契約更新 2026.10.30
請求書払いとは?BtoB後払いの仕組みと手数料、ファクタリングとの違い
請求書払い(掛け払い)は、先に商品を渡し、請求書で後から代金を払ってもらう方法です。売り手は与信・回収・未払いの負担を負い、BtoB後払いサービスは手数料と引き換えにそれを引き受けます。仕組み・手数料・ファクタリングとの違いを説明します。
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フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.17

この記事は、取引先から「請求書払い(掛け払い)にしてほしい」と言われた方や、BtoBの通販や卸売で後払いを導入するか迷っている経営者・個人事業主に向けて書いています。請求書払いを自社で回すのか、BtoB後払いサービスに任せるのか、すでにある請求書をファクタリングで早く現金にするのかは、目的が違えば答えも変わります。
この記事を7枚で
1 / 7結論:請求書払いは「売り手が代金を立て替える」支払い方法。任せるなら後払いサービス、早めるならファクタリング
請求書払いって、売る側にとっては何が大変なの?
入金までの間、売り手が代金を立て替えることになります。与信・請求と入金確認の事務・未払いの損の3つです。任せるなら後払いサービス、入金を早めるならファクタリングと考えると区別しやすくなります。
請求書払いとは、商品やサービスを先に渡し、後から届く請求書を見て買い手が代金を振り込む支払い方法です。会社どうしの取引では「掛け払い」「掛け売り」とも呼ばれ、月末締め翌月末払いのように、1か月分をまとめて払う形が一般的です。
売り手から見ると、入金されるまでの間、代金を立て替えていることになります。そのため、請求書払いには3つの負担がつきます。相手が払えるかを見る与信、請求と入金確認の事務、払われないときの損です。
BtoB後払い(掛け払い決済)サービスは、この3つをまとめて引き受けるサービスです。売り手は請求額に応じた手数料を払い、代わりに与信・請求・回収と、未払いのときの保証を任せます。
一方のファクタリングは、すでにある売掛金(請求書)を売って、入金日より前に現金にする方法です。後払いサービスは「取引の前から回収を任せるしくみ」、ファクタリングは「取引の後で入金を早める方法」と考えると区別しやすくなります。
この記事で扱うことは次のとおりです。
請求書払い(掛け払い)とは:ほかの支払い方法との違い
前払いやカード払いと比べて、何が違うの?
請求書払いは、買い手にとっていちばん楽で、売り手にとっていちばん負担が重い方法です。月末締め翌月末払いなら、納品から入金まで短い分で約1か月、月初に納品した分は約2か月かかります。
請求書払いは、法律で決まった言葉ではありません。「請求書払い」「掛け払い」「請求書後払い」「掛け売り」は、どれも「先に渡して、請求書で後から払ってもらう」取引を指す呼び方です。買い手の側からは掛け払い、売り手の側からは掛け売りと呼ぶことが多いだけで、中身は同じです。
締め日と支払日でまとめて払う
会社どうしの取引では、納品のたびに払うのではなく、締め日までの分をまとめて請求します。たとえば「月末締め翌月末払い」なら、10月中の納品分を10月末に締め、11月末までに払ってもらいます。
納品から入金までは、短い分で約1か月、月初に納品した分は約2か月かかります。日数の数え方や業界ごとの長さは支払いサイトとは(計算方法と業界別の日数)で説明しています。
ほかの支払い方法との違い
代金の受け取り方は、いつお金が入るか、誰が払われない危険を負うかで分けられます。
| 支払い方法 | 売り手に入金される時期 | 払われない危険を負う人 | 向いている取引 |
|---|---|---|---|
| 前払い(先払い) | 渡す前 | 買い手(物が届かない危険) | 初めての相手・受注生産 |
| 代金引換 | 渡すとき(運送会社から後日) | ほぼなし | 1回きりの少額の取引 |
| クレジットカード | カード会社の締めと支払日による | カード会社 | 少額で、買い手がカードを使える取引 |
| 請求書払い(自社で掛け売り) | 締め日の後の支払日 | 売り手 | くり返し取引する法人 |
| 請求書払い(後払いサービス経由) | サービスが決めた入金日 | 後払いサービス(保証の範囲内) | 新しい法人の取引先が多い売り手 |
表からわかるのは、請求書払いは買い手にとっていちばん楽で、売り手にとっていちばん負担が重い方法だということです。会社の経理では、仕入のたびに振込やカードの手続きをするより、月に1回まとめて払う方が手間がかかりません。法人の買い手が請求書払いを求めるのは、このためです。
売り手が負う3つの負担
- 与信:初めての取引先が払える会社かを、取引の前に確かめます。いくらまで掛けで売るか(与信枠)も決めます。
- 請求と入金確認の事務:請求書の作成・送付、入金の確認(消込)、遅れたときの連絡が、取引先の数だけ毎月発生します。
- 払われない損:取引先が倒産したり払わなかったりすると、売上はあっても代金が入りません。貸し倒れと呼びます。
取引先が少なく、長く付き合っている相手ばかりなら、この負担は小さく済みます。新しい取引先が毎月増える事業や、1件の金額が小さく件数が多い事業では、負担が重くなります。BtoB後払いサービスは、この層に向けたサービスです。
BtoB後払いサービスの仕組み:代行会社が引き受けること
後払いサービスって、何をしてくれるの?
決済代行会社が、与信審査・請求書の送付・入金の確認と督促・未払いの保証を引き受けます。ただ、ふつうの後払いサービスは、入金を早めるためのものではありません。
BtoB後払いサービス(掛け払い決済、請求書払い決済とも呼ばれます)は、売り手と買い手の間に決済代行会社が入り、請求書払いの手間と危険を引き受けるサービスです。売り手は商品を渡すだけで、請求と回収は代行会社が行います。
BtoB後払い(取引の前から任せる)
ファクタリング・2社間(取引の後で早める)
図のとおり、後払いサービスでは買い手が代行会社に払います。ファクタリングの2社間では、買い手はいつもどおりあなたの会社に払い、あなたの会社がそのお金をファクタリング会社に渡します。
代行会社が引き受ける4つのこと
- 与信審査:注文が入るたび、または取引先の登録のときに、代行会社が買い手を審査し、使える金額の上限(与信枠)を決めます。
- 請求書の発行・送付:代行会社が、まとめた請求書を買い手に送ります。郵送かメールかを選べるサービスが多くあります。
- 入金の確認と督促:買い手からの入金を代行会社が確かめ、遅れたときの連絡も代行会社が行います。
- 未払いの保証:審査に通った取引は、買い手が払わなくても代行会社が売り手に払います。ただし、保証には条件があります(注意点で説明します)。
売り手への入金日はサービスが決める
売り手への入金は、代行会社が決めた日にまとめて行われます。買い手の支払日と同じころに入金する形のほか、別料金で入金を早める選択肢を用意するサービスもあります。
大事なのは、ふつうの後払いサービスは入金を早めるためのものではないという点です。買い手が翌月末に払う取引なら、売り手への入金もそのころです。立て替える期間は自社で掛け売りするときと大きく変わらず、変わるのは「確実に入る」ことと「事務が減る」ことです。
請求書の発行サービスとの違い
似た名前のものに、請求書の作成・送付・入金の消込だけを手伝うサービス(請求書の発行サービス、請求代行)があります。こちらは事務を減らすためのもので、買い手の審査や未払いの保証はつかないのがふつうです。料金は月額や1通ごとの定額が多く、取引額に料率をかける後払いサービスより安く済むことがあります。
取引先が決まっていて貸し倒れの心配が小さいなら、事務だけを外に出す発行サービスで足ります。新しい取引先が多く、払われない損を減らしたいなら、保証のつく後払いサービスを選びます。
契約の形は2つある
代行会社が代金を受け取る根拠は、サービスによって違います。売り手の売掛金を代行会社に譲る形(債権譲渡)と、代行会社が代金を立て替えて払い、買い手から立替金を受け取る形(立替払い)です。
どちらの形でも、売り手から見た使い勝手はほぼ同じです。ただ、債権を譲る形では、買い手との契約に譲渡を禁じる特約がないか、同じ売掛金をほかの資金調達に使っていないかを確かめておきます。特約があっても譲渡そのものは有効ですが、買い手との関係に響くことがあるためです。※1
この章の根拠(1件)
- 民法466条2項・3項
手数料と費用:誰が、何に払うか
後払いサービスの手数料は、誰が払うの?
原則として売り手です。買い手は請求額どおりに払うだけです。手数料は早く受け取る費用ではなく、与信・事務・保証を外に出す費用なので、自社で同じことをしたときの費用と比べます。
BtoB後払いサービスの手数料は、原則として売り手が払います。買い手は請求額どおりに払うだけで、後払いにしたことで余分な費用はかからないのが一般的です。売り手は、回収の事務と未払いの危険を手放す代わりに、手数料を払う形になります。
費用の内訳
料金の組み方はサービスごとに違いますが、次の組み合わせでできていることが多くあります。見積もりを取るときは、この4つを全部書いてもらいます。
| 費用 | どう決まるか | 確かめること |
|---|---|---|
| 決済手数料 | 請求額(取引額)×料率 | 料率は取引額や件数で変わるか。最低額があるか |
| 請求書の発行・送付の費用 | 請求書1通ごと | 郵送とメールで金額が違うか |
| 月額の基本料・初期費用 | 毎月・導入時の定額 | 取引がない月にもかかるか |
| 入金を早める費用(オプション) | 早める日数や金額による | 年率に直すといくらか |
表の4つのうち、比べるときにいちばん効くのは決済手数料の料率です。月商が大きいほど、料率の0.5%の差が年に数十万円の差になります。
手数料の考え方:何に払っているのか
後払いサービスの手数料は、早く受け取るための費用ではなく、与信・事務・保証を外に出す費用です。ですから、ファクタリングの手数料や融資の金利のように年率に直して比べるのは合いません。
比べる相手は、自社で同じことをしたときの費用です。具体的には、請求と回収にかかる人の時間と、毎年出る貸し倒れの損です。これを売上で割った率と、後払いサービスの料率を並べます(計算例は数字で確かめるの章)。
ただし、入金を早めるオプションは別です。こちらは早く受け取るための費用なので、ファクタリングと同じように年率に直して比べます。直し方はファクタリング手数料の計算と実質年率と同じです。
手数料の消費税と会計の扱い
後払いサービスの手数料は、会計では支払手数料として処理するのが一般的です。消費税の扱いは、手数料が回収の代行の対価なのか、債権の譲渡にかかるものなのかで変わることがあります。サービスの明細の書き方を見て、顧問の税理士に確かめます。
インボイスはだれの名前で出すか
請求書を代行会社が送る場合でも、商品を売ったのは売り手です。インボイス(適格請求書)としては、売り手の名称と登録番号が書かれている必要があります。代行会社が売り手に代わって、売り手の名称と登録番号を書いたインボイスを渡す方法(代理交付)は、国税庁のQ&Aで認められています。
導入の前に、代行会社の請求書に自社の登録番号が載るか、買い手が仕入税額控除に使える形になっているかを確かめておきます。買い手から「インボイスの形になっていない」と言われると、取引先の経理に手間をかけることになります。
ファクタリング・一括決済方式との違い
後払いサービスとファクタリングは、どう違うの?
後払いは注文の段階から通すしくみで、通した取引すべてに手数料がかかります。ファクタリングは出した請求書を選んで売り、支払日より前に現金にします。使わない月は費用がかかりません。
「請求書」「後払い」「先に入金」という言葉が重なるので、BtoB後払いとファクタリングは混同されやすいサービスです。いちばん大きな違いは、いつ・何のために使うかです。
BtoB後払い回収を任せる
- 使うとき
- 取引の前(注文を受けるとき)
- 目的
- 与信・請求・回収の手間と、未払いの損を減らす
- 審査されるもの
- 買い手が払えるか(取引ごと)
- 入金の早さ
- ふつうは買い手の支払日のころ
- 費用
- 通した取引額×料率を毎回
- 買い手が知るか
- 知る(代行会社から請求が届く)
ファクタリング入金を早める
- 使うとき
- 取引の後(請求書を出した後)
- 目的
- 支払日より前に現金を用意する
- 審査されるもの
- 売掛先の信用と、請求書の中身
- 入金の早さ
- 申し込みから数時間〜数日
- 費用
- 使ったときだけ、売る額×手数料率
- 買い手が知るか
- 2社間なら知らせずに進められる
違いは「事前の仕組み」か「事後の資金化」か
後払いサービスは、注文を受ける段階から代行会社を通すしくみです。導入すると、そのサービスを通したすべての取引に手数料がかかります。その代わり、取引先が増えても請求の事務は増えず、未払いの心配もほぼなくなります。
ファクタリングは、すでに出した請求書のうち、早く現金にしたいものだけを選んで売ります。使わない月には費用がかかりません。一方で、売る額に対する手数料は、入金を数十日早めるだけの費用としては高めです。仕組みの全体像はファクタリングとはで説明しています。
後払いサービスでは「入金を早める」ことはふつうできない
資金繰りが苦しくて検索した方が気をつけたいのは、後払いサービスを入れても、すぐには手元のお金が増えないことです。今月足りないお金を用意したいなら、すでにある請求書を使うファクタリングか、融資の方が合います。請求書を早く現金にする方法の比べ方は請求書の買取(現金化)とはにまとめています。
一括決済方式(買い手が用意するしくみ)との違い
似たものに、買い手(発注する側)が金融機関と組んで用意する「一括決済方式」があります。売り手は、買い手の支払期日を待たずに、金融機関から代金を受け取れるしくみです。後払いサービスは売り手が選んで入れるもの、一括決済方式は買い手が用意するもの、という違いがあります。
取適法の対象になる取引では、一括決済方式や電子記録債権で払うときに、受け取る側に受取手数料を負担させると支払遅延にあたる、と公正取引委員会の運用基準は説明しています。支払期日に満額の現金を受け取れない払い方も同じです。※1電子記録債権(でんさい)で受け取っている場合の扱いはでんさいとはで説明しています。
この章の根拠(1件)
- 中小受託取引適正化法の運用基準 第4の2
数字で確かめる:月商300万円の会社で3つの方法の費用を比べる
うちの規模だと、任せたほうが安くなるの?
月商300万円・月60件の例では、自社で回す事務と貸し倒れの費用は月6.5万円、売上の約2.2%でした。料率がこれより低ければ、費用だけで見ても任せる方が得になります。料率は計算のための仮の値です。
ここでは、次の会社を例に、請求書払いを自社で回す場合と、後払いサービスに任せる場合、ファクタリングで早める場合の費用を比べます。料率などは計算のために置いた値で、特定のサービスの料金ではありません。
- 業種:法人向けの卸売。月商300万円、取引先は約40社
- 請求は月60件、1件あたり平均5万円。支払条件は月末締め翌月末払い
- 請求書の作成・送付、入金の確認、遅れたときの連絡に、1件あたり20分かかる。人件費は時間あたり2,000円
- 年に1回ほど、30万円の貸し倒れが出る
自社で回す費用は月6.5万円(売上の約2.2%)
事務の時間は、60件×20分で月20時間です。人件費にすると月4万円で、売上の約1.3%にあたります。貸し倒れは年30万円なので、月にならすと2.5万円、売上の約0.8%です。
合わせると、自社で請求書払いを回す費用は月6.5万円、年78万円です。売上に対する率は約2.2%になります。この率が、後払いサービスの料率と比べるときの物差しです。
自社で回す(事務4万円+貸し倒れ2.5万円)自社より安い自社より高い
後払いサービスに全部任せると
料率が2%なら手数料は月6万円で、自社で回す6.5万円とほぼ同じです。3%なら月9万円で、自社より月2.5万円高くなります。4%なら月12万円、年144万円です。
この例では、料率が約2.2%を下回れば、費用だけで見ても任せる方が得になります。上回る場合でも、差額で「未払いの心配がない」「事務の担当者の時間が空く」ことを買うかどうか、という判断になります。
新しい取引先だけ任せると
全部を任せず、与信が不安な新しい取引先の分だけ後払いサービスを通す使い方もあります。月商のうち新規の取引先の分が60万円なら、料率3%で手数料は月1.8万円、年21.6万円です。
長く付き合っている取引先は自社で請求し、初めての取引先だけ保証つきにする形です。貸し倒れの多くが付き合いの浅い取引先で起きているなら、費用を抑えながら危険の大きい部分だけを外に出せます。
ファクタリングで一度だけ早める場合
同じ会社が、ある月だけ300万円の売掛金を入金日の30日前に現金にしたいとします。2社間ファクタリングの手数料を仮に5%とすると、手数料は15万円、手取りは285万円です。
手数料5%で30日早める費用を年率に直すと、5÷95÷30×365で約64%です。一度きりなら15万円で済みますが、毎月続けると年180万円になり、後払いサービスに全部任せる費用(料率3%で年108万円)よりも重くなります。
つまり、後払いサービスは「毎月の回収をならす」ため、ファクタリングは「たまに足りない月を埋める」ために使うと、費用の点で筋が通ります。手取りと年率は手取りと実質年率のシミュレーターで自社の数字に置き換えて計算できます。
図鑑のデータで見る:小さな請求書と個人事業主の取引先
1件5万円のような小さな請求書をファクタリングで現金にしようとすると、受け付けてもらえないことがあります。図鑑に載せている一般の請求書を扱う170サービス(2026年10月16日時点)を集計すると、最低の買取額を公表している92サービスのうち、5万円以下から受け付けるのは13、10万円以下からでも36でした。
また、売掛先(取引先)が個人事業主でも受け付けると明記しているのは170サービスのうち11でした。最短で当日中に入金すると公表しているのは144で、早さの点では多くのサービスが応えています。
この数字から言えるのは、1件が小さく、個人事業主の取引先が多い事業は、ファクタリングで早めにくいということです。そうした事業では、請求書払いの負担を減らす手段として、後払いサービスや支払条件の見直しを先に考えます。
向いている事業者と、使わない方がよい場合
後払いサービスは、どんな会社に向いているの?
新しい法人の取引先が多い通販や卸売、1件が小さく件数が多い事業、経理の担当者が少ない会社です。今月足りないお金は後払いでは用意できないので、融資やファクタリングを考えます。
後払いサービスが合うかどうかは、取引先の数と入れ替わり、1件の金額、資金繰りの余裕で決まります。次の問いを順にたどると、自社に合う方法の見当がつきます。
- 今月、支払いに足りないお金がありますか?はい → 後払いサービスでは間に合わない。融資・ファクタリング・支払条件の相談を先にいいえ → 次へ
- 新しい法人の取引先が毎月のように増えますか?はい → 与信を任せられる後払いサービスを検討いいえ → 次へ
- 請求が月に数十件以上あり、事務に人の時間を取られていますか?はい → 事務の費用と料率を比べて、後払いサービスか請求書の発行サービスを検討いいえ → 次へ
- 取引先が少なく、長い付き合いの相手ばかりですか?はい → 自社で請求書払いを続ける。足りない月だけファクタリングや融資で埋めるいいえ → 取引先ごとに与信枠を決めて自社で回し、不安な相手だけ前払いにする
向いている事業者
- 法人向けの通販(BtoB EC)や卸売:注文がネットで入り、初めての取引先が多い事業です。注文画面で支払い方法を選べるようにすると、請求書払いを求める法人の注文を逃さずに済みます。
- 1件の金額が小さく、件数が多い事業:消耗品、食材、資材の定期の納品など。1件ごとの与信や督促を自社で行うと、手間が売上に見合いません。
- 経理の担当者が少ない会社:社長や1人の担当者が請求と入金確認をしている会社では、月末から月初の事務の山が小さくなります。
自社で回すなら:与信枠を決めておく
後払いサービスを使わずに自社で請求書払いを続けるなら、取引先ごとに「いくらまで掛けで売るか」を決めておきます。初めての相手は、最初の数回を前払いにする、枠を小さく始めて支払いの実績を見ながら広げる、といった形で危険を抑えられます。与信枠を支払条件から計算する方法は売掛金とは(管理と回収の手順)で説明しています。
使わない方がよい場合と、ほかの方法
- 今すぐお金が要る:後払いサービスを入れても、すでにある売掛金の入金は早まりません。足りないお金を埋める順番は、まず金融機関への相談、次に支払先との条件の相談、急ぎで手段がないときにファクタリング、と考えます。2社間・3社間の違いは2社間と3社間の違いで比べられます。
- 粗利が薄い:粗利率が10%の商品で料率3%を払うと、利益の3割が手数料に消えます。値上げや送料の見直しとあわせて考えます。
- 1件の金額が大きく、取引先が少ない:数百万円の取引を数社と続けている場合、与信枠の上限に届いて保証の対象外になることがあります。この場合は、取引先ごとに支払条件を交渉する方が効きます。
- 入金を早くしたいだけ:支払いサイトそのものを短くしてもらう交渉や、早く払ってもらう代わりに少し値引きする方法(早期支払い)の方が、費用は小さく済むことがあります。
導入の手順と、買い手から見た請求書払い
入れるとき、取引先には何を伝えればいい?
請求書の差出人と振込先が変わることを、事前に書面やメールで伝えます。導入の前に、今の費用を数え、2〜3社の見積もりを取り、今の資金調達の契約とぶつからないかも確かめます。
後払いサービスを入れるときは、料率だけでなく、今の取引先にどう知らせるか、今の資金調達とぶつからないかまで決めてから始めます。
導入の手順
- 今の費用を数える:月の請求件数、1件の作業時間、過去3年の貸し倒れの額を出し、売上に対する率にします。前の章の計算と同じ形です。
- どの取引を通すか決める:全部か、新規の取引先だけか、ネットの注文だけかを決めます。料率と、手数料が増える額がこれで決まります。
- 2〜3社の見積もりを取る:決済手数料・請求書の費用・月額・入金日・保証の条件・与信枠の上限を同じ表に並べます。
- 今の契約とぶつからないか確かめる:売掛金を担保にした借入や、ファクタリングの継続契約がある場合は、同じ売掛金を二重に使わないように契約書を読みます。
- 取引先に知らせる:請求書の差出人と振込先が変わることを、事前に書面やメールで伝えます。インボイスの登録番号の載り方もあわせて伝えます。
- 最初の数か月は消込を見比べる:代行会社からの入金明細と自社の売上を照らし合わせ、手数料が見積もりどおりかを確かめます。
買い手から見た請求書払い
買い手(仕入れる側)にとって、請求書払いは支払いを月に1回にまとめられ、支払日まで手元にお金を残せる方法です。後払いサービスを通す場合も、買い手が手数料を払うことはふつうありません。
ただし、買い手も代行会社の審査を受けます。設立したばかりの会社や、取引の金額が大きい場合は、与信枠が小さく出たり、請求書払いを選べなかったりすることがあります。その場合は、前払いやカード払いを求められます。
個人事業主が事業のために請求書払いで仕入れる場合、その取引は事業のための取引なので、消費者向けのクレジットの決まり(割賦販売法)の対象外です。※1支払いが遅れると、代行会社から督促が届き、次からその支払い方法を使えなくなることがあります。
買い手の立場で支払いが苦しいときは、請求書払いの支払日を延ばしてもらうより先に、資金繰り表で不足の時期と額を出し、取引先や金融機関に早めに相談します。
この章の根拠(1件)
- 割賦販売法35条の3の60第1項1号
よくある失敗と注意点
やってしまいがちな失敗って何?
保証がつくのは、審査に通り与信枠に収まった取引だけです。審査前に出荷した分は保証されないことがあります。後払いに通した売掛金をファクタリングに売ると、二重譲渡になります。
失敗1:保証がつく範囲を確かめていない
未払いの保証は、代行会社の審査に通り、与信枠の中に収まった取引だけにつくのが一般的です。審査の結果を待たずに出荷した分や、枠を超えた分は保証されないことがあります。「審査が通る前に出荷しない」ことを、受注の手順に組み込みます。
返品や値引き、納品の不具合で買い手が払わない場合も、保証の対象外になることがあります。商品の問題による未払いは、売り手と買い手の間で解決する前提だからです。
失敗2:同じ売掛金をファクタリングにも使う
債権を譲る形の後払いサービスでは、売掛金はすでに代行会社のものです。同じ請求書をファクタリング会社に売ると二重譲渡になり、契約違反や詐欺を疑われるおそれがあります。ほかの資金調達を併用するときの段取りはファクタリングの乗り換え・併用で説明しています。
失敗3:料率だけで比べて、ほかの費用を見落とす
料率が低くても、請求書1通ごとの費用や月額の基本料が高いと、件数の多い事業では総額が逆転します。比べるときは、自社の1か月の件数と金額を入れて、月の総額で比べます。
失敗4:取引先への案内が遅れる
請求書の差出人や振込先が急に変わると、取引先の経理が戸惑い、支払いが遅れることがあります。詐欺の請求書と疑われることもあります。切り替えの1か月前には、案内の書面を送ります。
失敗5:手数料を取引先に黙って上乗せする
後払いの手数料は売り手が払う前提のサービスがほとんどです。取引先に断りなく代金に上乗せしたり、請求額から差し引く形にしたりすると、取引先の信頼を損ねます。価格に織り込むなら、見積もりや取引条件を改める時に、理由とあわせて話します。
反対に、自社が受注する側で、発注元の用意した支払い方法の手数料をこちらが負担させられている場合は、取適法の対象になる取引なら公正取引委員会の窓口に相談できます。振込手数料を代金から差し引くことも、代金の減額にあたるとされています。※1
失敗6:資金繰りの改善を期待しすぎる
後払いサービスで変わるのは、回収の確かさと事務の量です。入金のタイミングは大きく変わらないので、売上が伸びて立て替えるお金が増えるときは、別に運転資金を用意します。入金日と支払日の差がどれだけの立て替えになるかは、支払いサイトの計算例で確かめられます。
会社ごとの入金の早さや最低額を比べたいときは、ファクタリング会社の一覧(図鑑)で条件を絞り込めます。
この章の根拠(1件)
- 中小受託取引適正化法の運用基準 第4の3
出典(4件)公的機関の資料・法令。2026.10.30に確認
- 割賦販売法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 民法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準(公正取引委員会)www.jftc.go.jp
- 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A「適格請求書の交付方法(媒介者交付特例)」(国税庁)www.nta.go.jp
FAQ
よくある質問
請求書払いと掛け払いは同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味です。どちらも商品やサービスを先に渡し、届いた請求書を見て買い手が後から代金を払う取引を指します。買い手の側から掛け払い、売り手の側から掛け売りと呼ぶことが多いだけです。会社どうしの取引では、月末締め翌月末払いのように1か月分をまとめて払う形が一般的です。
BtoB後払いの手数料は誰が払いますか?
原則として売り手が払います。買い手は請求額どおりに払うだけで、後払いにしたことで余分な費用はかからないのが一般的です。売り手は、与信審査・請求書の発行・入金の確認と督促・未払いの保証を代行会社に任せる代わりに、取引額に料率をかけた決済手数料などを払います。
BtoB後払いとファクタリングの違いは何ですか?
BtoB後払いは注文を受ける前から代行会社を通し、与信・請求・回収と未払いの保証を任せるしくみです。ファクタリングは、すでに出した請求書(売掛金)を売って、支払日より前に現金にする方法です。後払いは毎月の回収をならすため、ファクタリングは足りない月を埋めるために使うと、費用の点で筋が通ります。
BtoB後払いを導入すると入金は早くなりますか?
ふつうは早くなりません。売り手への入金は代行会社が決めた日に行われ、買い手の支払日のころになる形が多くあります。変わるのは、入金が確実になることと事務が減ることです。別料金で入金を早める選択肢があるサービスもありますが、その費用は年率に直して融資やファクタリングと比べます。
BtoB後払いの手数料は高いですか?
自社で請求書払いを回す費用と比べて判断します。記事の例(月商300万円・月60件)では、事務の時間が月4万円、貸し倒れが月2.5万円で、合わせて売上の約2.2%でした。料率がこれを下回れば費用だけで見ても任せる方が得で、上回るなら差額で未払いの心配と事務の時間を手放すかを考えます。
個人事業主でも請求書払いで仕入れられますか?
代行会社の審査に通れば、個人事業主でも使えるサービスがあります。事業のための仕入なので、消費者向けのクレジットの決まり(割賦販売法)の対象外です。審査の結果、与信枠が小さく出たり、請求書払いを選べなかったりする場合は、前払いやカード払いを求められます。支払いが遅れると次から使えなくなることがあります。
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