契約更新 2026.10.17
でんさいとは?手形との違いと、譲渡・割引・分割の使い方と始め方
でんさいは、でんさいネットが扱う電子記録債権で、電子になった手形です。印紙税がかからず、支払期日に自動で入金され、期日前は譲渡・割引・分割で使えます。手形との違い、使い方、始め方を統計と計算例で説明します。
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フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

取引先から「来月の支払いから、手形をやめてでんさいにします」という案内が届いた。そんなとき、でんさいが何で、受け取った側は何をすればよいのかを知りたい人に向けた記事です。
でんさいの仕組みと手形との違い、受け取ったでんさいを期日前に使う方法(譲渡・割引・分割)を説明します。利用の始め方と注意点も、でんさいネットの統計と計算例を使って順にまとめます。
この記事を7枚で
1 / 7先に結論:でんさいは「電子になった手形」。期日に自動で入金され、期日前は譲渡・割引・分割で使える
取引先から「でんさいで払う」って言われたけど、何それ?
でんさいネットが扱う電子記録債権で、電子になった手形です。印紙税がかからず、支払期日に自動で入金され、期日前は譲渡・割引・分割で使えます。
でんさいは、全国銀行協会が作った「でんさいネット」(正式名は株式会社全銀電子債権ネットワーク)が扱う電子記録債権のことです。電子記録債権とは、発生と譲渡に電子の記録が必要とされる、お金を受け取る権利のことです。※1
働きは約束手形とほぼ同じです。支払う会社が「いつまでに、いくら払う」と記録し、受け取った会社は支払期日まで待つか、期日前にほかの使い方をします。
この記事の要点は次の5つです。
- でんさいは紙の券面が無く、印紙税がかかりません。紛失や盗難の心配もありません。
- 支払期日になると、支払う会社の口座から受け取る会社の口座へ自動で送金されます。手形のような取立ての手続きは要りません。
- 期日前に使う方法は3つです。仕入先への支払いに回す「譲渡」、金融機関に買い取ってもらう「割引」、必要な額だけ切り分ける「分割」です。
- 使うには、自社と取引先の両方が、取引のある金融機関とでんさいの利用契約を結ぶ必要があります。
- 支払期日に払えないと「支払不能」になり、6か月に2回で取引停止処分を受けます。手形の不渡りに似た仕組みです。
章の順番は、仕組み→手形との違い→4つの使い方→数字での確認→始め方→使わないほうがよい場合→よくある失敗です。
発生から支払期日まで
この章の根拠(1件)
- 電子記録債権法2条1項
でんさいの仕組み:誰が、何を、どこに記録するのか
でんさいネットと、直接やりとりするの?
いいえ。取引のある金融機関のネットバンキングや書面を通じて記録を頼みます。発生記録で生まれ、譲渡記録で移り、支払期日に口座から口座へ自動で送金されて消えます。
でんさいに出てくる登場人物は4つです。支払う会社(債務者)、受け取る会社(債権者)、それぞれの取引金融機関(窓口金融機関)、そして記録を管理するでんさいネットです。
記録するのは「でんさいネット」、手続きの窓口は金融機関
利用者がでんさいネットと直接やりとりすることはありません。取引のある金融機関のネットバンキングや書面を通じて、記録をお願いします。利用者・金融機関・でんさいネットの3者で利用契約を結ぶ形です。
でんさいネットには、銀行・信用金庫・信用組合・農協系の金融機関などが参加しています。2024年10月の時点で参加金融機関は493です。国が指定した5つの電子債権記録機関の中で最も多い、とでんさいネットは説明しています。
「発生記録」で生まれ、「譲渡記録」で移り、自動送金で消える
でんさいの一生は、記録の積み重ねです。代表的な記録は次の4つです。
| 記録の名前 | 何が起きるか | 誰が頼むか |
|---|---|---|
| 発生記録 | でんさいが生まれる。金額・支払期日・債権者などが記録される | ふつうは支払う会社 |
| 譲渡記録 | でんさいを別の会社に渡す。記録しないと譲渡の効力が出ない | 今の債権者 |
| 分割記録 | 1つのでんさいを2つに分ける。分けた側を譲渡する | 今の債権者 |
| 支払等記録 | 支払いが終わったことが記録され、でんさいが消える | 口座間の送金なら自動 |
電子記録債権は発生記録をすることで生じ、譲渡は譲渡記録をしなければ効力を生じません。※1記録そのものが権利の中身なので、紙の手形を渡す代わりに記録を書き換える、と考えるとわかりやすいです。
支払期日の前後で起きること
支払いは「口座間送金決済」が原則で、債務者も債権者も期日に手続きをする必要はありません。でんさいネットの説明では、流れは次のとおりです。
- 期日の2銀行営業日前:でんさいネットが、支払う会社の金融機関に送金先などの情報を送ります。
- 支払期日の当日:支払う会社の口座から、その時点の債権者の口座へ送金されます。
- 期日から3銀行営業日が過ぎたとき:支払いが終わったことが記録されます。入金が無ければ、この時点から支払不能かどうかを確かめられます。
支払期日を土日・祝日にして記録を頼んだ場合は、翌銀行営業日が支払期日になります。支払う会社は、期日より前に余裕をもって口座に資金を用意しておきます。
受け付けの時間は、金融機関ごとに午前7時から午前0時までの範囲で決まっています。平日の午前9時から午後3時はどの金融機関でも使えますが、毎月第2土曜日は原則としてサービスが止まります。
記録の中身は、いつでも確かめられる
自分が関係するでんさいの中身は、窓口金融機関を通じて「開示」を頼めば確かめられます。金額・支払期日・今の債権者・保証人などが見られます。
1つ1つのでんさいには20桁の記録番号が付き、あとから変わることはありません。手形の「振出日」にあたるのは、記録の「発生日」です。
記録は、でんさいネットが少なくとも10年は保存するとしています。紙の手形のように、券面を金庫で保管しておく必要はありません。
ふつうの売掛金との違い
売掛金(請求書の代金を受け取る権利)を人に渡すときは、取引先への通知や承諾、法人なら債権譲渡登記といった手当てが必要です。詳しくは債権譲渡登記の仕組みで説明しています。
でんさいは記録だけで譲渡が完了し、支払う会社への通知は要りません。記録を信じて受け取った人は、原則としてそのでんさいを取得できます。※2また、支払う会社は、前の持ち主との間の事情(品物の不具合など)を理由に、新しい持ち主への支払いを原則として拒めません。※3
つまりでんさいは、売掛金よりも人に渡しやすく、受け取る側が安心しやすい形に作られています。これが、手形の代わりとして使われる理由です。
この章の根拠(3件)
- 電子記録債権法15条・17条
- 電子記録債権法19条1項
- 電子記録債権法20条1項
でんさいと手形の違い:働きは同じ、手間とリスクが違う
手形と比べて、何がいいの?
働きは同じで、手間とリスクが違います。300万円の手形には600円の印紙税がかかりますが、でんさいはかかりません。手形は翌営業日以降、でんさいは期日の当日から使えます。
手形とでんさいは、どちらも「決まった日に決まった額を払う」約束です。違いは、紙か電子か、という点から生まれます。
| 比べる点 | 約束手形 | でんさい |
|---|---|---|
| 形 | 紙の券面 | でんさいネットの電子記録 |
| 印紙税 | かかる(300万円の手形なら600円) | かからない |
| 受け渡し | 郵送・手渡し。領収書も発行することが多い | ネットバンキングで記録。郵送は不要 |
| 支払期日の入金 | 金融機関に取立てを頼む。資金を使えるのは期日の翌営業日以降 | 自動で送金。期日当日から使える |
| 一部だけ使う | できない(額面のまま裏書・割引) | 分割して必要な額だけ譲渡・割引できる |
| 紛失・盗難 | 事情を知らない第三者に渡ると、権利を失うおそれ | 現物が無いので起きない |
| 支払われないとき | 不渡り。6か月に2回で取引停止処分 | 支払不能。6か月に2回で取引停止処分(2年) |
| 時効 | 3年(裏書人への請求は1年) | 3年(保証人への請求も3年) |
受け取る側にとって大きいのは、取立ての手間と、入金日の1日の差です。手形は期日に取立てた資金が使えるのが翌営業日以降ですが、でんさいは期日当日に入金され、入金されたときから使えます。
印紙税は支払う側の費用ですが、受け取る側にも関係があります。手形を受け取って領収書を出すと、その領収書に収入印紙が要ることがあります。でんさいで受け取り、領収書に「でんさいで受領」と書けば、印紙は不要だとでんさいネットは説明しています。
時効は、手形もでんさいも3年です。違うのは保証の側で、手形の裏書人への請求は1年ですが、でんさいの保証人への請求は3年です。※1
約束手形紙で受け渡す
- もの
- 紙の券面
- 印紙税
- 300万円で600円
- 期日の入金
- 取立てが必要。使えるのは翌営業日以降
- 一部だけ使う
- できない(額面ごと)
- なくす・盗まれる
- 他人の手に渡るおそれ
- 支払われないとき
- 不渡り(6か月に2回で取引停止)
でんさい電子で記録する
- もの
- 電子の記録
- 印紙税
- かからない
- 期日の入金
- 自動で入金。期日当日から使える
- 一部だけ使う
- 1円単位で分割できる
- なくす・盗まれる
- 現物がない
- 支払われないとき
- 支払不能処分(6か月に2回で取引停止)
期日振込やファクタリングとは何が違うか
期日振込(支払期日に振り込む約束)でも、期日に入金される点は同じです。違いは、でんさいなら期日前に譲渡・割引・分割ができることです。期日振込の売掛金は、期日までそのまま待つのが基本です。
ファクタリングは、持っている売掛金などを期日前に売って現金にするサービスです。でんさいは支払いの手段そのものなので、比べる対象が違います。ファクタリングの全体像はファクタリングとはにまとめています。
この章の根拠(1件)
- 電子記録債権法23条
でんさいの4つの使い方:発生・譲渡・割引・分割
期日の前にお金が必要になったら?
仕入先への支払いに回す譲渡、金融機関の割引、必要な額だけ切り分ける分割があります。分割は手形にない使い方です。譲渡すると、原則として自社が保証人として記録されます。
受け取ったでんさいは、支払期日まで持っていれば自動で入金されます。期日の前にお金が必要になったときは、次の方法があります。
1. 発生:支払う会社が記録して、でんさいが生まれる
でんさいは、ふつう支払う会社が金融機関を通じて発生記録を頼むことで生まれます。受け取る会社には、金融機関から通知が届きます。
受け取る会社が頼む方式(債権者請求方式)もありますが、使えるのは金融機関と支払う会社が認めた場合だけです。この場合、支払う会社が通知から5銀行営業日以内に承諾しないと、でんさいは生まれません。
金額は1円以上100億円未満で、支払いは一括払いだけです。支払期日は、支払う会社が頼む場合、期日の3銀行営業日前まで発生させられます(対応していない金融機関や、受け取る側が頼む場合は7銀行営業日前まで)。
2. 譲渡:仕入先への支払いに回す
受け取ったでんさいを、そのまま自社の仕入先に渡して支払いに充てられます。手形の裏書と同じ使い方です。仕入先もでんさいを使っている必要があります。
譲渡するときは、原則として自社が保証人として記録されます(譲渡保証記録)。もとの支払う会社が期日に払えなかったとき、渡した側が代わりに払う責任を負うということです。相手が保証を求めなければ、保証なしで渡すこともできますが、扱わない金融機関もあります。
譲渡できない期間もあります。支払期日の2銀行営業日前から、期日から数えて3銀行営業日が過ぎるまでは、譲渡の記録を頼めません(対応していない金融機関では6銀行営業日前から)。
支払う会社が、でんさいの譲渡を禁止したり回数を制限したりすることはできません。できるのは、譲渡先を参加金融機関に限る設定だけです。受け取った側は、原則として自由に仕入先へ回せます。
期日に支払われなかったでんさいも、期日から3銀行営業日が過ぎれば譲渡できます。ただし全額の譲渡に限られ、分割はできません。
3. 割引:金融機関に買い取ってもらい、期日前に現金にする
割引は、でんさいを金融機関に渡し、支払期日までの日数に応じた割引料を引いた額を受け取る方法です。手形の割引と同じ考え方です。
割引をするかどうか、条件をどうするかは、各金融機関が自分で決めます。でんさいネットは取扱いの状況を把握していないとしています。割引料は、支払う会社の信用や期日までの日数で変わるので、取引のある金融機関に尋ねます。
割引のほかに、でんさいを担保にお金を借りる方法もあります。これも金融機関ごとの判断です。割引とファクタリングなど、期日前に現金にする方法の費用の比べ方は、売掛金を早く現金にする方法の比較も参考になります。
4. 分割:必要な額だけ切り分けて使う
手形にない、でんさいだけの使い方が分割です。1つのでんさいを2つに分け、分けた側を譲渡したり割り引いたりできます。※1
たとえば500万円のでんさいから180万円だけを仕入先に渡せば、手元には320万円のでんさいが残ります。分ける額は1円以上で、分割や譲渡の回数に原則として制限はありません。
分割したあとで譲渡を取り消しても、分割の記録は残ります。40万円を分けて渡したあと取り消すと、40万円と60万円の2つのでんさいを持つことになります。
この章の根拠(1件)
- 電子記録債権法43条1項
数字で確かめる:どれくらい使われ、いくらかかるのか
でんさいって、大企業だけのものじゃないの?
発生件数の75.9%は、中小企業・個人事業主が支払う側のでんさいです。12か月の発生記録は1,052万件で、支払不能は7,525件に1件でした。
でんさいネットの統計:中小企業の利用が4分の3
でんさいネットの統計(2025年10月〜2026年9月の12か月)を集計すると、次のことがわかります。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 利用者登録数(2026年9月末) | 585,095社(1年で40,635社増) |
| 発生記録の件数(12か月) | 1,052万件(前の12か月より14.7%増) |
| 発生記録の金額(12か月) | 51.3兆円(1件平均488万円) |
| 譲渡記録の件数(12か月) | 201万件(発生件数の19.2%) |
| 分割記録の件数(12か月) | 36万件 |
| 支払不能になった件数(12か月) | 1,399件(7,525件に1件) |
| 取引停止処分(12か月) | 99件 |
発生件数の75.9%は、統計で中小企業・個人事業主に分類される会社が支払う側のでんさいです。でんさいは大企業だけの仕組みではありません。
中小企業・個人事業主(合わせて75.9%)中堅企業・大企業
1件あたりの平均額は、大企業で1,294万円、中小企業2・個人事業主で287万円です。数百万円の支払いに日常的に使われていることがわかります。
受け取ったでんさいを別の会社に渡す譲渡は、発生件数の約5件に1件の割合です。支払不能は7,525件に1件で、ほとんどのでんさいは期日どおりに入金されています。
伸びも大きく、年間の発生件数は2014年の約62万件から、2024年には約802万件になりました。全国銀行協会も同じ数字を示し、手形からの切り替えを呼びかけています。
計算例1:手形をやめると印紙税はいくら減るか
300万円の約束手形には、600円の収入印紙が要ります(200万円を超え300万円以下)。毎月20枚を振り出す会社なら、印紙税だけで年に14万4,000円です。
でんさいなら印紙税はかかりません。代わりに金融機関の手数料がかかり、でんさいネットは「発生記録の手数料は1件あたり数百円の例が多い」と説明しています。インターネットバンキングの契約が要らない「でんさいライト」では、発生記録1件264円(税込み)です。
でんさいライトで毎月20件を発生させると、年に6万3,360円です。用紙代・郵送料・手作業の時間も減るので、支払う側にとって切り替える理由になります。
計算例2:300万円のでんさいを60日前に割り引くと
割引料は「額面×割引料率×期日までの日数÷365」で計算します。ここでは割引料率を年3%と仮定します(実際の料率は金融機関が決めます)。
- 割引料:300万円×3%×60÷365=1万4,795円
- 受け取る額:300万円−1万4,795円=298万5,205円
割引料率は1年あたりの率です。ファクタリングの手数料は1回あたりの率で示されるので、比べるときは手取りと実質年率の計算で年率にそろえます。
計算例3:分割して、一部だけ割り引く
500万円のでんさいを受け取り、仕入先への支払い180万円を分割して譲渡したとします。手元には320万円のでんさいが残ります。
さらに、そのうち200万円だけを期日の45日前に年3%で割り引くと、割引料は200万円×3%×45÷365=7,397円です。残りの120万円は期日まで持ち、自動で入金されます。手形なら500万円を丸ごと裏書か割引にするしかありません。
でんさいの始め方:受け取る側・支払う側の手順
うちが受け取る側なら、何をすればいい?
案内状を読み、取引のある金融機関に申し込み、利用者番号と口座を支払う会社に伝えます。支払期日までの日数や、手数料をどちらが負担するかも案内状で確かめます。
でんさいを使えるのは、一定の条件を満たす法人と個人事業主です。事業をしていない個人は使えません。
条件は、国内に住んでいること、窓口金融機関に決済用の口座があること、暴力団員などでないことなどです。支払う側として使う場合は、支払いの能力があることも求められ、金融機関の審査があります。
受け取る側の手順
多くの場合、始まりは支払う会社からの案内状です。でんさいネットが示す流れを、受け取る側の目線で並べると次のとおりです。
- 案内状を読む:いつの支払いから、どの取引がでんさいになるかを確かめます。
- 費用と社内の手順を確かめる:取引金融機関の手数料(受け取ったときの入金手数料を含む)と、会計ソフトの対応を確認します。
- 金融機関に申し込む:審査を経て利用契約を結ぶと、利用者番号が付きます。
- 支払う会社に回答する:利用者番号と、入金を受ける口座を伝えます。
- 初期設定をする:操作する担当者と承認する人を決め、通知メールの宛先を設定します。
- 最初案内状を読む支払う会社から届く。いつから・どの取引がでんさいになるか
- 申込み取引のある金融機関に申し込む窓口の金融機関で審査を受け、利用契約を結ぶ
- 契約後利用者番号と口座を伝える支払う会社へ回答書を返す
- 初回まで担当者と承認者を決めるネットバンキングの初期設定。通知メールの宛先も
- 毎回届いたらすぐ中身を確かめる金額・支払期日の誤りは、短い期限内なら取り消せる
金融機関はどこでもよく、支払う会社と同じ金融機関である必要はありません。ネットバンキングを使っていない場合は、書面で扱う金融機関や、でんさいライトを扱う金融機関を選ぶ方法があります。
案内状で確かめる4つのこと
支払う会社からの案内状は、読み流さずに次の4点を確かめます。どれも、あとから変えてもらうのが難しい点です。
| 確かめること | なぜ大事か |
|---|---|
| 支払期日までの日数 | 手形のときと同じか。長くなると、割引の費用や待つ日数が増える |
| 手数料をどちらが負担するか | 入金のときの手数料が受け取る側にかかる金融機関もある |
| 対象の取引と開始の月 | 手形・振込・でんさいが混ざる月の資金繰りを先に組む |
| 取適法の対象の取引か | 対象なら、期日に満額の現金を受け取れる形でなければならない |
でんさいライトでは、支払う側として記録を頼む場合は1件100万円が上限です。受け取りや譲渡には上限がありません。
始めたあとの事務:勘定科目・保存・残高証明書
会計では、でんさいは手形に準じて扱い、「電子記録債権」(払う側は「電子記録債務」)の科目で表すとされています。重要性が乏しければ受取手形に含めて表示することもできます。
でんさいの通知メールや取引画面は、電子帳簿保存法の「電子取引」に当たりうる、とでんさいネットは説明しています。日付・金額・取引先で探せる形で保存し、詳しくは顧問税理士に確かめます。
決算や監査で残高の証明が必要なときは、窓口金融機関を通じて残高証明書を請求できます。毎年3月末など、決まった日の残高を定期的に発行してもらう方法もあります。
支払う側の手順
支払う側は、①コストの試算と取引先の利用状況の確認、②金融機関との契約と取引先への案内、③初期設定、④グループ会社などで試してから本番、の4段階です。でんさいネットのサイトには、取引先がでんさいを使っているかを調べるページや、案内状の見本があります。
受け取る側の仕入先にでんさいを渡したいときも、仕入先が利用者でなければ渡せません。自社が受け取り始めたら、自社の仕入先にも案内を出しておくと、譲渡で支払える相手が増えます。
発生記録は、頼んだ日から1か月後の同じ日までの日付を指定して、予約しておくこともできます(扱わない金融機関もあります)。毎月決まった日に払う取引なら、締めの作業をまとめられます。
でんさいを使わないほうがよい場合と、ほかの方法
でんさいを使わないほうがいいのは、どんなとき?
期日まで待てない額が大きく、割引が使えないときは、早期の支払いや融資の相談と比べます。取適法の対象の取引で長い期日のでんさいを渡されたら、支払う会社に確認します。
でんさいは便利ですが、どんな場合にも向くわけではありません。まず、受け取ったでんさいをどう使うかを、次の順に考えます。
- 支払期日まで待てるか:待てるなら、何もしなくても期日に入金されます。費用もかかりません。
- 仕入先もでんさいを使っているか:使っていれば、譲渡で支払いに回せます。割引料はかかりませんが、保証の責任が残ります。
- 必要なのは一部の額か:一部なら分割し、必要な額だけを譲渡か割引に回します。
- 取引のある金融機関が割引を受けてくれるか:受けてくれれば、割引料を払って期日前に現金にします。
- どれも難しいか:次の節の、ほかの方法を考えます。
次の場合は、でんさい以外の方法と比べてから決めます。
受け取る側:期日まで待てない額が大きく、割引が使えないとき
割引は金融機関の判断なので、支払う会社の信用によっては受けてもらえないことがあります。取引のない金融機関では、そもそも扱ってもらえない場合もあります。
この場合は、取引先に期日振込や早期の支払いを相談する、金融機関の融資を検討する、といった順で考えます。融資との違いはファクタリングと融資の違い、支払いに間に合わないときの順番は資金繰りが苦しいときの対処にまとめています。
取適法の対象の取引で、支払期日が長いでんさいを渡されたとき
2026年1月から下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」になり、対象の取引では手形での支払いが禁止されました。でんさいやファクタリングを使う場合も、支払期日(最長で、物を受け取った日から60日以内)までに代金の満額を現金で受け取るのが難しいものは違反になります。
公正取引委員会のQ&Aでは、満期が支払期日より後で、受け取る側が割引を受けないと現金にできない場合は、割引料を支払う側が負担しても違反とされています。受け取るときの手数料を代金から引くことも、合意の有無にかかわらず違反です。
取適法の対象になる取引なのに、長い期日のでんさいを渡されたり、手数料を差し引かれたりしたら、支払う会社に確認します。法律の細かい中身は、公正取引委員会や中小企業庁の窓口で確かめられます。
支払う側:取引先の多くがでんさいを使っていないとき
でんさいは、相手が利用者でないと使えません。取引先がでんさいの契約をしていなければ、その取引先にはでんさいで支払えません。
取引先の多くが小さな事業者で、でんさいを使う予定がない場合は、期日振込のほうが早く手間も少ないことがあります。2027年3月末で紙の手形の交換は終わる予定なので、手形を使っている会社は、でんさいか振込のどちらかに移す準備が必要です。
よくある失敗と注意点
でんさいで、やってしまいがちな失敗は?
譲渡できない期間に気づかない、譲渡したでんさいの保証を忘れる、届いた内容を確かめず取り消しの期限が過ぎる、などです。通知が届いたら、金額と支払期日をすぐ確かめます。
1. 譲渡できない期間に気づかず、支払いに間に合わない
支払期日の直前は譲渡ができません。期日の近いでんさいを仕入先への支払いに回すつもりなら、2銀行営業日前(金融機関によっては6銀行営業日前)より前に手続きします。
2. 譲渡したでんさいの保証を忘れる
保証付きで譲渡したでんさいは、手元から消えても責任は残ります。もとの支払う会社が払えなければ、譲渡した自社が払うことになります。
保証人には、先に支払う会社に請求してほしいと言う権利(催告や検索の抗弁)がありません。会計の上でも、手形の裏書と同じように注記が求められます。仕訳や勘定科目はファクタリングの仕訳と勘定科目も参考にしてください。
3. 届いた内容を確かめず、取り消しの期限が過ぎる
支払う会社が発生させたでんさいに誤りがあっても、受け取った側が取り消せるのは、原則として発生日から5銀行営業日以内です(期日が近い場合はもっと短くなります)。通知が届いたら、金額と支払期日をすぐ確かめます。
4. 品物の行き違いで、支払う会社に送金を止められる
支払う会社は、受け取る側が契約を守らなかったときなど、口座間の送金を止めることができます。この場合でんさいは支払不能になりますが、支払う会社が異議申立預託金を預けて異議申立をすると、処分は猶予されます。
直接の取引先から受け取ったでんさいは、納品や検収の行き違いがあると期日に入金されないことがあります。期日前に検収の状況を確かめておくと安心です。
5. 支払う会社が破産したのに、期日を待つ
支払う会社に破産手続きの開始が決まると、口座間の送金は原則として止まり、でんさいは支払不能になります。支払いを受けるには、破産手続きに参加して債権を届け出る必要があります。期日を待っていても自動では入金されません。
6. 支払う側で、資金を用意できずに支払不能を出す
支払不能を6か月に2回出すと取引停止処分になり、2年間、支払う側としてのでんさいの利用と、参加金融機関からの借入れができなくなります。同じ日に複数のでんさいが支払不能になった場合は1回と数えます。
払えないとわかった時点で、受け取る会社と相談し、支払期日を変える記録をする方法があります。譲渡などがまだ無ければ期日の7銀行営業日前まで、譲渡などの後は関係者全員の書面で期日の3銀行営業日前までが期限です。
支払不能の情報は、関係のない第三者には開示されません。ただし、支払不能が出た事実と理由は、一部の場合を除いてすべての参加金融機関に通知されます。
7. でんさいとほかの電子記録債権を同じものだと思う
電子債権記録機関は、でんさいネットのほかにもあります。ほかの記録機関で発生させた電子記録債権は、でんさいネットでは使えません。案内状が「でんさい」なのか、別の記録機関のサービスなのかを確かめます。
出典(17件)公的機関の資料・法令。2026.10.17に確認
- 電子記録債権法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- でんさいネット:でんさいとはwww.densai.net
- でんさいネット:でんさいのメリット 受取利用編www.densai.net
- でんさいネット:ご検討からご利用開始までwww.densai.net
- でんさいネット:統計情報(請求等取扱高 2013年2月〜2026年9月)www.densai.net
- でんさいネット:よくあるご質問(でんさいネットは誰でも使えますか)www.densai.net
- でんさいネット:よくあるご質問(債権金額の制限)www.densai.net
- でんさいネット:よくあるご質問(支払期日の制限)www.densai.net
- でんさいネット:よくあるご質問(分割譲渡の制限)www.densai.net
- でんさいネット:よくあるご質問(取引停止処分とは)www.densai.net
- でんさいネット:よくあるご質問(でんさいの割引)www.densai.net
- でんさいネット:よくあるご質問(電子債権記録機関はいくつあるか)www.densai.net
- でんさいネット:でんさいライト(利用料金)www.densai.net
- 全国銀行協会:手形・小切手機能の全面的な電子化www.zenginkyo.or.jp
- 国税庁:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)www.nta.go.jp
- 公正取引委員会:よくある質問コーナー(取適法)www.jftc.go.jp
- 公正取引委員会:トリテキ法の確認ポイント 代金編www.jftc.go.jp
FAQ
よくある質問
でんさいとは簡単にいうと何ですか?
でんさいは、でんさいネット(株式会社全銀電子債権ネットワーク)が扱う電子記録債権で、紙の手形を電子の記録に置き換えたものです。支払う会社が金額と支払期日を記録し、期日になると受け取る会社の口座へ自動で送金されます。印紙税がかからず、紛失や盗難の心配もありません。
でんさいと手形の違いは何ですか?
働きは同じですが、でんさいは紙が無く印紙税がかかりません。手形は期日に取立てが必要で資金を使えるのは翌営業日以降ですが、でんさいは期日当日に自動で入金されます。また、でんさいは1円単位で分割して、必要な額だけ譲渡や割引ができます。手形は額面のまま使うしかありません。
でんさいを支払期日の前に現金にできますか?
取引のある金融機関で割引を受ければ、期日までの日数に応じた割引料を引いた額を期日前に受け取れます。割引をするか、条件をどうするかは各金融機関が決めます。たとえば300万円を60日前に年3%で割り引くと、割引料は1万4,795円です。必要な額だけ分割して割り引くこともできます。
でんさいの利用に手数料はかかりますか?
利用料金は窓口の金融機関が決めます。でんさいネットは、発生記録の手数料は1件あたり数百円、入金の手数料は無料から1件あたり数百円の例が多いと説明しています。ネットバンキングの契約が要らないでんさいライトでは、初期費用と月額の基本料は無料で、発生記録は1件264円(税込み)です。
個人事業主でもでんさいを使えますか?
使えます。でんさいネットを使えるのは、一定の要件を満たす法人と個人事業主です。事業をしていない個人は使えません。取引のある金融機関に申し込み、審査を経て利用契約を結びます。でんさいネットの統計では、発生件数の26.4%が中小企業2・個人事業主に分類される会社の支払いです。
でんさいが期日に支払われないとどうなりますか?
支払期日に入金が無いと、そのでんさいは支払不能になります。支払う会社が6か月以内に2回支払不能を出すと取引停止処分となり、2年間、支払う側としての利用と参加金融機関からの借入れができなくなります。受け取ったでんさいを保証付きで譲渡していた場合は、譲渡した相手から代わりの支払いを求められることがあります。
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