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安全更新 2026.10.15

ファクタリングのトラブルの相談先。弁護士・公的窓口と、型ごとの最初の一手

結論

ファクタリング会社とのトラブルでは、まず業者に言われるまま署名や別業者での返済をせず、契約書・振込記録・やり取りを残して、外の窓口に話してください。整理と窓口の紹介は金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)、脅しや押しかけは警察(#9110、緊急時は110)、業者との交渉や返金の請求は弁護士(法テラス、弁護士会、中小企業向けのひまわりほっとダイヤル)が受け持ちます。

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  • 26件公的な出典

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.15

ファクタリングのトラブルの相談先。弁護士・公的窓口と、型ごとの最初の一手
01

先に結論:今日やることは「止まる・残す・話す」の3つ

この記事は、ファクタリング会社との間ですでに困ったことが起きている方に向けて書いています。手数料が思っていたよりずっと高かった、期日に払えず電話が鳴りやまない、「取引先に連絡する」と言われた、契約書の控えをもらっていない、売掛先から入ったお金を別の支払いに回してしまった、同じ請求書を2社に売ってしまった。どれも、一人で抱えるほど選べる手が減っていきます。

状況はさまざまですが、最初にやることは共通しています。

  1. 止まる:業者に言われるまま、追加の書類に署名したり、別の業者から借りて払ったりしない。その場で決めず「相談してから返事をします」と伝える。
  2. 残す:契約書、振込の記録、メールやチャット、電話の日時と内容を消さずに保存する。業者から返却や削除を求められても、自分の控えは手元に置く。
  3. 話す:金融庁の相談室、法テラス、弁護士会など、外の人に状況を話す。どこに話せばよいかは、下の表でトラブルの型ごとにまとめました。

以下、「自分のトラブルはどの型か」「最初の一手は何か」「どの窓口が何をしてくれるのか」「弁護士に頼むなら費用はどう調べるか」「相談の前に何をそろえるか」「取立てが厳しいとき、どのルールが使えるか」「やってはいけないことは何か」の順に説明します。

なお、ファクタリングが違法かどうか、どんな契約が裁判で貸付けとされたかはファクタリングは違法かで、これから契約する人向けの見分け方は危ないファクタリング業者の見分け方で扱っています。この記事は「もう困っている人が、次の一歩をどう踏むか」に絞ります。

02

トラブルの型ごとの「最初の一手」と相談先

まず、自分の状況がどれに近いかを見てください。複数に当てはまることもよくあります。その場合は、いちばん急ぐもの(脅し・取立て、支払期限)から手をつけます。

トラブルの型 最初の一手 主な相談先
手数料が高すぎた・説明にない費用を引かれた 見積りと契約書と入金額を並べ、差額と実質年率を書き出す。次回の利用や追加の契約はしない 金融庁 金融サービス利用者相談室、弁護士
期日に払えない・支払いを強く迫られている 払える額と日付を紙に書き、期日の前に業者へ連絡する(記録が残る方法で)。別の業者から借りて払わない 弁護士(法テラス・弁護士会)、金融庁の相談室
「売掛先に連絡する」「会社に行く」と言われた 言われた日時と言葉をそのまま記録する。身の危険を感じたら110番 警察(緊急でなければ#9110)、弁護士
契約書の控えをもらっていない 業者に控えの交付を求める(メールなど記録が残る方法で)。電子契約ならサービスの画面から保存する 弁護士、金融庁の相談室
売掛先から入ったお金を業者に渡せない 使ってしまった額と、いつ・いくらなら渡せるかを整理し、送金期限の前に業者と弁護士に相談する 弁護士
同じ売掛金を2社に売ってしまった・売掛先が払わない これ以上の譲渡や申込みをやめ、どの会社といつ契約したかを一覧にする 弁護士
「お金を取り返す」と持ちかける人から連絡が来た その場で費用を払わない。相手が弁護士なら登録を確かめる 日弁連の弁護士検索、警察(#9110)

表の「相談先」は出発点です。金融庁の相談室は論点の整理と、ほかの窓口の紹介をしてくれます。業者との交渉や返金の請求を代わりにやってもらうには、弁護士(金額によっては認定を受けた司法書士)に依頼する必要があります。それぞれの窓口の役割は後で詳しく書きます。

03

型ごとの対処:何が問題で、どう動くか

手数料が高すぎた・説明にない費用を引かれた

まず、数字を3つそろえます。売った売掛金の額面、実際に振り込まれた額、業者に払う(または引かれた)総額です。「事務手数料」「調査料」「登記費用」など名目が分かれていても、全部足して「手数料の総額」として扱います。

次に、それを実質年率に直します。式は「手数料額 ÷ 手取り額 ÷ 入金までの日数 × 365」です。たとえば手数料20%・入金から支払期日まで30日なら、20 ÷ 80 ÷ 30 × 365 で約304%です。手数料25%・20日なら、25 ÷ 75 ÷ 20 × 365 で約608%になります。

ファクタリング図鑑に載せている86サービスのうち、2社間の手数料の上限を公式サイトで公表している34社では、33社が上限を15%以下としていました(2026年10月15日時点)。これより大きく高い率を引かれている場合や、見積りと契約書で金額が違う場合は、相談のときにその差をはっきり示せるようにしておきます。

手数料が高いこと自体は、本当に債権の売買であれば、それだけで契約が無効になるとは限りません。問題になるのは、契約の中身が実質的にお金の貸し付けである場合です。その見方は後の契約がそもそも「貸付け」ではないかで触れます。どちらにしても、同じ業者を次も使う、という形で負担を重ねないことがいちばんの止血です。

期日に払えない・支払いを強く迫られている

2社間ファクタリングでは、売掛先はこれまでどおり利用者の口座に代金を払い、利用者がそれを期日までに業者へ送ります。売掛先の入金が遅れた、ほかの支払いに使ってしまった、といった理由でこの送金ができないと、業者から連絡が来ます。

大事なのは、期日を過ぎてから黙るのではなく、期日の前に自分から連絡することです。そのとき、次の3つを伝えます。

  • いつ、いくらなら送れるか(できる範囲の数字)
  • 遅れる理由(売掛先の入金遅れなら、その事実と予定日)
  • 連絡はメールなど記録が残る方法でほしいこと

このとき、業者から「新しい契約に切り替えれば待てる」「別の請求書を売ってくれれば相殺する」と持ちかけられることがあります。これは負担を先送りして増やす形になりやすいので、その場では受けず、相談先に話してから決めてください。

売掛先が倒産などで払えなくなった場合は、契約に償還請求権(売掛先が払えないとき、利用者に支払いを求める権利)があるかどうかで、業者が利用者に請求できるかが変わります。契約書のどこを見ればよいかは償還請求権とはにまとめています。図鑑の86サービスでは、47サービスが公式サイトで「償還請求なし(ノンリコース)」と明記していました。自分の契約書にもそう書いてあるかを確かめてください。

「売掛先に連絡する」「会社に行く」と言われた

ファクタリングが本当に債権の売買なら、売掛金はすでに業者のものです。そのため、利用者が回収したお金を渡さないときに、業者が売掛先に「この売掛金は当社が買い取ったので、当社に払ってください」と通知すること自体は、契約の範囲で起こりうることです。法人が債権を売り、債権譲渡登記(法務局に売却の事実を記録する手続き)をしていれば、業者が登記事項証明書を売掛先に渡して通知することも法律で認められています。※1契約のときに、利用者名義の譲渡通知書を業者が預かっていることもあります。

一方で、通知を超えて、売掛先に利用者の悪い評判を言いふらす、事務所に押しかけて帰らない、家族や取引先に「代わりに払え」と迫る、といった行為は別の問題です。害を加えると告げて人を脅せば脅迫罪(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)、脅してお金を払わせれば恐喝罪(10年以下の拘禁刑)にあたりえます。※2※3金融庁も、権利の実行であっても社会通念上がまんすべき程度を超えれば違法となり、恐喝罪や脅迫罪が成り立つことがある、とした裁判所の判断を紹介しています。※4

言われたことは、日時・相手の名前・言葉をそのままメモし、電話なら可能な範囲で録音しておきます。身の危険を感じたら迷わず110番、緊急でなければ警察相談専用電話の#9110に相談してください。売掛先に知られたくないという気持ちは、業者にとって圧力の材料になります。先に弁護士と相談して、売掛先への説明のしかたを決めておくと、圧力に振り回されにくくなります。取引先に知られる仕組みそのものは取引先に知られるかで説明しています。

契約書の控えをもらっていない

控えがないと、何に署名したのか、いくら払う約束なのか、償還請求の条項があるのかを確かめられません。相談先でも話が進みにくくなります。まず業者に、契約書の写しを送ってほしいとメールなど記録の残る方法で頼んでください。断られた、はぐらかされた、という事実もそのまま記録になります。

電子契約で結んだ場合は、電子契約サービスから届いたメールや、サービスの画面から契約書のPDFを保存できることがあります。図鑑の86サービスでは、34サービスが公式サイトで電子契約(クラウド契約)に対応すると書いていました。紙で結んだ場合でも、署名の前にスマートフォンで撮った写真、見積書、業者から届いた案内メールなどが、契約の中身を推し量る手がかりになります。

なお、業者が登録を受けた貸金業者であれば、お金を貸す契約を結んだときは、契約の内容を明らかにする書面を相手に渡す義務があります。※5控えを渡さない業者は、これから契約する人向けの見分け方でも危ないサインとされています。

売掛先から入ったお金を業者に渡せない

2社間ファクタリングで、売掛先から入金されたお金をほかの支払いに使ってしまい、業者に送れない。追い詰められた経営者がいちばん陥りやすい状況です。本当の売買であれば、そのお金はすでに業者が買い取った売掛金の代金なので、渡さないことは契約違反になります。業者から「横領だ」と言われることもあります(自分が預かっている他人の物を横領すると罪になります)。※6ただ、実際にそれが成り立つかどうかは、契約が売買か貸付けかを含めて中身によって変わります。

このときにやってはいけないのは、連絡を絶つこと、そして別の業者で穴埋めすることです。やることは次の順です。

  1. 使ってしまった額と、今ある現金、今後の入金予定を日付順に書き出す
  2. いつ、いくらなら送れるかの案を作る
  3. 送金期限の前に弁護士に相談し、業者への伝え方を決める
  4. 案を業者に伝え、やり取りは記録が残る方法で行う

資金繰り全体の立て直しの順番は支払いに間に合わないときの対処の順番にまとめています。

同じ売掛金を2社に売ってしまった・別の会社にも譲渡している

同じ売掛金を2つの会社に売ることを二重譲渡といいます。債権の譲渡をほかの人に主張するには、譲渡人から売掛先への通知か売掛先の承諾が必要で、売掛先以外の第三者に主張するにはそれが確定日付のある証書でなければなりません。※7法人の場合は債権譲渡登記をすると、確定日付のある通知があったものとみなされます。※8つまり、2社のどちらが優先するかは、登記や通知の先後で争いになり、負けた側の会社は利用者に責任を問うことになります。

ファクタリングの契約書には、ほかに譲渡していないことを利用者に約束させる条項(表明保証)が入っていることが多く、二重譲渡はその違反にあたります。ここまで来ると、自分で業者と話すほど不利になりやすいので、これ以上の申込みや譲渡を止め、すぐ弁護士に相談してください。どの会社と、いつ、どの請求書について契約したか、登記や通知をしたかを一覧にして持っていくと、話が早く進みます。他社と併用するときに二重譲渡を避ける手順は乗り換え・併用の手順で扱います。

「お金を取り返す」と持ちかけられた

困っている人を狙って、「業者から手数料を取り返せる」「交渉を代行する」と連絡してくる人がいます。弁護士や弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で他人の法律事件の交渉や和解を扱うことは、法律で禁じられています(法律で別に認められた場合を除く)。※9また、弁護士は依頼者に有利な結果を請け合ったり保証したりしてはならないと、日弁連の規程に定められています。※10「確実に取り返せる」と言う相手には注意してください。

相手が弁護士を名乗る場合は、日本弁護士連合会のウェブサイトの「弁護士検索」で、現在登録されている弁護士かどうかを確かめられます。

この章の根拠(10件)
  1. 動産・債権譲渡特例法4条2項
  2. 刑法222条
  3. 刑法249条
  4. 最高裁昭和27年5月20日判決
  5. 貸金業法17条
  6. 刑法252条
  7. 民法467条
  8. 動産・債権譲渡特例法4条1項
  9. 弁護士法72条
  10. 弁護士職務基本規程29条2項
04

公的な相談窓口と、それぞれができること

金融庁はファクタリングの注意喚起のページで、相談窓口として金融サービス利用者相談室、警察、日本貸金業協会、消費者ホットラインの4つを挙げています。これに、法律相談の窓口(法テラス・弁護士会)と、貸金業の登録先である財務局・都道府県を加えて、役割を整理しました。電話番号と受付時間は、2026年10月時点で各機関の公式ページで確かめたものです。

窓口 電話 受付 向いている相談
金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811(IP電話は03-5251-6811) 平日10時〜17時。ウェブは24時間 何が問題か整理したい、どこに相談すべきか知りたい
財務局(貸金業の担当課) 局ごとに異なる(例:関東財務局 048-600-1151) 各局の窓口時間 財務局に登録した貸金業者についての問い合わせ、無登録の貸付けの疑い
都道府県の貸金業の担当課 都道府県ごとに異なる(例:東京都 03-5320-4775) 各都道府県の窓口時間 知事登録の貸金業者についての問い合わせ
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター 0570-051051(IP電話は03-5739-3861) 9時〜17時(土日祝・年末年始を除く) 貸金業に関する相談・苦情、協会員との紛争の解決手続
警察相談専用電話 #9110(緊急時は110) 都道府県警察ごとに異なる 脅し、押しかけ、悪質な取立て
法テラス・サポートダイヤル 0570-078374 平日9時〜21時、土曜9時〜17時 どの法律家に相談すればよいか、無料法律相談の条件
弁護士会の法律相談センター(ひまわりお悩み110番) 0570-783-110(050のIP電話からはつながらない回線あり) 各弁護士会の時間 弁護士との面談相談の予約
ひまわりほっとダイヤル(日弁連の中小企業向け) 0570-001-240 平日10時〜12時・13時〜16時 会社や個人事業の取引・お金の問題を弁護士に相談したい

金融庁 金融サービス利用者相談室

預金・融資、保険、投資、貸金などについての質問や相談、意見を一か所で受け付ける窓口です。ただし金融庁は、相談室はあっせん・仲介・調停はできないと明記しています。相談員がするのは、ほかの機関の紹介や論点の整理などの助言です。業者との間に入って交渉してもらう場所ではありませんが、「自分の契約のどこが問題か」「次にどこへ行くか」を整理するには向いています。電話のほか、ウェブの受付は24時間、郵便でも受け付けています。

財務局と都道府県

貸金業を営むには、財務局か都道府県の登録が必要です。業者が「貸金業の登録がある」と名乗っているなら、どこに登録しているかで問い合わせ先が変わります。財務局の担当は金融監督の課で、たとえば関東財務局は金融監督第5課(048-600-1151)、近畿財務局は金融監督第5課(06-6949-6520)です。都道府県は、東京都が産業労働局金融部貸金業対策課(03-5320-4775)、大阪府が商工労働部中小企業支援室金融課(06-6210-9506)などで、金融庁が全都道府県の一覧を公開しています。各財務局のウェブサイトでは、違法な貸金業者に関する情報も公開されています。

日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター

中立・公正な立場から、相談・苦情処理と紛争解決手続(金融ADR、裁判によらずに話し合いで解決を図る手続き)を行う機関です。金融庁がファクタリングの相談先として挙げています。図鑑の86サービスで日本貸金業協会の会員と書いている会社は3社でした。紛争解決手続を使えるかどうかは相手の業者によって変わるため、まず相談の電話で確かめてください。

警察(#9110と110番)

警察庁は、生活の安全に関わる悩みごとなど緊急でない相談は最寄りの警察署か#9110へ、事件や事故の緊急通報は110番へ、と案内しています。脅しや押しかけを受けたら、記録を持って相談してください。

消費者ホットライン(188)は使えるか

金融庁の注意喚起には188も載っています。ただ、消費生活センターは消費者の相談窓口で、国民生活センターは「事業者の方は、事業者向けの相談窓口をご利用ください」としています。事業のために結んだファクタリング契約の相談は、受け付けてもらえないことがあります。会社や個人事業の取引としての相談なら、金融庁の相談室か、法律相談の窓口を先に使う方が確実です。

法テラスと弁護士会

法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した法的トラブルの案内所です。収入と資産が一定の基準以下の方は、弁護士・司法書士の無料法律相談(同じ問題につき3回まで、1回30分程度が目安)を受けられ、依頼する場合の費用を立て替えてもらえることがあります(民事法律扶助)。ただし対象は個人の方で、会社や組合などの団体は利用できません。法人のトラブルなら、弁護士会の窓口を使います。

弁護士会の法律相談センターは全国約300か所にあり、ひまわりお悩み110番に電話すると、近くの弁護士会の相談センターにつながって面談の予約ができます。日弁連は、相談時間はおおむね30分、相談料は地域や内容で異なるが5,500円前後と案内しています。中小企業や個人事業主なら、日弁連のひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)で、初回30分無料の面談相談を申し込めます(地域によって受付の状況が異なり、2026年10月1日時点で滋賀県は電話受付を止めているとの告知があります)。売掛金の回収や借入金の返済など、お金の問題も相談分野に入っています。

05

弁護士に頼むか決める:選び方と費用の確かめ方

弁護士に頼んだ方がよい場面

相談窓口で整理がついても、業者との交渉や、払ったお金の返還請求、訴訟の対応は、代理人がいないと進めにくいものです。次のどれかに当てはまるなら、弁護士への相談を急いでください。

  • 脅しや押しかけがあり、自分で業者と話すのが怖い
  • 二重譲渡や、回収したお金を渡せない状態になっている
  • 業者から訴訟や公正証書(公証役場で作る、強制執行に使える書面)による差押えを予告された
  • 契約が貸付けにあたるのではないかと考え、払いすぎた分を取り戻したい
  • 複数の業者と契約していて、全体の整理が必要

債務者が債務の処理を弁護士や司法書士に任せ、そのことが弁護士などから書面で通知された後に、正当な理由なく本人に電話や訪問で支払いを求め、本人から直接求めないよう言われてもなお求め続けることは、禁じられています。※1これはお金の貸し付けの取立てについてのルールなので、契約が売買なのか貸付けなのかで当てはまり方が変わりますが、代理人が窓口になることで、本人への直接の圧力が減ることは期待できます。

弁護士の選び方

  • 登録を確かめる:日弁連の「弁護士検索」で、現在登録されている弁護士の基本情報を見られます。業者から紹介された「弁護士」も、自分で調べ直してください。
  • 扱っている分野を見る:日弁連の「ひまわりサーチ」は取扱業務などから弁護士を探せます(弁護士の自己申告による任意登録の情報です)。ファクタリング、債権譲渡、貸金、企業法務などの経験を相談のときに聞きます。
  • 相手方と関係がないか:業者が紹介する人や、業者の広告と同じ所から来た人は避けます。
  • 見通しを率直に話すか:結果を請け合うのではなく、勝ち目と負けたときのことを説明してくれる人を選びます。

司法書士でも、法務大臣の認定を受けた人は、簡易裁判所で扱う額(訴訟の目的の価額が140万円以下)の民事紛争について代理や相談ができます。※2※3金額が大きい場合や、刑事の問題が絡む場合は弁護士に相談します。

費用の種類と、確かめ方

弁護士費用に全国一律の定価はありません。日弁連は、費用の種類として次のものを挙げています。

費用 中身
法律相談料 相談に対して払う費用。弁護士会の法律相談センターは30分5,500円前後が目安。ひまわりほっとダイヤルは初回30分無料
着手金 依頼するときに払う。結果が不成功でも返ってこない
報酬金 事件が成功に終わったとき、終了の段階で払う。全面敗訴なら不要
手数料 争いのない事務的な手続き(書類の作成など)の費用
実費・日当 裁判所に納める費用、交通費、遠方への出張の日当など

弁護士は、事件を受ける時に事件の見通し、処理の方法、弁護士報酬と費用について適切に説明しなければならず、報酬に関する事項を含む委任契約書を作らなければなりません。※4※5依頼する前に次のことを聞き、委任契約書で確かめてください。

  • 着手金と報酬金はそれぞれいくらか。報酬金は何を「成功」として計算するのか
  • 業者が複数いる場合、1社ごとに費用がかかるのか
  • 実費の見込みと、途中でやめた場合の扱い
  • 分割払いができるか

個人事業主で収入と資産が基準以下なら、法テラスの立替えも使えます。立替えの返済は、援助の開始が決まった後、毎月5,000円〜10,000円程度の分割が目安とされています(法テラス「民事法律扶助のしおり」)。収入の基準は、たとえば単身者で手取り月収182,000円以下(東京都特別区や大阪市など生活保護一級地は200,200円以下)、現金・預貯金は単身者で180万円以下です(2026年3月現在)。事業の売上ではなく、申込者と配偶者の手取り月収で見ることになっていますが、自分が当てはまるかは法テラスに確かめてください。

この章の根拠(5件)
  1. 貸金業法21条1項9号
  2. 司法書士法3条
  3. 裁判所法33条
  4. 弁護士職務基本規程29条1項
  5. 弁護士職務基本規程30条
06

相談の前にそろえるもの

相談の時間は30分程度のことが多く、資料がそろっているかで中身が大きく変わります。次のリストを、手元にあるものから集めてください。原本は自分で持ち、相談先にはコピーや画面の保存を見せます。

書類と記録のチェックリスト

そろえるもの 何に使うか ないときの代わり
契約書(債権譲渡契約書など)と附属の書類 売買か貸付けか、償還請求・買戻しの条項、手数料の総額を確かめる 電子契約のメール、署名前に撮った写真、業者への写しの請求の記録
見積書・申込みの画面 説明された手数料と、実際の金額の差を示す 業者からのメール、広告の画面の保存
譲渡した請求書と、売掛先との契約書 どの売掛金をいくらで売ったかを特定する 会計ソフトの売掛金の明細
振込の記録(通帳・ネットバンキングの明細) 業者から入ったお金、業者へ送ったお金の日付と額 銀行の取引明細の再発行
業者とのやり取り(メール・チャット・SMS) 言われたこと、約束したことの証拠 画面の写真。消さずに端末ごと保存
電話の記録 取立ての時間帯や回数、言われた言葉 着信履歴の画面、日時と内容のメモ
債権譲渡登記・通知の書類 登記や通知をしたか、いつか 法務局で登記事項の証明書を取れるか相談先に聞く
業者の情報 会社名、所在地、代表者、担当者名、口座名義 名刺、振込元の口座名義、ウェブサイトの保存

時系列のメモを1枚作る

資料の山を渡すより、1枚の時系列メモがあると相談が格段に早くなります。次の形で、日付順に書きます。

  1. いつ、どうやってその業者を知ったか(広告、紹介など)
  2. 申込み・審査・契約の日と、そのとき説明された手数料
  3. 契約書に署名した日、控えを受け取ったか
  4. 入金された日と額
  5. 売掛先から入金された日と額、業者に送った日と額
  6. トラブルが始まった日と、その後の業者からの連絡(日時・方法・内容)
  7. ほかに契約しているファクタリング会社や借入れ
  8. 相談したいこと(たとえば「いくら払えばよいか」「脅しを止めたい」)

最後の「相談したいこと」を一文で書いておくと、限られた時間で答えを持ち帰りやすくなります。

07

取立てが厳しいとき:貸付けなら当てはまるルール

貸金業を営む者や、取立ての委託を受けた者が、貸付けの契約に基づく債権を取り立てるときに、人を威迫したり、私生活や業務の平穏を害する言動をしたりすることは、禁じられています。※1このルールの対象は「貸金業を営む者」なので、登録を受けた業者に限られません。ファクタリングの形をとっていても中身が貸付けとされれば、このルールが問題になります。主なものを挙げます。

禁止されている言動(貸金業法21条1項) 具体的には
不適当な時間帯の連絡(1号) 正当な理由なく、午後9時から午前8時までに電話・FAX・自宅訪問をする(時間帯は貸金業法施行規則19条1項)
勤務先など自宅以外への連絡(3号) 正当な理由なく、勤務先など自宅以外の場所に電話や訪問をする
退去しない(4号) 帰ってほしいと言われても、自宅や勤務先から立ち去らない
第三者に借入れを明かす(5号) 貼り紙など方法を問わず、借入れの事実などを本人以外に明らかにする
ほかから借りて返せと迫る(6号) ほかの業者からの借入れなどで返済資金を用意するよう求める
第三者に代わりに払えと迫る(7号) 家族や取引先など本人以外に、代わりに払うよう求める
弁護士への依頼後の直接の請求(9号) 弁護士などから書面で受任の通知が届いた後、本人から直接求めないよう言われても、正当な理由なく本人に電話や訪問で請求し続ける
これらをすると告げる(10号) 上のような言動をすると予告する(6号を除く)

上の禁止に違反すると、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方の対象になります。※2また、取立ての催告書面には、業者の名前・住所・電話番号、契約年月日、貸付けの金額や利率、請求額などを書くことが求められ、相手から求められたら取り立てる者の名前などを明らかにしなければなりません。※3※4

実際には、自分の契約が貸付けにあたるかは、すぐにはわかりません。それでも、どの言動がいつあったかを上の表に照らして記録しておけば、警察や弁護士に相談したとき、問題の大きさを伝えやすくなります。売買か貸付けかにかかわらず、脅しや恐喝は刑法の問題になります。

この章の根拠(4件)
  1. 貸金業法21条1項
  2. 貸金業法47条の3第1項3号
  3. 貸金業法21条2項
  4. 貸金業法21条3項
08

契約がそもそも「貸付け」ではないか

トラブルの根っこが、契約そのものにあることも少なくありません。金融庁は、ファクタリングを装って債権を担保にした貸付けを行う事案に注意を呼びかけています。法律上は、手形の割引や売渡担保など「これらに類する方法」でお金を渡すことも貸付けに含まれます。※1中身が貸付けと判断されれば、無登録の営業や、高すぎる利息の問題になります。業として行う貸付けで年109.5%を超える利息を定めた契約は無効とされます。※2

どんな条項があると貸付けとされやすいか、どんな裁判例があるかはファクタリングは違法かで詳しく扱っています。ここでは、相談の前に自分で見ておく点だけ挙げます。

  • 売掛先が払えなかったとき、利用者が買い戻す、または払うことになっているか
  • 契約書に「売買」「債権譲渡」と書かれているか
  • 売掛金の額と関係なく、買取額や支払額が決まっていないか
  • 手数料を実質年率に直すと、どれくらいになるか(上の例では約304%、約608%)

当てはまるものがあれば、メモに書き出して相談に持っていきます。払いすぎたお金を取り戻せるかどうかは、契約の中身と支払いの経過によって変わり、自分で判断するのは難しいので、弁護士に見てもらってください。

この章の根拠(2件)
  1. 貸金業法2条1項
  2. 貸金業法42条
09

やってはいけないこと

追い詰められているときほど、目の前の電話を止めるための行動を選びがちです。次の行動は、状況をさらに悪くしやすいものです。

  • 別のファクタリング会社や貸金業者から調達して払う:負担が2社分に増え、次の期日がまたすぐ来ます。業者から「ほかで借りて払え」と迫られた場合、貸付けの取立てならそれ自体が禁止行為にあたります。※1
  • 同じ売掛金を別の会社に売る:二重譲渡になり、契約違反の責任を問われるうえ、業者同士の争いに巻き込まれます。
  • まだ発生していない売掛金や、架空の請求書を売る:取引の実態がない請求書を使うと、それ自体が別の大きな問題になります。
  • 連絡を絶つ・逃げる:相手は売掛先への通知や法的手続きに動きやすくなります。払えなくても、期日前に連絡し、相談中であることを伝えます。
  • 求められるまま追加の書類に署名する:支払いを約束する書面や公正証書の作成に応じる前に、相談先に見せます。
  • 記録を消す・控えを返す:チャットの削除や、契約書の返却を求められても応じません。
  • 「取り返す」と持ちかける人に前払いする:弁護士かどうか、登録を確かめてからにします。
この章の根拠(1件)
  1. 貸金業法21条1項6号
10

落ち着いたら:使わない方がよい場合と、ほかの方法

トラブルが片付いたあと、また同じ資金不足が来れば、同じことが起こりえます。次に当てはまる間は、ファクタリングは使わない方がよいでしょう。

  • 入金があるたびに前の手数料の穴埋めに消え、毎月使わないと回らない
  • 実質年率で見た負担が、事業の利益で払える水準を超えている
  • 手元の売掛金がほかの会社に譲渡済みで、どの請求書がまだ自分のものか整理できていない

ほかの方法として、次を検討します。

  • 支払いを待ってもらう:仕入先や外注先に、支払日の延期や分割を早めに相談します。
  • 融資:日本政策金融公庫や、取引のある金融機関、信用保証協会の保証付き融資など。融資の利息には利息制限法の上限があります。違いはファクタリングと融資の違いで説明しています。
  • 税金や社会保険料の猶予:一度に納めると事業の継続が難しくなる場合、税務署や年金事務所に猶予を申請できることがあります。

それでもファクタリングを使う場合は、契約前に危ないファクタリング業者の見分け方と契約書で確かめる箇所を読み、手数料を手数料と実質年率の計算で年率に直してから決めてください。

出典(26件)公的機関の資料・法令。2026.10.15に確認
  1. ファクタリングの利用に関する注意喚起(金融庁)www.fsa.go.jp
  2. 金融サービス利用者相談室(金融庁)www.fsa.go.jp
  3. 各財務局の貸金業者に関するお問い合わせ先(金融庁)www.fsa.go.jp
  4. 各都道府県知事登録の貸金業者に関するお問い合わせ先(金融庁)www.fsa.go.jp
  5. 違法な金融業者にご注意!(各財務局のウェブサイト)(金融庁)www.fsa.go.jp
  6. 貸金業相談・紛争解決センターについて(日本貸金業協会)www.j-fsa.or.jp
  7. ご意見、各種相談・情報提供等(警察庁)www.npa.go.jp
  8. 相談時のポイント(国民生活センター)www.kokusen.go.jp
  9. 民事法律扶助業務(法テラス)www.houterasu.or.jp
  10. 民事法律扶助のしおり(法テラス、2026年3月現在の基準)www.houterasu.or.jp
  11. 法律相談(日本弁護士連合会)www.nichibenren.or.jp
  12. ひまわりお悩み110番(日本弁護士連合会)www.nichibenren.or.jp
  13. ひまわりほっとダイヤル 日弁連の中小企業向け弁護士予約サービス(日本弁護士連合会)www.nichibenren.or.jp
  14. 弁護士費用の種類(日本弁護士連合会)www.nichibenren.or.jp
  15. 弁護士検索(日本弁護士連合会)www.nichibenren.or.jp
  16. 弁護士職務基本規程(日本弁護士連合会)www.nichibenren.or.jp
  17. 貸金業法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  18. 貸金業法施行規則(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  19. 民法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  20. 動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  21. 刑法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  22. 弁護士法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  23. 司法書士法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  24. 裁判所法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  25. No.9206 国税を期限内に納付できないとき(国税庁)www.nta.go.jp
  26. 厚生年金保険料等の猶予(換価の猶予・納付の猶予)(日本年金機構)www.nenkin.go.jp

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