契約更新 2026.10.17
ファクタリングはオンラインで完結できる?197サービスの実態とAI審査
ファクタリングはオンラインで完結できるサービスがあり、図鑑の197サービスのうち80が明記しています。ただし80のうち21は電話や面談が入る場合があります。AI審査の中身、手順、向く請求書と注意点を説明します。
初めての方へファクタリングを使う前に知る5つのこと・申込みから入金まで →
フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

「来店や面談の時間が取れない」「近くに会社がない」。そんなときに調べるのが、オンラインで完結するファクタリングです。スマホやパソコンで申し込み、書類を送り、画面で契約して、入金を待つ形です。
ただ、「オンライン完結」と書いてあっても、電話の聞き取りや画面越しの面談が入ることがあります。この記事は、オンラインで請求書を売りたい中小企業の経営者・個人事業主に向けた説明です。どこまでが本当にネットで済むのかと、使う前に確かめることをまとめます。
この記事を7枚で
1 / 7結論:多くは「来店不要」の意味。電話や画面越しの確認は残ることがある
オンライン完結って、誰とも話さずに済むってこと?
多くは「来店不要」の意味です。図鑑の197サービスのうち80が完結と明記していますが、そのうち21は電話や面談が入る場合があると書いています。連絡がまったくないとは限りません。
ファクタリングのオンライン完結は、会社に行かず、紙の書類を郵送せずに、申込みから入金まで進められるという意味で使われています。顔を合わせる面談がないことを指す場合が多く、連絡がまったくないとは限りません。
- どのくらいあるか:図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、公式サイトで「オンライン完結」などと明記しているのは80サービスでした。
- 条件つきが多い:80のうち21は、審査の結果などによって電話の聞き取りやビデオ通話の面談が入ると書いています。
- AI審査は少数:図鑑の項目に「AI」の言葉が出てくるのは3サービスだけでした。オンライン完結の多くは、担当者が画面で書類を見て判断する形です。
- 向くのは:いつもの取引先あての請求書で、その取引先からの入金が通帳に並んでいる場合です。向かないのは、初めての取引先・大口の請求書・取引先の承諾が要る3社間などです。
この記事は、次の順に説明します。
- 「オンライン完結」が指す範囲と、ネットで済まないことがある手続き
- 図鑑の197サービスで見るオンライン完結の実態
- AI審査とは何か、何を見ているか
- オンラインで申し込む手順
- 向いている請求書・向かない請求書
- 数字で確かめる:早さと手数料の計算例
- 使わない方がよい場合と、ほかの方法
- よくある失敗と注意点
オンライン完結型197のうち80が明記
- 申込み・書類
- フォームと画像・PDFの送信
- 本人確認
- 書類の撮影、ビデオ通話など
- 契約
- 電子契約が中心(80のうち44が明記)
- 残ることがある連絡
- 電話の聞き取り・画面越しの面談(80のうち21)
- 向く請求書
- いつもの取引先・中くらいまでの金額
面談・対面型197のうち39が前提
- 申込み・書類
- 来社・訪問、郵送・FAX
- 本人確認
- 会って原本を確かめる
- 契約
- 紙の契約書に押印が多い
- 残ることがある連絡
- 移動と日程の調整が要る
- 向く請求書
- 大口・初めての取引先・事情の説明が要るもの
「オンライン完結」はどこまでを指すか
ネットで済まないのは、どの手続きなの?
つまずきやすいのは、本人確認・契約・取引先への通知の3つです。サイトに「オンライン完結」とだけあれば、この3つをどの形で行うかを最初に聞きます。3社間は取引先の承諾が要ります。
ファクタリングは、申込みから入金まで7つほどの手続きでできています。オンライン完結といっても、どの手続きをネットで済ませるかは会社ごとに違います。手続きごとに、ネットで済む形と、ネットで済まないことがある場面を並べます。
| 手続き | オンラインでの形 | ネットで済まないことがある場面 |
|---|---|---|
| 申込み | Webフォーム・LINE・メール | 入力のあと、内容の確認の電話が来る |
| 書類の提出 | 写真・PDFをアップロード | 原本や印鑑証明書の郵送を求められる |
| 本人確認 | 身分証と顔の撮影、ビデオ通話 | 撮影がうまくいかず、やり直しが続く |
| 審査 | 担当者が画面で書類を見る。AIで仮の判定をする会社もある | 金額が大きいと電話の聞き取りや面談が入る |
| 見積り | メールや管理画面で条件が届く | 口頭だけで伝えられ、書面がない |
| 契約 | 電子契約(画面で署名) | 紙の契約書に実印を押して返送する |
| 取引先への通知 | 2社間なら通知しないことが多い | 3社間は取引先の承諾が要る。登記をすると書類の準備が増える |
表のとおり、つまずきやすいのは「本人確認」「契約」「取引先への通知」の3つです。会社のサイトで「オンライン完結」とだけ書かれていたら、この3つをどの形で行うかを最初に聞きます。
「来店不要」「面談不要」「非対面」の違い
サイトの書き方は、だいたい次の3つに分かれます。言葉は似ていますが、残る手続きが違います。
- 来店不要:会社に行かなくてよい、という意味です。電話や郵送が残ることはあります。
- 面談不要:顔を合わせた話し合いがない、という意味です。電話の聞き取りは別に入ることがあります。
- 非対面:会わずに済む、という意味です。ビデオ通話で顔を確かめる方式も、非対面に含めている会社があります。
どれも「すべてネットで済む」とは言い切れません。電話に出られない時間帯があるなら、申し込む前に伝えておくと、やりとりが止まりにくくなります。
申込みの窓口ごとの違い:フォーム・LINE・メール
オンラインの申込みの窓口は、Webフォーム、LINE、メールの3つが中心です。どれでも申し込めますが、あとで条件を見返せるかが違います。
- Webフォーム・管理画面:送った書類と届いた条件が、画面に残ることが多い形です。
- LINE:手軽ですが、相手のアカウントの名前だけでは会社がわかりません。会社名と所在地を確かめ、条件は書面のファイルでもらいます。
- メール:条件が文章で残ります。添付できるファイルの大きさに上限があることがあるので、書類は分けて送ります。
どの窓口でも、見積りや条件を口頭やチャットの一言だけで済ませず、書面のファイルでもらうのが基本です。
2社間か3社間かで、オンラインで済む範囲が変わる
2社間は、自社とファクタリング会社だけで契約する形です。取引先に知らせないことが多いので、自社の手続きだけで済みます。3社間は、取引先にも加わってもらい、承諾をもらう形です。取引先の担当者の都合で、日数がかかります。違いの全体は2社間と3社間の違いにまとめています。
債権譲渡登記(請求書を売ったことを法務局に登録する手続き)は、東京法務局の窓口のほか、オンラインでも申請できます。※1ただし、登記をする契約では、会社の証明書を新しく取り直すなど、準備が増えることがあります。費用と手続きは債権譲渡登記の記事を見てください。
この章の根拠(1件)
- 東京法務局 取扱事務一覧表(動産譲渡登記、債権譲渡登記)
図鑑の197サービスで見る:オンライン完結と書くのは80
オンライン完結の会社って、どれくらいあるの?
197のうち80で、およそ4割です。選べる44を足すと6割を超えます。一方で39は面談や対面の契約が前提でした。電子契約を明記しているのは、完結の80のうち44です。
図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)について、公式サイトの「面談・契約のしかた」の書き方を4つに分けて数えました。数えたのは公式サイトの書き方で、実際の手続きの中身を確かめたものではありません。集計は build/stats/online-factoring.py に残しています。
オンライン完結と明記選べる・書いていない面談・対面を前提
オンライン完結と明記しているのは197のうち80で、およそ4割でした。オンラインと対面を選べる44を足すと、6割を超えるサービスがネットでの手続きに対応しています。一方で、39サービスは面談や対面の契約を前提にしています。
「完結」と書いても、21サービスは電話や面談が入る場合がある
オンライン完結と明記した80のうち21は、同じ説明に但し書きを付けていました。「審査の結果により面談」「状況により電話で聞き取り」「ビデオ通話で本人確認」などです。80のうち4分の1ほどです。とくに、金額が大きいと面談が入ると書く例がありました。
電子契約(画面で署名する契約)を明記しているのは、197全体で64、オンライン完結の80のうちでは44でした。残りの36は、契約の方法をはっきり書いていないか、書類を返送する形です。「完結」の範囲に契約が入っているかは、サイトだけでは読み切れません。
オンライン完結のサービスは、少額・早い入金を打ち出す傾向
オンライン完結と明記した80と、それ以外の117を比べました。どちらも、公式サイトにその項目を書いているサービスだけで数えています。
| 項目 | オンライン完結と明記(80) | それ以外(117) |
|---|---|---|
| 最短の入金時間が2時間以内 | 42(最短を書く80のうち) | 14(最短を書く98のうち) |
| 最低金額が10万円以下 | 27(最低金額を書く41のうち) | 9(最低金額を書く56のうち) |
| 受付時間に「24時間」と書く | 32 | 17 |
| 個人事業主も対象と明記 | 58 | 59 |
オンライン完結のサービスは、最短の入金時間を短く書き、少額の請求書も受け付ける傾向がありました。個人事業主を対象と明記する割合も、80のうち58と高めです。ただし、「最短」はいちばん早くいった場合の目安です。初めての申込みで、その時間に入金されるとは限りません。
オンライン完結の80のうち、2社間を扱うのは69、3社間を扱うのは36でした。3社間を選ぶと、取引先の承諾を待つぶん、オンラインでも日数がかかります。条件をそろえて会社を探すときは、図鑑の絞り込みで「オンライン完結」を選べます。
AI審査とは:何を見て、何を決めているのか
AI審査なら、審査が甘くなるの?
基準がゆるくなるわけではありません。読み取るのは請求書・入出金の記録・会社の情報で、人の審査と同じ中身です。AIの判定は仮の審査とし、最終の条件は担当者が決める会社もあります。
AI審査は、送られた書類や入出金の記録をプログラムで読み取り、買い取れそうか、いくらで買えそうかを機械で判定するしくみです。「AIファクタリング」とうたうサービスもあります。ただ、図鑑の項目に「AI」の言葉が出てくるのは、197のうち3サービスだけでした。
AIの判定を「仮の審査」と位置づけ、最終の可否と条件は担当者が書類を確かめて決める、と説明するサービスがあります。AIの結果だけで契約まで進むとは考えないほうが安全です。AI審査だから基準がゆるくなる、ということはありません。見られる中身は、人が行う審査と同じです。
AI審査が読み取る3つのデータ
- 請求書:取引先の名前、金額、支払期日、発行日を読み取ります。写真が暗い・切れていると読み取れず、人の確認に回ります。
- 入出金の記録:その取引先から、毎月決まった頃に入金があるかを見ます。オンライン完結の80のうち、必要書類を書いている64サービスの58が、通帳や入出金明細を挙げていました。
- 会社や取引先の情報:法人番号や登記の情報、取引先の規模などを、公開されている情報と照らし合わせます。
審査で取引先のどこが見られるか、請求書と通帳のどこが突き合わされるかは、ファクタリングの審査基準で詳しく説明しています。
機械で読み取りにくく、人の確認に回りやすい書類
AIでも担当者でも、画面で書類を突き合わせる審査では、次のような書類で手が止まります。申し込む前に当てはまるものがないかを見て、あれば一言説明を添えます。
| 手が止まる書類 | 止まる理由 | 先にしておくこと |
|---|---|---|
| 手書きの請求書、何枚にもわたる請求書 | 金額や期日を読み取れない | 請求書のソフトで作った版があれば、そちらを出す |
| 取引先の名前が略称や旧社名 | 登記の名前と合わない | 正式な名前を申込みのフォームに書き、略称の理由を添える |
| 振込みの名義が、親会社や別の部署 | 通帳の入金と請求書の取引先が結びつかない | どの入金がどの請求書の分かを、メモで示す |
| 何枚かの請求書をまとめて入金されている | 1枚ずつの金額と通帳の額が合わない | まとめた内訳を一覧にして送る |
| 相殺や値引きで、請求額より少なく入金される | 請求額と入金額が毎回違う | 差し引かれる理由と、いつもの差額を伝える |
どれも、書類だけを見る側からは事情がわかりません。オンラインで止まらずに進めるには、事情を先に文章で伝えておくのがいちばんの近道です。
口座の連携を求められたら、つなぐ先を確かめる
一部のサービスは、通帳の写しの代わりに、ネットバンクの口座と連携して入出金の記録を読み取ります。書類を作る手間は減りますが、口座の記録を外の会社に見せることになります。
銀行法では、預金者から頼まれて銀行から口座の情報を取り、その預金者に提供する営業を「電子決済等代行業」としています。この営業は、内閣総理大臣の登録を受けなければできません。※1金融庁は登録を受けた業者の一覧を公表しています(令和8年8月31日現在の版を確認)。
連携の画面に出てくる事業者の名前を控え、金融庁の一覧と照らし合わせます。あわせて、どの口座の、どの期間の記録を見せるのかも確かめます。審査に使う口座だけをつなげば足ります。
会計ソフトや請求書のソフトとつなぐ形
会計ソフトや請求書を作るソフトの画面から、そのまま請求書を売る申込みができるサービスもあります。請求書のデータがすでにあるので、書類を撮る手間がかかりません。ふだん使っているソフトにこの機能があれば、比べる候補に入れます。
この章の根拠(1件)
- 銀行法2条17項2号・52条の61の2
オンラインで申し込む手順
ネットで申し込むとき、何を準備すればいい?
前日までに請求書・通帳・本人確認書類をデータにします。文字の打ち直しや画像の加工はしません。申し込んだ日は知らない番号の電話にも出られるようにし、条件は書面で受け取ります。
オンラインの申込みは、手続きの流れそのものは対面と同じです。違うのは、書類をデータで送ることと、契約を画面で結ぶことです。ここでは、オンラインならではの準備と確認に絞って説明します。手続き全体の流れは申込みから入金までの流れにあります。
- 前日まで書類をデータにする請求書・通帳・本人確認書類をPDFや写真に
- 当日の朝フォームで申し込む取引先・金額・支払期日を正確に入れる
- 申込み後書類を送る・本人確認撮影かビデオ通話。電話に出られるようにする
- 審査条件を書面で受け取る手数料・差し引く費用・償還請求の有無
- 契約電子契約で署名する画面の契約書を最後まで読む
- 入金後契約書と記録を保存するPDFをダウンロードして決まった場所へ
手順1:書類をデータにする
オンラインの審査は、送ったデータが読めるかどうかで速さが変わります。請求書はPDFがあればPDFで、紙なら四隅が入るように明るい場所で撮ります。ネットバンクを使っていれば、入出金明細をPDFで書き出せることが多いです。
どの書類を何か月分出すかは必要書類の記事を見てください。ここでは、データにするときの注意だけを挙げます。
- ファイル名を「請求書_取引先名_支払日」のようにそろえる
- 通帳の写真は、口座の名義のページも入れる
- 見せたくない取引を塗りつぶすなら、どこを消したかを伝える
- 文字を打ち直したり、画像を加工したりしない
手順2〜3:申し込み、本人確認を受ける
申込みのフォームには、取引先の正式な名前、請求額、支払期日を入れます。請求書と1文字でも違うと、確認の連絡が入って時間がかかります。本人確認は、身分証と顔を撮る方式(eKYC)か、ビデオ通話で行う会社が多いです。
オンライン完結でも、審査の途中で電話が来ることがあります。申し込んだ日は、知らない番号からの電話にも出られるようにしておきます。午前中に申し込むほうが、その日のうちにやりとりを終えやすくなります。
手順4:条件を書面で受け取る
審査が終わると、買取の条件がメールや管理画面で届きます。画面で次の4つを確かめ、ないものは書面で出してもらいます。
- 手数料の率と金額、手取りの額
- 手数料のほかに差し引く費用(事務手数料・登記の費用・振込手数料)
- 取引先が払わなかったとき、自社が買い戻す約束(償還請求)があるか
- 取引先に知らせるか、登記をするか
電話で「この条件でいいですか」と聞かれても、その場で決めずに、書面を見てから返事をします。手取りの額から実質年率を出すには手取りと実質年率の計算が使えます。
手順5:電子契約で署名する
電子契約は、画面に表示された契約書を読み、ボタンを押して署名する形です。電子署名法は、本人が行った電子署名がある電子データは、本人の意思で作られたものと推定すると定めています。※1紙に押印した契約と同じく、署名すれば約束どおりに守る必要があります。
スマホの小さな画面では、条文を読み飛ばしがちです。署名の前にPDFを開き、パソコンの画面か印刷で最後まで読みます。契約書で確かめる箇所は、紙でも電子でも同じです。
署名の依頼は、メールで届くことが多いです。次の点を見てから開きます。
- 送り主が、申し込んだファクタリング会社か(会社名とメールアドレスの末尾)
- 契約書に書かれた買い手の会社名と所在地が、サイトの会社概要と同じか
- 売る請求書の取引先・金額・支払期日が、自社の請求書と同じか
- 手数料・手取りの額が、受け取った見積りと同じか
- 署名者が自社の代表者(個人事業主なら本人)になっているか
見積りと1か所でも違えば、署名せずに問い合わせます。署名した後で「画面の表示と違った」と言っても、取り消すのは難しくなります。
手順6:契約書と記録を保存する
電子契約の契約書は、署名が終わったらPDFをダウンロードして保存します。電子データで受け取った契約書は「電子取引」の記録にあたり、法人税や所得税を納める事業者は、電子データのまま保存する決まりがあります。※2印刷して紙だけを残す形では足りません。
見積りのメール、条件の画面の控え、送った書類の一覧も、同じフォルダに残します。あとで手数料の扱いを経理で処理するときや、もめたときの証拠になります。
この章の根拠(2件)
- 電子署名及び認証業務に関する法律3条
- 電子帳簿保存法2条5号・7条
向いている請求書・向かない請求書
うちの請求書は、オンラインで売れそう?
通帳に入金が並ぶ、いつもの取引先あての請求書なら進みやすいです。初めての取引先、1,000万円前後の大口、3社間は日数がかかることがあります。事情は最初の問い合わせで書いておきましょう。
オンライン完結は、書類だけで判断しやすい請求書ほどうまく進みます。説明が必要な事情がある請求書は、オンラインで申し込んでも面談や追加の書類が入り、かえって時間がかかります。
| 請求書の性質 | オンライン完結との相性 | 理由 |
|---|---|---|
| 何度も取引している取引先あて | 向いている | 通帳に毎月の入金が並び、データで確かめやすい |
| 数十万円〜数百万円の請求書 | 向いている | オンライン完結の会社は最低金額を低く書く傾向がある |
| 2社間で売る | 向いている | 取引先の手続きを待たない |
| 初めての取引先あて | 向かないことがある | 入金の実績がなく、契約書や発注の記録の説明が要る |
| 1,000万円前後の大口 | 向かないことがある | 金額が大きいと面談が入ると書く会社がある |
| 3社間で売る | 日数がかかる | 取引先の承諾をもらう手続きが入る |
| 注文書の段階(まだ納品していない) | 扱う会社が少ない | オンライン完結の80のうち、注文書も可と書くのは8 |
| 取引先からの入金が現金や別の口座 | 向かない | 入出金の記録で取引を確かめられない |
表の「向かないことがある」に当てはまる請求書でも、オンラインで申し込めないわけではありません。最初の問い合わせで事情を書いておくと、面談が要るかどうかを早めに教えてもらえます。
- その取引先から、通帳に入金の記録が何回かありますか?はい → 次へいいえ → 契約書や発注の記録を用意し、面談もある前提で相談する
- 取引先に知らせずに売ってよい契約ですか(2社間)?はい → 次へいいえ(3社間)→ 取引先の承諾の日数を見込む
- 本人確認と契約を、すべて画面で済ませられる会社ですか?はい → オンライン完結で申し込むいいえ → 郵送や来社の日数を足して入金日を見積もる
- 支払いに使う日まで、2営業日以上ありますか?はい → 2〜3社に見積りを出して比べるいいえ → 当日の動き方を先に確かめる(即日入金の記事へ)
個人事業主と、医療・介護の報酬の場合
個人事業主は、オンライン完結と相性のよい立場です。オンライン完結と明記した80のうち58が、個人事業主も対象と書いていました。確定申告書の控えや屋号の口座の明細をPDFにしておくと、法人と同じように進められます。
一方、医療・介護の報酬を専門に扱う22サービスでは、オンライン完結と明記していたのは3でした。面談・対面を前提とするのが6、選べるのが5、書いていないのが8です。診療報酬や介護報酬を売るなら、オンラインで済むかを最初に聞くほうが確実です。
今日中にお金が必要なら、オンラインかどうかより、締めの時間と振込みの時間が効いてきます。即日入金の条件は即日入金の仕組みと準備で説明しています。
数字で確かめる:早さと手数料の計算例
早く入金されるぶん、高くついたりしない?
年率で確かめます。100万円・30日の請求書を今日8%で売ると約105.8%、承諾を5日待つ3%なら約45.2%。差の50,000円が早める代金です。少額で日数が短いほど年率は高くなります。
オンライン完結の2社間は早く入金されますが、取引先の承諾をもらう3社間より手数料が高めに出やすい形です。早さにいくら払っているのかを、実質年率で確かめます。実質年率は「手数料額 ÷ 手取り額 ÷ 入金までの日数 × 365」で出します。以下は説明のための仮の例で、相場を示すものではありません。
| 例 | 条件 | 手数料 | 手取り | 実質年率 |
|---|---|---|---|---|
| 例1 | 100万円・オンラインの2社間で今日受け取る。手数料8%・支払日まで30日 | 80,000円 | 920,000円 | 約105.8% |
| 例2 | 同じ請求書を3社間で売る。承諾に5日かかり、手数料3%・支払日まで25日 | 30,000円 | 970,000円 | 約45.2% |
| 例3 | 30万円の請求書。手数料10%・支払日まで20日 | 30,000円 | 270,000円 | 約202.8% |
例1と例2の手数料の差は50,000円です。5日早く受け取るために5万円を払う、と言い換えられます。5日待てる支払いなら、例2のほうが負担は小さくなります。待てないなら、例1の5万円は「間に合わせる費用」です。
例3のように、少額で支払日まで日数が短い請求書は、手数料の率が同じでも年率が高くなります。オンライン完結の会社は少額も受け付ける傾向がありますが、少額ほど年率に直して比べることが大事です。年率の早見表は手数料の計算と実質年率にあります。
オンラインで減る費用
オンライン完結で減るのは、移動の時間と郵送の費用です。紙の債権譲渡契約書は、印紙税の「債権譲渡に関する契約書」(第15号文書)にあたります。記載された金額が1万円以上なら、200円の印紙が要ります。※1
電子データで送った契約書は、紙の現物を渡していないので、課税文書を作ったことにならないとする国税局の回答があります。※2ただし金額は200円で、手数料の差に比べれば小さなものです。会社を選ぶときは、印紙よりも手数料と手取りの額で比べます。
この章の根拠(2件)
- 印紙税法 別表第一 第15号文書、国税庁 質疑応答事例「売掛債権譲渡契約書」
- 福岡国税局 文書回答事例(平成20年10月24日)
使わない方がよい場合と、ほかの方法
手軽だからって、すぐ使っていいのかな?
支払いを数日待ってもらえる、毎月のように足りなくなる、足りない理由が税金、などなら先にほかの方法を考えます。所在地や代表者がサイトに書かれていない相手には申し込まないほうが安全です。
オンライン完結は手軽なぶん、深く考えずに申し込みやすい方法です。次の場合は、先にほかの方法を考えます。
| 状況 | 先に考える方法 |
|---|---|
| 支払いを数日待ってもらえれば足りる | 支払先に、支払日を少し延ばせないか相談する。手数料はかからない |
| 取引先との関係がよく、早く払ってもらえそう | 取引先に、支払日を早めてもらえないか聞く |
| 毎月のように足りなくなる | 融資で必要な額をまとめて用意する。売るのを毎月繰り返すと手数料が積み重なる |
| 足りない理由が税金や社会保険料 | 税務署や年金事務所に、納付の猶予を相談する |
| 画面だけで契約するのが不安 | 面談のある会社や、3社間で取引先に加わってもらう形を選ぶ |
ネットで申し込める融資もありますが、審査と入金まで日数がかかることが多く、急ぎの穴埋めには間に合わない場合があります。どの方法がどれだけ早く、いくらかかるかの一覧は、資金調達の方法を比べた記事にまとめています。
オンラインで会社の実在を確かめにくい場合
来店しないと、相手の会社を目で確かめる機会がありません。所在地や代表者の名前がサイトに書かれていない、連絡がLINEだけで会社名がはっきりしない、という相手には申し込まないほうが安全です。
金融庁は、ファクタリングを装って高い金利で貸付けを行うヤミ金融に注意するよう呼びかけています。取引先が払わなかったときに自社が買い戻す約束がある場合などは、貸付けにあたるおそれがあるとしています。※1見分け方の手順は危ないファクタリング業者の見分け方で説明しています。
この章の根拠(1件)
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
よくある失敗と注意点
オンラインで申し込むとき、やりがちな失敗は?
「連絡なし」と思い込んで電話を逃す、同じ請求書を何社にも売る、書類の画像に手を加える、契約書を読まずに署名する、などです。電子契約も署名すれば約束どおりに守る必要があります。
- 「オンライン完結」を「連絡なし」と思い込む:80のうち21は、電話や面談が入る場合があると書いています。電話に出られず、その日の入金を逃す例があります。申し込んだ日は連絡がつくようにします。
- 同じ請求書を何社にも同時に送る:オンラインは何社にも申し込みやすい方法です。見積りを比べるのはよいのですが、契約は1社だけにします。1つの請求書を2社に売ると、取引先がどちらに払うかでもめます。
- 書類の画像に手を加える:見栄えを整えるつもりで金額や日付を打ち直すと、書類の偽造を疑われます。消したい部分は塗りつぶすだけにし、そのことを伝えます。
- 口座の連携で、すべての口座を見せてしまう:審査に使う口座だけをつなげば足ります。連携の先が登録を受けた業者かも確かめます。
- スマホで契約書を読まずに署名する:電子契約も、署名すれば紙の契約と同じく約束どおりに守る必要があります。手数料のほかに差し引く費用、買い戻す約束の有無は、署名の前に確かめます。
- 契約書のPDFを保存しない:電子データで受け取った契約書は、データのまま保存する決まりがあります。ダウンロードの期限があるサービスもあるので、署名した日に保存します。
- 「AI審査ですぐ結果」の広告だけで選ぶ:AIの判定は仮の結果と説明されることがあり、最終の条件は担当者が決める場合があります。早さの宣伝より、条件の書面を出してくれるかで選びます。
- 2社間で受け取った代金を使ってしまう:取引先から入金された代金は、決まった日までにファクタリング会社に渡します。オンラインで手軽に契約しても、この約束は同じです。
- 広告やSNSの案内から、似た名前のサイトに申し込む:会社の名前で検索して出てきた広告やSNSの投稿が、その会社の公式サイトとは限りません。申し込む前に、サイトの住所(URL)と会社概要を、法人番号の公表サイトなどで調べた会社の情報と照らし合わせます。
申し込む前に、次の6つを確かめておくと、オンラインで止まらずに進めやすくなります。
- 本人確認の方式(撮影かビデオ通話か)
- 契約の方式(電子契約か、紙の返送か)
- 電話や面談が入るのはどんなときか
- 何時までに契約すればその日の入金か
- 手数料のほかに差し引く費用
- 登記をするか、取引先に知らせるか
出典(9件)公的機関の資料・法令。2026.10.17に確認
- ファクタリングの利用に関する注意喚起:金融庁www.fsa.go.jp
- 電子署名及び認証業務に関する法律(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 銀行法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 免許・許可・登録等を受けている業者一覧(電子決済等代行業者 令和8年8月31日現在):金融庁www.fsa.go.jp
- 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 質疑応答事例 売掛債権譲渡契約書(印紙税):国税庁www.nta.go.jp
- 印紙税額一覧表:国税庁www.nta.go.jp
- 請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について:福岡国税局 文書回答事例www.nta.go.jp
- 取扱事務一覧表(動産譲渡登記、債権譲渡登記):東京法務局houmukyoku.moj.go.jp
FAQ
よくある質問
ファクタリングはオンラインだけで完結できますか?
できるサービスがあります。図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、公式サイトでオンライン完結と明記しているのは80でした。ただし80のうち21は、審査の結果などで電話の聞き取りやビデオ通話の面談が入る場合があると書いています。本人確認と契約をどの形で行うかを、申し込む前に聞いておくと安心です。
AI審査のファクタリングは審査が通りやすいのですか?
通りやすくなるわけではありません。AI審査は、請求書や入出金の記録をプログラムで読み取って判定するしくみで、AIの結果を仮の審査とし、最終の可否と条件は担当者が書類を確かめて決めると説明するサービスもあります。見られるのは人の審査と同じで、取引先の支払いの確かさと請求書の中身です。図鑑の項目にAIの言葉が出るのは197のうち3サービスでした。
オンライン完結のファクタリングで電話はかかってきますか?
かかってくることがあります。オンライン完結と明記した80サービスのうち21は、状況により電話で聞き取りをする、審査の結果により面談がある、などと書いています。申込みの内容と請求書が食い違うと、確認の電話が入りやすくなります。申し込んだ日は、知らない番号からの電話にも出られるようにしておくと、入金までが止まりにくくなります。
オンラインで契約したファクタリングの契約書は有効ですか?
有効です。電子署名法は、本人が行った電子署名がある電子データは、本人の意思で作られたものと推定すると定めています。紙に押印した契約と同じく、署名すれば約束どおりに守る必要があります。署名の前にPDFを開いて最後まで読み、署名した日にダウンロードして保存します。電子で受け取った契約書は、データのまま保存する決まりがあります。
オンライン完結のファクタリングに向いているのはどんな請求書ですか?
何度も取引している取引先あてで、その取引先からの入金が通帳に並んでいる請求書です。データだけで取引を確かめやすく、2社間ならオンラインで手続きが進みます。初めての取引先あて、1,000万円前後の大口、取引先の承諾が要る3社間は、面談や追加の書類が入りやすく、オンラインでも日数がかかることがあります。
オンラインのファクタリングで口座の連携を求められたら大丈夫ですか?
つなぐ先を確かめてから判断します。銀行法では、頼まれて銀行から口座の情報を取り、本人に提供する営業は電子決済等代行業とされ、登録が必要です。連携の画面に出る事業者の名前を、金融庁が公表している登録業者の一覧と照らし合わせます。あわせて、審査に使う口座だけをつなぎ、見せる期間を確かめます。
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