるご質問(譲渡できない期間 ID34)www.densai.net
  11. でんさいネット:よくあるご質問(譲渡保証記録 ID38)www.densai.net
  12. でんさいネット:よくあるご質問(保証しない譲渡 ID39)www.densai.net
  13. でんさいネット:よくあるご質問(支払不能になったでんさいの譲渡 ID40)www.densai.net
  14. でんさいネット:よくあるご質問(電子記録保証人の責任 ID42)www.densai.net
  15. でんさいネット:よくあるご質問(割引の会計処理 ID157)www.densai.net
  16. でんさいネット:よくあるご質問(通常開示で確認できる情報 ID176)www.densai.net

FAQ

よくある質問

でんさいを現金化するにはどうすればよいですか?

支払期日前に現金にするには、取引のある金融機関で割引を受けるか、でんさいの買取に対応するファクタリング会社に譲渡記録で売ります。費用は多くの場合、割引のほうが低くなります。必要な額だけ分割して現金にでき、残りは期日まで待てば口座へ入金されます。

でんさいの割引とファクタリングの違いは何ですか?

割引は金融機関がでんさいを譲り受ける取引で、割引料は年あたりの率で日数に比例します。原則として保証記録が付き、払われなければ自社が払います。ファクタリングは手数料が1回あたりの率で、保証しない譲渡にすれば、払われなかったときの責任を負いません。

でんさいの割引料はいくらですか?

割引料は「額面×割引料率×期日までの日数÷365」で計算し、率は金融機関が売掛先の信用などを見て決めます。公表された統計はありません。仮に500万円を期日の90日前に年5%で割り引くと、割引料は6万1,644円です。年2%なら2万4,658円です。

でんさいをファクタリングすると取引先に知られますか?

譲渡の通知は譲受人に届きますが、売掛先は開示を請求すれば最新の譲渡記録を確かめられます。保証記録を付けて譲渡した場合は、間にいた譲渡人の名前も保証人として見えます。期日の代金は買い手の口座に直接入るので、調べれば売ったことはわかります。

でんさいの割引を銀行に断られたらどうすればよいですか?

ほかの取引銀行で割引を相談するか、でんさいの買取に対応するファクタリング会社に見積もりを取ります。図鑑の197サービスで、名前や必要書類にでんさいを書いているのは1サービスだけなので、対応の有無から尋ねます。手数料は年率にそろえて割引と比べます。

でんさいを譲渡したら、払われなかったときの責任はありますか?

譲渡すると原則として譲渡保証記録が付き、自社が電子記録保証人になります。売掛先が期日に払えなければ、譲渡した自社が代わりに払い、先に売掛先へ請求してほしいとは言えません。受け取る側が保証を求めなければ保証しない譲渡もできますが、扱わない金融機関もあります。

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