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安全更新 2026.10.30

個人でもファクタリングは使える?事業の請求書はOK、給料は違法になる理由

ハカセ
結論

個人でも、事業で出した請求書ならファクタリングを使えます。図鑑に載せている197サービスのうち117が個人事業主も対象と明記しています。一方、会社員の給料を売る給与ファクタリングは貸付けとされ違法です。副業を含む見分け方と手順を説明します。

初めての方へファクタリングを使う前に知る5つのこと・申込みから入金まで →

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

個人でもファクタリングは使える?事業の請求書はOK、給料は違法になる理由

「ファクタリングは個人でも使えるのか」。この問いの答えは、あなたが何を売ろうとしているかで正反対になります。事業で出した請求書なら個人でも売れますが、勤め先からもらう給料を売る取引は、違法な貸付けとされています。

この記事は、個人事業主・フリーランス、副業をしている会社員、給料日までのお金に困っている会社員の3つの立場に向けて、使えるかどうかの分かれ目と、使う前に確かめることを説明します。

この記事を7枚で

1 / 7
個人 事業の請求書 売れる 勤め先の給料 売れない(違法)

この記事の流れ

個人のファクタリングは売るもので決まる

この記事で何がわかるの?

事業の請求書なら個人でも売れますが、勤め先の給料は売れません。見分け方、データ、計算例、申し込む手順を7枚で説明します。

Q1給料・賞与・年金?はい → 売れないQ2仕事を頼まれて納めた代金?いいえ → 給料と同じQ3宛先は事業者?はい → 申し込める

POINT 1

売れるのは事業の請求書だけ

個人が売れるものって何?

給料・賞与・年金は売れません。仕事を頼まれて納めた代金で、宛先が事業者の請求書なら、個人でも申し込めます。

この章を読む
業務委託の副業 自分で請求書を出す 売れる余地がある アルバイトの副業 給与明細が出る 給料なので売れない

POINT 2

副業は契約の形で分かれる

副業の報酬は売れるの?

業務委託で自分で請求書を出す副業なら、事業の売掛金として売れる余地があります。アルバイトの報酬は給料なので売れません。

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勤め先 本人 業者 給料は本人へ 先に渡す 多く払わせる 最高裁2023年:これは「貸付け」

POINT 3

給料を売るのは貸付けと同じ

給料を売るのは、なぜダメなの?

業者は勤め先から回収できず、本人から多く払わせます。最高裁判所は2023年に「貸付け」と判断しました。

この章を読む
図鑑の197サービス(2026年10月16日時点) 対象と明記117対象外と明記23書いていない57 個人事業主を受け付けるかの書き方

POINT 4

197のうち117が個人事業主も対象

個人を受け付けるサービスは多いの?

図鑑の197サービスでは、個人事業主も対象と明記が117、対象外と明記が23でした。書いていない57は問い合わせて確かめます。

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実質年率に直すと A 副業5万円 約202.8% B 個人事業主30万円 約42.7% A:手数料10%・20日 B:手数料5%・45日

POINT 5

少額で支払日が近いと年率は高い

少額だと、手数料はどうなるの?

副業の5万円を手数料10%・20日で売ると実質年率 約202.8%です。30万円・5%・45日なら約42.7%でした。

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1売るものを確かめる2足りない額と時期3取引先に相談4受付の可否を聞く5手取りと年率で比較6契約書を読む

POINT 6

先に取引先に相談してから

申し込む前に、何をすればいい?

支払日を早めてもらえれば手数料は要りません。申し込むなら受け付けの可否を先に聞き、手取りと年率で比べます。

この章を読む
01

結論:個人でも「事業の請求書」なら使える。「給料」を売るのは違法

社長

会社じゃなくて個人でも、ファクタリングって使えるの?

事業で出した請求書なら使えます。図鑑の197サービスのうち117が、個人事業主も対象と書いています。分かれ目は売るものです。会社員の給料を売る給与ファクタリングは「貸付け」とされます。

ハカセ

ファクタリングは、まだ入金されていない代金を受け取る権利(売掛金)を売り、支払日より前に現金を受け取る取引です。売る人が会社でも個人でも、仕組みは同じです。分かれ目は「売る人」ではなく「売るもの」にあります。

  • 個人事業主・フリーランス:取引先に出した請求書は、事業の売掛金です。個人でも売れます。図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち117サービスが、個人事業主も対象と公式サイトに書いています。
  • 副業をしている会社員:副業が業務委託(仕事を頼まれて納める契約)なら、その報酬の請求書は事業の売掛金です。売れる余地があります。副業がアルバイト(雇われて働く契約)なら、その報酬は給料です。
  • 会社員の給料:給料を売る「給与ファクタリング」は、最高裁判所が2023年に「貸付け」に当たると判断しました。登録のない業者が行えば違法なヤミ金融です。

金融庁も、個人がファクタリングを使う機会は通常ないと考えられるとしたうえで、給与ファクタリングを名目にしたヤミ金融に注意を呼びかけています。ここでいう「個人」は、事業をしていない一般の人のことです。

この記事は、次の順に説明します。

  1. 「個人」で調べる人の立場と、売れるものの見分け方(判断の図)
  2. 個人事業主・フリーランスが使えるときの条件
  3. 会社員の副業:業務委託と雇用の見分け方
  4. 給料を売るのはなぜ違法か(要点)
  5. 数字で確かめる:個人事業主を受け付けるサービスの数と計算例
  6. 個人で申し込むときの手順
  7. 使わない方がよい場合と、ほかの方法
  8. よくある失敗と注意点
個人のファクタリング:売れるものと、売ってはいけないもの

事業の請求書個人事業主・副業の業務委託

売るもの
取引先に出した請求書の代金
だれが払うか
取引先が支払日に払う
法律の扱い
売掛金の売買(使ってよい)
受け付けるサービス
197のうち117が個人事業主も対象と明記

給料会社員・アルバイトの賃金

売るもの
勤め先からもらう給料
だれが払うか
結局は自分が業者に払う
法律の扱い
貸付けとされる※1
受け付けるサービス
まともな会社は扱わない。扱うのはヤミ金融
この章の根拠(1件)
  1. 最高裁2023年
02

「個人」で調べる人の立場と、売れるものの見分け方

社長

個人が売れるものと、売れないものの違いは?

売れるのは事業で生まれた代金です。給料は勤め先が本人に直接払う決まりがあり、売っても業者は勤め先から受け取れません。公的な年金は、譲渡も担保も法律で禁止されています。

ハカセ

「ファクタリング 個人」と検索する人は、大きく2つに分かれます。事業をしていて請求書の入金を早めたい人と、給料日までの生活費が足りない人です。前者には使える道があり、後者には使える道がありません。

売れるのは「事業で生まれた代金」

お金を受け取る権利は、原則として人に譲り渡せます。※1個人事業主が取引先に納品して請求書を出せば、取引先に代金を払ってもらう権利が生まれます。これを売るのがファクタリングです。

取引先との契約に「譲渡禁止」の決まりがあっても、譲渡そのものは無効になりません。※2ただし取引先が支払いを拒める場面があるため、受け付けるかどうかは買い取る会社が判断します。

売れないのは「給料」と「年金」

給料は、勤め先が労働者本人に直接払うことが法律で決まっています。※3給料を売っても、買った業者は勤め先から直接受け取れません。名前が「給料」でも「手当」「賞与」でも、働いた対価として勤め先が払うものはすべて同じ扱いです。※4

公的な年金は、受け取る権利を譲り渡すことも、担保にすることも禁じられています。※5厚生労働省は、年金を担保にした借入れの申込みを受けることは例外なくすべて法律で禁止されていると案内しています。国が行っていた年金担保貸付制度も、2022年3月末で申込みの受付を終えました。

個人が持つ「お金を受け取る権利」ごとの扱い

個人が持っている「あとでお金を受け取る権利」を並べると、売れるものと売れないものは次のように分かれます。ファクタリングの対象になるのは、上の2行だけです。

受け取る権利 だれが払うか ファクタリングでの扱い
個人事業主が取引先に出した請求書 取引先の会社など 売れる。受け付けるサービスが多い
副業の業務委託の報酬 仕事を頼んだ会社など 売れる余地がある。受け付けるかはサービスごとに確かめる
個人のお客さんへの請求(リフォーム代・レッスン代など) 一般の人 事業の売掛金だが、受け付けるサービスはごく少数
これから発生する代金(まだ請求していない分) 将来の取引先 法律上は譲渡できるが、多くのサービスは請求書が出た代金を対象にする
給料・賞与・手当 勤め先 売れない。売る形の取引は貸付けとされる
公的な年金 国 譲渡も担保も法律で禁止

表の4行めの「これから発生する代金」も、法律では譲渡の対象に含まれています。※6ただ、金額も支払日も決まっていない代金は、買い取る側がいくらで買うかを決められません。個人が申し込むなら、請求書を出して金額と支払日が決まった代金から考えます。

判断の図:あなたは売れるか

次の問いを上から順にたどると、自分がどこに当たるかがわかります。迷ったら、契約書や発注のメールで「雇われているのか、仕事を頼まれているのか」を確かめます。

個人でファクタリングを使えるか:問いでたどる分かれ道
  1. 売ろうとしているのは、勤め先からもらう給料・賞与・年金ですか?はい → 売れません。給与ファクタリングは違法な貸付けとされますいいえ → 次へ
  2. その代金は、仕事を頼まれて納めた(業務委託・請負・売買)ことで生まれたものですか?はい → 事業の売掛金です。次へいいえ(アルバイトなど雇われて働いた分)→ 給料と同じ扱いで売れません
  3. 取引先(請求書の宛先)は会社などの事業者ですか?はい → 受け付けるサービスが多い。次へいいえ(個人のお客さん)→ 受け付けるサービスはごく少数
  4. 請求書を出し、金額と支払日が決まっていますか?はい → 申し込めます。手取りと年率で比べて決めますいいえ → まだ売れる代金がありません。融資などを先に考えます

図の3つめの問いで「個人のお客さん」に当たる人は、受け付けるサービスが少ない事情を売掛先が個人のときの資金調達で説明しています。

この章の根拠(6件)
  1. 民法466条1項
  2. 民法466条2項
  3. 労働基準法24条1項
  4. 労働基準法11条
  5. 国民年金法24条、厚生年金保険法41条1項
  6. 民法467条1項
03

個人事業主・フリーランスが使えるときの条件

社長

フリーランスが申し込むとき、何を見られるの?

請求書の宛先が事業者か、請求額が最低金額以上か、取引の実績を示せるか、の3つです。法人と違って債権譲渡登記は使えず、契約の責任は自分個人にかかります。

ハカセ

個人事業主やフリーランスは、事業の請求書を持っていれば、法人と同じようにファクタリングを申し込めます。ただし「個人も対象」と書くサービスでも、受け付けの条件が付くことがあります。

受け付けで見られる3つの点

  • 請求書の宛先が事業者か:多くのサービスは、売掛先を法人や官公庁に限ります。個人事業主も対象のサービスで、売掛先が個人でもよいと書くのは117のうち9サービスでした。
  • 請求額が最低金額以上か:最低金額を「10万円から」「30万円から」と決めているサービスがあります。少額の請求書は、申し込める先が減ります。
  • 取引の実績を示せるか:同じ取引先からの過去の入金がわかる通帳や、発注のメール・契約書で、取引が本物であることを示します。

個人事業主に多い請求書と、確かめたいこと

同じ個人事業主でも、仕事によって請求書の形が違います。売る前に確かめたいことも、それぞれ変わります。

仕事 請求書の例 売る前に確かめたいこと
建設の一人親方 元請に出す工事代金 出来高で払う約束なら、今回の金額が確定しているか
運送の個人事業主 荷主や元請への運賃 月ごとの締めで、請求額と支払日が決まっているか
Webデザイナー・ライター 制作物の報酬 源泉徴収される報酬なら、振り込まれる額が請求額より少ない
開発のエンジニア 月ごとの作業の報酬 取引先の確認(検収)が終わっているか
講師・インストラクター 企業研修の謝礼 個人の受講者からの代金は、受け付けるサービスが少ない

表のどの仕事でも、売れるのは仕事が終わって金額が決まった代金です。源泉徴収は、原稿料やデザイン料など決まった種類の報酬を個人に払うときに、払う側が所得税を差し引く仕組みです。※1売れる額は、実際に振り込まれる額がもとになると考えておきます。

法人との違いは、登記・責任・書類

個人で売るときに法人と変わるのは、主に3点です。1つめは、取引先に知らせずに権利の移転を主張できる「債権譲渡登記」が、法人の譲渡に限られることです。※2登記の仕組みは債権譲渡登記とはで説明しています。

2つめは、契約の責任が自分個人にかかることです。3つめは、決算書の代わりに確定申告書や通帳を求められることです。必要な書類、確定申告前の開業1年目の進め方、源泉徴収される報酬の手取りの計算は、個人事業主・フリーランスが使えるファクタリングのページにまとめています。

この章の根拠(2件)
  1. 所得税法204条1項
  2. 動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律1条・4条1項
04

会社員の副業:業務委託の報酬なら対象になりうる

社長

会社員の副業の報酬でも売れるの?

業務委託で自分で請求書を出している副業なら、事業の売掛金として売れる余地があります。給与明細が出るアルバイトの報酬は給料なので売れません。受け付けるかはサービスごとに確かめます。

ハカセ

会社に勤めながら、副業でデザインやライティング、開発などの仕事を受けている人もいます。この副業の報酬が売れるかどうかは、副業の契約が「業務委託」か「雇用」かで決まります。

業務委託か雇用かの見分け方

副業の形 受け取るお金 売れるか
業務委託・請負(仕事を頼まれて、成果物や作業を納める) 報酬。自分で請求書を出す 事業の売掛金として売れる余地がある
アルバイト・パート(雇われて、指示を受けて働く) 給料。給与明細が出る 給料なので売れない
ネット販売・ハンドメイドの販売 商品の代金 販売サイトからの入金待ちの代金は、扱いがサービスごとに違う

表のとおり、自分で請求書を出しているかどうかが、いちばんわかりやすい目印です。給与明細が出る働き方なら、副業でも給料です。

法律上の「労働者」は、事業に使われて賃金を払われる人です。※1契約書の名前が「業務委託」でも、実際は時間や場所を指示されて働いているなら、雇用と判断されることがあります。迷ったら、契約書と実際の働き方を両方確かめます。

副業でもフリーランスとして守られる

公正取引委員会は、会社に雇われている人でも、副業で業務委託を受けている範囲では、フリーランス法の「特定受託事業者」に当たりうるとしています。特定受託事業者とは、従業員を使わずに仕事を受ける個人などのことです。※2

つまり副業の業務委託の報酬は、法律の上でも「事業者どうしの取引」の代金として扱われます。報酬の額や支払日を示すよう発注者に求めることもでき、その記録はファクタリングを申し込むときの材料になります。支払期日の60日ルールは、請求書の買取の型を比べる記事で説明しています。

副業の会社員が気をつけること

  • 受け付けるかはサービスごとに違う:「個人事業主も対象」と書くサービスでも、開業届や確定申告書を求めることがあります。申し込む前に「会社員の副業で、業務委託の請求書です」と伝えて確かめます。
  • 勤め先の決まりを確かめる:副業そのものを就業規則で届け出制にしている会社があります。ファクタリングとは別に、副業の届け出を済ませておきます。
  • 請求額が小さいことが多い:副業の請求書は数万円のことが多く、最低金額に届かないことがあります。数字の章で、請求額ごとの受け付けの数を示します。

副業の会社員は、確定申告書がないことがある

1か所から給料をもらって年末調整を受けている会社員は、給料以外の所得の合計が20万円以下なら、原則として所得税の確定申告は要りません。ここでの所得は、副業の売上から経費を引いた額です。そのため、副業の規模が小さい人は確定申告書を持っていないことがあります。

確定申告書を必要書類に挙げるサービスには、この場合は出せません。代わりに、取引が本物であることを次のもので示します。

  • 業務委託契約書、または報酬の額と支払日が書かれた発注のメール・チャット
  • 取引先に出した請求書と、納品や作業の完了を取引先が確かめた記録
  • 同じ取引先から前に報酬が振り込まれたことがわかる通帳
  • 本人確認書類

副業の報酬が給料と同じ口座に入っていると、通帳を見せる範囲が広がります。副業の入金を受ける口座を1つに分けておくと、説明が短く済みます。

この章の根拠(2件)
  1. 労働基準法9条
  2. 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律2条1項
05

給料を売るのはなぜ違法か(要点)

社長

給料を売るのは、どうしてダメなの?

業者は勤め先から回収できず、結局は本人が給料日に多く払う仕組みだからです。最高裁判所は2023年に「貸付け」と判断しました。登録のない業者が行えば違法なヤミ金融です。

ハカセ

給与ファクタリングは「借金ではなく給料の売買」とうたいます。しかし、仕組みを見ると、実際はお金の貸し借りです。ここでは要点だけを押さえます。

  1. 業者は勤め先から回収できない:給料は本人に直接払う決まりなので、業者は勤め先に請求できません。※1
  2. 結局、本人が給料日に払う:業者は、給料を受け取った本人から、渡した額より多いお金を回収します。形は売買でも、先にお金を渡して後で多く返させる仕組みです。
  3. 最高裁判所が「貸付け」と判断した:最高裁判所は2023年2月20日の決定で、給料を買い取る形でお金を渡すことを、貸金業法と出資法の「貸付け」に当たるとしました。※2

金融庁は、こうした取引は貸金業に当たり、登録のない業者からは年率に直して数百〜千数百%の利息を求められるおそれがあるとしています。大声での恫喝や勤め先への連絡など、違法な取立ての被害も挙げています。※3

年率がどこまで高くなるかの計算、もう使ってしまったときに払う義務がどこまであるか、取立てへの対処と相談先は、給与ファクタリングが違法とされる理由と、使ってしまったときの対処で詳しく説明しています。名前を変えた「先払い買取」「後払い現金化」なども、同じ記事で取り上げています。

個人の事業者でも、給料と同じ形になる取引は危ない

個人事業主の請求書の売買でも、取引先が払わなかったら自分が全額を買い戻す約束や、自分のお金で業者に払う約束が付くと、貸付けに近くなります。金融庁は、契約書で「売買」と書いていても、実態が貸付けと同じなら貸金業に当たるおそれがあるとしています。売買と貸付けの境目はファクタリングは違法かで説明しています。

この章の根拠(3件)
  1. 労働基準法24条1項
  2. 最高裁判所第三小法廷 令和5年2月20日決定
  3. 貸金業法2条1項
06

数字で確かめる:個人事業主を受け付けるサービスの数と計算例

社長

少額の請求書でも、申し込める先はあるの?

最低金額を公表している66サービスで数えると、5万円の請求書なら13、10万円なら33でした。10万円を境に数が大きく変わります。少額で支払日が近いほど、年率は高く出やすくなります。

ハカセ

個人がファクタリングを使えるかを、図鑑のデータで確かめます。母数は、図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)です。大手・銀行・リース系のサービスは含めていません。

個人事業主を対象にしているか

公式サイトの書き方 197サービス全体 一般の請求書を扱う170サービス 医療・介護の報酬を扱う27サービス
個人事業主も対象と明記 117 109 8
個人事業主は対象外と明記 23 22 1
書いていない(表記が分かれるものを含む) 57 39 18

一般の請求書を扱うサービスでは、170のうち109が個人事業主も対象と書いています。対象外と書くのは22で、個人事業主を受け付けるサービスがはっきり多数派です。医療・介護の報酬を扱うサービスは、書いていないものが多いので問い合わせが要ります。

反対に、法人は対象外として個人だけを受け付けると書くサービスは1つでした。「個人向け」をうたう広告を見ても、多くは法人と個人事業主の両方を受け付けるサービスです。

「書いていない」57サービスの中には、問い合わせれば個人事業主を受け付けるところもありえます。一方で、申込みの画面まで進んでから「法人のみ」と断られることもあります。書いていないサービスに申し込むときは、最初の問い合わせで個人事業主でよいかを聞きます。

請求額ごとに、申し込めるサービスの数

個人事業主も対象の117サービスのうち、最低金額を公表しているのは66サービスでした。請求額ごとに、最低金額の条件を満たすサービスの数を数えると、次のとおりです。

個人事業主も対象のうち、最低金額を公表している66サービスで数えた、請求額ごとに申し込めるサービスの数
  1. 1万円の請求書9
  2. 5万円の請求書13
  3. 10万円の請求書33
  4. 30万円の請求書53
  5. 50万円の請求書62

副業に多い数万円の請求書10万〜30万円50万円

図のとおり、10万円を境に数が大きく変わります。5万円の請求書を最低金額の条件で受け付けるのは13サービス、10万円なら33サービスです。最低金額を書いていない51サービスは、問い合わせて確かめる必要があります。

副業の請求書が1万円や数万円なら、最低金額の条件で受け付けるのは9〜13サービスです。ただし、最低金額を満たしても、少額の請求書は手数料の率が高めに出やすくなります。少額ほど、次の計算例のように年率で確かめてから決めます。

入金の早さと、売掛先が個人の場合

個人事業主も対象の117サービスのうち、最短の入金時間を書いているのは114サービスです。そのうち107サービスが、最短1日以内の入金としています。「個人 即日」で探す人は多いのですが、最短の時間は書類がそろったときの値です。当日に間に合わせる動き方は今日中に入金してもらう方法で説明しています。

売掛先が個人(一般の人や個人事業主)の請求書も買い取ると書くのは、197サービス全体で11、個人事業主も対象のサービスでは9でした。個人のお客さんへの請求を売りたい人は、選べる先がかなり限られます。

買い戻しの約束がないと書くサービス

個人事業主は、契約の責任をすべて自分個人で負います。取引先が払わなかったときに買い戻す約束(償還請求権)が付く契約は、借入れに近い重さになります。個人事業主も対象の117サービスのうち、償還請求権がないと公式サイトに書いているのは69サービスでした。書いていないサービスでは、契約書で必ず確かめます。

計算例:副業の5万円と、個人事業主の30万円

手数料の率は、説明のための仮の値です。実質年率は「手数料額 ÷ 手取り額 ÷ 入金までの日数 × 365」で出しています。

例 請求額 手数料 手取り 支払日まで 実質年率
A:会社員の副業(業務委託のWeb制作) 5万円 10%(5,000円) 45,000円 20日 約202.8%
B:個人事業主(内装の一人親方) 30万円 5%(15,000円) 285,000円 45日 約42.7%

検算すると、Aは5,000÷45,000÷20×365で約202.8%、Bは15,000÷285,000÷45×365で約42.7%です。Aは手数料10%・20日で約202.8%、Bは手数料5%・45日で約42.7%になります。

Aの手数料は5,000円ですが、年率では200%を超えます。支払日まで20日しかない請求書を売っても、早まるのは20日分だけだからです。少額で支払日が近い請求書ほど、売る意味は小さくなります。自分の数字は手取りと実質年率のシミュレーターで確かめられます。

07

個人で申し込むときの手順

社長

個人で申し込むとき、何から始めればいい?

売るものが事業の売掛金かを確かめ、足りない額と時期を書き出し、まず取引先に支払日を早められないか聞きます。そのうえで受け付けの可否を問い合わせ、見積もりを手取りと年率で比べます。

ハカセ

個人事業主や副業の会社員が申し込むときは、次の順に進めると、断られる手間と高い手数料を避けやすくなります。

  1. 売るものを確かめる:判断の図で、売ろうとしている代金が事業の売掛金かを確かめます。給料や年金なら、ここで止めます。
  2. 足りない額と時期を書き出す:いつまでに、いくら足りないかを決めます。請求書の全額を売る必要はないこともあります。
  3. 取引先に支払日を早められないか聞く:手数料をかけずに済む、いちばん安い方法です。断られても失うものはありません。
  4. 受け付けてもらえるかを先に問い合わせる:「個人事業主(または副業)で、売掛先は○○社、請求額は○万円、支払日は○月○日」と伝え、対象かを確かめます。
  5. 見積もりを手取りと年率で比べる:手数料の率だけでなく、振り込まれる額と、ほかにかかる費用を書面でもらいます。2社以上で比べます。
  6. 契約書を読んでから署名する:取引先が払わなかったときに自分が買い戻す約束がないか、手数料の額が見積もりと同じかを確かめます。
個人で申し込むときの6つの手順
  1. 売るものを確かめる給料・年金なら止める
  2. 足りない額と時期全額を売らなくてよいことも
  3. 取引先に相談支払日を早めてもらえれば手数料0円
  4. 受付の可否を問い合わせ立場・売掛先・金額・支払日を伝える
  5. 手取りと年率で比べる2社以上の見積もりを書面で
  6. 契約書を読む買い戻しの約束と手数料の額

自分の状況に合う方法の絞り込みは資金調達診断でできます。

問い合わせで聞いておくこと

手順4の問い合わせでは、受け付けの可否に加えて、次の5点を聞いておくと比べやすくなります。答えを渋るサービスは、候補から外して構いません。

  1. 個人事業主(副業)の申込みを受け付けるか、売掛先が個人でもよいか
  2. 最低金額と、この請求額で手数料がどの範囲になるか
  3. 手数料のほかにかかる費用(事務手数料・振込手数料など)があるか
  4. 取引先に知らせる形か、知らせない形か
  5. 取引先が払わなかったときに、自分が買い戻す約束があるか
08

使わない方がよい場合と、ほかの方法

社長

ファクタリングを使わない方がいいのは、どんなとき?

毎月のように足りない、税金の納付が理由、支払日まで1か月もない少額の請求書、などです。会社員の生活費の不足には使えません。融資や納付の猶予、相談窓口を先に考えます。

ハカセ

ファクタリングは、入金を早める代わりに手数料を払う方法です。次のような場合は、先にほかの方法を考えます。

立場・状況 先に考える方法
個人事業主で、毎月のように足りなくなる 日本政策金融公庫などの融資、取引先との支払条件の見直し。売るのを繰り返すと手数料が積み重なる
個人事業主で、足りない理由が税金や保険料の納付 税務署や市区町村に、納付の猶予を相談する
副業の請求書が数万円で、支払日まで1か月もない 支払日を待つ。取引先に早めてもらえないか聞く
会社員で、給料日までの生活費が足りない ファクタリングは使えない。出産・病気・災害などの費用なら、勤め先に働いた分の給料を先に払ってもらう「非常時払い」を請求できる。ほかに社会福祉協議会の貸付け、自治体の相談窓口労働基準法25条
借金の返済のために、お金を用意したい 借りて返すのを繰り返さず、多重債務の相談窓口や弁護士・司法書士に相談する

個人事業主が使える融資や共済の貸付け、税の猶予の順番は資金繰りが苦しいときの対処の順番にまとめています。会社員の生活費の相談先は、給与ファクタリングの記事の「代わりに」の章にあります。

「手数料が安ければ使ってよい」とは限らない

個人事業主の請求書の売買は合法でも、毎月の不足を埋めるために使い続けると、手数料の分だけ売上が目減りし続けます。来月も同じだけ足りなくなるなら、原因は入金の時期ではなく、売上と費用の差かもしれません。ファクタリングは、入金を待てば解決する一時的な不足に限って使います。

売るか、借りるかを年率で比べる

個人事業主が融資とファクタリングで迷ったら、どちらも年率に直して比べます。数字の章の例Bは、手数料5%でも年率では約42.7%でした。融資は審査と時間がかかりますが、間に合うなら、多くの場合で費用は小さくなります。

ファクタリングが向くのは、融資の結論が出るまでの数週間をつなぐ場面や、融資を断られたが確実な請求書がある場面です。どの方法が早く、どれが安いかの一覧は、資金繰りの対処の順番の記事にあります。

請求書を売る以外に個人事業主が使える方法(公庫・マル経・共済の貸付など)の早さと費用は、個人事業主の資金調達方法8つで比べています。

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よくある失敗と注意点

社長

個人がやりがちな失敗って何?

「給料でもOK」の広告に申し込む、アルバイトの給料を請求書に書き直す、同じ請求書を2か所に売る、などです。入金された代金を生活費に使ってしまうのも契約違反になります。

ハカセ
  1. 「個人向け」「給料でもOK」の広告に申し込む:給料を買い取るとうたう業者は、まともなファクタリング会社ではありません。金融庁は、給与の買取りをうたうヤミ金融の誘い文句に注意するよう呼びかけています。危ない業者の見分け方は危ないファクタリング業者の見分け方で説明しています。
  2. アルバイトの給料を「副業の請求書」として出す:雇われて働いた分は給料です。請求書の形に書き直しても、事業の売掛金にはなりません。
  3. まだ仕事をしていない分の請求書を出す:納品前の代金や、実際にはない取引の請求書を売るのは、相手をだます行為になります。売れるのは、納品や作業が終わって金額が決まった代金です。
  4. 同じ請求書を2か所に売る:1つの代金を2つの会社に売ると、取引先がどちらに払うかでもめ、契約違反として責任を問われます。
  5. 「登記が必要」と言われて、そのまま費用を払う:債権譲渡登記は法人の譲渡に限られる仕組みです。個人で申し込んで登記の費用を求められたら、何の手続きの費用なのかを書面で確かめます。
  6. 家族や勤め先の連絡先を最初に求められる:事業の請求書の売買で確かめるのは、取引先と請求書です。勤め先や家族の連絡先をしつこく求めるのは、取立てに使うヤミ金融に多いやり方です。
  7. 入金された代金を使ってしまう:取引先に知らせない形では、取引先からの入金を自分が受け取り、業者に渡します。渡す前に生活費などに使うと、契約違反になります。個人は事業と生活の口座が同じことが多いので、とくに注意します。
  8. 手数料を経費にし忘れる:売った請求書の売上はそのまま残り、手数料は売却損として扱います。確定申告の前に、記帳の扱いを確かめておきます。

困ったことが起きたら、ひとりで抱えずに相談します。違法な取立てを受けたら警察の相談専用電話(#9110)へ、契約の中身に不安があれば弁護士などの専門家へ相談します。

出典(14件)公的機関の資料・法令。2026.10.30に確認
  1. ファクタリングの利用に関する注意喚起:金融庁www.fsa.go.jp
  2. 給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!:金融庁www.fsa.go.jp
  3. 裁判例結果詳細 最高裁判所第三小法廷 令和5年2月20日決定(令和4(あ)288)www.courts.go.jp
  4. 違法な年金担保融資にご注意ください:厚生労働省www.mhlw.go.jp
  5. フリーランス法に関するQ&A(問14 副業として業務委託を受ける労働者):公正取引委員会www.jftc.go.jp
  6. No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人:国税庁www.nta.go.jp
  7. 民法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  8. 労働基準法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  9. 貸金業法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  10. 動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  11. 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  12. 国民年金法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  13. 厚生年金保険法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  14. 所得税法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp

FAQ

よくある質問

ファクタリングは個人でも利用できますか?

事業をしていて取引先に請求書を出している個人事業主・フリーランスなら利用できます。図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち117サービスが、個人事業主も対象と公式サイトに書いています。一方、事業をしていない会社員が給料を売ることはできません。

会社員でもファクタリングは使えますか?

給料は売れません。給与ファクタリングは、最高裁判所が2023年2月20日の決定で「貸付け」に当たると判断した取引で、登録のない業者が行えば違法なヤミ金融です。ただし副業で業務委託の仕事を受け、自分で請求書を出しているなら、その報酬は事業の売掛金として売れる余地があります。

副業の請求書でもファクタリングできますか?

副業が業務委託(仕事を頼まれて納める契約)なら、その報酬の請求書は売れる余地があります。アルバイトなど雇われて働いた分は給料なので売れません。受け付けるかはサービスごとに違うため、申し込む前に「会社員の副業で、業務委託の請求書です」と伝えて確かめます。

給与ファクタリングはなぜ違法なのですか?

給料は勤め先が本人に直接払う決まりがあるため、業者は勤め先から回収できず、結局は本人から渡した額より多いお金を回収します。この仕組みはお金の貸し借りと同じで、最高裁判所も貸付けに当たると判断しました。金融庁は年率に直して数百〜千数百%の利息を求められるおそれがあるとしています。

個人事業主のファクタリングは即日入金できますか?

図鑑のデータでは、個人事業主も対象の117サービスのうち最短の入金時間を書いているのが114サービスで、そのうち107サービスが最短1日以内としています。ただし最短の時間は書類がそろったときの値です。請求書・通帳・本人確認書類を先に用意し、受け付けの可否を問い合わせてから申し込みます。

少額の請求書でもファクタリングできますか?

個人事業主も対象で最低金額を公表している66サービスのうち、5万円の請求書を受け付けるのは13、10万円なら33サービスです。ただ少額で支払日が近いと年率は高くなり、5万円・手数料10%・支払日まで20日なら実質年率は約202.8%です。支払日を待てるなら待つ方が得です。

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