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安全更新 2026.10.15

ファクタリングの大手は安心か。上場グループと独立系を86サービスの公的データで比較

結論

ファクタリング図鑑の86サービスのうち、上場企業かそのグループが運営するのは15サービス(14社)で、銀行本体のサービスはありませんでした。大手系は社会保険の加入者数が多く社歴も長い一方、公表されている手数料の中央値(2社間で下限2%・上限10%)は独立系と同じで、当日入金をうたうのは15中5、3社間だけ・法人だけの会社も目立ちます。安全のためには規模より先に、契約が債権の売買か、償還請求権がないか、手数料の総額はいくらかを確かめてください。

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  • 24件公的な出典

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.15

ファクタリングの大手は安心か。上場グループと独立系を86サービスの公的データで比較
01

先に結論:大手は「会社の確かさ」の目安。安さや通りやすさは別

知らない会社に請求書を預けるのが不安で、名前の知られた大手に頼みたい。そう考えるのは自然なことです。ただ、「大手」という言葉には、会社が大きく実在が確かであること、手数料が安いこと、審査に通りやすいこと、といういくつもの期待が混ざっています。この記事では、それぞれが本当に成り立つのかを、ファクタリング図鑑が集めたデータで確かめます。

使ったのは、図鑑に載せている86サービス(運営会社は73社)の公式サイトの表記(2026年10月15日時点)と、運営会社ごとの公的な情報です。公的な情報は、日本年金機構の適用事業所検索で調べた社会保険(厚生年金保険)の加入者数、国税庁の法人番号公表サイトにある登記の変更履歴、経済産業省のgBizINFOです。ほかの比較サイトにはない、会社の「中身」を数字で見るための材料です。

結論を先にまとめます。

  • 上場企業かそのグループが運営するのは86サービス中15サービス(14社)。銀行そのものが運営するサービスは1つもありませんでした。
  • 上場グループの14社は、社会保険の加入者が数十人〜数千人の会社が多く、14社中12社は10年以上前からある会社です。独立系の59社は加入者数の中央値が4.5人で、10年以上の会社は18社です。会社の大きさと社歴には、はっきりした差があります。
  • 一方で、公式サイトに載っている手数料は、2社間の下限の中央値がどちらも2%、上限の中央値がどちらも10%で、大手系が安いとは言えません。上限を15%以上としている会社は独立系だけにありました。
  • 「最短即日」をうたうのは上場グループ15サービス中5、独立系71サービス中66です。上場グループには3社間だけ・法人だけ・決算書2〜3期分が必要といった条件の会社が目立ちます。
  • 大手かどうかより、契約が債権の売買になっているか、償還請求権がないか、手数料の総額はいくらかを確かめる方が、安全に直結します。

以下、「大手とは何を指すのか」「どこが違うのか」「自分はどちらを選ぶべきか」「規模より先に確かめること」の順に説明します。

02

ファクタリングの「大手」とは何か:上場・銀行系・独立系の分け方

ファクタリングには、銀行のような免許や登録の制度がありません。そのため「大手」「最大級」といった言葉に決まった基準はなく、広告の言い回しとして使われることもあります。そこでこの記事では、言葉ではなく確かめられる事実で会社を分けました。

分け方の基準

  1. 運営会社そのもの、または親会社が、日本取引所グループ(JPX)が公表する東証上場銘柄の一覧(2026年9月末時点)に載っているか
  2. 親会社がある場合、その関係が運営会社の会社概要、親会社のグループ会社一覧、適時開示や有価証券報告書のどれかで確かめられるか

この2つを満たすものを「上場グループ」とし、事業の中身でさらに3つに分けました。どちらにも当てはまらない会社は「独立系」です。独立系は「上場企業のグループだと確かめられなかった会社」という意味で、怪しいという意味ではありません。

上場グループの15サービス

分類 サービス(運営会社) 上場との関係(JPXの市場区分・コード)
リース・金融系 売掛債権ファクタリング(三菱HCキャピタル) 運営会社が上場(プライム・8593)
リース・金融系 ファクタリング(債権買取)(オリックス) 運営会社が上場(プライム・8591)
リース・金融系 介護報酬ファクタリングサービス(リコーリース) 運営会社が上場(プライム・8566)
リース・金融系 FPSメディカル(アクリーティブ) 芙蓉総合リース(プライム・8424)の連結子会社。アクリーティブ自身は2019年に非上場化(同社の沿革)
リース・金融系 売掛債権ファクタリング(AGビジネスサポート) アイフルが間接的に100%を保有するグループ会社。親会社はムニノバホールディングス(プライム・547A)(同社の新規上場時の有価証券報告書)
リース・金融系 かるガルファクタリング(セイノーフィナンシャル) セイノーホールディングス(プライム・9076)のグループ会社一覧に掲載
IT・決済サービス系 freee請求書 即日入金(フリー) 運営会社が上場(グロース・4478)
IT・決済サービス系 FREENANCE即日払い(フリー) 同上。サイトに「東証グロース上場の『フリー株式会社』が運営」と表記
IT・決済サービス系 マネーフォワード 早期入金(マネーフォワードケッサイ) マネーフォワード(プライム・3994)が株式の100%を保有(会社概要)
IT・決済サービス系 GMO BtoB早払い(GMOペイメントゲートウェイ) 運営会社が上場(プライム・3769)
IT・決済サービス系 電子請求書早払い(インフォマート) 運営会社が上場(プライム・2492)
IT・決済サービス系 labol(ラボル) セレス(プライム・3696)の子会社(会社概要の株主欄とサイトの表記)
IT・決済サービス系 Fintoファクタリング(トラボックス) ビジョナル(プライム・4194)のグループ会社(サイトの表記)
医療系 メドレー早期資金サポート(メドレーフィナンシャルサービス) メドレー(プライム・4480)が2023年に旧GCMの全株式を取得(適時開示)
医療系 エヌエスパートナーズ(エヌエスパートナーズ) JMDC(プライム・4483)が株主(会社概要)。JMDCのグループ会社一覧にも掲載

表は分類ごとに並べたもので、順位ではありません。「上場グループだから安全」という意味でもありません。親会社が子会社の取引を保証しているわけではないからです。

「銀行系」を探している人へ

「ファクタリング 銀行系」で探す人も多いのですが、図鑑の86サービスに、銀行本体が運営するものはありません。銀行グループにもファクタリング会社はあります。たとえばみずほファクターは、会社概要で資本金10億円を「みずほ銀行100%」と示しています。ただ、同社のサイトで「国内ファクタリング」の項目にあるのは回収保証(売掛先が払えなくなったときの保証)の案内です。包括保証の条件は販売先10社以上・最低保証金額の合計5,000万円以上で、請求書1枚を急いで現金にするような使い方とは条件が大きく違います。

銀行グループの安心感がほしい場合は、ファクタリングより先に、取引のある銀行や日本政策金融公庫に融資を相談する方が近道になることがあります。融資との違いはファクタリングと融資の違いで説明しています。

03

会社の大きさと社歴を公的データで比べる

「大手は安心」という感覚のうち、データで確かめやすいのは「会社の大きさ」と「どれだけ続いているか」です。ここでは運営会社ごとに数えました(同じ会社が2つのサービスを出している場合は1社と数えます)。

社会保険の加入者数

株式会社などの法人の事業所は、事業主1人だけの場合も含めて、厚生年金保険・健康保険に加入しなければならない「強制適用事業所」です(日本年金機構)。加入している人数は、日本年金機構の適用事業所検索で、利用者が自分で調べられます。会社が自分で書く「従業員数」と違い、公的な記録に残る加入者の人数なので、会社の規模を外から見るのに役立ちます。

加入者数 リース・金融系(6社) IT・決済サービス系(6社) 医療系(2社) 独立系(59社)
300人以上 3社 3社 0社 0社
50〜299人 1社 1社 1社 4社
10〜49人 1社 1社 0社 11社
1〜9人 0社 0社 0社 32社
0人 1社 0社 1社 3社
検索で見つからない 0社 1社 0社 9社

独立系59社のうち、加入者数がわかった50社の中央値は4.5人でした。半数以上の32社が1〜9人です。300人以上の会社は上場グループにしかありません。上場グループの最大はオリックスの3,774人、三菱HCキャピタルの3,358人です。

ただし、この数字は会社全体の人数で、ファクタリングを担当する人数ではありません。オリックスやフリーのように、ファクタリングが多くの事業のひとつにすぎない会社もあります。逆に、上場グループでも0人の会社が2社ありました。グループの別会社が人を出して業務を担う形もありうるため、0人だけで判断はできません。独立系でも、50人以上の会社が4社あります。

会社ができてからの年数

社歴は、法人番号公表サイトの設立の記録、gBizINFOの設立日、社会保険に入った日のうち、いちばん古い日から数えました。法人番号の制度は2015年10月に始まったため、それより前からある会社は、変更履歴の最初の行が「2015年10月5日」の番号指定になっています。その場合は「10年以上」に数えています。

会社ができてからの年数 上場グループ(14社) 独立系(59社)
10年以上 12社 18社
5年以上10年未満 1社 26社
3年以上5年未満 1社 10社
3年未満 0社 5社

独立系は5〜10年の会社が多く、2017〜2019年ごろに設立された会社がまとまっています。3年未満の5社には、2026年に設立されたばかりの会社が2社含まれます。設立が新しいことは違法でも危険でもありませんが、利用した人の声や実績が少ないぶん、契約書を読む手間は増えると考えてください。

独立系にも、1949年設立の三田証券(日本証券業協会・日本貸金業協会の会員)のように長い歴史を持つ会社があります。「独立系=新しくて小さい」とは限りません。

登記の変更履歴

法人番号公表サイトでは、2015年10月以降の所在地や名前の変更を、会社名で検索して見られます。所在地の変更が3回以上ある会社は、独立系59社中9社、上場グループ14社中1社でした。移転そのものは事業の拡大でも起きるので、回数だけで判断はしません。ただ、短い期間に名前と所在地が何度も変わっている場合は、サイトに書かれた沿革と合っているかを確かめる価値があります。

04

手数料は大手の方が安いのか

「大手なら手数料も安いはず」という期待は、公表されている数字からは裏づけられませんでした。ここからはサービスごとに数えます(上場グループ15、独立系71)。

公式サイトの表記 上場グループ(15) 独立系(71)
手数料を何かしら載せている 12 50
上限まで載せている(一律の率を含む) 8 27
2社間の下限の中央値 2%(10サービス) 2%(48サービス)
2社間の上限の中央値 10%(7サービス) 10%(27サービス)
上限を15%以上としている 0 7

下限も上限も、中央値は同じでした。公表していない会社の手数料はわからないので、この比較は公表している会社どうしのものです。手数料の公表のしかた全体の集計は手数料の相場にまとめています。

大手系の手数料に見られる3つの形

1つめは、手数料を載せていない会社です。三菱HCキャピタル、オリックス、リコーリースの3社は、ファクタリングの案内ページに手数料の率を書いていません。個別に見積もる取引が中心だと考えられ、問い合わせないと比べられません。

2つめは、少額向けの一律料金です。freee請求書の即日入金は9%、labolは10%と、金額や相手によらず同じ率を示しています。1万円から使える手軽さと引き換えに、率は公表値の中では高めです。仮に手数料10%で、入金から支払期日まで30日なら、実質年率は 10 ÷ 90 ÷ 30 × 365 で約135%になります(式は「手数料額 ÷ 手取り額 ÷ 入金までの日数 × 365」)。大手が運営していても、短期のお金としては重い負担です。

3つめは、医療・介護報酬の3社間です。エヌエスパートナーズは0.2〜0.8%、メドレーの早期資金サポートは0.3%からと公表しています。支払元が国保連や医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(旧・支払基金)で、取りはぐれの心配がほとんどないため低い率になります。一般の売掛金の率と並べて「大手は安い」と考えないよう注意してください。

独立系の上限の高さ

上限を15%以上としているのは独立系の7サービスで、最も高いものは20%でした。独立系は「下限の低さ」を前に出す会社が多い一方、条件しだいで上限近くになることがあります。見積もりは上限の側で考えておくと、あとで慌てずに済みます。年率への直し方は手数料の計算方法と実質年率で説明しています。

05

入金の早さ・方式・対象:大手系は「条件が合う人」向け

手数料では差がなかった一方、入金の早さや受け付ける相手には、はっきりした違いがありました。

公式サイトの表記 上場グループ(15) 独立系(71)
最短で当日中の入金をうたう 5 66
2社間に対応 8 62
3社間に対応 5 44
3社間だけ 4 1
法人だけ(個人事業主は対象外) 6 10
個人事業主も対象と明記 5 52
決算書2〜3期分を求める(書類を載せているサービスのうち) 6/13 4/50

入金の早さ

上場グループで当日中の入金をうたうのは、AGビジネスサポート、freee請求書、FREENANCE、labol、マネーフォワード 早期入金の5つです。ほかは、Fintoが最短翌日、セイノーフィナンシャル・GMOペイメントゲートウェイ・インフォマートが最短2営業日(インフォマートは初回が最短5営業日)、医療・介護報酬を扱うFPSメディカル・メドレー・エヌエスパートナーズは1〜2週間ほど、三菱HCキャピタル・オリックス・リコーリースは日数の記載がありません(リコーリースは審査に約1週間と記載)。

独立系は71サービス中66が「最短即日」をうたっています。ただし「最短」は書類がそろい、審査がすぐ終わった場合の話です。初めての利用で当日に間に合わせる準備は即日入金の仕組みを見てください。

2社間か3社間か

上場グループの中でも、性格は2つに分かれます。リース・金融系と医療系は3社間(売掛先の承諾をとり、売掛先がファクタリング会社に直接払う方式)が中心で、三菱HCキャピタルは債権譲渡の通知書(承諾書)を確定日付つきで取り、販売先に送る流れを示しています。反対に、IT・決済サービス系の7サービスは、どれも3社間に対応するとは書いておらず、オンラインで申し込む2社間が基本です。

つまり「大手=3社間」とは限りません。取引先に知られたくない人が大手系を選ぶなら、IT・決済サービス系が候補になります。2つの方式の違いは2社間と3社間の違いにあります。

受け付ける相手と金額

法人だけを対象とするのは、上場グループ15中6(オリックス、セイノーフィナンシャル、マネーフォワード、GMOペイメントゲートウェイ、インフォマート、Finto)でした。個人事業主やフリーランスが大手系を使いたい場合、公式サイトで対象と明記しているのはAGビジネスサポート、freee請求書、FREENANCE、labol、FPSメディカルの5つに限られます(FPSメディカルは医療・介護報酬が対象)。

金額では、GMO BtoB早払いが100万円から、かるガルファクタリングが50万〜1,000万円と範囲を決めています。独立系は上限を書いている38サービスの中央値が5,000万円で、1億円以上とする会社が18あります。大口なら大手でないと扱えない、ということもありません。

書類と審査

必要書類を載せているサービスのうち、決算書を2〜3期分求めるのは上場グループで13中6、独立系で50中4でした。オリックスは医療報酬の案内で決算書3期分・試算表・資金繰り表・事業計画書などを挙げています。大手系の審査は、売掛先だけでなく申し込む会社の財務も見る「融資に近い見方」になりやすいといえます。決算書がない、赤字が続いている、といった事情がある場合の考え方は審査に落ちる理由と次にやることにまとめています。

06

大手系と独立系、どちらを選ぶか

ここまでの比較を、選び方に置き換えます。どちらが上ということではなく、自分の状況に合う側から当たるのが効率的です。

大手系(上場グループ)から当たるとよい人

  • 支払期日まで2週間以上あり、入金を急いでいない
  • 売掛先に知らせても問題がない、または売掛先の承諾をとれる(3社間を選べる)
  • 法人で、決算書2〜3期分と試算表をすぐ出せる
  • 同じ売掛先への請求が毎月あり、続けて使う見込みがある
  • 医療・介護報酬を早く受け取りたい(医療系やリース系に専用のサービスがある)
  • freee、マネーフォワード、インフォマートなどをすでに使っていて、そのサービスの中から申し込める

独立系から当たるとよい人

  • 今日・明日のうちに入金が必要
  • 個人事業主で、大手系の対象に入らない
  • 決算書がそろっていない、創業間もない
  • 2社間で、売掛先に知られずに資金化したい

独立系を選ぶ場合は、次の章の確かめ方がとくに大切です。

計算例:急がないなら「遅いが安い」が得になる

300万円の請求書があり、支払期日まで60日ある場合を考えます。率は説明のための仮の数字です。

案 条件(仮定) 手数料と手取り 実質年率
A:今日入金 2社間・手数料8%・入金から期日まで60日 手数料24万円、手取り276万円 24 ÷ 276 ÷ 60 × 365 = 約52.9%
B:2週間後に入金 3社間・手数料2%・入金から期日まで46日 手数料6万円、手取り294万円 6 ÷ 294 ÷ 46 × 365 = 約16.2%

手数料の差は18万円です。2週間待てるなら、Bの方が負担はずっと軽くなります。反対に、10日後の支払いに間に合わせたいなら、Bは選べません。「大手か独立系か」より先に、いつまでにいくら必要かを決めると、選ぶ相手は自然に絞れます。自分の数字で試すときは手数料と実質年率の計算が使えます。

大手系に断られたとき

大手系の審査に通らなかったからといって、請求書の価値がないとは限りません。大手系は申し込む会社の決算や業歴も見ることが多く、売掛先が確かでも、申込者側の事情で見送られることがあります。断られたら、次の順で考えます。

  1. 同じ上場グループでも性格の違う側を試す。リース・金融系に断られたら、2社間でオンライン審査のIT・決済サービス系(対象が法人のみの会社もあるので条件を確かめる)
  2. 断られた理由を聞ける範囲で聞く。売掛先の信用なのか、自社の決算なのか、書類不足なのかで、次の手が変わる
  3. 独立系に申し込む場合は、次の章の確かめ方を省かない。「大手に断られた人でも大丈夫」と強く勧誘する会社ほど、契約書を丁寧に読む

断られた直後は焦りから条件の悪い契約に飛びつきやすい時期です。支払いの延期や猶予の相談など、ファクタリング以外の方法も並べてから決めてください(最後の章で触れます)。

両方に同時に申し込むのはあり

大手系の審査を待ちながら、独立系にも見積もりを頼むことはできます。見積もりの段階で契約の義務は生じません。ただし、同じ請求書を2社に売る契約を結ぶと二重譲渡となり、深刻なトラブルになります。契約は1社とだけ結び、ほかの申込みは契約前に取り下げてください。

07

規模より先に確かめること

会社が大きくても、契約の中身が不利なら意味がありません。反対に、小さな会社でも契約がきちんとしていれば、安心して使えます。規模より優先して確かめたいことを、優先順に並べます。

1. 契約が「債権の売買」になっているか

金融庁は、ファクタリングを装って貸付けを行う業者に注意を呼びかけています。契約書に売買であることが書かれているか、売掛先が払えないときに買戻しや償還請求をさせる条項がないかが、最も大事な点です。図鑑の調査では、償還請求権がないこと(ノンリコース)を公式サイトに明記しているのは、独立系で71中44、上場グループで15中3でした。大手系はサイトに書いていないことが多いので、大手でも契約書で確かめる必要があります。見るべき条項は償還請求権とはと契約書で確かめる箇所にまとめています。

2. 手数料の総額と、手数料以外の費用

見積もりは、率ではなく「差し引かれる総額」と「手取り額」で出してもらいます。登記費用や事務手数料などの名目がある場合は、その内訳も書面でもらいます。

3. 会社が実在し、名乗る通りの会社か

ここは公的データで自分で確かめられます。手順は次の通りです。

  1. 法人番号公表サイトで、サイトに書かれた会社名を検索し、所在地が一致するか、名前や所在地の変更が多くないかを見る
  2. 日本年金機構の適用事業所検索で、その会社が厚生年金保険の適用事業所として出てくるか、何人が加入しているかを見る。法人は事業主1人でも加入する決まりなので、出てこない場合は電話で理由を聞いてもよい点です
  3. 「上場企業が運営」「○○グループ」と書いている場合は、JPXの上場銘柄一覧や、親会社のサイトのグループ会社一覧に、その会社の名前があるかを確かめる
  4. 日本貸金業協会やオンライン型ファクタリング協会(OFA)の会員と書いている場合は、その団体の公表している名簿で確かめる

たとえばFREENANCEのサイトには「東証グロース上場の『フリー株式会社』が運営」とあります。JPXの一覧を見ると、フリーはグロース市場の4478として載っています。さらに法人番号公表サイトで、サイトの会社概要にある名前と所在地が、上場しているフリーと同じ法人番号の会社かを確かめれば、表記と事実がつながります。子会社の場合は、親会社のサイトのグループ会社一覧や、親会社の有価証券報告書の「関係会社の状況」に名前があるかを見ます。

この確かめ方は見落とされがちです。今回の15サービスはすべて親会社側の資料や運営会社の会社概要で関係を確かめられましたが、「大手と提携」「上場企業の出資」といった言葉は、関係の深さがさまざまです。親会社の側の資料に名前がなければ、その表記に頼りすぎないでください。

4. 説明と対応のしかた

契約を急がせる、控えを渡さない、見積もりと契約書の金額が違う、といった場面は、会社の規模に関係なく見送る理由になります。危ない業者の見分け方の全体は危ないファクタリング業者の見分け方で詳しく説明しています。

08

この比較の読み方と限界

数字をそのまま「良い・悪い」に結びつけないために、次の点に注意してください。

  • 社会保険の加入者数は、法人番号にひもづく適用事業所の人数です。支店を別の適用事業所にしている会社では、本社分だけの数字になることがあります。グループの別会社に人がいる場合も、運営会社の数字には出ません。マネーフォワードケッサイのように、上場グループの子会社でも検索で見つからない例がありました。
  • 会社全体の人数で、ファクタリング部門の人数ではありません。freeeやGMOペイメントゲートウェイの数字は、ソフトや決済の事業を含めた会社全体のものです。
  • 社歴は会社の年数で、ファクタリングを始めてからの年数ではありません。メドレーのように、ファクタリング会社を買って参入した例もあります。
  • 手数料や入金の早さは、公式サイトの表記です。実際の見積もりや入金日ではありません。また、手数料を公表していない会社は比較に入っていません。
  • 上場グループの数は少なく(15サービス)、中身も3つの性格に分かれます。中央値は傾向を示すもので、個々の会社に当てはまるとは限りません。
  • 上場グループかどうかは2026年9月末のJPXの一覧と各社の資料で確かめたものです。親会社の再編などで変わることがあります。

会社ごとの詳しい数字(加入者数・変更履歴・手数料の出典)は、図鑑の各社のページに載せています。

09

次にやること:使わない方がよい場合と、ほかの方法

ファクタリングを使わない方がよい場合

  • 手数料を払うと、売掛金が入ってきても次の月にまた足りなくなる(赤字の穴埋めに使っている)
  • 支払期日まで日数が短く、待てば入るお金に高い手数料を払うことになる
  • 契約書に買戻しや償還請求の条項があり、実質的に借入れと変わらない

こうした場合は、ファクタリングの会社選びより、資金繰りそのものの見直しが先です。

ファクタリング以外の方法

  • 取引のある銀行や日本政策金融公庫への融資の相談:「銀行系の安心感」を求めるなら、まずここです。審査に時間はかかりますが、金利は一般にファクタリングの実質年率より低くなります
  • 支払先への支払いの延期の相談:仕入れ先や外注先に事情を話し、支払日をずらしてもらう
  • 税金・社会保険料の猶予:納付が難しいときは、税務署や年金事務所に猶予の制度を相談できます
  • 売掛先への早期支払いの相談:取引先に早く払ってもらえないか、条件を聞いてみる

どの方法が合うかは、支払いに間に合わないときの対処の順番や、資金調達診断で整理できます。

大手系・独立系どちらでも、申し込む前の手順

  1. いつまでに、いくら必要かを決める(支払日と金額)
  2. 使える請求書と、売掛先の支払期日を一覧にする
  3. 大手系に当てはまるか(法人か、決算書は出せるか、3社間にできるか、日数に余裕があるか)を確かめる
  4. 候補を2〜3社に絞り、手数料の総額と手取り額で見積もりをもらう
  5. 運営会社を法人番号公表サイトと適用事業所検索で確かめ、「上場」「グループ」の表記は親会社側の資料と照らし合わせる
  6. 契約書で、売買であること・償還請求権がないこと・費用の内訳を確かめてから署名する

「大手だから大丈夫」「小さいから危ない」と決めつけず、条件と契約の中身で選ぶことが、結果としていちばん安全な選び方です。

出典(24件)公的機関の資料・法令。2026.10.15に確認
  1. 東証上場銘柄一覧(日本取引所グループ、2026年9月末)www.jpx.co.jp
  2. 適用事業所と被保険者(日本年金機構)www.nenkin.go.jp
  3. 厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム(日本年金機構)www2.nenkin.go.jp
  4. 国税庁法人番号公表サイトwww.houjin-bangou.nta.go.jp
  5. gBizINFO(経済産業省)info.gbiz.go.jp
  6. ファクタリングの利用に関する注意喚起(金融庁)www.fsa.go.jp
  7. 売掛債権ファクタリング(三菱HCキャピタル)www.mitsubishi-hc-capital.com
  8. ファクタリング(債権買取)(オリックス)www.orix.co.jp
  9. 介護報酬ファクタリング(リコーリース)www.r-lease.co.jp
  10. 会社概要・沿革(アクリーティブ)www.accretive.jp
  11. ムニノバホールディングス 新規上場申請のための有価証券報告書(日本取引所グループ)www.jpx.co.jp
  12. グループ会社一覧(セイノーホールディングス)www.seino.co.jp
  13. かるガルファクタリングの概要(西濃運輸・セイノーフィナンシャル)factoring.seino.co.jp
  14. FREENANCE(フリー株式会社)freenance.net
  15. 会社情報(マネーフォワードケッサイ)mfkessai.co.jp
  16. 会社概要(ラボル)labol.co.jp
  17. Fintoファクタリング(トラボックス)finto.jp
  18. 株式会社GCMの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(メドレー、2023年7月20日)www2.jpx.co.jp
  19. 会社概要(エヌエスパートナーズ)nspkk.com
  20. 会社概要(JMDC)www.jmdc.co.jp
  21. 会社概要(みずほファクター)www.mizuho-factor.co.jp
  22. 国内ファクタリング(回収保証)(みずほファクター)www.mizuho-factor.co.jp
  23. No.9206 国税を期限内に納付できないとき(国税庁)www.nta.go.jp
  24. 厚生年金保険料等の猶予(換価の猶予・納付の猶予)(日本年金機構)www.nenkin.go.jp

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