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契約更新 2026.10.18

手形とは?約束手形の仕組み・期日の数え方と、受け取ったときの確かめ方

ハカセ
結論

手形(約束手形)とは、代金を払う側が「この金額をこの日に払う」と約束して渡す証券です。受け取った側は満期まで待つか割引で現金にします。仕組み・期日の計算例・不渡り・2027年3月の交換廃止までを解説します。

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フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

手形とは?約束手形の仕組み・期日の数え方と、受け取ったときの確かめ方

取引先から「今回の代金は手形で払います」と言われた。あるいは、手元に初めて手形が届いた。この記事は、そんな経営者や個人事業主に向けて、約束手形の仕組みと、受け取ってから現金になるまでを順に説明します。

紙の手形は、2027年3月31日で銀行どうしの交換が終わります。そのため、今受け取る手形には、数年前にはなかった確かめどころがあります。

この記事を7枚で

1 / 7
約束手形 金額 300万円 満期 11月24日 24 満期の日 受け取る満期を待つ銀行で入金 途中で現金が要るなら割引・裏書。落ちなければ不渡り

この記事の流れ

手形は「この日に払う」約束の証券

この記事で何がわかるの?

約束手形は、代金を払う側が金額と満期を書いて渡す証券です。受け取った側は満期を待って入金を受けるか、満期の前に割引などで現金にします。

取引先振出人あなた受取人 取引先の銀行当座預金あなたの銀行取立て ① 手形 ② 預ける ③ 請求 ④ 支払い

POINT 1

振出人・受取人と2つの銀行

お金は、どうやって払われるの?

取引先が手形を渡し、あなたは満期の前に取引銀行へ取立てを頼みます。満期の日は、銀行どうしのやり取りで取引先の当座預金から払われます。

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8月31日納品の締め 9月25日手形を受け取る 11月24日満期 サイト60日 呈示期間は満期日と次の2取引日(11月24日〜26日)

POINT 2

60日の手形は約3か月後に現金

手形は、いつ現金になるの?

9月25日振出・サイト60日なら満期は11月24日です。8月末の締めから数えると約3か月。呈示期間は満期日と次の2取引日だけなので、取立ては早めに頼みます。

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割引銀行に渡す割引料がかかる裏書支払いに回す費用はかからないファクタリング売掛金を売る手数料がかかる 不渡りなら買戻し不渡りなら請求手形の前に使う 197サービス中、手形を書類に挙げるのは1つ

POINT 3

満期前に現金にする3つの方法

満期前に現金にする方法はある?

割引・裏書・売掛金のファクタリングがあります。割引と裏書は、手形を手放しても不渡りのときの責任が残ります。手形を書類に挙げるサービスは197中1つです。

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1回目2回目 6か月以内 取引停止 2年間 当座預金と貸出の取引ができなくなる 受け取った側は振出人や裏書人に支払いを求める

POINT 4

6か月に2回で取引停止

不渡りを出すと、どうなるの?

不渡りを出した振出人が6か月以内に2回目を出すと取引停止処分になり、2年間、銀行と当座預金や貸出の取引ができません。受け取った側は振出人や裏書人に請求します。

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電子交換所で交換された手形の枚数 2023年度1,123万枚2024年度947万枚2025年度543万枚 2年で48.4%に。それでも不渡りは毎年3,000件台

POINT 5

交換枚数は2年で半分以下

手形は、今どれくらい減ってる?

手形の交換枚数は2023年度の1,123万枚から2025年度は543万枚、48.4%まで減りました。それでも資金不足などによる不渡りは毎年3,000件台あります。

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2026.9.302027.3.31 多くの銀行の最終振出期限 電子交換所での交換の廃止 これからは振込か、でんさいに替えてもらう

POINT 6

9月30日と3月31日を覚える

覚えておく日付はいつ?

多くの銀行が2026年9月30日を最終振出期限にし、2027年3月31日に電子交換所での交換が廃止されます。満期が4月以降の手形は、振込かでんさいに替えてもらいます。

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01

結論:手形とは「決まった日に、決まった金額を払う」と約束した証券

社長

そもそも手形って、どういうものなの?

代金を払う側が「この金額を、この日に払う」と約束して渡す証券です。支払いを数か月先に延ばす後払いの道具で、多くの銀行は2026年9月30日を最終振出期限にしています。まず満期と振出日を確かめてください。

ハカセ

ふだん「手形」と言えば、約束手形のことです。代金を払う側(振出人)が、受け取る側(受取人)に「この金額を、この日に払う」と約束して渡す証券で、払う日を満期と呼びます。受取人は満期まで待てば、銀行を通じてその金額を受け取れます。

つまり手形は、代金の支払いを数か月先に延ばす「後払いの道具」です。満期より前にお金が要るときは、銀行で割り引いてもらう、自社の支払いに回す(裏書)といった方法があります。ただし振出人の口座にお金がなければ、手形は「不渡り」になり、代金を受け取れないおそれがあります。

2026年10月の今は、もう一つ大事な事情があります。多くの銀行が手形の最終振出期限を2026年9月30日にしており、その後に振り出された手形は原則として支払われません。受け取った手形は、まず満期と振出日を確かめてください。※1

この記事で答える問いは、次のとおりです。

  • 約束手形は、誰が何をする仕組みか(為替手形・小切手・でんさいとの違い、手形帳)
  • 手形に書かれていることと、印紙の額
  • 手形はいつ現金になるか(満期・取立て・呈示期間の計算例)
  • 満期より前に現金にする方法と、その費用・責任
  • 不渡りになると何が起きるか
  • 数字で見る今の手形(交換枚数と不渡りの件数)
  • 紙の手形はいつ使えなくなるか
  • 手形で受け取らない方がよい場合と、ほかの方法・よくある失敗
約束手形を受け取ってから現金になるまで
  1. 受け取った日書かれていることを確かめる金額・満期・振出日・受取人・振出人の署名。満期と振出日はとくに大事
  2. 満期までなくさないように保管する途中で現金が要るなら、割引・裏書・ほかの方法を比べる
  3. 満期の前取引銀行に取立てを頼む受付の締切は銀行ごとに違うので、早めに確かめる
  4. 満期振出人の銀行が当座預金から払うお金が足りなければ不渡りになり、手形が返ってくる
この章の根拠(1件)
  1. 全国銀行協会「電子交換所」
02

約束手形の仕組み:振出人・受取人・2つの銀行がすること

社長

手形を受け取ったら、こっちは何をすればいいの?

なくさずに保管し、満期の前に自分の取引銀行へ取立てを頼むことです。満期の日は、電子交換所を通じた銀行どうしのやり取りで、振出人の当座預金から払われます。

ハカセ

約束手形の取引には、代金を払う会社と受け取る会社のほかに、それぞれの銀行が出てきます。誰が何をするかを先に押さえておくと、満期や不渡りの話がわかりやすくなります。

役割 誰か すること
振出人 代金を払う側(発注者・買い手) 銀行に当座預金を開き、手形帳を受け取る。金額と満期を書いて署名し、受取人に渡す。満期までに当座預金にお金を入れておく
受取人 代金を受け取る側(受注者・売り手) 手形を受け取って保管する。満期が近づいたら、自分の取引銀行に取立てを頼む
受取人の銀行 取立てを引き受ける銀行 手形の画像を電子交換所に送り、振出人の銀行に支払いを求める
振出人の銀行 手形に書かれた支払場所 振出人の当座預金から手形の金額を払う。残高が足りなければ、不渡りとして返す

表のとおり、受取人は満期の日に何もしなくても、銀行どうしのやり取りで入金されます。手形をなくさず、期限までに取立てを頼むことが受取人の仕事です。

電子交換所は、全国銀行協会が運営する手形交換所です。2022年11月4日からは、各地の手形交換所に紙を持ち寄る方式をやめ、手形の画像データを銀行どうしで送り合って決済しています。※1

約束手形と代金の流れ(あなたが受け取る側の例)

手形を受け取り、取立てを頼むまで

取引先振出人(代金を払う側)
① 手形を渡す
あなたの会社受取人
② 満期の前に取立てを頼む
あなたの銀行

満期の日

取引先の銀行当座預金がある支払場所
③ 電子交換所で支払いを求める④ 当座預金から払う
あなたの銀行不渡りでなければ、あなたの口座に入金

受け取る側から見た、手形の良い点と困る点

手形が長く使われてきたのは、払う側が支払いを先に延ばせるうえ、受け取る側にも良い点があったからです。一方で、受け取る側だけが負う手間や危険もあります。

良い点 困る点
支払いの約束が紙として残り、金額と日付がはっきりする 満期まで現金にならず、その間の支払いは自分で手当てする
裏書して、自社の仕入先への支払いに回せる 不渡りになれば代金を受け取れず、裏書した先からも支払いを求められる
不渡りには取引停止処分という重い決まりがあり、振出人は期日を守ろうとする 紛失や盗難の危険があり、保管と取立ての手間がかかる
銀行で割り引けば、満期の前に現金にできる 割引には割引料がかかり、銀行との取引がないと使いにくい

今は、良い点のほとんどが、でんさいや振込でも得られるようになりました。そのうえ紙の手形は銀行が扱いをやめていくので、困る点の方が大きくなっています。

為替手形・小切手・でんさいとの違い

手形と名前や役割が似たものが3つあります。違いは「誰が払うか」と「いつ払うか」です。

種類 誰が払うか いつ払うか ひとこと
約束手形 振出人が自分で払う 満期(振出から数か月後のことが多い) 国内の企業間の後払いで使われてきた
為替手形 振出人が指定した支払人 満期 振出人が支払人に「払ってほしい」と頼む形の手形
小切手 振出人の当座預金から銀行が払う 銀行に見せたとき(一覧払) 後払いではなく、現金の代わり
でんさい(電子記録債権) 支払企業 支払期日に口座間で自動で決済 紙の手形の代わりとして銀行がすすめている

為替手形と約束手形は、どちらも手形法に決まりがあります。※2小切手は、記載にかかわらず見せたときに払うものとされています。※3

でんさいは、紙の代わりに電子記録で代金の受け払いをする仕組みです。仕組みの概要はファクタリングとはの中の「電子記録債権と、紙の手形の廃止」の節でもふれています。

手形帳と当座預金:今から新しく手に入れるのは難しい

手形を振り出せるのは、銀行に当座預金(手形や小切手の支払いに使う、利息のつかない口座)を持つ会社です。銀行は当座預金の取引先に、決まった様式の手形用紙をつづった「手形帳」を渡します。

ただし今は、多くの銀行が手形の最終振出期限を2026年9月30日にしています。期限後に振り出した手形は、原則として当座預金から払われません。これから手形帳をもらって手形払いを始めることは、できないと考えてください。※4使わなかった手形用紙の扱いは、銀行ごとの案内に従います。

この章の根拠(4件)
  1. 全国銀行協会「電子交換所における手形交換高などの統計」の見方
  2. 手形法1条・75条
  3. 小切手法28条1項
  4. 全国銀行協会「紙の手形・小切手利用廃止へ」
03

手形に書かれていること:7つの記載事項と印紙の額

社長

受け取った手形の、どこを見ればいいの?

金額・満期・振出日・受取人・振出人の署名などです。空欄や書き直しのある手形はそのまま受け取らないのが安全です。印紙は振出人が貼り、たとえば300万円の手形なら600円です。

ハカセ

約束手形として効力をもつには、法律で決まった7つの事項が書かれている必要があります。※1受け取ったときは、次の表の右の列を見てください。

記載事項 意味 受け取ったときに見るところ
1. 約束手形であることを示す文字 この紙が約束手形だという表示 用紙に印刷されている
2. 一定の金額を払う約束 手形の金額 請求した額と同じか。書き直した跡がないか
3. 満期 払う日 自社の支払いに間に合うか。2027年4月以降になっていないか
4. 支払地 払う場所の地域 支払場所の銀行名とあわせて見る
5. 受取人 支払いを受ける人 自社の名前が正しく書かれているか
6. 振出日と振出地 いつ、どこで振り出したか 空欄でないか。振出人の銀行の最終振出期限より前か
7. 振出人の署名 払う義務を負う人 会社名・代表者名と印があるか

満期が書かれていない手形は、見せたときに払う「一覧払」とみなされます。それ以外の事項が欠けると、原則として約束手形の効力がありません。※2

金額などを後から書き込む前提で空欄にした「白地手形」もあります。後から合意と違う額を書き込まれても、事情を知らずに取得した人には対抗できないとされています。※3受け取る側は、空欄のある手形をそのまま受け取らないのが安全です。

印紙税:手形の金額で決まり、振出人が負担する

約束手形は印紙税がかかる文書(第3号文書)で、手形を作った振出人が、金額に応じた収入印紙を貼ります。※4主な額は次のとおりです。

手形の金額 印紙税(1通)
10万円未満 かからない
10万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 600円
300万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 2,000円
1,000万円超2,000万円以下 4,000円
5,000万円超1億円以下 2万円

たとえば300万円の手形なら600円です。一覧払の手形など一部の手形は、10万円以上でも一律200円になります。金額を書かずに渡された手形は、後から金額を書き込んだ人が作成者とみなされ、印紙税を納める立場になる点にも注意が要ります。※4

この章の根拠(4件)
  1. 手形法75条
  2. 手形法76条
  3. 手形法10条・77条2項
  4. 国税庁 No.7140
04

期日(満期)と取立て:手形はいつ現金になるか

社長

手形をもらってから、いつ現金になるの?

9月25日振出・サイト60日なら満期は11月24日で、8月末の締めから数えると約3か月です。呈示期間は満期日と次の2取引日だけなので、取立ては早めに頼みます。

ハカセ

振出日から満期までの日数を「手形サイト」と呼びます。受取人から見ると、仕事を終えてから現金を手にするまでの待ち時間です。手形の現金化を考えるときは、この日数を最初に数えます。

計算例:9月25日に、サイト60日の手形を受け取ったら

8月分の代金300万円を、9月25日振出・サイト60日の約束手形で受け取ったとします。満期は11月24日(火)です。

日付 起きること
8月31日 8月分の納品を締める
9月25日 手形を受け取る(振出日)
11月上旬〜中旬 取引銀行に手形を預け、取立てを頼む(受付の締切は銀行に確かめる)
11月24日(火) 満期。電子交換所を通じて、振出人の銀行に支払いを求める
11月24日〜26日 支払いのための呈示期間(満期日と、それに続く2取引日)

納品の締めから数えると、現金になるまで約3か月かかります。手形を受け取った日はゴールではなく、待ち時間の始まりです。※1

同じ手形がサイト120日なら、満期は2027年1月23日(土)です。満期が休日のときは、次の取引日まで支払いを求められません。※2サイトがさらに長く、満期が2027年4月以降になる手形は、取立てを受け付けない銀行があります。

サイトの長さで、手元にない代金はどれだけ変わるか

毎月300万円の代金を手形で受け取る取引を考えます。サイト60日なら、まだ現金になっていない手形は常におよそ2か月分、600万円です。サイト120日なら4か月分、1,200万円になります。

この差の600万円は、仕事は終わっているのに使えないお金です。その間の給与や仕入れの支払いは、自社の預金や借入でまかなうことになります。手形サイトを60日に縮めてもらうだけで、資金繰りは大きく楽になります。

取立ての頼み方

  1. 手形の裏面に、銀行の指示どおり自社の記名と押印をして、取引銀行の窓口に預けます。
  2. 銀行が手形の画像を電子交換所に送り、満期に振出人の銀行へ支払いを求めます。
  3. 振出人の銀行が当座預金から払います。足りなければ不渡りとして返します。
  4. 不渡りでなければ、自社の口座に入金されます。いつから使えるかは銀行に確かめます。

取立てが遅れて呈示期間を過ぎると、裏書した前の持ち主に支払いを求める権利を失うおそれがあります。※3振出人に対する請求権も、満期から3年で時効になります。※4

この章の根拠(4件)
  1. 手形法38条1項・77条1項3号
  2. 手形法72条1項・77条1項9号
  3. 手形法53条1項・77条1項4号
  4. 手形法70条1項・78条1項
05

満期より前に現金にする方法:割引・裏書・売掛金のファクタリング

社長

満期まで待てないときは、どうすればいい?

割引・裏書・売掛金のファクタリングがあります。割引と裏書は、手形を手放しても不渡りのときの責任が残ります。受け取った手形を必要書類に挙げるサービスは、197のうち1つだけでした。

ハカセ

満期まで待てないときの方法は、主に3つです。どれも「早く使える」かわりに、費用か責任のどちらかを負います。

方法 何をするか 費用 注意点
手形割引 銀行や信用金庫に手形を渡し、満期までの利息にあたる割引料を引いた額を受け取る 割引料(手形の金額×割引率×満期までの日数÷365が基本) 不渡りになると、割り引いた銀行から買戻しを求められる。割引の取引がある銀行でないと使いにくい
裏書譲渡 手形の裏面に署名して、自社の仕入先への支払いなどに回す かからない 不渡りになると、渡した相手から支払いを求められる
売掛金のファクタリング 手形で受け取る前の売掛金や、振込で払われる売掛金を売る 手数料 受け取った後の手形そのものを扱う会社は少ない

割引と裏書には、共通の落とし穴があります。手形を手放しても、振出人が払わなければ、裏書した人は後の持ち主に払う責任を負います。※1手元から手形がなくなっても、満期に無事に支払われるまで責任は残ると考えておきます。

また、手形の割引は、法律上は「貸付け」の一つとして扱われます。※2銀行などの金融機関でない会社が手形の割引を仕事として行うには、貸金業の登録が要ります。割引をうたう相手が登録業者かどうかの確かめ方は、ファクタリングは違法かで説明しています。

図鑑のデータ:受け取った手形を書類に挙げるサービスは1つ

図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)の必要書類を見ました。受け取った手形(原本やコピー)を挙げているのは、1サービスだけでした。ファクタリングは、請求書の売掛金を買い取るのが基本の形だからです。

そのため手形で払われる取引では、手形を受け取る前の売掛金の段階で考えるのが現実的です。請求書を売る仕組みと、使えるサービスの型は請求書の買取(現金化)にまとめています。

費用は「年率」にそろえて比べる

割引料は年率で示されることが多く、ファクタリングの手数料は1回あたりの率で示されます。そのままでは比べられないので、ファクタリングの手数料も年率に直します。

たとえば手数料5%で60日早く受け取るなら、5÷95÷60×365=約32%です。手取りの額と年率は手取りと実質年率のシミュレーターで計算でき、式の考え方は手数料の計算と実質年率で説明しています。

割引料の計算例と、手形が落ちたときに買い戻す条件は手形割引とは(割引料の計算と買戻し)で詳しく説明しています。

裏書の書き方と、不渡りのときに裏書人が負う責任の期限は手形の裏書とはの記事で説明しています。

この章の根拠(2件)
  1. 手形法15条1項・77条1項1号
  2. 貸金業法2条1項
06

不渡りとは:手形が落ちなかったときに起きること

社長

手形が落ちなかったら、どうなるの?

振出人は不渡報告に載り、6か月以内に2回目を出すと取引停止処分で、2年間銀行と当座預金や貸出の取引ができません。受け取った側は、振出人や裏書人に支払いを求めます。

ハカセ

不渡りは、満期に手形を呈示しても支払われないことです。全国銀行協会の統計では、理由によって大きく2つに分けています。

区分 主な理由 意味
第1号不渡 資金不足・取引なし 振出人の信用や支払能力にかかわる不渡り
第2号不渡 債務不履行・詐取・紛失・盗難など 支払能力とは別の理由で払われない不渡り

不渡りを出した振出人は、まず「不渡報告」に載ります。その手形の交換日から6か月以内に2回目の不渡りを出すと、取引停止処分になります。※1

取引停止処分を受けると、その日から2年間、電子交換所に参加する銀行と当座預金や貸出の取引ができません。※2手形を出す会社にとって、取引停止は事業を続けることが難しくなるほど重い処分なので、振出人は普通、2回目を避けようとします。

受け取る前に、振出人の危なさを感じ取るには

不渡りの情報は、電子交換所と参加する銀行の間だけで使われ、受取人が調べることはできません。※3そのため受け取る側は、取引の中で見える変化に気を配ることになります。

  • 手形サイトを急に延ばしたいと言われた
  • 満期の前に「期日を延ばしてほしい」と、手形の書き換え(いわゆるジャンプ)を頼まれた
  • これまで振込だった支払いを、手形に替えたいと言われた
  • 支払場所の銀行が、これまでと違う銀行になった

どれか1つで危ないとは言えませんが、重なるときは、取引の量を抑える、次の分から振込にしてもらうなど、受け取る額を小さくしておきます。

受け取った手形が不渡りになったら

  1. 銀行から連絡を受け、不渡りの理由が書かれた手形を返してもらいます。
  2. 振出人に連絡し、いつ、どう払うのかを書面で確かめます。
  3. 裏書で受け取った手形なら、前の持ち主(裏書人)にも支払いを求められます。
  4. 手形を割り引いていたなら、銀行から買戻しを求められるので、その資金を用意します。
  5. 入るはずだった代金がなくなる分、自社の支払いの手当てを考えます。

裏書人への請求には期限があり、原則として1年です。※4回収が難しそうなら、早めに弁護士に相談します。自社の支払いが間に合わないときの打つ手の順番は、資金繰りが苦しいときの対処で説明しています。

この章の根拠(4件)
  1. 電子交換所規則41条・42条1項
  2. 電子交換所規則39条2項
  3. 電子交換所規則43条
  4. 手形法70条2項・77条1項8号
07

数字で見る今の手形:交換枚数は2年で半分以下に

社長

今も手形って、たくさん使われてるの?

手形の交換枚数は2023年度の1,123万枚から2025年度は543万枚と、2年で半分以下です。それでも資金不足などの第1号不渡は2025年度で3,067件あり、落ちない手形の心配は残っています。

ハカセ

全国銀行協会が毎月公表している電子交換所の統計から、手形(約束手形・為替手形)の交換枚数と金額、不渡りの件数を年度ごとに集計しました。2022年度は電子交換所に移った11月からの数字なので除いています。

年度 手形の交換枚数 交換金額 1枚あたりの平均 第1号不渡 取引停止報告
2023年度 1,123万枚 24.0兆円 214万円 3,789件 466件
2024年度 947万枚 20.4兆円 216万円 3,455件 465件
2025年度 543万枚 11.6兆円 214万円 3,067件 395件

※第1号不渡と取引停止報告は、統計の区分のまま手形と小切手の合計です。第1号不渡の件数は、不渡りになった手形・小切手の枚数を表します。※1

2025年度の手形の枚数は2023年度の48.4%で、2年で半分以下になりました。直近の2026年8月は10.5万枚で、前年同月(29.6万枚)の35.5%です。全国銀行協会の調査報告書では、2025年の手形・小切手の交換枚数は1,416万枚です。前年の1,967万枚から減ったものの、目標の984万枚より多く残っています。※2

電子交換所で交換された手形の枚数と、第1号不渡の件数(全国銀行協会の統計から集計)

手形の交換枚数

  1. 2023年度1,123万枚
  2. 2024年度947万枚
  3. 2025年度543万枚

第1号不渡(資金不足・取引なし。手形と小切手の合計)

  1. 2023年度3,789件
  2. 2024年度3,455件
  3. 2025年度3,067件

手形の枚数2025年度(2023年度の48.4%)不渡りの件数

月ごとに見ても減り方ははっきりしています。2026年8月の第1号不渡は96件で、前年同月の204件の半分以下でした。最終振出期限の前後にあたる2026年9月以降の統計は、この記事の時点(2026年10月17日)ではまだ公表されていません。

この表から読み取れることは2つあります。1つは、1枚あたりの平均が約214万円で、手形は今もまとまった額の代金に使われていることです。

もう1つは、枚数が半分になっても、資金不足などによる不渡りは2025年度で3,067件と、2割ほどしか減っていないことです。手形が少なくなった今も、「落ちない手形」を受け取る可能性は残っています。

この章の根拠(2件)
  1. 全国銀行協会「電子交換所における手形交換高などの統計」
  2. 全国銀行協会「手形・小切手機能の電子化状況に関する調査報告書」(2026年3月27日)
08

紙の手形はいつ使えなくなるか:2026年9月30日と2027年3月31日

社長

紙の手形は、結局いつまで使えるの?

多くの銀行が2026年9月30日を最終振出期限にし、2027年3月31日に電子交換所での交換が廃止されます。4月からまったく使えないわけではありませんが、扱うかは銀行の判断になります。

ハカセ

電子交換所での手形・小切手の交換は、2027年3月31日で廃止されます。その前に、多くの銀行が2026年9月30日を最終振出期限にしています。※1

日付 何が起きたか・起きるか
2022年11月4日 各地の手形交換所から電子交換所へ移る
2024年11月1日 サイトが60日を超える手形などが、下請法の指導の対象になる
2026年1月1日 取適法が始まる。対象の取引では、この日以後の発注の代金を手形で払うことが禁止
2026年9月30日 多くの銀行の、手形・小切手の最終振出期限
2027年3月31日 電子交換所での手形・小切手の交換が廃止
2027年4月1日 独占禁止法の「支払告示」が始まり、取適法の対象外の取引でも、受け取った日から60日以内の支払いが求められる

表の2024年と2026年の行は、公正取引委員会の発表によります。※2取適法では、でんさいなど手形以外の手段も、60日以内の支払期日までに代金の満額を現金で受け取れないなら、原則として使えません。※3

なお全国銀行協会は、2027年4月1日から手形がまったく使えなくなるわけではないとしています。ただ、電子交換所を通さず郵送などで銀行どうしが個別に決済することになり、取り扱うかどうかは銀行の判断で変わる可能性があります。※4

決まった経緯と、手形で受け取っている事業者が今することは、ニュース手形・小切手の交換は2027年3月31日で終了へにまとめています。満期の一覧づくりや、取引先との切替えの相談の進め方も載せています。

この章の根拠(4件)
  1. 全国銀行協会「電子交換所」
  2. 公正取引委員会「手形等のサイトの短縮について」(2024年10月1日)
  3. 公正取引委員会「約束手形の利用廃止を踏まえたサプライチェーン全体での支払の適正化について」(2026年9月2日)
  4. 全国銀行協会(2026年6月18日)
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手形で受け取らない方がよい場合と、ほかの方法

社長

手形のまま受け取らないほうがいいのは、どんなとき?

満期が2027年4月以降、振出日が銀行の期限より後、取適法の対象なのに手形で払われている、サイトが長くて支払いが回らない、といった場合です。振込やでんさいに替えてもらう相談をします。

ハカセ

次のどれかに当てはまるなら、手形のまま受け取り続けるより、支払い方法を変えてもらう方が安全です。

  • 満期が2027年4月以降になっている
  • 振出日が2026年10月1日以降で、振出人の銀行が最終振出期限を決めている
  • 取引が取適法の対象で、2026年1月1日以後の発注なのに手形で払われている
  • サイトが長く、満期まで待つと自社の支払いが回らない
手元の手形をどうするか(2026年10月時点)
  1. 満期は2027年3月31日より前?はい → 次へいいえ → 取立てできるかを取引銀行に聞き、振込かでんさいでの支払いに替えてもらう
  2. 振出日は、振出人の銀行の最終振出期限より前?はい → 次へいいえ・わからない → 支払われないおそれがある。振出人に確かめ、別の方法での支払いを頼む
  3. 満期まで待っても、自社の支払いは回る?はい → 満期の前に取立てを頼み、そのまま待ついいえ → 次へ
  4. 取引のある銀行で割り引いてもらえる?はい → 割引料と、不渡りのときの買戻しの条件を確かめて割り引くいいえ → 次の請求から振込に替えてもらい、売掛金の段階でファクタリングや融資を比べる

手形の代わりの方法は、急ぎかどうかと、取引先が応じてくれるかで選びます。

方法 向いている場面 注意点
振込への切替え これからの取引すべて 支払日を手形の満期より早めてもらえるかも、あわせて相談する
でんさい 取引先がでんさいを使っている 受け取る側も取引銀行で利用を申し込む。期日前の割引や譲渡もできる
早めの支払いの相談 取引先と関係が良く、一度だけ急ぐ 代金から差し引かれる額を書面で確かめる
融資(銀行・日本政策金融公庫など) 入金まで日数に余裕がある 審査に日数がかかる。違いはファクタリングと融資の違い
売掛金のファクタリング 数日のうちに現金が要る 手数料を年率に直して比べる
公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口 取適法の対象なのに手形払いが続く 取引の内容と両社の規模で、対象かどうかが決まる

取引先への切替えの相談は、具体的な日付を添えて

振込への切替えを頼むときは、「手形は困る」と言うより、銀行の事情と日付を伝える方が話が進みます。たとえば次のような一文です。

「取引銀行から、満期が2027年4月以降の手形は取立てを受け付けられないと案内がありました。次回のお支払い分から、振込(またはでんさい)でお願いできないでしょうか。支払日は、これまでの手形の満期と同じか、それより前でご検討ください。」

先に自分の取引銀行に、手形の取扱いがいつまでかを聞いておくと、この相談に具体的な根拠を添えられます。返事はメールなど記録に残る形でもらいます。

取適法の対象かどうかは、取引の内容と、発注者・受注者の資本金や従業員の数で決まります。すべての取引が対象ではないので、まず自分の取引が当てはまるかを確かめてから相談します。

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よくある失敗と注意点

社長

手形で、やってしまいがちな失敗は?

満期だけ見て振出日を見ない、休日の入金日を数え違える、取立ての締切に遅れる、裏書や割引をしたら関係ないと思う、などです。受け取った日・金額・満期・振出人は台帳に書いておきます。

ハカセ

手形で困るのは、仕組みを知らなかったときより、確かめるのを1つ飛ばしたときです。よくある失敗を並べます。

  • 満期だけ見て、振出日を見ない:振出人の銀行の最終振出期限より後に振り出された手形は、原則として支払われません。各銀行の期限は全国銀行協会のサイトに一覧がありますが、銀行の発表がすぐ反映されるとは限らないので、振出人にも確かめます。
  • 満期が休日のときの入金日を数え違える:満期が土日・祝日なら、支払いを求められるのは次の取引日からです。自社の支払いの予定は、1日ずれる前提で組みます。
  • 取立ての締切に遅れる:呈示期間は満期日と次の2取引日だけです。銀行の受付の締切はもっと前なので、満期の直前に慌てないようにします。
  • 裏書・割引したら関係ないと思う:不渡りになれば、手放した手形でも買戻しや支払いを求められます。
  • 空欄や書き直しのある手形を受け取る:金額や満期が空いた手形、訂正のある手形は、その場で振出人に直してもらいます。
  • 手形をなくす:なくした手形を無効にするには、支払地の簡易裁判所に公示催告を申し立て、除権決定を受ける手続きが要り、時間がかかります。
  • 割引の差額の記帳を迷う:会計では手形売却損として扱う例が多いので、顧問の税理士に科目を確かめておきます。

手形の紛失についての手続きは、非訟事件手続法に定めがあります。※1原本は、金庫など決まった場所に保管し、受け取った日・金額・満期・振出人を台帳に書いておくと、取立ての頼み忘れも防げます。

最後にもう一度まとめます。手形を受け取ったら、満期と振出日を確かめ、満期の前に取立てを頼み、2027年4月以降の取引は振込かでんさいに替えてもらう。この3つを押さえれば、手形で代金を受け取れなくなる場面の多くは防げます。

この章の根拠(1件)
  1. 非訟事件手続法114条・115条・118条
出典(15件)公的機関の資料・法令。2026.10.18に確認
  1. 手形法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  2. 小切手法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  3. 貸金業法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  4. 非訟事件手続法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  5. 紙の手形・小切手利用廃止へ(全国銀行協会)www.zenginkyo.or.jp
  6. 電子交換所(全国銀行協会)www.zenginkyo.or.jp
  7. 電子交換所の交換廃止時期の決定および手形・小切手交換廃止時期の明確化について(全国銀行協会、2026年6月18日)www.zenginkyo.or.jp
  8. 「手形・小切手機能の電子化状況に関する調査報告書」等について(全国銀行協会、2026年3月27日)www.zenginkyo.or.jp
  9. 電子交換所規則(全国銀行協会)www.zenginkyo.or.jp
  10. 電子交換所における手形交換高などの統計(統計の見方、全国銀行協会)www.zenginkyo.or.jp
  11. 手形交換高などの交換所統計(全国銀行協会)www.zenginkyo.or.jp
  12. No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで(国税庁)www.nta.go.jp
  13. 手形等のサイトの短縮について(公正取引委員会、2024年10月1日)www.jftc.go.jp
  14. 約束手形の利用廃止を踏まえたサプライチェーン全体での支払の適正化について(公正取引委員会、2026年9月2日)www.jftc.go.jp
  15. よくある質問コーナー(取適法)(公正取引委員会)www.jftc.go.jp

FAQ

よくある質問

約束手形とは簡単に言うと何ですか?

代金を払う側(振出人)が、受け取る側に「この金額を、この日(満期)に払う」と約束して渡す証券です。受け取った側は、満期の前に取引銀行に取立てを頼めば、満期に振出人の当座預金から代金が払われます。代金の支払いを数か月先に延ばす後払いの道具で、満期より前に現金が要るときは、銀行で割り引いてもらう方法などがあります。

手形はいつ現金になりますか?

満期の日です。満期の前に取引銀行に取立てを頼むと、満期に電子交換所を通じて振出人の銀行に支払いが求められ、不渡りでなければ入金されます。たとえば9月25日振出・サイト60日の手形なら満期は11月24日で、8月末の締めから数えると約3か月かかります。支払いのための呈示期間は、満期日と次の2取引日だけです。

手形帳は今から作れますか?

手形帳は、当座預金を持つ会社に銀行が渡す手形用紙のつづりです。ただし多くの銀行が2026年9月30日を手形の最終振出期限にしており、その後に振り出した手形は原則として当座預金から支払われません。これから手形帳をもらって手形払いを始めることはできないと考え、振込やでんさいを使います。

手形が不渡りになるとどうなりますか?

振出人は不渡報告に載り、その手形の交換日から6か月以内に2回目の不渡りを出すと取引停止処分になります。処分の日から2年間、電子交換所に参加する銀行と当座預金や貸出の取引ができません。受け取った側は振出人に支払いを求め、裏書で受け取った手形なら前の持ち主にも請求できます。割り引いていた手形は、銀行から買戻しを求められます。

手形は2027年4月から使えなくなりますか?

電子交換所での手形・小切手の交換は2027年3月31日で廃止されます。全国銀行協会は、4月1日からまったく使えなくなるわけではないとしていますが、郵送などで銀行どうしが個別に決済することになり、扱うかは銀行の判断で変わる可能性があります。満期が2027年4月以降の手形は、取立てを受け付けない銀行もあります。

受け取った手形をファクタリングで現金にできますか?

ファクタリングは請求書の売掛金を買い取るのが基本の形で、図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、必要書類に受け取った手形を挙げているのは1サービスだけでした。手形で払われる取引なら、手形を受け取る前の売掛金の段階で考えるか、振込への切替えを頼むのが現実的です。手形のままなら、銀行での割引が中心になります。

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