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資金繰り更新 2026.10.17

資金調達の方法15選|早さ・費用・返済の要否で比べる中小企業の選び方

ハカセ
結論

資金調達の方法は「借りる・持っているものを現金に変える・返さなくてよいお金」の3つ、計15ほどです。早い方法ほど費用が高いので、必要な日と額から逆算して選びます。15の方法の早さ・費用・返済の要否と選ぶ順番を示します。

初めての方へファクタリングを使う前に知る5つのこと・申込みから入金まで →

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

資金調達の方法15選|早さ・費用・返済の要否で比べる中小企業の選び方

資金調達の方法は、大きく「借りる」「持っているものを現金に変える」「返さなくてよいお金を受け取る」の3つに分かれ、合わせると15ほどになります。どれが合うかは、お金が必要な日までの日数と、費用と、返済できるかの3つでほぼ決まります。

この記事は、運転資金や設備のお金を用意したい中小企業の経営者・個人事業主に向けて、15の方法を早さ・費用・返済の要否で一覧にし、自社に合う方法を選ぶ順番を示します。それぞれの方法の詳しい説明は、担当の記事へ案内します。

この記事を7枚で

1 / 7
借りる7つ現金に変える5つ返さないお金3つ

この記事の流れ

資金調達の方法15選を、早さと費用で選ぶ

この記事で何がわかるの?

資金調達の方法は借りる・現金に変える・返さないお金の3つに分かれ、合わせて15ほどです。どれが合うかを、必要な日と費用と返済の3つから7枚で説明します。

早い 費用が高い 融資 割引・借入枠 ファクタリング

POINT 1

早い方法ほど費用が高い

早い方法と安い方法、どう違う?

融資は安い代わりに時間がかかり、売掛金を売る方法は早い代わりに高くなります。いつまでに・いくら必要かを先に決め、間に合う中でいちばん安い方法を選びます。

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借りるときの年率 保証料 0.45〜1.90% 公庫 4.05〜5.65% 利息の上限 15% 公庫は申込みから送金まで1か月程度

POINT 2

借りる方法は安いが時間がかかる

借りる方法の費用と時間は?

保証協会の保証料は高い区分でも年1.90%、公庫の基準利率は国民生活事業の無担保で年5.65%までです。公庫は申込みから送金まで1か月程度かかります。

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入金の最短を公表している178サービス 当日 144 34 手数料10%・30日を年率にすると 約135% 足りない分だけに絞る

POINT 3

売掛金を売れば当日も

売掛金を売ると、どれくらい早い?

図鑑で入金の最短を公表している178サービスのうち144が当日の入金をうたいます。ただし手数料10%・30日なら年率で約135%なので、足りない分だけに絞ります。

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事業費600万円・補助率1/2の例 先に払う 600万円 後で入る 300万円 補助金は事業が終わった後の後払い 立て替えるお金も同時に用意する

POINT 4

補助金は後払い

補助金って、すぐもらえるの?

補助金は返さなくてよいお金ですが、原則として事業が終わった後に入ります。事業費600万円・補助率1/2なら、一度は600万円を払い、300万円が後から入ります。

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Q1必要な日まで1か月以上?Q2借入の枠が残っている?Q3確かな売掛金がある?Q4来月以降に返せる?

POINT 5

4つの問いで候補を絞る

どうやって候補を絞ればいい?

必要な日まで1か月以上あるか、借入の枠が残っているか、確かな売掛金があるか、来月以降に返せるか。順に答えると、候補が2つか3つに絞れます。

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新しく借りる前に支払日を相談する税金・社会保険料の猶予返済条件の変更早く払ってもらう 毎月の 赤字を 借りて埋めない

POINT 6

調達の前に支払いを動かす

借りる前にやることはある?

毎月の赤字や、返済の財源が言えないときは、借りても苦しさは続きます。支払日の相談や納税の猶予など、支払いの側を先に動かします。

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01

結論:資金調達の方法は「借りる・売る・出してもらう」の3つ。期日と費用から逆算して選ぶ

社長

お金を用意する方法って、結局どれを選べばいいの?

借りる・持っているものを現金に変える・返さなくてよいお金の3つ、計15ほどです。早い方法ほど費用が高いので、「いつまでに・いくら必要か」を先に決め、間に合う中でいちばん安いものを選びます。

ハカセ

資金調達とは、事業に必要なお金を外から用意することです。中小企業が使う方法は、お金の出どころで次の3つに分けられます。

  • 借りる(7つ):銀行のプロパー融資、信用保証協会の保証付き融資、自治体の制度融資、日本政策金融公庫の融資、ビジネスローン、経営セーフティ共済の貸付、社長・役員からの借入。
  • 持っているものを現金に変える(5つ):ファクタリング、手形・でんさいの割引、売掛債権担保融資(ABL)、リース、セール・アンド・リースバック。
  • 返さなくてよいお金(3つ):補助金・助成金、出資(株式)、クラウドファンディング。

選び方の原則は単純で、早い方法ほど費用が高く、安い方法ほど時間がかかります。日本政策金融公庫の融資は申込みから送金まで1か月程度かかる一方、年率は数%です。売掛金を売るファクタリングは当日に入金されることもありますが、手数料を年率に直すと100%を超える例があります。補助金は返さなくてよいお金ですが、原則として事業が終わった後の後払いです。

ですから、最初に「いつまでに・いくら必要か」を決め、間に合う方法の中からいちばん費用の小さいものを選びます。この記事は次の順で説明します。

  1. 15の方法の一覧(早さ・費用・返済の要否)
  2. 借りる方法7つの特徴
  3. 持っているものを現金に変える方法5つの特徴
  4. 返さなくてよいお金3つの特徴と落とし穴
  5. 自社に合う方法の選び方(4つの問い)
  6. 数字で比べる:年率に直した費用と、入金までの日数
  7. 資金調達を進める手順
  8. 新しく調達しない方がよい場合と、先にやること
  9. よくある失敗と注意点
資金調達の方法は、お金の出どころで3つに分かれる
7つ借りる銀行・保証付き・制度融資・公庫・ビジネスローン・共済の貸付・社長からの借入。利息を付けて返す
5つ持っているものを現金に変える売掛金・手形・でんさい・在庫・設備を使う。早いものが多いが、費用は年率に直すと高くなりやすい
3つ返さなくてよいお金補助金・助成金、出資、クラウドファンディング。返済はないが、入るまで時間がかかるか、経営への口出しが増える
早さ⇔費用早い方法ほど高い月単位で待てるなら融資、数日しかないなら売掛金の売却。期日から逆算して選ぶ
02

資金調達の方法15選の一覧:早さ・費用・返済の要否

社長

15の方法を、ひと目で比べられる?

早さ・主な費用・返済の要否・向く使いみちを1つの表に並べました。融資は週〜月単位、ファクタリングは当日〜数日、補助金は事業が終わった後の後払い、と早さがかなり違います。

ハカセ

まず15の方法を1つの表に並べます。早さは、公表されている日数があるものはその値を、無いものは手続きの流れから見た目安を書いています。費用の数字は、この記事の「数字で比べる」の章で出どころとともに説明します。

方法 入金までの早さ 主な費用 返済 向く使いみち
1 銀行のプロパー融資 週〜月単位(審査しだい) 利息 あり 運転資金・設備資金
2 信用保証協会の保証付き融資 週〜月単位(銀行と協会の審査) 利息+保証料 あり 運転資金・設備資金
3 自治体の制度融資 週〜月単位(あっせん・保証の手続き) 利息+保証料(補助がある場合も) あり 創業・運転資金
4 日本政策金融公庫の融資 申込みから1か月程度 利息(固定金利) あり 創業・運転資金・設備資金
5 ビジネスローン 数日〜(業者による) 利息(銀行より高めになりやすい) あり 短期のつなぎ
6 経営セーフティ共済の貸付 取引先の倒産後の請求から 無利子(掛金の一部が戻らなくなる) あり 取引先の倒産への備え
7 社長・役員からの借入 すぐ 当事者で決める あり 短期のつなぎ・創業期
8 ファクタリング 当日〜数日 手数料 なし(売買) 入金までのつなぎ
9 手形・でんさいの割引 数日〜(取引銀行しだい) 割引料 なし(不渡りなら買戻し) 受け取った手形・でんさいの現金化
10 売掛債権担保融資(ABL) 週〜月単位 利息+保証料など あり 売掛金・在庫が多い会社の運転資金
11 リース 設備の納品に合わせて リース料 リース料を払い続ける 設備・車両・機械
12 セール・アンド・リースバック 週〜月単位 リース料 リース料を払い続ける 持っている設備・不動産の現金化
13 補助金・助成金 事業が終わった後(後払い) 自己負担・申請の手間 なし 設備投資・新事業・雇用
14 出資(株式) 交渉しだいで月単位 持ち分を渡す なし 成長のための大きな資金
15 クラウドファンディング 募集期間の後 手数料・返礼品 型による 新商品・地域の事業

表を左から見ると、上の7つ(借りる)は費用が小さい代わりに審査に時間がかかり、8〜12(現金に変える)は持っている資産しだいで早く動けます。13〜15は返済がない代わりに、入るまでが長いか、経営の自由が減ります。表の早さは「申し込んだ日から」で、書類をそろえる日数は入っていない点に注意してください。

03

借りる方法7つ:利息を払って返すお金

社長

銀行や公庫から借りるとき、何が違うの?

誰が貸し、誰が保証し、どれだけ早いかが違います。費用は年率で数%に収まることが多いです。保証協会の保証料は年0.45%〜1.90%で、平時に当座貸越の枠を作っておくと急なときに使えます。

ハカセ

借りる方法は、中小企業の資金調達の中心です。返済の義務がある代わりに、費用は年率で数%に収まることが多く、まとまった額を長い期間使えます。7つの違いは、誰が貸し、誰が保証し、どれだけ早いかにあります。

1 銀行・信用金庫のプロパー融資

プロパー融資は、信用保証協会の保証を付けずに、金融機関が自分の判断とリスクで貸す融資です。保証料がかからない代わりに、決算の数字や取引の長さが厳しく見られます。創業まもない会社や赤字の会社は、まず次の保証付き融資から取引を始めることが多くなります。

運転資金の借り方には、期日に一括で返す短期の「手形貸付」、毎月返す「証書貸付」、決めた枠まで何度でも引き出せる「当座貸越」があります。平時に当座貸越の枠を作っておくと、急に足りなくなったときに審査を待たずに使えます。

2 信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会は、中小企業が金融機関から借りるときに保証をする公的機関です。返せなくなったときは協会が金融機関に代わりに払い(代位弁済)、その後は協会に返していくことになります。借金が消えるわけではありません。

費用は、金融機関に払う利息に加えて、協会に払う保証料です。保証料率は会社の経営状況に応じて9つの区分に分かれ、協会の基準の料率は年0.45%〜1.90%です。決算の内容が良いほど低い区分になります。

3 自治体の制度融資

制度融資は、都道府県や市区町村が、金融機関と信用保証協会と組んで用意する融資です。自治体が保証料の一部を負担したり、利子を補給したりするため、同じ保証付き融資でも費用が下がることがあります。たとえば岡山県の制度融資では、協会の基準で年1.90%の区分が年1.52%に下げて運用されています。

申込みは、自治体の窓口か取引のある金融機関からです。あっせんの手続きが加わる分、通常の保証付き融資より日数がかかることがあるので、創業や設備のように予定が立つお金に向きます。

4 日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫(公庫)は、国が出資する金融機関です。小規模事業者・個人事業主向けの国民生活事業では、無担保・無保証人で借りられる融資も多く、公庫によると事業資金の融資の約7割が無保証人です(令和7年度上半期の件数)。利率は契約時のものが完済まで続く固定金利です。

申込みはインターネットで完結し、その後に面談があります。公庫は、申込みから送金までの日数を「1か月程度(土日・祝日を含む)」と案内しています。売上が落ちたときに使える貸付もあり、その条件は「新しく調達しない方がよい場合」の章で案内する資金繰りの記事にまとめています。

5 ビジネスローン

ビジネスローンは、銀行以外の貸金業者などが事業者向けに貸すローンです。担保や保証人を求めない商品が多く、審査が早いものもありますが、金利は銀行融資より高めになりやすいです。貸す側は貸金業の登録が必要なので、借りる前に登録番号を確かめます。利息の上限は法律で決まっていて、元本100万円以上なら年15%です。※1

6 経営セーフティ共済の貸付

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、毎月の掛金を積み立てておき、取引先が倒産したときに借りられる国の制度です。掛金は月5,000円〜20万円で、回収できなくなった売掛金などの額と、掛金総額の10倍(最高8,000万円)の小さい方まで、無担保・無保証人で借りられます。取引先が倒産してから入っても使えないため、平時に入っておく備えです。条件と計算例は経営セーフティ共済の借りられる額と掛金で説明しています。

7 社長・役員からの借入

社長や役員が自分のお金を会社に貸す方法です。審査がなく、その日のうちに用意できます。ただし、会社の帳簿には「役員借入金」として残り、返すときの記録や、利息を付けるかどうかを決めておく必要があります。社長の生活資金まで入れてしまうと、会社が行き詰まったときに家計も同時に苦しくなるので、入れる額の上限を先に決めます。

この章の根拠(1件)
  1. 利息制限法1条
04

持っているものを現金に変える方法5つ:売掛金・手形・設備を使う

社長

売掛金や設備でお金を作るって、どういうこと?

ファクタリング、手形・でんさいの割引、ABL、リース、リースバックです。決算書より資産の中身が見られます。ファクタリングは入金の最短を公表している178サービスのうち144が当日入金をうたいます。

ハカセ

手元に売掛金・手形・でんさい・在庫・設備がある会社は、それを使ってお金を作れます。決算書の良し悪しより、資産の中身(売掛先の信用や設備の価値)が見られるので、融資が難しい時期でも使える場合があります。

8 ファクタリング

ファクタリングは、まだ入金されていない売掛金を、ファクタリング会社に売って、期日より前に現金にする方法です。借入ではなく売買なので返済はありませんが、売掛金の額から手数料が引かれて入金されます。仕組みとお金の流れはファクタリングとはで説明しています。

早さは15の方法の中でいちばんです。図鑑に載せている197サービス(2026年10月16日時点)のうち、入金の最短を公表している178サービスでは、144サービス(81%)が当日の入金をうたっています。売掛先に知らせない「2社間」を扱うのは146サービス、売掛先の承諾を得る「3社間」は108サービスです。

一方で、費用は年率に直すと高くなります。手数料の見方と、融資と総額で比べた結果は、ファクタリングのメリット・デメリットにまとめています。

9 手形・でんさいの割引

受け取った約束手形やでんさい(電子記録債権)を、期日より前に銀行に買い取ってもらう方法です。期日までの日数に応じた割引料が引かれます。手形が不渡りになったときは、割り引いた会社が買い戻す義務を負うため、返済がないとはいえ取引先の信用の危険は残ります。割引・裏書・ファクタリングの違いは手形を満期前に現金にする方法で比べています。

10 売掛債権担保融資(ABL)

ABLは、売掛金や在庫を担保にして借りる融資です。売掛金を売るファクタリングと違い、借入なので返済があり、費用は利息と保証料になります。売掛金を担保に入れたことを第三者に示すため、債権譲渡登記をすることが一般的です。売掛金が多く、継続して運転資金が必要な会社に向き、1回限りのつなぎには手続きが重めです。

11 リース

リースは、設備や車両をリース会社に買ってもらい、毎月のリース料を払って使う方法です。お金を借りるわけではありませんが、まとまった購入代金を払わずに設備をそろえられるので、設備資金の調達と同じ働きをします。途中で解約できない契約が多く、残りのリース料をまとめて払う決まりがあるので、使う期間を見込んで結びます。

12 セール・アンド・リースバック

すでに持っている設備や不動産をリース会社などに売り、そのまま借りて使い続ける方法です。売った代金がまとまって入り、使い方は変わりません。その代わり、毎月のリース料が新しい固定の支払いになり、合計すると売った額を上回ることもあります。売った設備は自社のものではなくなるので、売る前に、契約が終わったときに買い戻せるかを確かめます。

05

返さなくてよいお金3つ:補助金・出資・クラウドファンディング

社長

補助金や出資なら、返さなくていいから楽じゃない?

すぐ使えるお金ではない点が落とし穴です。補助金は原則後払いで、一度は費用の全額を立て替えます。出資は渡した株式の分だけ持ち分と議決権が移り、後から買い戻すのは難しいです。

ハカセ

返済のないお金は魅力的ですが、「すぐ使えるお金」ではない点がいちばんの落とし穴です。3つとも、受け取るまでに時間がかかるか、受け取った後の約束ごとがあります。

13 補助金・助成金

補助金は、国や自治体の政策目標に合う事業者の取り組みを、経費の一部を出して支える制度です。中小企業庁の案内では、事業費の1/2〜1/3程度が自己負担になり、原則として事業終了後の後払い(清算払い)です。一度は対象の費用の全額を事業者が立て替えます。

また、採択(内定)の通知を受けただけでは発注できず、交付決定の後に事業を始める決まりです。補助金で買った設備を勝手に売ることや、利益が出たときに補助金を国に返す「収益納付」の決まりがある補助金もあります。

助成金は、主に厚生労働省の雇用関係助成金のように、雇用や人材育成の要件を満たした事業主に支給されるものです。補助金ほど競争はありませんが、こちらも取り組んだ後に申請して受け取る形です。

14 出資(株式)

出資は、投資家やベンチャーキャピタル、取引先などに株式を引き受けてもらい、資本金としてお金を受け取る方法です。返済も利息もありませんが、渡した株式の分だけ会社の持ち分と議決権が移ります。

株主総会の多くの決議は出席した株主の議決権の過半数で決まり、定款の変更などの重要な決議(特別決議)には3分の2以上が必要です。※1外部の株主が3分の1を超える株式を持つと、重要な決議を単独で止められるようになります。株式は後から買い戻すのが難しいので、渡す割合は最初の交渉で慎重に決めます。

15 クラウドファンディング

インターネットで多くの人から少しずつお金を集める方法です。商品やサービスを返礼として送る「購入型」、見返りのない「寄付型」、株式や貸付けの形で投資してもらう「投資型」があります。購入型は新商品の予約販売に近く、資金と同時に買う人の反応を確かめられるのが利点です。

ただし、募集期間が終わってから入金され、仲介サイトの手数料と、返礼品の原価・送料がかかります。目標額に届かないと受け取れない方式もあるので、「今月の支払い」には使えません。

この章の根拠(1件)
  1. 会社法309条1項・2項
06

自社に合う資金調達の方法の選び方:4つの問い

社長

うちに合う方法は、どうやって絞ればいいの?

必要な日まで何日あるか、使いみち、いくら必要か、返せるかの4つに順に答えます。1か月以上あれば融資が間に合います。返す財源が言えないときは、借りる前に支払いの側を整えます。

ハカセ

15の方法から選ぶときは、次の4つの問いに順に答えると、候補が2〜3個に絞れます。

  1. お金が必要な日まで、何日あるか:1か月以上あれば、費用の小さい融資が間に合います。数日しかなければ、売掛金・手形を現金に変える方法か、すでにある借入枠が中心になります。
  2. 使いみちは何か:仕入や給与の運転資金、機械や車の設備資金、新しい事業のための成長資金で、合う方法が違います。設備ならリースと補助金、成長資金なら出資も候補に入ります。
  3. いくら必要か:数十万円なら、社長からの借入やビジネスローン、少額の売掛金の売却で足ります。数千万円になると、公庫・保証付き融資・出資のように審査の重い方法が中心になります。
  4. 返せるか:借りる方法を選ぶなら、来月以降のどの入金で返すのかを言えることが前提です。言えないときは、新しく借りる前に支払いの側を整えます(後の章で説明します)。
資金調達の方法を選ぶ分かれ道
  1. お金が必要な日まで1か月以上あるか?はい → 公庫・保証付き融資・銀行に相談する。設備ならリースや補助金も並べて調べるいいえ → 次へ
  2. 当座貸越など、すでにある借入の枠が残っているか?はい → 枠の中で借りる。新しい審査を待たずに使えるいいえ → 次へ
  3. 入金が確かな売掛金・手形・でんさいがあるか?はい → 割引やファクタリングで、足りない分だけ現金にするいいえ → 次へ
  4. 来月以降の入金で、返済できるか?はい → ビジネスローンや社長からの借入でつなぐいいえ → 新しく調達する前に、支払日の相談・納税の猶予・返済条件の変更へ

使いみちごとの組み合わせの例を表にします。1つの方法で全部まかなうより、時間のかかる方法と早い方法を組み合わせる方が、費用を抑えやすくなります。

場面 中心にする方法 組み合わせる方法
創業して1〜2年 公庫の融資、自治体の制度融資 社長からの借入、補助金(立替の資金は別に用意)
売上が増えて仕入が先に出ていく 保証付き融資、当座貸越の枠 売掛金が多ければABL、急ぐ分だけファクタリング
機械・車両を入れたい 設備資金の融資、リース 募集が合えば補助金
数日後の支払いに足りない 手形・でんさいの割引、ファクタリング 支払先への支払日の相談、すでにある借入枠
大きく伸ばすための資金 出資 融資(出資を受けると借りやすくなることもある)

どの方法が合うかを質問に答えながら確かめたいときは、資金調達診断も使えます。

07

数字で比べる:年率に直した費用と、入金までの日数

社長

手数料と金利って、そのまま比べていいの?

いいえ。すべて「1年あたり何%か」に直してそろえます。公庫の基準利率は年4.05〜5.65%ですが、ファクタリングの手数料10%・30日は、年率に直すと約135%になります。

ハカセ

費用を比べるときは、利息・保証料・手数料を、すべて「1年あたり何%か」に直してそろえます。ファクタリングの手数料は1回あたりの%で示されるため、そのまま融資の金利と並べると安く見えてしまうからです。

年率に直した費用

方法 年率 出どころ
信用保証協会の保証料 年0.45〜1.90%(利息に上乗せ) 協会の基準保証料率(9区分)
公庫の融資(国民生活事業・無担保・税務申告2期済み) 基準利率 年4.05〜5.65% 公庫の金利情報(令和8年10月1日現在)
貸付けの利息の上限(元本100万円以上) 年15% 利息制限法
ファクタリング(手数料10%・30日早く受け取る例) 約135% 手数料額÷手取り額÷日数×365

ファクタリングの年率は、手数料10%・30日の場合に、10÷90÷30×365で約135%になります。実際の手数料は会社と条件で変わるので、見積もりの額で計算し直します。計算のしかたは手数料の実質年率の計算で、自社の数字では手取りと実質年率のシミュレーターで確かめられます。

年率に直した費用の比べ方(公表されている上限・計算例)
  1. 保証協会の保証料(区分9〜1)年0.45〜1.90%
  2. 公庫の基準利率(無担保)年4.05〜5.65%
  3. 貸付けの上限(100万円以上)年15%
  4. ファクタリング手数料10%・30日約135%

借りるときに上乗せされる費用借りるときの利率売掛金を売るときの費用を年率に直した例

1,000万円を用意する費用の例

同じ1,000万円を用意する場合の費用を、単純な計算(1年後に一括で返す前提)で並べます。分割で返せば、残高が減る分だけ利息は少なくなります。

  • 公庫の基準利率で1年借りる:年4.05%なら40万5,000円、年5.65%なら56万5,000円
  • 保証付き融資の保証料:区分によって1年で4万5,000円(0.45%)〜19万円(1.90%)。これに金融機関の利息が加わる
  • 利息の上限の年15%で1年借りる:150万円
  • 1,000万円の売掛金を手数料10%で売る:手数料100万円、手取り900万円。これで早まるのは30日分だけ

ファクタリングの100万円は30日分の費用で、融資の利息は1年分です。同じ額でも、使える期間あたりの費用には大きな差があることがわかります。ファクタリングは「1か月待てば入る売掛金を、数日のうちに現金にする」ための費用と考え、期間の長いお金には使わないのが基本です。

入金までの日数

早さの面では順番が逆になります。公庫は申込みから送金まで1か月程度と案内していて、銀行や保証付き融資も、書類・面談・審査を経るので週単位で見込みます。ファクタリングは、図鑑で入金の最短を公表している178サービスのうち144サービスが当日の入金をうたい、残りの34サービスも翌日以降の数日が中心です。

図鑑のデータでは、扱う金額の下限を公表している97サービスの中央値は30万円で、そのうち36サービスは10万円以下から受け付けています。上限を公表している81サービスの中央値は1億円です。少額の売掛金から使える一方、数千万円の長いお金を用意する手段ではありません。

補助金は「立て替える資金」まで計算する

補助金は返さなくてよいお金ですが、入るまでの資金を別に用意します。たとえば事業費600万円・補助率1/2の補助金なら、受け取れるのは300万円で、自己負担は300万円です。ただし後払いなので、一度は600万円の全額を支払う必要があります。

補助金が入るまでの300万円を、公庫の基準利率で6か月借りてつなぐと、利息は年4.05%で6万750円、年5.65%で8万4,750円です(期日に一括で返す単純な計算)。補助金の申請と同時に、つなぎの融資も金融機関に相談しておくと、交付決定の後に慌てずに済みます。

08

資金調達を進める手順:必要額を出してから、並行して申し込む

社長

申し込むとき、どの順番で動けばいいの?

まず今後3か月の入金と支払いから、足りない額と日付を出します。時間のかかる融資から同じ時期に相談し、融資の入金より前に来る支払いの差額だけを、早い方法で埋めます。

ハカセ

資金調達でよくある遠回りは、「とりあえず1つ申し込んで、断られてから次を探す」ことです。時間のかかる方法ほど先に動き、早い方法は最後の手段として残しておきます。

  1. 足りない額と日付を出す:今後3か月の入金と支払いを書き出し、いちばん残高が少なくなる日と金額を確かめます。必要な額は「足りない額+1か月分の固定費」程度にして、借りすぎを防ぎます。
  2. 使いみちと返済の財源を書く:何に使い、どの入金で返すのかを1枚にまとめます。融資の審査でも、補助金の申請でも、最初に聞かれる中身です。
  3. 書類をそろえる:決算書・確定申告書(2期分)、最新の試算表、借入の一覧、通帳の写し、見積書(設備の場合)を用意します。
  4. 時間のかかる方法から申し込む:取引のある金融機関と公庫に同じ時期に相談します。保証付き融資や制度融資は、金融機関か自治体の窓口から進めます。
  5. 間に合わない分だけ、早い方法で埋める:融資の入金日より前に支払いが来る場合だけ、手形・でんさいの割引やファクタリングで、その差額を用意します。
  6. 契約の中身を確かめる:金利・保証料・手数料を年率に直し、返済の日程と、期日に払えないときの扱いを書面で確かめてから署名します。

融資とファクタリングを並べて検討するときの審査の違いや使い分けは、ファクタリングと融資の違いで説明しています。

09

新しく調達しない方がよい場合と、先にやること

社長

そもそも、お金を集めないほうがいい場合もあるの?

毎月の赤字を埋めるため、返す財源が言えない、ファクタリングを毎月続けている、の3つです。そのときは支払日の相談や税・社会保険料の猶予、返済条件の変更など、支払いの側を先に動かします。

ハカセ

資金調達は、足りないお金を「外から足す」方法です。けれども、足りない原因が支払いの時期のずれや、毎月の赤字にあるときは、足す前に支払いの側を動かす方が費用は小さく、効き目も長く続きます。

調達を急がない方がよい3つの場合

  • 毎月の赤字を埋めるために借りようとしている:借りても赤字は止まらず、返済が加わって翌月はさらに苦しくなります。売上と費用の見直しが先です。
  • 返済の財源が言えない:来月以降の入金で返せないお金を借りると、返すためにまた借りる形になります。
  • ファクタリングを毎月続けている:入金を前倒しした分だけ翌月の入金が減り、手数料を払い続ける形になります。続けるほど抜けにくくなります。

先にやること:支払いを動かす・入金を早める

やること 相談先 費用の目安
仕入先・外注先に支払日を相談する 取引先の担当者 原則かからない
税金・社会保険料の猶予を申請する 税務署・自治体・年金事務所 延滞税などが軽くなる場合がある
借入の返済条件を変える(リスケ) 取引のある金融機関 利息は払い続ける
売掛先に早く払ってもらう(早期支払い) 売掛先 値引きを求められることがある
請求書を早く出す・前受金をもらう 自社・顧客 かからない

今月の支払いにすでに間に合わないときの、具体的な動き方と順番は、資金繰りが苦しいときの対処の順番の記事で、資金繰り表の記入例とともに説明しています。

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よくある失敗と注意点

社長

資金調達で、ありがちな失敗って何?

融資の相談が遅れて高い方法しか残らない、補助金を当てにして立替が足りない、手数料を%のまま金利と比べる、などです。「審査なし」「誰でも通る」とうたう業者は避けます。

ハカセ

資金調達の失敗は、方法そのものより、選ぶ順番と契約の確かめ方で起きます。よくある6つを挙げます。

失敗1:融資の相談が遅れて、高い方法しか残らない

公庫だけでも申込みから1か月程度かかります。残高が少なくなってから相談すると、間に合う方法が費用の高いものに限られます。資金繰り表で不足が見えた時点で、まず金融機関に相談します。

失敗2:補助金を当てにして、立替の資金が足りなくなる

補助金は原則として後払いで、交付決定の前に発注した費用は対象になりません。採択されても、事業費の全額をいったん払えるかを先に確かめます。

失敗3:手数料を「%」のまま金利と比べる

ファクタリングの手数料10%と、融資の年5%を並べると、2倍の差に見えます。実際には、30日早める手数料10%は年率で約135%です。比べるときは、かならず期間をそろえます。

失敗4:持ち分を渡しすぎる

出資は返済がない代わりに、渡した株式は戻りません。外部の株主が3分の1を超えると、重要な決議を止められるようになります。いくら必要かと同時に、何%まで渡せるかを決めてから交渉します。

失敗5:社長個人のお金と会社のお金が混ざる

社長からの借入や、社長個人のカードでの立替が重なると、会社にいくら貸しているのかがわからなくなります。会社に入れたお金は、その都度、金額と日付を帳簿に残します。

失敗6:広告の言葉で業者を選ぶ

「審査なし」「誰でも通る」といった言葉を使う業者や、貸金業の登録がないのにお金を貸す業者は避けます。ファクタリングの形をとって実際には高い利息を取る業者もあります。見分け方は危ないファクタリング業者の見分け方にまとめています。

申し込む前に確かめること・危ないサイン
  • いくら・いつまでに必要か足りない額と日付を、資金繰り表で1円・1日単位で出す
  • 返済の財源はどこか来月以降のどの入金で返すのかを言えるか
  • 費用を年率に直したか手数料・保証料・利息を同じ物差しで比べる
  • 相手は登録・許可を受けているか貸す業者なら貸金業の登録番号を確かめる
  • 「審査なし」「誰でも通る」と書く業者引用でも出てきたら申し込まない
  • 補助金の採択前に発注する交付決定の前の支出は補助の対象にならない
出典(8件)公的機関の資料・法令。2026.10.17に確認
  1. 金利情報(日本政策金融公庫)www.jfc.go.jp
  2. 国民生活事業をはじめてご利用の方へ(日本政策金融公庫)www.jfc.go.jp
  3. 保証料率(岡山県 経営支援課)www.pref.okayama.jp
  4. 利息制限法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  5. 会社法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  6. 経営セーフティ共済 制度の魅力(中小企業基盤整備機構)kyosai-web.smrj.go.jp
  7. 補助金入門 STEP1:補助金の基本知識(中小企業庁 ミラサポplus)mirasapo-plus.go.jp
  8. 事業主の方のための雇用関係助成金(厚生労働省)www.mhlw.go.jp

FAQ

よくある質問

資金調達の方法にはどんな種類がありますか?

大きく、借りる方法(銀行・保証付き融資・制度融資・公庫・ビジネスローン・共済の貸付・社長からの借入)、持っているものを現金に変える方法(ファクタリング・手形やでんさいの割引・ABL・リース・リースバック)、返さなくてよいお金(補助金・助成金・出資・クラウドファンディング)の3つに分かれ、合わせて15ほどです。

中小企業がいちばん安く資金調達できる方法は何ですか?

費用だけで見れば、公的な融資や保証付き融資が小さく、公庫の基準利率は国民生活事業の無担保で年4.05〜5.65%(令和8年10月1日現在)、保証協会の保証料は年0.45〜1.90%です。ただし申込みから入金まで、公庫で1か月程度かかるので、早めに相談することが前提です。

すぐにお金が必要なときの資金調達の方法は?

数日しかないときは、受け取った手形・でんさいの割引や、売掛金を売るファクタリングが中心になります。図鑑で入金の最短を公表している178サービスのうち144サービスが当日の入金をうたっています。ただし手数料10%・30日なら年率で約135%になるため、足りない分だけに絞って使います。

返済しなくてよい資金調達の方法はありますか?

補助金・助成金、出資、クラウドファンディングは返済がありません。ただし補助金は原則として事業が終わった後の後払いで、いったん費用の全額を立て替えます。出資は渡した株式の分だけ議決権が移り、クラウドファンディングは募集期間が終わってから入金されるため、急ぎの支払いには向きません。

補助金と融資はどちらを先に申し込むべきですか?

並行して進めるのが基本です。補助金は事業が終わった後に受け取るため、それまでの費用を融資などで用意する必要があります。事業費600万円・補助率1/2なら、受け取れるのは300万円でも、一度は600万円を支払います。申請と同時に、つなぎの融資を金融機関に相談しておきます。

資金調達で失敗しないためには何に気をつければよいですか?

足りない額と日付を先に出し、時間のかかる融資から並行して申し込むことです。費用は利息・保証料・手数料をすべて年率に直して比べます。返済の財源が言えないときや、毎月の赤字を埋めるための調達は避け、支払日の相談や納税の猶予を先に検討します。業者を選ぶときは、広告の言葉ではなく登録の有無と契約書で確かめます。

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