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会計更新 2026.10.17

売掛金回転期間とは?計算式と中小企業66業種の目安、長いときの縮め方

ハカセ
結論

売掛金回転期間は、売掛金が月商の何か月分あるかを示す数字で、売掛金÷月商で出します。日数への直し方、中小企業66業種の目安(全業種44日)、長いときの原因と縮める方法を計算例で説明します。

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フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

売掛金回転期間とは?計算式と中小企業66業種の目安、長いときの縮め方

この記事は、決算書や試算表の「売掛金」を見て、回収に時間がかかりすぎていないかを知りたい中小企業の経営者・個人事業主に向けて書いています。売掛金回転期間の計算式と日数への直し方を計算例で示し、中小企業庁の統計から出した66業種の目安と、長いときに縮める方法を順に説明します。

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売掛金の残高 450万円 ÷ 月商 300万円 1.5か月(約46日) 計算と目安確かめ方縮め方

この記事の流れ

売掛金回転期間は「売上の何日分が未回収か」

この記事で何がわかるの?

売掛金を月商で割ると、売上の何か月分が入金待ちかがわかります。計算式と業種別の目安、自社が長いかの確かめ方、長いときの縮め方を順に説明します。

年商3,600万円・売掛金450万円の会社 月数 450÷300=1.5か月 日数 450÷3,600×365=約46日 回転率 3,600÷450=8回 手形・でんさいも売掛金に足して数える

POINT 1

式は売掛金÷月商

回転期間は、どうやって計算するの?

月数は売掛金÷月商、日数は売掛金÷年商×365で出します。年商3,600万円・売掛金450万円なら1.5か月、約46日。手形やでんさいも足して数えます。

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飲食店13日全業種44日建設業45日製造業57日化学工業72日中小企業実態基本調査(令和6年度決算)から計算

POINT 2

中小企業の平均は44日

ほかの中小企業は、何日くらい?

中小企業庁の統計から計算すると、全業種の平均は44日でした。飲食店13日から化学工業72日まで開くので、自社の業種の中分類と比べます。

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条件どおりの残高 実際の残高A社条件どおりB社条件どおりC社+50万円全体は45日でも、C社の入金が止まっている

POINT 3

条件どおりの残高と比べる

全体が平均並みなら、安心していい?

全体の日数が平均並みでも、1社の入金が止まっていることがあります。取引先ごとに、締め日と支払日から出した条件どおりの残高との差を見ます。

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月商300万円:1日縮めると約10万円いま45日C社を回収40日B社の条件30日+150万円戻ったお金に手数料はかからない

POINT 4

1日縮めると月商の30分の1

縮めると、どれくらいお金が戻るの?

月商300万円なら1日約10万円。期日を過ぎた50万円の回収で40日、支払条件の見直しで30日になり、合わせて150万円が手元に戻ります。

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構造で長い 運転資金の融資 で前もって備える 毎年続く立て替え 1回の谷 ファクタリング も選べる 10%・30日で約135% 毎月の立て替えを売って埋めない

POINT 5

短くできない長さは前もって備える

どうしても短くできないときは?

業種の構造で長い回転期間は、運転資金の融資で備えます。ファクタリングは1回の谷を埋める方法で、手数料10%・30日なら実質年率は約135%です。

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01

結論:売掛金回転期間は「売上の何日分が未回収か」。式は売掛金÷月商

社長

売掛金回転期間って、そもそも何を表す数字なの?

売掛金の残高が、売上の何か月分(何日分)にあたるかです。式は売掛金÷月商。月商300万円で売掛金450万円なら1.5か月、約46日です。中小企業の全業種の平均は44日でした。

ハカセ

売掛金回転期間とは、売掛金の残高が、売上の何か月分(何日分)にあたるかを示す数字です。売ってから代金が入るまでの、平均の長さの目安になります。

計算式は「売掛金÷月商」で、答えは月数です。日数にするときは「売掛金÷年商×365」を使います。たとえば月商300万円の会社で、売掛金が450万円なら1.5か月、日数では約46日です。

目安を出すため、中小企業庁の中小企業実態基本調査から業種ごとに計算しました。全業種の平均は44日(1.5か月)で、飲食店の13日から化学工業の72日まで、業種で大きく開きます。※1

回転期間は短いほど、お金が早く戻っています。月商300万円の会社が1日縮めると、約10万円が手元に戻ります。借りたお金と違い、利息も手数料もかかりません。

この先は、意味と似た言葉との違い(2章)、計算式と日数への直し方(3章)、業種別の目安(4章)、自社が長いかを確かめる手順(5章)、長くなる原因(6章)、短くする方法(7章)、短くできないときの方法(8章)、よくある失敗(9章)の順に説明します。

売掛金回転期間で押さえる3つのこと
÷月商計算式売掛金(受取手形を含む)を月商で割ると「何か月分」、年商で割って365を掛けると「何日分」
44日中小企業の目安全業種の平均。業種で10日台から70日台まで開くので、自社の業種と取引条件で比べる
1日=月商÷30縮めた分がお金になる月商300万円なら1日縮めるごとに約10万円が手元に戻る。手数料はかからない
この章の根拠(1件)
  1. 中小企業庁「中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)」産業中分類別表から計算
02

売掛金回転期間とは:売上債権回転期間・回転率・回収日数との違い

社長

売上債権回転期間とか回転率とか、似た言葉が多くない?

中身はほぼ同じで、違うのは何を含めるかと単位です。手形やでんさいを受け取る会社は、売掛金だけだと短く見えるので、売上債権でまとめて測るほうが実態に近くなります。

ハカセ

売掛金は、商品やサービスを先に渡し、代金をあとで受け取る約束になっているお金です。意味や仕訳の基本は売掛金とはで説明しています。ここでは、その残高を「長さ」に直す考え方を扱います。

「回転」とは、売掛金が入れ替わること

売掛金は、入金されると消え、新しい売上でまた生まれます。この入れ替わりを「回転」と呼びます。残高が月商の1.5か月分なら、売上が入金に変わるまでに平均で1.5か月かかっている、と読みます。

似た言葉の違い

同じ考え方の数字に、いくつかの呼び名があります。違いは、何を含めるかと、どの単位で表すかです。

呼び名 割られる数 単位 主な使われ方
売掛金回転期間 売掛金 月・日 売掛金だけの回収の長さを見る
売上債権回転期間 売掛金+受取手形(+電子記録債権) 月・日 決算書の分析、統計
売上債権回転率 売上高を売上債権で割る 回 1年に何回入れ替わるか
回収日数(DSO) 売掛金 日 月次の管理、海外の会計の言い方

表のとおり、中身はほぼ同じです。手形や電子記録債権(でんさい)を受け取る会社は、売掛金だけで測ると短く見えます。手形もでんさいも「まだ入っていない代金」なので、売上債権でまとめて測るほうが実態に近くなります。

財務省の法人企業統計では、売上債権回転期間を「受取手形+売掛金(期首・期末の平均)÷(売上高÷12)」と定めています。答えは月数です。※1

回転率と回転期間は、裏返しの関係

回転率は「年商÷売掛金」で、1年に何回入れ替わるかを示します。年商3,600万円・売掛金450万円なら8回です。12を回転率で割ると回転期間(1.5か月)、365を割ると日数(約46日)になります。

「回転率が何回以上なら合格」といった一律の基準はありません。業種と取引条件で決まる数字なので、4章の目安と、5章の「条件どおりの日数」の2つで比べます。

運転資金の回転期間との関係

売掛金回転期間は、運転資金(売上が入るまで立て替えるお金)を決める3つの回転期間の1つです。ほかの2つは在庫と買掛金の回転期間です。3つを組み合わせた計算は運転資金の計算方法で扱い、この記事は売掛金の側だけを深く見ます。

この章の根拠(1件)
  1. 財務省 財務総合政策研究所「法人企業統計における財務営業比率の算式」
03

売掛金回転期間の計算式と日数への直し方:年・月・取引先ごとの3つの出し方

社長

うちの数字は、どうやって出せばいいの?

決算書で1年の平均を、試算表で毎月の変化を、台帳で取引先ごとの差を見る、の3つの出し方があります。日数は売上債権÷年商×365です。前の年と比べるときは同じ式を使います。

ハカセ

出し方は、使う数字によって3つあります。決算書で1年をまとめて見る方法、試算表で毎月見る方法、取引先ごとに見る方法です。

方法1:決算書から出す(1年の平均を見る)

貸借対照表(決算日の財産と借金を並べた表)から売掛金と受取手形・電子記録債権を、損益計算書から売上高を拾います。

  • 月数:売掛金回転期間(か月)=売上債権÷(年商÷12)
  • 日数:売掛金回転期間(日)=売上債権÷年商×365

年商3,600万円(月商300万円)、決算日の売掛金450万円、手形は無い会社で計算します。

計算 式 答え
月数 450万円÷300万円 1.5か月
日数 450万円÷3,600万円×365 約46日
回転率 3,600万円÷450万円 8回
期首と期末の平均で(期首300万円) 375万円÷300万円 1.25か月(約38日)

月数に30を掛けると45日で、365日で出した約46日と1日ずれます。1か月を30日とみるか、365÷12=約30.4日とみるかの違いです。どちらでもかまいませんが、前の年と比べるときは同じ方を使います。

表の最後の行のように、期首と期末の平均を使うと、決算日だけ売掛金が多い・少ないという偏りを和らげられます。統計は平均を使うことが多く、決算書1期分しかないときは期末の値で出します。

方法2:試算表から毎月出す(変化に早く気づく)

毎月の試算表があれば、月末の売掛金をその月の売上で割って、30を掛けます。9月末の売掛金が600万円、9月の売上が400万円なら、600÷400×30で45日です。

ただ、売上が月ごとに大きく動く会社では、1か月の売上で割ると数字が揺れます。7〜9月の売上が300万円・350万円・400万円なら、平均の350万円で割ると約51日です。直近3か月の平均月商で割ると、季節の波に振り回されにくくなります。

方法3:取引先ごとに出す(原因を見つける)

会社全体の数字は平均なので、1社の遅れが隠れます。売掛金の台帳から、取引先ごとに「月末の残高÷その取引先の月の売上」を出します。

取引先 月の売上 条件 月末の残高 回転期間 条件どおりの残高 差
A社 150万円 月末締め翌月末払い 150万円 1.0か月(約30日) 150万円 0円
B社 100万円 月末締め翌々月末払い 200万円 2.0か月(約60日) 200万円 0円
C社 50万円 月末締め翌月末払い 100万円 2.0か月(約60日) 50万円 50万円
合計 300万円 450万円 1.5か月(約45日) 400万円 50万円

会社全体の45日は、4章で見る全業種の44日とほぼ同じで、問題が無いように見えます。ところが取引先ごとに見ると、C社だけ条件より1か月分多く残っています。1回分の入金が止まっている疑いがあります。

B社も60日ですが、条件が翌々月末払いなので、予定どおりの長さです。長い取引先が問題なのではなく、条件より長い取引先が問題です。

個人事業主の場合

個人事業主も同じ式で出せます。青色申告決算書の貸借対照表には、1月1日(期首)と12月31日(期末)の売掛金が並んでいます。2つの平均を、損益計算書の売上(収入)金額の12分の1で割れば、1年の平均の回転期間です。

12月31日は多くの取引先が休みに入っているため、12月末払いの入金が年明けにずれると、期末の売掛金が大きく出ます。期首と期末の平均を使うと、この揺れを和らげられます。

手形・でんさい・割り引いた分の扱い

  • 受け取った手形とでんさいは、期日まで売上債権に入れて数えます。
  • 銀行で割り引いた手形や、期日前に譲渡したでんさいは、帳簿から消えるので回転期間が短く見えます。財務省の統計でも、取引の与信の大きさを見る別の指標(信用供与率)では、割り引いた手形の残高を足して数えています。※1
  • ファクタリングで売った売掛金も、帳簿から消えます。回収が速くなったわけではないので、売った額を足して測ると、条件の本当の長さがわかります。
この章の根拠(1件)
  1. 財務省 財務総合政策研究所「法人企業統計における財務営業比率の算式」
04

売掛金回転期間の目安:中小企業66業種の日数

社長

何日なら長すぎるって、決まりはあるの?

国の決まりはありません。中小企業庁の統計から業種ごとに計算すると、全業種は44日、飲食店の13日から化学工業の72日まで開きます。自社の業種の中分類と比べましょう。

ハカセ

何日なら長すぎる、という国の決まりはありません。そこで、ほかの中小企業がどれくらいで回収しているかを知るために、中小企業庁の中小企業実態基本調査(令和7年確報、令和6年度決算の実績)の産業中分類別表から、業種ごとの日数を計算しました。※1

対象は中小企業の法人です。業種ごとに、決算期末の「受取手形・売掛金」の合計を売上高の合計で割り、365を掛けています。この調査の受取手形・売掛金は、通常の営業取引で生じた手形債権と未収金です。※2

業種 日数 月数
全業種 44日 1.5か月
建設業 45日 1.5か月
 総合工事業 41日 1.3か月
 職別工事業(設備工事業を除く) 50日 1.6か月
 設備工事業 52日 1.7か月
製造業 57日 1.9か月
 食料品製造業 40日 1.3か月
 飲料・たばこ・飼料製造業 47日 1.5か月
 繊維工業 52日 1.7か月
 木材・木製品製造業(家具を除く) 50日 1.6か月
 家具・装備品製造業 59日 2.0か月
 パルプ・紙・紙加工品製造業 61日 2.0か月
 印刷・同関連業 54日 1.8か月
 化学工業 72日 2.4か月
 石油製品・石炭製品製造業 40日 1.3か月
 プラスチック製品製造業(別掲を除く) 64日 2.1か月
 ゴム製品製造業 65日 2.1か月
 なめし革・同製品・毛皮製造業 44日 1.5か月
 窯業・土石製品製造業 71日 2.3か月
 鉄鋼業 58日 1.9か月
 非鉄金属製造業 52日 1.7か月
 金属製品製造業 58日 1.9か月
 はん用機械器具製造業 60日 2.0か月
 生産用機械器具製造業 71日 2.3か月
 業務用機械器具製造業 57日 1.9か月
 電子部品・デバイス・電子回路製造業 52日 1.7か月
 電気機械器具製造業 61日 2.0か月
 情報通信機械器具製造業 61日 2.0か月
 輸送用機械器具製造業 48日 1.6か月
 その他の製造業 58日 1.9か月
情報通信業 51日 1.7か月
 通信業 38日 1.3か月
 放送業 50日 1.6か月
 情報サービス業 53日 1.7か月
 インターネット附随サービス業 51日 1.7か月
 映像・音声・文字情報制作業 50日 1.6か月
運輸業、郵便業 39日 1.3か月
 道路旅客運送業 25日 0.8か月
 道路貨物運送業 41日 1.3か月
 水運業 40日 1.3か月
 倉庫業 36日 1.2か月
 運輸に附帯するサービス業 39日 1.3か月
卸売業 50日 1.7か月
 各種商品卸売業 59日 1.9か月
 繊維・衣服等卸売業 57日 1.9か月
 飲食料品卸売業 37日 1.2か月
 建築材料、鉱物・金属材料等卸売業 57日 1.9か月
 機械器具卸売業 61日 2.0か月
 その他の卸売業 40日 1.3か月
小売業 25日 0.8か月
 各種商品小売業 8日 0.3か月
 織物・衣服・身の回り品小売業 27日 0.9か月
 飲食料品小売業 10日 0.3か月
 機械器具小売業 34日 1.1か月
 その他の小売業 29日 1.0か月
 無店舗小売業 23日 0.8か月
不動産業、物品賃貸業 34日 1.1か月
 不動産取引業 15日 0.5か月
 不動産賃貸業・管理業 23日 0.8か月
 物品賃貸業 132日 4.3か月
学術研究、専門・技術サービス業 52日 1.7か月
 専門サービス業(他に分類されないもの) 37日 1.2か月
 広告業 51日 1.7か月
 技術サービス業(他に分類されないもの) 63日 2.1か月
宿泊業、飲食サービス業 17日 0.5か月
 宿泊業 22日 0.7か月
 飲食店 13日 0.4か月
 持ち帰り・配達飲食サービス業 24日 0.8か月
生活関連サービス業、娯楽業 13日 0.4か月
 洗濯・理容・美容・浴場業 23日 0.8か月
 その他の生活関連サービス業 16日 0.5か月
 娯楽業 9日 0.3か月
サービス業(他に分類されないもの) 39日 1.3か月
 廃棄物処理業 44日 1.4か月
 自動車整備業 33日 1.1か月
 機械等修理業(別掲を除く) 50日 1.7か月
 職業紹介・労働者派遣業 39日 1.3か月
 その他の事業サービス業 36日 1.2か月

66業種の表から、次のことがわかります。

  • 全業種の平均は44日(1.5か月)でした。5章で見るとおり、月末に1か月分が残る取引(約30日)と2か月分が残る取引(約60日)が、ほぼ半々で混ざったくらいの長さです。
  • 長いのは、化学工業(72日)・生産用機械器具製造業(71日)・窯業・土石製品製造業(71日)などの製造業と、技術サービス業(63日)・機械器具卸売業(61日)です。手形やでんさいでの支払い、検収(納品物の検査)を経てからの請求が多い業種です。
  • 建設業は45日ですが、中を見ると総合工事業41日に対し、下請けに入ることの多い職別工事業50日・設備工事業52日と長くなります。
  • 小売業(25日)、飲食店(13日)、飲食料品小売業(10日)は短めです。現金やカードで受け取る売上が多いためです。
  • 情報サービス業(53日)や広告業(51日)は、在庫は少なくても売掛金は製造業並みにあります。人件費を先に払う業種なので、回転期間の長さがそのまま立て替えになります。
中小企業の売掛金回転期間(受取手形・売掛金÷売上高×365、法人企業・令和6年度決算)

主な業種の日数

  1. 化学工業72日
  2. 生産用機械器具製造業71日
  3. 技術サービス業63日
  4. 機械器具卸売業61日
  5. 金属製品製造業58日
  6. 建築材料等の卸売業57日
  7. 情報サービス業53日
  8. 設備工事業52日
  9. 全業種44日
  10. 総合工事業41日
  11. 道路貨物運送業41日
  12. 職業紹介・労働者派遣業39日
  13. 飲食料品卸売業37日
  14. 飲食店13日

全業種(44日)全業種より長い業種全業種より短い業種

売上の規模による違い

全業種を、年間の売上高で分けると次のとおりです。※3

年間の売上高 日数
500万円以下 105日
500万円超〜1,000万円 37日
1,000万円超〜3,000万円 36日
3,000万円超〜5,000万円 35日
5,000万円超〜1億円 38日
1億円超〜5億円 39日
5億円超〜10億円 40日
10億円超 47日

売上500万円超から5億円までの会社は35〜39日に収まり、10億円を超えると47日に延びます。大きな取引先との条件が長くなりやすいことが考えられます。売上500万円以下の105日は、売上が少ない年に前の年の売掛金が残っている会社などが含まれる値で、目安には使いにくい数字です。

業種の目安との差を、お金の額に直す

目安との差は、日数のままより金額にしたほうが、打つ手の大きさがわかります。式は「差の日数×月商÷30」です。

たとえば月商500万円の設備工事業の会社で、売掛金回転期間が65日だったとします。業種の目安の52日より13日長いので、13×500万円÷30で約217万円です。業種並みの回収なら、手元にあと約217万円残っていた計算になります。

この額が、取引先との交渉や社内の管理で取り戻せる額の上限の目安です。ただし、差のすべてが遅れとは限りません。手順3の「条件どおりの日数」と比べて、条件で説明できる分と、できない分に分けます。

この数字を読むときの注意

  • 業種の中の全社の売掛金を足し、全社の売上の合計で割っています。年商の大きな会社ほど結果に強く効くので、小さな会社の実感より長めに出ることがあります。
  • 使っているのは決算日1日の残高です。決算月に売上の山がある業種では、ふだんより長く出ます。
  • 中分類は会社の数が少ない業種もあり、年によって数日動くことがあります。物品賃貸業の132日は、リースの代金の残高が入るため、ほかの業種と並べて比べないでください。郵便業は値が公表されていないため、表に入れていません。
  • 入金側と支払い側の日数を並べた別の統計(財務省の法人企業統計)は、支払いサイトの業界の平均で紹介しています。数え方と年度が違うので、数日の差は気にしなくてかまいません。
この章の根拠(3件)
  1. 中小企業庁「中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)」産業中分類別表から計算
  2. 中小企業庁「中小企業実態基本調査」用語の解説
  3. 中小企業庁「中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)」産業別・売上高階級別表から計算
05

自社の売掛金回転期間が長すぎないかを確かめる5つの手順

社長

業種の平均より長かったら、うちは悪いってこと?

それだけでは決まりません。10日以上長ければ、締め日と支払日から「条件どおりの残高」を出し、取引先ごとに実際の残高との差を見ます。月末が休日だと、その月だけ1か月分ふくらむこともあります。

ハカセ

業種の平均より長いかどうかだけでは、良い悪いは決まりません。条件どおりに入っているかを、次の順に確かめます。

自社の売掛金回転期間を確かめる5つの手順
  1. 10分決算書から出す受取手形・売掛金・でんさいの合計を年商で割り、365を掛ける
  2. 10分業種の目安と比べる中分類の日数と比べ、10日以上長ければ次へ
  3. 30分条件どおりの日数を出す取引先ごとの締め日と支払日から、月末に残るはずの額を足す
  4. 1時間取引先ごとに割る実際の残高と条件どおりの額の差を、取引先ごとに見る
  5. 毎月期日別の残高表をつける期日前・30日以内の遅れ・それより古いものに分けて追う

手順1・2:決算書から出し、業種の目安と比べる

3章の方法1で日数を出し、4章の表の自社の業種と比べます。10日以上長ければ、手順3に進みます。月商300万円の会社なら、10日は約100万円にあたります。

手順3:取引条件から「条件どおりの日数」を出す

期末の残高で測る回転期間は、締め日と支払日でほぼ決まります。毎月同じ額を売り、予定どおり入金されたときに、月末に残る売掛金は次のとおりです。

取引の条件 月末に残る売上 回転期間
月末締め翌月10日払い 当月分 1.0か月(約30日)
月末締め翌月末払い(月末に入金) 当月分 1.0か月(約30日)
20日締め翌月末払い 前月21日から当月末まで 約1.3か月(約40日)
月末締め翌々月10日払い 前月分+当月分 2.0か月(約60日)
月末締め翌々月末払い(月末に入金) 前月分+当月分 2.0か月(約60日)
月末締め翌月末払いで、月末が休日のため翌営業日に入金 前月分+当月分 2.0か月(約60日)

最後の行に注意します。月末が土日や祝日で、入金が翌営業日になる条件だと、決算日の残高が1か月分ふくらみます。回収が遅れたわけではないので、その月だけの値として読みます。

取引先ごとに「月の売上×表の月数」を足すと、自社の条件どおりの残高が出ます。請求書の締め日・支払日の決め方は支払いサイトの計算方法で説明しています。

手順4・5:取引先ごとの差を見て、毎月追う

3章の方法3の表を作り、実際の残高と条件どおりの残高の差を見ます。差がある取引先は、期日を過ぎた売掛金があるか、請求書がまだ届いていない可能性があります。

そのうえで、売掛金を「期日前」「期日を30日以内で過ぎた」「それより古い」に分けた残高表を毎月つけます。会社全体の回転期間が同じでも、古い売掛金が増えていれば、回収できなくなる危険が増えています。

3章の例の会社で、9月末の残高表をつけると次のようになります。

区分 残高 中身
期日前 400万円 A社150万円・B社200万円・C社の当月分50万円
期日を30日以内で過ぎた 50万円 C社の7月分(8月末が期日)
期日を30日より前に過ぎた 0円
合計 450万円 回転期間 約45日

来月もC社の入金が無ければ、50万円は「30日より前に過ぎた」の行に移り、さらに50万円が加わります。回転期間の数字より先に、この表の下の行が増えていないかを見ます。

06

売掛金回転期間が長くなる7つの原因

社長

回転期間が長くなるのは、どうして?

条件そのものが長い場合と、条件どおりに入っていない場合に分かれます。請求書を出すのが遅い、期日を過ぎた売掛金がある、入金の消し込み漏れ、なども原因です。

ハカセ

長くなる原因は、条件そのものが長い場合と、条件どおりに入っていない場合に分かれます。前者は交渉で、後者は社内の管理で直します。

  1. 支払条件が長い取引先の割合が増えた:翌々月払いの大口が加わると、会社全体の日数が延びます。売上が伸びた結果なので、悪い変化とは限りません。
  2. 請求書を出すのが遅い:締め日の後に請求書を作るのに1週間かかると、相手の受付の締め切りに間に合わず、支払いが1か月後ろにずれることがあります。
  3. 期日を過ぎた売掛金がある:払い忘れ、内容への不満、相手の資金繰りの悪化などで、入金が止まっている分です。
  4. 決算日の前に売上が集中した:期末の大きな納品は、入金前なのでそのまま残高に乗ります。一時的な膨らみです。
  5. 手形・でんさいで受け取る分が増えた:期日が先なので、売上債権の日数が延びます。
  6. 入金の消し込みが漏れている:入金があったのに売掛金を減らしていない分が、帳簿に残っています。
  7. 値引き・返品・相殺の処理が漏れている:実際には受け取らない額が売掛金として残っています。

6と7は、帳簿の上だけで長く見えている例です。取引先に残高を確かめる書類(残高確認書)を送ると見つかります。決算書を見た金融機関から、売掛金の中身を聞かれる原因にもなります。

売掛金回転期間が長い原因をたどる問い
  1. 実際の残高は、条件どおりの額より大きいですか?はい → 期日を過ぎた売掛金か、請求の遅れがある。取引先ごとの差を見るいいえ → 条件そのものが長い。次へ
  2. 決算日の前後に、大きな売上や休日が重なっていますか?はい → 一時的な膨らみ。月次の平均で測り直すいいえ → 次へ
  3. 翌々月払いや手形・でんさいの取引先が増えましたか?はい → 条件の交渉か、売上の割合の見直しを考えるいいえ → 次へ
  4. 帳簿の売掛金と、取引先の残高の確認が合っていますか?はい → 業種の構造による長さ。運転資金の準備で備えるいいえ → 入金の消し込み漏れや、値引き・返品の処理漏れを直す

新しい取引先を増やす前に

回転期間が延びる取引の多くは、取引を始めるときの条件の決め方で生まれます。相手の支払い能力を確かめ、いくらまで掛けで売るかを決める方法は、与信管理のやり方で説明しています。

07

売掛金回転期間を短くする方法:効く額の大きい順

社長

短くするには、何から手を付ければいい?

まず期日を過ぎた売掛金の回収です。例ではC社の50万円で45日が40日に、B社の支払条件の見直しで30日になり、合わせて150万円が戻ります。次に請求書を締め日の当日に出します。

ハカセ

回転期間を1日縮めると、1日分の売上(月商÷30)が手元に戻ります。月商300万円なら1日約10万円、10日で約100万円です。反対に45日から60日に延びると、約150万円が余分に寝ることになります。

1. 期日を過ぎた売掛金を回収する

いちばん先にやることです。3章の例でC社の50万円が入れば、売掛金は450万円から400万円に減り、回転期間は45日から40日に縮みます。条件を変える交渉は要りません。

まず請求書が届いているか、金額に食い違いがないかを確かめ、それから期日と金額を示して連絡します。払われない理由ごとの催促から裁判所の手続きまでの段取りは、売掛金の回収方法にまとめています。

2. 請求書を締め日の当日に出す

請求の遅れで支払いが1か月ずれると、その分の売上が1か月余分に残ります。締め日に請求書を出せるよう、納品の記録と請求書の作成をつなげておきます。相手の請求書の受付締め切り(「毎月5日必着」など)も、取引先ごとに台帳に書いておきます。

3. 支払条件の見直しを相談する

3章の例でB社の条件を翌々月末払いから翌月末払いにできれば、残高はさらに100万円減ります。1と合わせて150万円が戻り、回転期間は30日になります。

大口の取引先に条件の変更を頼むのは簡単ではありません。新しい案件や契約の更新のときに、着手金・中間金を入れてもらう形から相談すると通りやすくなります。自社が受注側で、相手が取適法(旧下請法)の対象の発注者なら、支払期日は受け取った日から60日以内と決まっています。※1 法律の中身は取適法とはで説明しています。

4. 入金の方法を変える

小口の取引先が多い会社では、口座振替やカード払いにすると、払い忘れによる遅れが減ります。振替日が決まるので、入金の予定も立てやすくなります。決済の手数料がかかるので、1日あたりの額と比べて決めます。

5. 帳簿の残高を正しくする

消し込み漏れや値引きの処理漏れを直すと、帳簿の回転期間は縮みます。手元のお金は増えませんが、本当に遅れている売掛金が見えるようになります。決算の前に、残高の大きい取引先から確かめます。

方法 例の会社で戻る額 相手の同意 早さ
期日を過ぎた売掛金の回収 50万円(C社) 要らない(払う義務がある) 数日〜数週間
請求書を締め日に出す 遅れていた分の売上 要らない 翌月から
支払条件の見直し 100万円(B社) 要る 数か月
口座振替・カード払い 払い忘れの分 要る 1〜2か月
帳簿の残高を正しくする 0円(数字が正しくなる) 要らない すぐ

表のとおり、相手の同意が要らない方法から始めると早く効きます。条件の見直しは額が大きい一方、時間がかかるので、並行して進めます。

この章の根拠(1件)
  1. 公正取引委員会「委託事業者の義務」
08

回転期間を短くできないとき:ほかの方法と、ファクタリングを使わない方がよい場合

社長

業種の構造で長いときは、どうすればいいの?

運転資金の融資で前もって備えます。ファクタリングは1回の谷を埋める方法で、手数料10%・30日なら実質年率は約135%です。毎月の立て替えを埋め続けると、手数料が利益を削ります。

ハカセ

建設業や製造業のように、業種の構造で回転期間が長い会社もあります。縮められない長さは、立て替えるお金を前もって用意して備えます。

  • 運転資金の融資:回転期間が長いことによる立て替えは、毎年続く資金需要です。金融機関には、回転期間と業種の目安を並べて説明すると伝わりやすくなります。必要な額の出し方は運転資金の計算方法にあります。
  • 手形・でんさいの割引:受け取った手形やでんさいは、期日前に銀行で割り引ける場合があります。
  • ファクタリング:売掛金を期日前に売って現金にする方法です。融資の審査が間に合わないときや、1回の入金の谷を埋めるときに向きます。

ファクタリングの手数料は、日数に直すと高くなります。手数料10%・30日早めると、実質年率は約135%です(手数料額÷手取り額÷日数×365)。回転期間が業種の構造で長い会社が、毎月の立て替えをこれで埋め続けると、手数料が利益を削ります。ほかの方法との比べ方は売掛金を早く現金にする方法の比較で扱い、自社の数字での手取りと年率はシミュレーターで確かめられます。

次の場合は、ファクタリングで埋めない方がよいと考えます。

  • 回転期間の長さが毎月続く構造で、融資の相談をまだしていない。
  • 期日を過ぎた売掛金が原因で、その売掛金自体を売ろうとしている(入金されない請求書は、買い取りの対象になりにくく、売れても手数料が高くなりやすい)。
  • 回転期間を短く見せるために売る。帳簿から売掛金が消えても、条件は変わっていません。
09

売掛金回転期間でよくある失敗と注意点

社長

数字を見るときに、気をつけることは?

割る売上を毎回そろえる、決算日1日の値だけで判断しない、会社全体の平均で安心しない、の3つです。決算前に売掛金を売って良く見せても、金融機関には説明できません。

ハカセ

割る売上をそろえない

ある月は1か月の売上で、別の月は3か月の平均で割ると、変化が実態とずれます。月数か日数か、30日か365日かも含めて、毎回同じ式で出します。

現金で受け取る売上を含めたまま比べる

店頭の現金売上やカード売上が多い会社は、全体の売上で割ると回転期間が短く出ます。掛けで売る取引先の状態を見たいなら、掛けの売上だけで割ります。

決算日1日の値だけで判断する

期末に大きな納品があった年や、月末が休日だった年は、回収が遅れていなくても値が延びます。期首と期末の平均や、毎月の値で見ると、一時的な揺れと本当の変化を分けられます。

会社全体の平均で安心する

3章の例のように、全体が業種並みでも、1社の入金が止まっていることがあります。取引先ごとの差と、期日別の残高表を毎月見ます。

数字を良く見せることが目的になる

決算の前に手形を割り引いたり、売掛金を売ったりすると、回転期間は短くなります。しかし金融機関は、割り引いた手形や譲渡した債権の額も聞いてきます。説明できない改善は、かえって信用を下げます。

取引先に無理な短縮を求める

回転期間を縮めたいあまり、取引先に一方的に条件の変更を迫ると、取引そのものを失うことがあります。相手の締め日や支払いの仕組みを聞いたうえで、新しい案件から少しずつ変えていきます。

出典(7件)公的機関の資料・法令。2026.10.17に確認
  1. 中小企業実態基本調査 令和7年確報(令和6年度決算実績)統計表(中小企業庁・e-Stat)www.e-stat.go.jp
  2. 中小企業実態基本調査 令和7年確報 2.資産及び負債・純資産(法人企業)(2)産業中分類別表(e-Stat)www.e-stat.go.jp
  3. 中小企業実態基本調査 令和7年確報 3.売上高及び営業費用 (2)産業中分類別表 1)法人企業(e-Stat)www.e-stat.go.jp
  4. 中小企業実態基本調査 用語の解説(中小企業庁・e-Stat)www.e-stat.go.jp
  5. 法人企業統計における財務営業比率の算式(財務省 財務総合政策研究所)www.mof.go.jp
  6. 法人企業統計調査からみる日本企業の特徴 財務指標の例⑮ 売上債権回転期間(財務省 財務総合政策研究所)www.mof.go.jp
  7. 委託事業者の義務(公正取引委員会)www.jftc.go.jp

FAQ

よくある質問

売掛金回転期間の計算式は?

月数で出すときは売掛金÷月商、日数で出すときは売掛金÷年商×365です。手形や電子記録債権を受け取る会社は、売掛金に足して売上債権として計算すると実態に近くなります。年商3,600万円で売掛金450万円なら、1.5か月、約46日です。試算表で毎月見るときは、直近3か月の平均月商で割ると季節の揺れを抑えられます。

売掛金回転期間の目安は何日ですか?

公的な基準はありません。中小企業庁の中小企業実態基本調査から計算すると、中小企業の全業種の平均は44日(1.5か月)でした。飲食店は13日、建設業は45日、製造業は57日、化学工業は72日と、業種で大きく違うので、自社の業種と取引条件で比べます。

売掛金回転期間と売上債権回転期間の違いは?

売掛金回転期間は売掛金だけ、売上債権回転期間は受取手形や電子記録債権も含めて計算します。財務省の法人企業統計では、受取手形+売掛金の期首・期末の平均を月商で割って売上債権回転期間を出しています。手形を受け取らない会社では、ほぼ同じ値になります。

売掛金回転期間を日数に直すには?

売掛金を年商で割り、365を掛けます。月数に30を掛ける方法もあり、1.5か月なら45日です。365日で出すと約46日になり、1日ずれます。1か月を30日とみるか約30.4日とみるかの違いです。どちらを使ってもかまいませんが、前の年や業種の目安と比べるときは同じ方法にそろえます。

売掛金回転期間が長いと何が問題ですか?

入金を待つ間のお金を、手元の預金や借入で立て替え続けることになります。月商300万円の会社で45日から60日に延びると、約150万円が余分に寝ます。また、期日を過ぎた売掛金が増えていれば、回収できなくなる危険も増えています。取引先ごとに、条件どおりの残高と比べて確かめます。

売掛金回転期間を短くするには?

まず期日を過ぎた売掛金を回収し、請求書を締め日の当日に出します。そのうえで、新しい案件や契約の更新のときに支払条件の見直しや着手金を相談します。月商300万円なら、1日縮めるごとに約10万円が手元に戻り、借入と違って利息も手数料もかかりません。

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