資金繰り更新 2026.10.17
ファクタリングから抜け出す方法|毎月の利用をやめる3か月計画と必要なお金
ファクタリングから抜け出すには、やめる月に入らなくなる手取りの額を先に用意します。毎月使う原因の型の見分け方、やめる月の決め方、3か月で減らす段取りと融資への置き換えを計算例で示します。
初めての方へファクタリングを使う前に知る5つのこと・申込みから入金まで →
フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

この記事は、ファクタリングを毎月のように使っていて、そろそろやめたいと考えている経営者・個人事業主に向けて書いています。抜け出すのに必要なお金の出し方、やめる月の決め方、3か月で減らす段取りを、1つの計算例で示します。
この記事を7枚で
1 / 7結論:抜け出すには「やめる月に入らなくなるお金」を先に用意する
毎月のファクタリング、どうしたらやめられるの?
先に用意するのは、やめる月に入らなくなるお金です。毎月200万円を手数料10%で売っているなら、穴は180万円。埋めるのは1回だけで、次の月からは請求書の代金が全額自社に入ります。
ファクタリングを毎月使う状態から抜け出すときに、いちばん大事な数字は「やめる月に入らなくなるお金」です。毎月売っていた請求書を売らなくなると、その月はいつもの手取りが入りません。一方で、先月売った請求書の代金は、回収してファクタリング会社に渡す必要があります。
この穴は、毎月売っている請求書の手取りの額と同じです。毎月200万円の請求書を手数料10%で売っているなら、穴は180万円です。穴を埋めるのは1回だけで、次の月からは請求書の代金が全額、自社に入ります。
穴の埋め方は2通りあります。融資で一度に埋めるか、売る額を数か月かけて減らしながら、1回だけ入るお金で少しずつ埋めるかです。計算例では、手数料が月20万円(1年で240万円)かかっていたのが、融資に置き換えると1年目の利息は約10.3万円、3か月で減らすと3か月の手数料は19万円で済みました。
ただし、本業で毎月お金が減っている会社は、ファクタリングをやめても不足は残ります。まず原因の型を見分けることが出発点です。
この記事で扱うことは次のとおりです。
- 毎月使う原因を4つの型に分ける
- 数字で確かめる:やめるのに必要なお金と、やめた後に残るお金
- やめる月の決め方
- 3か月で減らす段取り
- 融資への置き換え
- 相談先
- やめるだけでは足りない場合と、ほかの方法
- よくある失敗と注意点
なぜ毎月使う状態になるのか:原因を4つの型に分ける
どうして毎月使うことになっちゃったんだろう?
原因は、ずれ型・手数料型・返済滞納型・赤字型の4つに分けられます。本業で残るお金、毎月の手数料、売っている請求書の額の3つを出せば見分けられます。赤字型は、やめるだけでは足りません。
毎月ファクタリングを使う状態には、いくつかの入口があります。最初は「大口の入金まで1回だけ」のつもりでも、翌月も同じだけ足りなくなり、気づくと毎月の習慣になっていた、というのがよくある流れです。
抜け出し方は原因で変わります。次の4つの型のどれに当てはまるかを、最初に決めます。
| 型 | どんな状態か | 抜け出し方の中心 |
|---|---|---|
| ずれ型 | 本業ではもうかっているが、入金が支払いより遅く、売上が伸びるほど手元が足りない | 運転資金の融資に置き換える |
| 手数料型 | 最初は一時的な不足だったが、毎月の手数料が本業で残るお金を食い、穴が広がっている | 融資で一度に止める。手数料が消えると毎月の不足も小さくなる |
| 返済・滞納型 | 借入の返済や、税金・社会保険料の遅れが重く、それを払うために売っている | 返済条件の変更、納税・保険料の猶予を先に相談する |
| 赤字型 | 手数料を払う前から、本業で毎月お金が減っている | 売上・利益の立て直し。ファクタリングをやめても足りない |
見分けるには、帳簿と通帳から3つの数字を出します。1つめは「本業で毎月残るお金(手数料を払う前)」、2つめは「毎月の手数料」、3つめは「毎月売っている請求書の額」です。1つめは、売上の入金から仕入・人件費・家賃などの支払いを引いた額で、借入の返済とファクタリングの出入りは含めません。
3つの数字が出たら、次の問いをたどります。
- 手数料を払う前、本業で毎月お金が残っているか?はい → Q2へいいえ → 赤字型。やめるだけでは足りない。売上・利益の立て直しを先に
- 借入の返済や、税金・社会保険料の遅れが毎月の不足の主な理由か?はい → 返済・滞納型。返済条件の変更や納税の猶予を相談いいえ → Q3へ
- 本業で残るお金は、毎月の手数料より多いか?はい → ずれ型。運転資金の融資に置き換えやすいいいえ → 手数料型。手数料が穴を広げている。融資で一度に止める
同じ「毎月200万円を手数料10%で売っている」会社でも、本業で残るお金が違えば型が変わります。次の表は、後の章の計算例の会社の数字を変えて並べたものです。
| 本業で残るお金(月) | 手数料(月) | 手元の動き(月) | 型 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 20万円 | 10万円ずつ増える | ずれ型に近い。融資に置き換えやすい |
| 15万円 | 20万円 | 5万円ずつ減る | 手数料型。続けるほど穴が広がる |
| −10万円 | 20万円 | 30万円ずつ減る | 赤字型。やめても10万円ずつ減る |
2つ以上の型が重なることもあります。たとえば赤字型の会社が税金も滞納している場合は、赤字型の対処を軸にしながら、猶予の相談を同時に進めます。型がはっきりしないときは、3か月分の資金繰り表を作ると見えてきます。作り方は資金繰り表の作り方で記入例とともに説明しています。
なお、毎月使い続けると手数料の合計がどうふくらむかの試算は、ファクタリングのメリット・デメリットの記事にあります。この記事では、すでに毎月使っている状態から、どうやめるかに絞ります。
数字で確かめる:やめるのに必要なお金と、やめた後に残るお金
やめると、手元のお金はどう変わるの?
例の会社では、続けると手元は月10万円ずつしか増えませんが、やめた後は月30万円ずつ増えます。穴の180万円を自力で貯めると18か月かかるので、融資か、3か月で減らす方法で早く埋めます。
ここからは、1つの会社の計算例で考えます。数字はすべて仮定です。
例の会社の前提
- 毎月、翌月末に入金される請求書200万円分を、2社間ファクタリングで売っている
- 手数料は10%。手取りは180万円、手数料は月20万円
- 本業で毎月残るお金(手数料を払う前)は30万円
手数料10%は、図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、2社間の手数料の上限を公表している63サービスの中央値です。公表値の分布はファクタリング手数料の相場で詳しく扱っています。
この会社の手数料を年率に直すと、手数料10%で30日早く現金にする取引は、実質年率で約135%です(20万円÷180万円÷30日×365)。1年で払う手数料は240万円になります。
やめる月に何が起きるか
ふだんの月は、先月売った請求書200万円を回収してファクタリング会社に渡し、今月の請求書を売って180万円を受け取ります。差し引くと、手数料の20万円だけ手元が減り、本業で残る30万円と合わせて、手元は月10万円ずつ増えています。
やめる月は、先月売った200万円を渡すのは同じですが、180万円が入りません。この180万円が、抜け出すために一度だけ埋める穴です。翌月からは請求書の200万円が全額自社に入り、手数料も消えるので、手元は月30万円ずつ増えます。
| 項目 | 続けると | やめた後 |
|---|---|---|
| 毎月の手数料 | 20万円 | 0円 |
| 手元の増え方 | 月10万円 | 月30万円 |
| 1年の手数料 | 240万円 | 0円 |
| やめる月だけ必要なお金 | ― | 180万円 |
今の月10万円の増え方のまま、180万円を自力で貯めてからやめるには18か月かかります。その間も手数料は月20万円かかり続けます。そこで、穴を早く埋める方法を2つ比べます。
案A:融資で一度にやめる
200万円を日本政策金融公庫の一般貸付(運転資金)で5年、元金均等で借りたとします。利率は、無担保で税務申告を2期終えている人の基準利率の幅(年4.05〜5.65%、2026年10月1日現在)のうち、高い方の5.65%で計算しました。
- 毎月の元金の返済は約3.33万円、1か月目の利息は約0.94万円
- 1年目の利息は約10.3万円、5年間の利息の合計は約28.7万円
- 返済と利息を引いても、手元は月25.7万円ずつ増える(今の月10万円より多い)
融資は申し込んでから入金まで時間がかかります。公庫の場合はおよそ1か月が目安で、流れは日本政策金融公庫の融資の申込み手順で説明しています。入金を確かめてから、次の月の請求書を売るのをやめます。
案B:3か月で減らす
融資が受けられない、または時間がかかる場合は、売る額を毎月減らします。例では200万円を130万円、60万円、0円と3か月で減らしました。その月の手元の増減は、次の式で出せます。
本業で残るお金30万円 + 今月売った請求書の手取り − 先月売った請求書の額
| 月 | 売る請求書 | 手数料 | 手元の増減 |
|---|---|---|---|
| 1か月目 | 130万円 | 13万円 | −53万円 |
| 2か月目 | 60万円 | 6万円 | −46万円 |
| 3か月目 | 0円 | 0円 | −30万円 |
| 合計 | ― | 19万円 | −129万円 |
減らす分だけ手取りが入らないので、3か月で129万円が足りなくなります。穴の180万円より小さいのは、減らす間も本業の30万円が入り、手数料も減っていくからです。
この129万円は、1回だけ入るお金で埋めます。例では、期日を過ぎていた売掛金の回収50万円、使っていない車両の売却40万円、社長から会社への貸付け40万円で、合計130万円を用意しました。社長からの貸付けは「役員借入金」として帳簿に載せ、返す時期を決めておきます。
売る請求書売らない足りなくなるお金
2つの案と、続けた場合の比べ方
| やり方 | 1年目にかかる費用 | やめるまで | 向いている型 |
|---|---|---|---|
| このまま続ける | 手数料240万円 | ― | ― |
| 案A:融資で一度にやめる | 利息 約10.3万円 | 融資の入金後すぐ | ずれ型・手数料型 |
| 案B:3か月で減らす | 手数料19万円 | 3か月 | ずれ型で、1回だけのお金を集められる |
どちらの案でも、1年目の費用は続けた場合の10分の1より小さくなります。差がつくのは、やめるまでの早さと、穴を外から借りるか自社で集めるかです。
2社以上を使っている場合
2社を併用しているなら、穴は2社の手取りの合計です。たとえば1社目に120万円、2社目に80万円を同じ手数料10%で売っていれば、手取りは108万円と72万円で、穴は合わせて180万円と変わりません。
ただ、やめる順番で途中の費用が変わります。手数料の高い会社から先にやめ、安い会社を最後まで残すと、減らしている間の手数料が小さくなります。1社ずつやめると、どの請求書がどちらの会社に売ってあるかの管理も楽になります。
案Aと案Bは組み合わせられます。案Bで減らし始め、途中で融資が入ったら、残りを一度にやめます。どちらの案でも、手数料の重さは手取りと実質年率の計算で自社の数字に置き換えて確かめてください。
やめる月の決め方:5つの条件
来月からやめる、じゃダメなの?
資金繰り表を見て選びます。穴を埋めるお金が入った後で、大きな支払いが重ならず、やめた後の3か月も足りる月が候補です。とくに1つめと5つめの条件を優先し、契約書も読み直します。
やめる月は「来月から」と勢いで決めず、資金繰り表を見て選びます。次の5つの条件を満たす月が候補です。
- 穴を埋めるお金が入った後の月:融資の入金や、1回だけのお金を集め終える月の翌月にします。入金の前にやめると、その月の支払いが止まります。
- 大きな支払いが重ならない月:賞与、法人税・消費税の納付、社会保険料、年払いの保険料などが集中する月は避けます。資金繰り表で、月中の残高がいちばん少ない日を見ます。
- 入金が多い月:季節で売上の波がある業種は、入金が多い月の直後にやめると穴が小さく感じられます。
- 契約の区切りがわかっている月:今の契約が1回ごとの契約か、期間のある基本契約か、将来の請求書までまとめて譲る契約かを確かめます。
- やめた後の3か月も足りる月:やめた月だけでなく、その後の3か月の資金繰り表がマイナスにならないことを確かめます。
例:3月決算の会社がやめる月を選ぶ
仮に、3月決算で、7月と12月に賞与を払う会社が、10月に融資を申し込んだとします。融資の入金が11月の見込みなら、候補は12月以降です。ただし12月は賞与の月なので、1回だけのお金を足しても谷が深くなります。
そこで、1月に売る額を減らし始め、2月・3月と続けて3月にやめる計画にします。5月は法人税・消費税の納付が重なるので、その前にやめた後の3か月を資金繰り表で確かめておきます。このように、まず「やめた後に重い月」から逆算すると、候補が絞れます。
5つを一度に満たす月がなければ、1つめと5つめを優先します。この2つが崩れると、やめた翌月にまた請求書を売ることになり、元に戻ってしまいます。
契約書で確かめること
やめる前に、今の契約書を読み直します。見るのは、契約の期間と自動更新の有無、途中で終える場合の決まり、将来の請求書まで譲る約束があるか、債権譲渡登記をしているか、の4点です。
将来の請求書まで譲る契約になっていると、新しく売らなくても、これから発生する請求書が契約の対象に入っていることがあります。この場合は、ファクタリング会社と取引を終える合意をし、その内容を書面で残します。条項ごとの読み方はファクタリングの契約書で確かめる箇所にまとめています。
2社間で登記をしている場合は、最後に売った請求書の精算が終わった後、登記をどうするか(抹消するか)を会社に確かめます。登記が残っていると、次に融資を申し込むときに説明を求められることがあります。
3か月で減らす段取り:売る額を毎月減らす計画
少しずつ減らすなら、どう進めればいい?
0か月目に数字と契約を確かめ、200万円を130万円、60万円、0円と減らします。外すのは手数料の高い請求書から。足りなくなる129万円は、回収の遅れや使っていない資産などで埋めます。
案Bの計画を、実際の段取りに直すと次のようになります。0か月目は準備の月で、まだ売る額は変えません。
- 0か月目数字と契約を確かめる3つの数字で型を決め、契約書と登記を読み、融資を申し込む
- 0か月目やめる月と穴の埋め方を決める資金繰り表で谷の浅い月を選び、1回だけのお金を集め始める
- 1か月目売る額を3分の1減らす手数料の高い請求書から外す。回収したお金はすぐ会社に渡す
- 2か月目さらに減らす融資が入ったら、残りを一度にやめてもよい
- 3か月目売るのをやめる最後に売った分の精算を終え、登記の扱いを確かめる
0か月目:準備
- 3つの数字を出し、原因の型を決める
- 使っているファクタリング会社ごとに「毎月売る額・手数料・入金日・契約の種類」を一覧にする
- 金融機関に融資の相談を始める(並行して進める)
- 1回だけのお金になるものを洗い出す:期日を過ぎた売掛金、使っていない資産、前受金をもらえる取引など
利用の一覧は、次のような形で作ります。融資の相談でもそのまま使えます。
| 項目 | 書くこと(例) |
|---|---|
| 使っている会社 | A社(2社間) |
| 毎月売る請求書 | 売掛先X社の請求書200万円(翌月末入金) |
| 手数料と手取り | 10%・20万円/手取り180万円 |
| 使い始めた時期と回数 | 1年前から毎月、12回 |
| 契約の種類 | 1回ごと/基本契約あり/将来の請求書も対象 |
| 登記 | あり・なし |
1〜2か月目:売る額を減らす
減らすときは、手数料の高い請求書から外します。一般に、入金日が遠い請求書や、取引の浅い売掛先の請求書は手数料が高くなりやすいので、先に売るのをやめます。2社を使っているなら、手数料の高い会社から先に使うのをやめます。
売る額は、毎月同じ幅で減らすと計画が立てやすくなります。例では毎月70万円前後ずつ減らしました。3か月で足りなくなる額が大きすぎるなら、4〜6か月に延ばしてもかまいません。延ばした分だけ手数料はかかりますが、途中で計画が崩れるよりは安く済みます。
3か月目:売るのをやめる
最後に売った請求書の代金を回収し、ファクタリング会社に渡したら、取引は終わりです。2社間では、回収した代金は売った会社のものなので、ほかの支払いに使わずにすぐ渡します。終わったら、残っている契約や登記の扱いを確かめます。
3社間で使っていた場合は、売掛先からファクタリング会社に直接払われていた形を、元の自社の口座への支払いに戻す必要があります。次の請求書から払い先が自社になることを、売掛先に伝えておきます。
減らしている間に毎週やること
- 資金繰り表の実績を入れ、翌月までの残高の谷を見直す
- 請求書を相手の締め日までに出す。遅れると入金が1か月ずれ、穴が広がる
- 期日を過ぎた売掛金があれば、その週のうちに催促する
- 大きな支払いの予定が増えていないかを確かめる
3か月の間は、新しい設備の購入や大きな仕入の前払いなど、急がない支出を後ろに回します。減らす期間を短く終えることが、手数料をいちばん小さくする方法です。
個人事業主の場合
個人事業主も段取りは同じです。決算書の代わりに確定申告書を使い、本業で残るお金は通帳の入出金から出します。事業主本人が事業の口座にお金を入れるときは、帳簿では「事業主借」として記録します。生活費と事業のお金が混ざっていると穴の大きさを見誤るので、やめる計画の間は口座を分けておきます。
計画が崩れそうなとき
1か月目や2か月目に、思っていたより入金が少なく、また売る額を増やしたくなることがあります。このときは、売る額を前の月と同じにとどめ、増やさないようにします。減らす計画を1か月止めても、手数料は月十数万円で済みますが、元の額に戻すと最初からやり直しになります。
融資への置き換え:どこに、何を持って相談するか
融資に切り替えるとき、ファクタリングのことは隠すべき?
隠さない方が話は進みます。通帳で気づかれることが多いからです。目的とやめる計画をはっきり伝えます。1年の手数料240万円に対し、200万円を公庫で5年借りると1年目の利息は約10.3万円でした。
ずれ型・手数料型の会社にとって、いちばん早く抜け出せるのは融資への置き換えです。毎月の請求書を売る代わりに、運転資金を一度借りて手元に置いておく形にします。
融資の利息には法律で上限があり、元本100万円以上なら年15%までです。※1 200万円を1年間借り続けても、利息は最大で30万円です。例の手数料の1年分240万円と比べると、上限の金利でも差は大きくなります。
相談する先
| 相談先 | 向いている場合 | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫 | 銀行との取引が浅い、小規模な会社・個人事業主 | 一般貸付の運転資金は返済期間5年以内(特に必要な場合7年以内)、融資限度額4,800万円 |
| 取引のある銀行・信用金庫 | すでに借入や口座の取引がある | 信用保証協会の保証付きの融資を案内されることが多い |
| 商工会・商工会議所 | 小規模事業者で、経営指導を受けている | 推薦を受けて公庫から借りる制度がある |
| 社長個人・家族 | 金額が小さく、早く用意したい | 会社の帳簿に借入として載せ、返す時期を決める |
持っていくもの
- 3か月(できれば6か月)の資金繰り表
- 直近2期の決算書(個人事業主は確定申告書)と、今期の試算表
- ファクタリングの利用の一覧:会社・毎月売る額・手数料・契約書
- やめる月と、やめた後の資金繰りの見通し
ファクタリングの利用は隠さない
ファクタリングの入出金は通帳に出るので、金融機関は確認の中で気づくことが多くあります。隠して後でわかると、ほかの説明まで信用されにくくなります。
「毎月の手数料が重いので、運転資金の融資に置き換えてやめたい」と、目的とやめる計画をはっきり伝える方が話は進みます。会社を替えるだけでは抜け出せない理由は、ファクタリングの乗り換え・併用の記事の「乗り換えでは解決しない場合」でも整理しています。
伝え方の例は次のとおりです。
- 「1年前から、毎月200万円の請求書を手数料10%で売っています。手数料は1年で240万円です」
- 「本業では毎月30万円ほど残っていますが、手数料で10万円まで減っています」
- 「運転資金として200万円を借りられれば、売るのをやめられます。やめた後の資金繰り表はこちらです」
数字で説明できると、融資が何のためで、どう返すかが金融機関に伝わります。
借りたお金の置き場所
融資が入ったら、穴の分は別の口座に分けておくと、ほかの支払いに先に使ってしまうことを防げます。やめる月にその口座から使い、残りは次の月以降の谷に備えます。
融資の審査が通らなかったときも、理由を聞いて記録しておきます。決算書の数字なのか、税金の滞納なのか、金額なのかで、次に打つ手が変わります。
この章の根拠(1件)
- 利息制限法1条
相談先:状況ごとの窓口と、それぞれができること
ひとりで計画を立てるのは不安だよ……。
融資は金融機関や公庫、整理したいならよろず支援拠点や商工会議所、本業が赤字なら中小企業活性化協議会へ。業者がやめさせてくれないなら、弁護士や金融庁の相談室に相談します。
ひとりで計画を立てるのが難しいときは、状況に合った窓口に相談します。お金を貸す窓口と、計画づくりを手伝う窓口は別なので、両方を使い分けます。
| 状況 | 相談先 | できること |
|---|---|---|
| 融資で置き換えたい | 取引のある金融機関、日本政策金融公庫の支店(事業資金相談ダイヤル 0120-154-505) | 運転資金の融資の相談 |
| 何から手をつけるか整理したい | よろず支援拠点、商工会・商工会議所、顧問の税理士 | 資金繰り表づくりや、改善の進め方の助言 |
| 本業が赤字・返済が重い | 中小企業活性化協議会 | 窓口相談(第一次段階まで無料)、収益力改善支援・再生計画の策定支援など |
| 税金・社会保険料が払えない | 税務署、年金事務所 | 納税や保険料の猶予の相談 |
| 業者がやめさせてくれない、取立てが厳しい | 弁護士、金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-016811)、警察相談専用電話(#9110) | 契約の中身の確認、違法な業者への対応 |
中小企業活性化協議会は、国が47都道府県に設置した機関です。第一次段階の窓口相談は無料で、第二次段階では、協議会が外部の専門家に依頼する場合に、その活動費などの一部を負担します。第二次段階には、収益力改善支援、再生計画の策定支援、廃業・再チャレンジ支援があります。
金融庁は、高額な手数料のファクタリングについて「かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性があります」と注意を呼びかけています。また、ファクタリングを装って、貸金業の登録のない業者が債権を担保にした違法な貸付けをしている事案が確認されているとしています。
「分割で返済する」「やめるなら違約金を払う」と言われるなど、売買とは思えない求めを受けたら、それは貸付けの疑いがあります。相談の前にそろえるものと型ごとの最初の一手は、ファクタリングのトラブルの相談先にまとめています。
やめるだけでは足りない場合と、ほかの方法
やめれば、資金繰りの問題は全部片づくの?
本業で毎月お金が減っている会社は、手数料が消えても不足が残るので、本業の立て直しが先です。返済が重いなら条件変更、税金が払えないなら猶予の相談を並行して進めます。
ファクタリングをやめると手数料は消えますが、資金繰りの問題がすべて消えるわけではありません。次の場合は、やめる計画と並行して、別の手を打ちます。
赤字型:本業で毎月お金が減っている
手数料を払う前から毎月お金が減っているなら、ファクタリングをやめても不足は続きます。たとえば本業で毎月10万円ずつ減っている会社は、手数料がなくなっても月10万円の不足が残ります。この場合は、値上げ、採算の悪い取引の見直し、固定費の削減など、本業の立て直しが先です。中小企業活性化協議会の収益力改善支援は、この段階の相談先です。
返済・滞納型:返済や税金が重い
借入の返済が重いなら、返済期間を延ばしたり元金の返済を一時止めたりする条件変更(リスケ)を金融機関に相談できます。税金や社会保険料が払えないなら、猶予の制度があります。どの順番で手を打つかは、資金繰りが苦しいときの対処の順番で記入例とともに説明しています。
手数料型で、本業で残るお金が手数料より少ない
例の会社で、本業で残るお金が30万円ではなく15万円だったとします。手数料20万円の方が大きいので、続けるかぎり手元は毎月5万円ずつ減ります。自力で貯めてやめることはできず、融資で一度に止めることが必要です。融資が受けられなければ、協議会など計画づくりを手伝う窓口に早めに相談します。
ほかの方法で、毎月の不足そのものを小さくする
- 売掛先に、支払いを早めてもらえないか相談する(早期支払い)
- 大口の受注で、着手金や前受金をもらう
- 仕入先や外注先との支払日の相談
- 売掛先の承諾を得られるなら、手数料が下がりやすい3社間に切り替えて、やめるまでの費用を減らす
ほかのファクタリング会社への乗り換えは、手数料を下げる手段にはなりますが、抜け出す方法ではありません。乗り換えるなら、やめる計画の途中で費用を減らすためと割り切ります。
ファクタリングから抜け出すときによくある失敗と注意点
抜け出す途中で、やりがちな失敗は?
穴を用意せずにいきなりやめる、回収した代金をほかの支払いに使う、同じ請求書を2社に売る、もっと高い借入で置き換える、などです。先にお金、次にやめる月、の順番を守りましょう。
1. 穴を用意せずに、いきなりやめる
「来月から使わない」と決めても、穴の180万円を用意していなければ、その月の支払いが止まります。結局また請求書を売ることになり、気持ちのうえでも抜け出しにくくなります。先にお金、次にやめる月、の順番を守ります。
2. 回収した代金をほかの支払いに使う
2社間では、売った請求書の代金は自社の口座に入りますが、それはファクタリング会社のお金です。やめる月に苦しいからといって給与や仕入に回すと、契約違反になり、トラブルの元になります。回収したら、その日のうちに渡す段取りにしておきます。
3. 同じ請求書を2社に売る
やめる途中で別の会社を試すとき、すでに売った請求書をもう一度売ると「二重譲渡」になります。契約違反になるうえ、詐欺を疑われるおそれもあります。どの請求書をどこに売ったかを台帳で管理します。
4. もっと高い借入で置き換える
ファクタリングをやめるために、金利の高い借入を重ねると、問題が別の形で続くだけです。置き換える先は、返済の計画が立てられる融資にします。
5. 計画を自社だけで抱え込む
毎月使っていることを恥ずかしく感じ、金融機関や税理士に話さないまま時間がたつことがあります。相談が早いほど打てる手は多いので、0か月目のうちに一度、外の人に数字を見てもらいます。
6. 勧誘の電話やメールで計画を変える
やめる途中で「今より安い手数料で」「すぐ入金」といった勧誘を受けることがあります。手数料が下がっても、売り続けるかぎり抜け出したことにはなりません。乗り換える場合も、やめる月と減らす額の計画は変えずに、途中の費用を減らす目的に限ります。
7. やめた後に資金繰り表をやめてしまう
やめてから3か月は、また足りなくなる月が来ないかを週に1回確かめます。不足が見えたら、ファクタリングに戻る前に、融資の追加や支払日の相談を先に検討します。
出典(6件)公的機関の資料・法令。2026.10.17に確認
- ファクタリングの利用に関する注意喚起(金融庁)www.fsa.go.jp
- 多重債務防止のための注意喚起(高額な手数料によるファクタリングに関する注意喚起)(金融庁)www.fsa.go.jp
- 中小企業活性化協議会による支援(中小企業基盤整備機構)www.smrj.go.jp
- 一般貸付(日本政策金融公庫)www.jfc.go.jp
- 金利情報:国民生活事業(日本政策金融公庫、2026年10月1日現在)www.jfc.go.jp
- 利息制限法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
FAQ
よくある質問
ファクタリングをやめるには、いくら必要ですか?
やめる月に、いつも受け取っていた手取りの額が入らなくなるので、その額が一度だけ必要です。毎月200万円の請求書を手数料10%で売っているなら180万円です。翌月からは請求書の代金が全額自社に入り、手数料の月20万円もかからなくなります。売る額を3か月で減らせば、計算例では足りなくなる額は合計129万円でした。
ファクタリングを毎月使うのはよくないですか?
毎月使うと手数料が積み重なります。手数料10%で30日早く現金にすると、実質年率は約135%です。毎月200万円を売ると1年で240万円になります。本業で残るお金より手数料が多いと、続けるほど手元が減ります。金融庁も、高額な手数料はかえって資金繰りを悪化させ、多重債務に陥る危険があると注意しています。
ファクタリングを融資に置き換えられますか?
本業でお金が残っている会社なら、運転資金の融資に置き換えるのがいちばん早い抜け方です。計算例では200万円を日本政策金融公庫の一般貸付で5年借りると、年5.65%で計算しても1年目の利息は約10.3万円でした。申込みから入金まで時間がかかるので、入金を確かめてから売るのをやめます。
ファクタリングを使っていると融資は受けられませんか?
使っていること自体で融資が受けられないとは限りません。ただ、通帳の入出金に出るので、金融機関は確認の中で気づくことが多くあります。隠さずに、毎月の手数料が重いので融資に置き換えてやめたい、という目的とやめる計画を伝える方が話は進みます。資金繰り表、決算書、利用の一覧を持って相談します。
ファクタリング会社にやめると伝える必要はありますか?
1回ごとの契約なら、次の申込みをしなければ取引は終わります。期間のある基本契約や、将来の請求書まで譲る契約の場合は、取引を終える合意をして書面に残します。登記をしているなら、最後の精算の後に扱いを確かめます。やめるなら違約金や分割での返済を求められた場合は、貸付けの疑いがあるので弁護士などに相談します。
ファクタリングをやめたら資金が足りなくなりそうです。どうすればよいですか?
まず本業で毎月お金が残っているかを確かめます。残っていれば、融資への置き換えや、売る額を数か月かけて減らす方法があります。本業で毎月お金が減っているなら、やめても不足は続くので、本業の立て直しが先です。中小企業活性化協議会は国が47都道府県に設置した機関で、窓口相談は無料です。
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