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会計更新 2026.10.18

取引先が倒産したらやること|売掛金の届出・相殺・税金と連鎖倒産の防ぎ方

ハカセ
結論

取引先が倒産しても、売掛金はすぐには消えませんが、2025年の法人破産で配当があったのは25.0%でした。戻らない前提で、相殺・届出・税金の処理と資金繰りの手当てを同時に進めます。倒産の種類ごとの期限と手順を解説します。

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フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

取引先が倒産したらやること|売掛金の届出・相殺・税金と連鎖倒産の防ぎ方

取引先から「破産の申立てをしました」と連絡が来た。裁判所から見慣れない封筒が届いた。

来月入るはずだった売掛金はどうなるのか、何をいつまでにすればよいのか。この記事は、取引先の倒産に直面した中小企業の経営者・個人事業主に向けて、回収・届出・税金・資金繰りを、やる順に説明します。

この記事を7枚で

1 / 7
倒産の知らせ 破産を申し立てました 取れる分を取る 相殺・届出・税金 自社の資金を守る 資金繰り表・融資 2つを同じ週に始める

この記事の流れ

回収と資金繰りを同時に始める

この記事で何がわかるの?

取引先が倒産しても売掛金はすぐには消えませんが、戻らない前提で動きます。取れる分を取る手順と、自社の資金を守る手順を順に見ます。

破産財産を分けて会社はなくなる配当を待つ再生・更生計画で減らし事業は続く届け出ないと失う私的整理金融機関と話し合う取引先は原則外 種類で、期限と売掛金の行方が変わる

POINT 1

まず倒産の種類を確かめる

倒産したら、まず何を確かめるの?

破産は財産を分けて配当、民事再生・会社更生は計画で減らして払います。私的整理は金融機関との話し合いで、取引先の売掛金は原則として対象外です。

この章を読む
売掛金 900万円 買掛金 120万円を相殺 届出 780万円 再生・更生の相殺は、届出の期間内だけ 商品の無断の引き揚げは犯罪になりうる

POINT 2

相殺で取れる分を先に取る

取れる分を先に取る方法はある?

相手への買掛金があれば、売掛金と消し合えます。民事再生・会社更生では届出の期間内に限られます。商品を無断で引き揚げると、窃盗などに問われるおそれがあります。

この章を読む
破産出さないと配当を受けられない 再生・更生出さないと権利を失う 特別清算期間内に申し出る(2か月以上) 期限が「追って定める」なら、後で求められる

POINT 3

期限までに債権を届け出る

裁判所に何を届ければいい?

請求書や納品書の写しを付け、額と原因を届け出ます。民事再生・会社更生では、届け出ないと権利を失います。破産で期限が「追って定める」なら、後で求められます。

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法人の破産の終わり方 配当あり 25.0% 配当なし 73.1% 2025年・8,298件 計算例の月末の預金 10月11月12月1月2月 600 −100

POINT 4

配当は4件に1件、預金は3か月後に尽きる

配当は、どれくらいあるものなの?

2025年の法人などの破産で配当があったのは25.0%。売上の30%を占める取引先が倒産した計算例では、毎月100万円ずつ足りなくなり、3か月後の2月に預金が尽きます。

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申立て決算結果が出る 中小法人等は50%を引当金に 900万円なら450万円 認可・回収不能で貸倒損失に 消費税は貸倒れの年に 81万8,182円を差し引く

POINT 5

損金にできる時期は種類で違う

損金にできるのは、いつ?

再生・更生は認可で切り捨てられた額を、破産は回収できないと明らかになった年に。中小法人等は申立ての時点で50%を貸倒引当金にできます。

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公庫の倒産対応資金別枠3,000万円セーフティ共済無利子の貸付 セーフティネット1号指定された倒産だけファクタリング残った取引先の分 目安は売掛金50万円以上か、取引20%以上 手数料10%・30日なら実質年率 約135%

POINT 6

連鎖倒産を防ぐ資金の手当て

連鎖倒産を防ぐには、どうするの?

公庫の取引企業倒産対応資金は別枠3,000万円まで。共済やセーフティネット保証1号も確かめます。ファクタリングは残った取引先の売掛金で、つなぎに限ります。

この章を読む
01

結論:売掛金は戻らない前提で、回収と資金繰りの手当てを同時に始める

社長

取引先が倒産したら、売掛金はもう戻ってこないの?

権利はすぐには消えませんが、2025年の法人などの破産で配当があったのは25.0%でした。戻らない前提で、相殺や届出で取れる分を取りつつ、自社の資金繰りの手当てを同時に始めます。

ハカセ

取引先が倒産しても、売掛金を請求する権利がすぐに消えるわけではありません。ただ、2025年に終わった法人などの破産のうち、債権者に配当があったのは25.0%でした。※14件に3件は、配当がないまま手続きが終わっています。

ですから、やることは2つに分かれます。1つは、相殺・担保・届出で、取れる分を取りこぼさないこと。

もう1つは、入らないお金と、これから減る売上を前提に、自社の資金繰りを先に手当てすることです。後者が遅れると、取引先の倒産が自社の倒産を呼ぶ「連鎖倒産」になります。

この記事で答える問いは次のとおりです。

  • 倒産の種類(破産・民事再生・会社更生・特別清算・私的整理)で、売掛金がどうなるか
  • 倒産を知った日にやること
  • 相殺と商品の引き揚げのやり方と、やってはいけない回収
  • 債権届出の期限と書き方
  • 数字で見る回収の見込みと、連鎖倒産が起きる月
  • 回収できない売掛金を損金にできる時期
  • 入らないお金の手当てと、ファクタリングを使わない方がよい場合
  • よくある失敗と注意点
取引先の倒産を知ってからやること
  1. 当日出荷と作業を止め、残高を確かめる未請求の納品分・手形・前渡金まで含めて、相手に請求できる額を出す
  2. 1〜3日届いた書類で、倒産の種類と期限を確かめる破産・民事再生などで、届出の期限と相殺できる期限が変わる
  3. 1週間相殺・担保・商品の扱いを決める自社が相手に払うお金と、保証人・保証金を洗い出す。引き揚げは同意を得てから
  4. 届出の期限まで裁判所に債権を届け出る請求書・納品書・契約書の写しを付ける。再生・更生は届け出ないと権利を失う
  5. 並行して資金繰り表を作り直し、融資を申し込む入らないお金と、減る売上の両方を入れて、何か月後に足りなくなるかを見る
  6. 決算貸倒引当金・貸倒損失を処理する倒産の種類で、損金にできる時期と額が違う
この章の根拠(1件)
  1. 最高裁判所「令和7年 司法統計年報 1 民事・行政編」第108表
02

倒産の種類で、売掛金の行方と期限が変わる

社長

「倒産」って、どれも同じじゃないの?

破産・民事再生・会社更生・特別清算・私的整理などで、売掛金の扱いも期限も変わります。再生や更生は届け出ないと原則として権利を失い、私的整理では取引先の売掛金はふつう含まれません。

ハカセ

「倒産」は法律の言葉ではなく、会社が払うべきものを払えなくなった状態をまとめた呼び方です。どの手続きに入ったかで、売掛金の扱いも、こちらが動ける期限も変わります。まず種類を確かめます。

種類 どんな手続きか 売掛金はどうなるか
破産 裁判所が選んだ破産管財人(財産を管理・換金する弁護士)が財産をお金に換え、債権者に分ける。会社はなくなる 届け出て、財産が残れば額に応じて配当を受ける。財産が足りなければ配当なしで終わる
民事再生 会社が事業を続けながら、再生計画で借りを減らし、分けて払う 計画で決まった割合と期間で払われる。届け出ないと、原則として権利を失う
会社更生 主に大きな株式会社が対象。管財人が経営し、更生計画で借りを減らす 計画で決まった額が払われる。届け出ないと、原則として権利を失う
特別清算 解散した株式会社が、債務超過の疑いなどがあるときに裁判所の監督の下で清算する 債権者との協定で決まった額が払われる。期間内に申し出る
私的整理 裁判所を使わず、債権者と話し合って借りを整理する 中小企業向けの指針では、対象は原則として金融機関。取引先の売掛金はふつう含まれない
事業停止 手続きを取らずに営業をやめ、連絡が取れなくなる 自分で請求し、裁判所の手続きで取り立てる

※1※2※3※4※5表のうち、件数でいちばん多いのは破産です。2025年に終わった4つの法的な手続きのうち、法人などの破産が94.3%を占めました(数字は後の章で示します)。

民事再生なら、取引を続けるかどうかも決める

民事再生は事業が続くので、相手から「これからも納品してほしい」と頼まれることがあります。手続きが始まった後の取引の代金は「共益債権」になり、計画を待たずに、ほかの債権より先に払われます。※6

注意したいのは、申立てから開始決定までの間の取引です。この期間の取引は、裁判所の許可か監督委員の承認がなければ、ほかの古い売掛金と同じ扱いになりえます。※7この間に納めるなら、承認を取ったかを相手に確かめるか、前払い・代金引換にします。

私的整理のときは、支払いが続くことが多い

中小企業が金融機関と話し合って借りを整理する手続きには、全国銀行協会が公表している指針があります。指針の対象債権者は、原則として銀行・信用金庫・信用保証協会・貸金業者などです。※5取引先の売掛金は、必要な場合に限って加わります。

私的整理の知らせが来ても、すぐに取引を止める前に、支払いの予定を相手に確かめます。

届いた書類から、取引先の倒産の種類を見分ける
  1. 裁判所から「破産手続開始通知書」が届いた?はい → 破産。通知に書かれた届出の期限を確かめる。期限が「追って定める」なら、届出は後で求められるいいえ → 次へ
  2. 「再生手続開始」「更生手続開始」の通知が届いた?はい → 民事再生・会社更生。届出の期限が、届出と相殺の両方の締切になるいいえ → 次へ
  3. 弁護士から「支払いを止める」「申立ての準備に入った」という通知が届いた?はい → 法的整理の前の段階。出荷を止め、裁判所の通知を待ちながら書類をそろえるいいえ → 次へ
  4. 連絡が取れず、事務所も閉まっている?はい → 手続きのない事業停止。登記や官報で申立ての有無を確かめ、なければ個別に請求するいいえ → 取引先に事情を聞き、支払いの予定を書面でもらう
この章の根拠(7件)
  1. 破産法2条1項・78条1項
  2. 民事再生法178条1項
  3. 会社更生法204条1項
  4. 会社法510条
  5. 中小企業の事業再生等に関するガイドライン 第一部3
  6. 民事再生法119条2号・121条1項・2項
  7. 民事再生法120条1項〜3項
03

倒産を知った日にやること:出荷を止め、残高と書類をそろえる

社長

倒産を知ったその日、まず何をすればいい?

新しい出荷を止め、未請求の納品分や手形、保証金まで含めて請求できる額を出します。契約書や納品書などの書類をそろえ、担保と保証人、相殺できる買掛金も確かめます。

ハカセ

倒産を知った日に動けるかどうかで、取れる額が変わります。届出も相殺も税金の処理も、ここで集める数字と書類が土台になります。次の順に進めます。

  1. 出荷と作業を止める:新しい納品は、代金を受け取れる見込みが立つまで止めます。民事再生で取引を続けるときは、前の章の確認をしてからにします。
  2. 請求できる額を全部出す:請求書を出した分だけでなく、締め日の後に納めた未請求の分、受け取った手形・でんさい、前渡金(先に払った代金)、預けた保証金も数えます。
  3. 取引の書類をそろえる:契約書・注文書・納品書・受領書・請求書・メールの記録です。届出に写しを付けるほか、税金の処理の証拠にもなります。
  4. 担保と保証人を確かめる:代表者の連帯保証の書面、預かっている保証金、契約書の所有権留保(代金を払い終えるまで品物の所有権を売主に残す決め)の有無を見ます。
  5. 自社が相手に払うお金を洗い出す:相手から仕入れた分の買掛金や、預かっている保証金があれば、相殺の候補になります。
  6. 専門家に相談する:額が大きい、相殺や引き揚げで迷う、というときは弁護士に相談します。届出の期限より前に相談の予約を入れます。

手順2で手形を受け取っている場合は、原本をなくさないよう保管します。割り引いた手形が不渡りになったときは、銀行から買戻しを求められます。手形が落ちなかったときの手順は手形の不渡りとはで説明しています。

倒産した取引先の売掛金を、すでにファクタリングで売っている場合もあります。そのときは、契約に償還請求権(売掛先が払わなかったときに、利用者が買い戻す義務)があるかで負担が変わります。契約書の読み方は償還請求権とはにまとめています。

噂の段階でできること

まだ申立ての知らせはないが、支払いの遅れや噂がある、という段階もあります。この段階なら、次の納品を前払いや代金引換に切り替える、取引の額を減らす、といった手が打てます。ただし、正式な手続きの前でも、相手がすでに支払不能なら、後で説明する「否認」の対象になりうる回収があります。

申立て前の前兆の見分け方と、段階ごとに打てる手は倒産の前兆とは(取引先に出る12のサイン)で説明しています。

04

相殺と商品の引き揚げ:取れる分を取る方法と、やってはいけない回収

社長

納めた商品が残っていたら、取り返してもいい?

無断で持ち出すと、窃盗などに問われるおそれがあります。引き揚げは相手の同意を書面でもらってからです。先に効くのは相殺で、相手への買掛金があれば売掛金と消し合えます。

ハカセ

倒産した相手から現金で払ってもらうのは難しくても、手続きの外で取り戻せるお金があります。代表的なのが、相殺と、売った商品にかかる権利です。どちらも期限と条件があるので、早めに確かめます。

相殺:相手に払うお金と、相手からもらうお金を消し合う

相殺は、こちらの売掛金と、こちらが相手に払うべき買掛金などを、同じ額だけ消し合うことです。※1例えば売掛金が900万円、相手への買掛金が120万円なら、相殺で120万円分は実質的に回収できます。残りの780万円を届け出ます。

破産では、破産手続が始まった時点で相手に債務を負っていれば、手続きによらずに相殺できます。※2ただし、手続きが始まった後に負った債務や、支払いの停止・申立てを知った後に負った債務とは、原則として相殺できません。※3知った後に、ほかの人の債権を買い取って相殺に使うことも禁じられています。※4

破産管財人は、債権の調査の期間が過ぎた後、1か月以上の期間を決めて「相殺するかどうか答えてほしい」と求めることができます。期間内に答えないと、その相殺は主張できなくなります。※5

民事再生と会社更生は、もっと厳しい決まりです。相殺できるのは、債権届出の期間が終わるまでに限られます。※6※7届出の締切が、相殺の締切でもあると覚えておきます。

相殺は、相手(申立ての後は管財人や再生債務者)への意思表示で行います。どの売掛金とどの債務を、いつ、いくら相殺するかを書いた通知を、内容証明郵便で送るのが確実です。届出書にも、相殺した後の残りの額を書きます。

商品の引き揚げ:無断で持ち出すのは犯罪になりうる

納めた商品が、相手の倉庫に手つかずで残っていることがあります。しかし、引き渡した商品の持ち主は、ふつうは相手です。自社の商品だからと無断で持ち出すと、窃盗や建造物侵入に問われるおそれがあります。※8

引き揚げるなら、相手の同意を書面でもらいます。申立ての後は、財産を管理するのは破産管財人や再生債務者なので、その人と話します。申立ての直前に相手が同意したとしても、ほかの債権者との公平を害するとして、後で取り消されることがあります。

動産売買の先取特権:売った商品の代金を優先して取る権利

商品を売った会社は、その商品の代金について、その商品から優先して支払いを受ける権利を持ちます。これを動産売買の先取特権といいます。※9破産しても、手続きの外で行使できます。※10

ただし、相手がその商品を別の会社に引き渡した後は、商品には行使できません。※11その場合でも、転売先がまだ代金を払っていなければ、払われる前に差し押さえることで、その代金から取れることがあります。※12裁判所の手続きが必要で、時間との勝負になるので、弁護士に相談します。

直前の返済や担保は、後で取り消されることがある

相手が支払不能になった後や、申立ての後に、自社だけが返済や担保を受けた場合です。こちらがその状態を知っていれば、破産管財人に取り消され、受け取ったお金を返すよう求められることがあります。※13これを否認といいます。

危ないと感じて「今月分だけでも先に払ってほしい」と頼むこと自体は、ふつうの請求です。ただ、相手がすでに払えない状態だと知りながら、ほかの債権者を差し置いて取るのは、取り消されるおそれがあると知っておきます。

倒産した取引先からの回収:やってよいことと、危ないこと
  • 買掛金と相殺する通知を出すどの売掛金とどの買掛金を、いくら相殺するかを書き、内容証明で送る
  • 倉庫や店から商品を無断で持ち出す窃盗や建造物侵入に問われるおそれがある
  • 管財人などの同意を書面でもらって引き揚げる申立ての後は、本人ではなく管財人・再生債務者と話す
  • 申立ての直前に自社だけ返済や担保を受けるほかの債権者を害するとして、後で取り消されることがある
  • 保証人・保証金・手形の原本を確かめる連帯保証の書面、預けた保証金、受け取った手形は届出と回収の材料になる
  • 保証のない社長個人に支払いを迫る会社の借りは、保証していない社長個人の借りにはならない
この章の根拠(13件)
  1. 民法505条1項
  2. 破産法67条1項
  3. 破産法71条1項
  4. 破産法72条1項
  5. 破産法73条
  6. 民事再生法92条1項
  7. 会社更生法48条1項
  8. 刑法235条・130条
  9. 民法311条5号・321条
  10. 破産法2条9項・65条1項
  11. 民法333条
  12. 民法304条1項
  13. 破産法162条1項1号
05

債権届出のやり方:期限・書き方と、届け出た後の流れ

社長

裁判所への届出は、どう出せばいいの?

届いた様式に、相殺した後の額と、何の代金かを取引ごとに書き、請求書などの写しを付けます。民事再生・会社更生では、届出の期間が相殺の締切でもあるので注意します。

ハカセ

債権届出は、「この会社にこれだけの売掛金がある」と裁判所に届け出ることです。破産なら配当を受けるため、民事再生・会社更生なら権利を失わないために出します。手続きごとの違いは次のとおりです。

手続き 期限の決まり方 出さないとどうなるか
破産 裁判所が開始決定と同時に決める。配当できる財産がなさそうなときは、決めずに後回しにすることもある 配当を受けられない。債権の調査の期間が過ぎた後は、自分のせいでない理由があり、その理由がなくなってから1か月以内に限られる
民事再生 裁判所が開始決定と同時に決める 計画の認可が確定すると、原則として権利を失う
会社更生 裁判所が開始決定と同時に決める 計画の認可で、原則として権利を失う
特別清算 清算する会社が官報で公告し、知れている債権者に知らせる(2か月以上) 知れていない債権者は清算から外される

※1※2※3※4民事再生では、相手が知っている債権を自分で認める仕組み(自認)もありますが、それに頼らず自分で届け出ます。※5

破産で「届出の期限は追って定める」と書かれていたら

法人の破産では、通知に届出の期限が書かれていないことがあります。財産が手続きの費用にも足りなさそうなとき、裁判所は届出の期間を決めずに進められるからです。※6この場合、配当できる財産が見つかったときに、改めて届出を求められます。

届け出なくてよいという意味ではなく、求められたときにすぐ出せるよう、書類をそろえておきます。また、配当がないまま手続きが終わったことを示す書類は、後で税金の処理に使うので保管します。

届出書の書き方

届出書は、裁判所から届いた様式を使います。破産では、債権の額と原因(何の代金か)を書きます。※7先取特権などの担保を持つ場合は、その財産と、担保で取れないと見込まれる額も書きます。※8

  • 額:相殺した後の残りの額。遅延損害金を請求するなら、その計算も分けて書く
  • 原因:「2026年9月分の商品代金(請求書番号○○)」のように、取引ごとに書く
  • 付ける書類:請求書・納品書・契約書の写し。手形は写しを付け、原本は配当のときまで保管する
  • 送り先と控え:通知に書かれた送り先(裁判所か破産管財人)へ。送った届出書の控えを残す

主な取引先が再生・更生に入ったときの特例

民事再生・会社更生では、計画が決まるまで古い売掛金は払われないのが原則です。※9ただし、相手を主な取引先とする中小企業が、払ってもらわないと事業を続けるのに大きな支障が出るときは、裁判所が計画の前でも支払いを許可できます。※10※11

この許可は、再生債務者や管財人の申立てで出されます。中小企業から申立てを頼まれた再生債務者は、そのことを裁判所に報告しなければなりません。※12

売上の多くを頼っていた相手なら、資金繰りの表を添えて、申立てを頼む価値があります。少額の債権を早く払う許可の仕組みもあります。※13

届け出た後の流れ

届け出た債権は、管財人や再生債務者が調べ、認めるかどうかを決めます。破産では、財産の状況を報告する債権者集会が開かれ、財産をお金に換え終わると配当か手続きの廃止になります。民事再生では、債権者の決議で再生計画が決まり、裁判所の認可の後、計画に沿って払われます。

民事再生の計画で決まる支払いの期間は、特別な事情がなければ、認可の確定から10年以内です。※14何%払われるかは計画しだいで、公的な統計はありません。

この章の根拠(14件)
  1. 破産法31条1項1号・2項・112条1項
  2. 民事再生法34条1項・178条1項
  3. 会社更生法204条1項
  4. 会社法499条1項・503条1項
  5. 民事再生法101条3項
  6. 破産法31条2項・3項
  7. 破産法111条1項
  8. 破産法111条2項
  9. 民事再生法85条1項
  10. 民事再生法85条2項
  11. 会社更生法47条2項
  12. 民事再生法85条4項
  13. 民事再生法85条5項
  14. 民事再生法155条3項
06

数字で確かめる:法人の破産の4件に3件は配当なし、資金が尽きるのは3か月後

社長

うちの資金繰りには、どれくらい響くの?

売上の30%を占める取引先が倒産した計算例では、毎月100万円ずつ足りなくなり、3か月後の2月に預金が尽きました。原因は売掛金より、毎月続く売上の穴です。

ハカセ

回収の見込みと、自社の資金繰りへの響き方を、数字で確かめます。前半は裁判所の統計、後半は架空の会社の計算例です。

2025年に終わった法人などの破産8,298件

最高裁判所の司法統計で、2025年に全国の地方裁判所で終わった破産事件のうち、法人などの8,298件の終わり方を見ます。

終わり方 件数 割合
配当して終結(最後配当274・簡易配当1,749・同意配当48) 2,071件 25.0%
財産が足りず廃止(配当なし) 6,064件 73.1%
取下げ・棄却など 163件 2.0%
合計 8,298件 100%

※1配当まで進んだのは4件に1件です。残りの多くは、管財人が財産を調べた後、手続きの費用にも足りないとして配当なしで廃止されています。※2配当があった場合でも、何%が戻ったかは統計に出ていません。

同じ年に新しく申し立てられた法人などの破産は8,804件で、そのうち8,627件(98.0%)は会社自身が申し立てたものでした。※3取引先の倒産の多くは、債権者が追い込んだ結果ではなく、会社自身が「もう払えない」と判断した結果です。

ほかの手続きの件数は、2025年に終わった通常の民事再生が102件(個人の小規模な再生などを除く)、会社更生が16件、特別清算が385件でした。※44つを合わせた8,801件のうち、法人などの破産が94.3%です。

2025年に終わった法人などの破産8,298件の終わり方

終局の区分(全国の地方裁判所)

  1. 配当して終結2,071件
  2. 財産が足りず廃止6,064件
  3. 取下げ・棄却など163件

債権者に配当があった(25.0%)配当がないまま終わった(73.1%)そのほか(2.0%)

計算例:売上の30%を占める取引先が11月に破産したら

次に、取引先の倒産が自社の預金にどう響くかを計算します。架空の会社で、前提は次のとおりです(金額は万円)。

  • 月の売上は1,500万円。うちA社が450万円(売上の30%)。どの取引先も末締め翌々月末払い
  • 仕入・外注は売上の3分の2で、翌月末払い。給与・家賃などの固定費が月400万円、借入の返済が月50万円
  • 10月末の預金は600万円。A社が11月10日に破産を申し立て、11月の出荷は止めた
  • A社から入らなくなる売掛金は、9月分と10月分の900万円。ほかの取引先の売上は変わらない
月 入金 支払い 月末の預金 倒産がなかった場合
11月 1,050 1,450 200 650
12月 1,050 1,150 100 700
1月 1,050 1,150 0 750
2月 1,050 1,150 −100 800
3月 1,050 1,150 −200 850

表からわかることは3つあります。1つめに、11月はA社の9月分450万円が入らないのに、A社向けに仕入れた10月分の支払い1,000万円は残ります。倒産した月がいちばん苦しいのは、このずれのためです。

2つめに、損は900万円で終わりません。A社の分の売上がなくなると、固定費と返済をまかなえず、毎月100万円ずつ足りない状態が続きます。倒産の前は毎月50万円ずつ増えていたので、差は月150万円です。

3つめに、預金が尽きるのは倒産の翌月ではなく、3か月後の2月です。手を打てる時間は2〜3か月あるとも言えますが、融資の審査や新しい取引先の開拓には時間がかかります。倒産を知ったその週に、表を作り直して動き始めます。

この章の根拠(4件)
  1. 最高裁判所「令和7年 司法統計年報 1 民事・行政編」第108表
  2. 破産法217条1項
  3. 同 第105表
  4. 同 第109表・第110表・第88表
07

回収できない売掛金の税金:倒産の種類ごとに、損金にできる時期が違う

社長

回収できない売掛金は、税金でどう扱うの?

倒産の種類で損金にできる時期が違います。再生・更生は認可で切り捨てられた額を、その年に。中小法人等なら、申立ての時点で売掛金の50%を貸倒引当金にできます。

ハカセ

回収できない売掛金は、税金の上で「貸倒損失」として損金(税金の計算で費用として差し引けるもの)にできます。いつ損金にできるかは、倒産の種類で決まります。早すぎても遅すぎても税務調査で否認されうるので、時期を正しくつかみます。

倒産の種類 損金にできる時期と額 根拠
民事再生・会社更生 計画の認可の決定で切り捨てられた額を、その決定の日の事業年度に 法人税基本通達9-6-1(1)
特別清算 協定の認可の決定で切り捨てられた額を、その決定の日の事業年度に 同9-6-1(2)
私的整理 債権者集会の協議決定などで切り捨てられた額、または書面で免除した額を、その事業年度に 同9-6-1(3)(4)
破産 全額が回収できないことが明らかになった事業年度に、全額を(担保があれば処分の後) 同9-6-2
事業停止・連絡が取れない 継続して取引していた相手なら、取引を止めてから1年以上たった後に、1円などを残して 同9-6-3

再生・更生・特別清算で切り捨てられた額は、会社の判断ではなく、その年に損金に入れなければならない決まりです。一方、破産は9-6-1の一覧に入っていません。

破産では、配当がないまま手続きが廃止されたことなど、全額が回収できないとわかった事実を書類で示して処理します。どの時点がそれに当たるかは、顧問の税理士と確かめます。

決算が先に来るとき:申立ての時点で50%を引当金にできる

倒産の手続きは長くかかり、結果が出る前に決算が来ます。資本金1億円以下の会社など(中小法人等)は、相手に破産・再生・更生・特別清算の申立てがあった時点で、売掛金の50%を貸倒引当金として損金に入れられます。※1手形の取引停止処分も同じ扱いです。※2

計算例の会社なら、A社への売掛金900万円の50%、450万円が対象です。ただし、相手に払う買掛金があるなど実質的に債権とみられない部分や、担保・保証で取れる見込みの部分は、先に差し引きます。※3確定申告書に明細を書くことも条件です。※4

消費税と、個人事業主の場合

貸倒れになった売掛金に含まれていた消費税は、貸倒れの年の消費税から差し引けます。税率10%で税込900万円なら、国と地方を合わせて81万8,182円です。※5

引当金の段階では差し引けず、切捨てなどの事実を示す書類の保存が条件です。仕訳と消費税の計算の詳しいやり方は売掛金の仕訳(貸倒れの例)で説明しています。

個人事業主も、考え方は同じです。所得税の取り扱いでも、計画の認可での切捨て、全額が回収できないことが明らか、取引を止めて1年以上、の3つの場合に必要経費にできます。※6

この章の根拠(6件)
  1. 法人税法52条1項1号・法人税法施行令96条1項3号
  2. 法人税法施行規則25条の3
  3. 法人税法施行令96条1項3号
  4. 法人税法52条3項
  5. 消費税法39条1項・2項
  6. 所得税基本通達51-11〜51-13
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連鎖倒産を防ぐ資金の手当て:使える制度と、ファクタリングを使わない方がよい場合

社長

うちまで倒れないために、使える制度はある?

公庫の取引企業倒産対応資金は別枠で3,000万円まで、ほかに経営セーフティ共済の貸付やセーフティネット保証1号があります。倒産した会社への売掛金は、ファクタリングでは売れません。

ハカセ

計算例のとおり、取引先の倒産の後は「入らない売掛金」と「なくなった売上」の2つの穴があきます。手当ては、穴の大きさと、足りなくなる月を出すことから始めます。月ごとの入金と支払いを並べる表の作り方は資金繰り表の作り方にまとめています。

穴が見えたら、取引先の倒産のときに使える制度を確かめます。多くの制度で「倒産した相手への売掛金が50万円以上」か「その相手との取引が全体の20%以上」が目安になっています。

方法 主な条件 額・返し方
日本政策金融公庫の取引企業倒産対応資金 倒産した企業への売掛金などが50万円以上、取引依存度が20%以上、などのいずれか ほかの融資とは別枠で3,000万円まで。10年以内(据置3年以内)、基準利率
経営セーフティ共済の共済金の貸付 加入から6か月以上たち、6か月分以上の掛金を納めている。倒産から6か月以内に請求 無利子。掛金の10倍と回収できない額の小さい方まで
セーフティネット保証1号 国が指定した大型の倒産に限る。売掛金などが50万円以上か、取引が20%以上で、市区町村の認定を受ける 信用保証協会が別枠で借入額の100%を保証
支払先・税金の相談 仕入先への支払いの延期、税金・社会保険料の猶予 返す時期を後にずらす

※1※2※3公庫の融資の申込みの流れと書類は日本政策金融公庫の融資で説明しています。共済に入っている場合の借りられる額の計算は経営セーフティ共済とはにあります。

セーフティネット保証1号は、どの倒産でも使えるわけではありません。経済産業大臣が指定した事業者の取引先に限られるので、取引先が指定されているかを、本店のある市区町村の窓口で確かめます。

ファクタリングを使うなら、残った取引先の売掛金で

倒産した会社への売掛金は、ファクタリングで売ることはできません。使えるとすれば、ほかの取引先への、払われる見込みの高い売掛金を早く現金にする場合です。図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、最短の入金を当日中としているのは145サービスでした。

早さの代わりに費用は重くなります。手数料10%・入金から支払いまで30日なら、実質年率(1年あたりに直した費用の割合)は約135%です。手取りと年率は手数料シミュレーターで確かめられます。

次の場合は、ファクタリングを使わない方がよいと考えます。

  • 融資や共済が間に合う:計算例のように預金が尽きるまで2〜3か月あるなら、まず公庫や共済を申し込みます。
  • 毎月足りない形になっている:なくなった売上の穴は毎月続きます。手数料を払って入金を早めても、穴は埋まらず、費用の分だけ広がります。売上の回復か固定費の見直しが先です。
  • 償還請求権のある契約:売った先がさらに払えなくなると、自社が買い戻すことになります。倒産が続く業界で使うなら、償還請求権のない契約か確かめます。

次の倒産に備える

落ち着いたら、取引先ごとの売掛金の上限を決め直します。1社への依存度が高いほど、計算例のように売上の穴が大きくなります。取引先の調べ方と上限の決め方は与信管理とはで説明しています。

この章の根拠(3件)
  1. 日本政策金融公庫「取引企業倒産対応資金」
  2. 中小企業倒産防止共済法9条1項・2項
  3. 中小企業信用保険法2条5項1号
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取引先の倒産でよくある失敗と注意点

社長

取引先の倒産で、やりがちな失敗って何?

噂を聞いても出荷を続ける、商品を無断で引き揚げる、直前に自社だけ回収する、期限を過ぎる、などです。配当がなくても、税金の処理に使う書類は捨てずに保管します。

ハカセ

取引先の倒産は突然で、慌てて動くほど取りこぼしや思わぬ責任が生まれます。よくある失敗を、気づく時期の順に並べます。

  1. 噂を聞いても出荷を続ける:「大口だから」と止めずにいると、申立ての直前に納めた分まで回収できなくなります。前払いか代金引換に切り替えます。
  2. 商品を無断で引き揚げる:持ち主はふつう相手です。窃盗などに問われるおそれがあるうえ、取り戻したことにもなりません。
  3. 直前に自社だけ回収する:相手が払えない状態だと知りながら返済や担保を受けると、後で管財人に取り消されることがあります。
  4. 再生・更生で届出や相殺の期限を過ぎる:届出の期間が過ぎると、相殺はできなくなり、計画の認可で権利も失います。通知が届いたら、まず締切を書き出します。
  5. 保証のない社長個人に請求する:会社の借りは、社長が保証していなければ社長個人の借りではありません。強く迫ると、こちらがトラブルの原因になります。
  6. 配当がないからと書類を捨てる:貸倒損失を損金にするには、回収できないとわかった事実を示す書類が要ります。通知や決定の写しは、税金の処理が終わるまで保管します。
  7. 決算で引当金を見落とす:中小法人等なら、申立ての時点で50%を損金にできます。結果が出るのを待って、何年も損金にしないままにしない。
  8. 損だけ数えて、なくなる売上を数えない:計算例では、預金が尽きた原因は売掛金の900万円より、毎月続く売上の穴でした。資金繰り表には、これからの売上の減りを入れます。

夜逃げのように手続きがなく、相手の財産が残っているなら、裁判所の手続きで取り立てる道もあります。催促・内容証明・支払督促・訴訟と段階を上げる進め方は、売掛金の回収方法で説明しています。

出典(18件)公的機関の資料・法令。2026.10.18に確認
  1. 令和7年 司法統計年報 1 民事・行政編(最高裁判所事務総局)www.courts.go.jp
  2. 破産法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  3. 民事再生法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  4. 会社更生法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  5. 会社法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  6. 民法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  7. 消費税法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  8. 刑法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  9. 中小企業の事業再生等に関するガイドライン(全国銀行協会、2026年3月)www.zenginkyo.or.jp
  10. 法人税基本通達 第9章第6節第1款 金銭債権の貸倒れ(国税庁)www.nta.go.jp
  11. 所得税基本通達 貸倒損失(国税庁)www.nta.go.jp
  12. 法人税法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  13. 法人税法施行令(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  14. 法人税法施行規則(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  15. 取引企業倒産対応資金(国民生活事業、日本政策金融公庫)www.jfc.go.jp
  16. 中小企業倒産防止共済法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  17. セーフティネット保証(1号:連鎖倒産防止)(青森県)www.pref.aomori.lg.jp
  18. セーフティネット保証 第1号(板橋区)www.city.itabashi.tokyo.jp

FAQ

よくある質問

取引先が倒産したら、売掛金はどうなりますか?

請求する権利はすぐには消えませんが、全額は戻らないと考えて動きます。破産なら財産を分ける配当を待ち、民事再生なら計画で決まった割合が払われます。2025年に終わった法人などの破産8,298件のうち、配当があったのは25.0%で、73.1%は配当がないまま終わりました。相殺できる買掛金があれば、その分は実質的に回収できます。

取引先が破産したら、債権届出は必要ですか?

配当を受けるには必要です。裁判所から届く通知と債権届出書に、売掛金の額と原因を書き、請求書や納品書の写しを付けて期限までに出します。財産が足りなさそうなときは「届出の期限は追って定める」とされ、財産が見つかったときに改めて求められます。民事再生と会社更生では、届け出ないと計画の認可で原則として権利を失います。

倒産した取引先に納めた商品を引き揚げてもいいですか?

無断で持ち出してはいけません。引き渡した商品の持ち主はふつう相手なので、窃盗や建造物侵入に問われるおそれがあります。引き揚げるなら、申立ての後は破産管財人や再生債務者の同意を書面でもらいます。商品が相手の手元にあれば、その代金について先取特権を使える場合もあるので、弁護士に相談します。

倒産した取引先への買掛金は、払わなければいけませんか?

相殺できる場合があります。破産では、手続きが始まった時点で負っていた買掛金なら、手続きによらずに売掛金と相殺できます。民事再生と会社更生では、債権届出の期間内に限られます。支払いの停止や申立てを知った後に負った債務とは、原則として相殺できません。相殺は内容証明郵便で通知し、残りの額を届け出ます。

取引先の倒産で回収できない売掛金は、いつ損金にできますか?

倒産の種類で違います。民事再生・会社更生・特別清算は、計画や協定の認可で切り捨てられた額を、その決定の日の事業年度に損金に入れます。破産は、全額が回収できないことが明らかになった事業年度です。結果が出る前でも、中小法人等なら申立ての時点で売掛金の50%を貸倒引当金にできます。

取引先の倒産で連鎖倒産しないために使える融資はありますか?

日本政策金融公庫の取引企業倒産対応資金は、倒産した企業への売掛金などが50万円以上か、取引依存度が20%以上などの場合に、別枠で3,000万円まで借りられます。経営セーフティ共済に入っていれば、無利子の共済金の貸付もあります。国が指定した大型の倒産なら、セーフティネット保証1号も使えます。

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