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審査更新 2026.10.16

ファクタリングの審査で見られること。売掛先・請求書・取引の実績

結論

ファクタリングの審査でいちばん重く見られるのは、売掛先が期日に払える相手かどうかと、請求書・通帳・契約書の中身が同じ取引を指しているかどうかです。売掛先の規模や官公庁かどうか、取引が続いているか、期日まで何日あるかで、通りやすさも手数料も変わります。申し込む前に、入金の記録に印をつけ、名義や金額の差を説明できるようにしておくと、審査は早く進みます。

  • 22分読み終わるまで
  • 10章見出し
  • 8件公的な出典

フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.15

ファクタリングの審査で見られること。売掛先・請求書・取引の実績
01

先に結論:審査の主役は、請求書の向こうにいる売掛先

ファクタリングは、売掛金(まだ入金されていない売上代金)をファクタリング会社に売って、期日より前に現金にする取引です。金融庁は、法的には債権の売買(債権譲渡)の契約だと説明しています。買い取った代金は、最後は売掛先から払われます。そのため審査で最初に見られるのは、申し込んだ会社の決算よりも「この請求書の代金を、売掛先が期日に払うか」です。

見られる点は、大きく次の4つにまとまります。

見られる点 確かめたいこと 主に使う書類
売掛先そのもの 実在する相手か。規模・業種・官公庁かどうか。個人あてではないか 請求書の宛名、公的な法人情報、売掛先との契約書
取引の続き方 初めての取引か、何度も続いているか。売上の何割をその1社が占めるか 過去の請求書、通帳の入金記録
支払いサイト 締め日から入金日まで何日か。期日まで何日残っているか 契約書・注文書の支払条件、請求書の期日
書類どうしの一致 請求書の金額・期日と、通帳に入ってきた額・日付が合うか 請求書、通帳、契約書・発注書・納品書

このページは、申し込む前に「自分の請求書で通りそうか」「何を聞かれるか」を知りたい人に向けて、売掛先と請求書の側から審査を説明します。順番は、売掛先の見られ方、取引の続き方と支払いサイト、書類の突き合わせ、電話や面談の質問、審査の時間、掛目(買取率)の決まり方、準備のチェックリスト、よくある失敗例です。数字は、ファクタリング図鑑が2026年10月15日時点で86社の公式サイトを読んで整理したデータから出しています。

すでに審査に落ちた人、赤字や税金の滞納など自社の事情が気になる人は、審査に落ちる理由と次にやることを先に読んでください。受付条件を会社ごとに集計した表もそちらにあります。

02

売掛先のどこを見られるか:業種・規模・官公庁・個人あて

ファクタリング会社は、売掛先に直接お金を貸すわけではありません。それでも、期日に代金が入らなければ損をするのはファクタリング会社です。そのため売掛先は、融資でいう「借り手」に近い目で見られます。

実在と正式な名前

最初の確認は、請求書の宛名の会社が本当にあるかどうかです。法人であれば、国税庁の法人番号公表サイトで、商号、本店の所在地、法人番号の3つをインターネットで検索できます。公表後の商号や所在地の変更履歴も、検索の条件に含められます。申し込む前に、自分でも売掛先を検索しておくと、請求書の宛名が登記上の商号と同じか、住所が古くないかを確かめられます。

ファクタリング会社は、これに加えて自社の記録や信用調査の情報を使うことがあります。どの情報を使うかは会社によって違い、利用者に示されないのがふつうです。

規模と業種

規模の大きい会社や業歴の長い会社は、期日までに支払えなくなる心配が小さいと見られやすいです。反対に、設立間もない会社や、業績の情報がほとんどない会社は、確認が増えます。業種については、景気や季節で売上が大きく動く業種、下請けが何層にも重なる業種では、売掛先のさらに先の入金に左右されることがあるため、取引の中身を細かく聞かれやすくなります。

官公庁・地方公共団体が売掛先のとき

国や地方公共団体が売掛先の場合は、支払いの時期が法律で決まっています。国は、検査が終わった後に適法な支払請求を受けた日から、工事代金なら40日以内、そのほかの給付の代金なら30日以内の日を支払時期としなければなりません。※1この決まりは地方公共団体の契約にも準用されます。※2支払いが期日より遅れたときの遅延利息の決まりもあります。※3

このため官公庁の売掛金は、払われないおそれの点では評価されやすい部類です。一方で、検査が終わらないと支払請求の段階に進めないこと、契約書や約款に代金債権の譲渡について発注者の承諾を求める条項が置かれていることがあることには注意がいります。図鑑のデータで、売掛先として「官公庁」を公式サイトに明記していたのは2サービスで、どちらも同じ会社が審査と契約を担う仕組みでした。書いていない会社が官公庁の売掛金を扱わないという意味ではないので、申し込む前に問い合わせて確かめましょう。

病院や介護事業所の診療報酬・介護報酬も、公的な支払機関から払われる売掛金です。支払日や売れる額の考え方は診療報酬のファクタリングで扱っています。

売掛先が個人のとき

請求書の宛名が一般の消費者や個人の事業者の場合は、支払い能力を外から確かめる手段が限られます。図鑑のデータでは、売掛先が個人でも受け付けると公式サイトに書いていたのは86社中5社でした。5社のうち2社はフリーランス向けのサービスです。なお、「申込者が個人事業主でもよい」と「売掛先が個人でもよい」は別の話です。前者を受け付ける会社は多いので、見出しの言葉だけで判断しないでください。

1社あたりの上限

同じ売掛先の請求書をまとめて売ろうとすると、金額の上限にかかることがあります。図鑑のデータでは、買取額の上限を「売掛先1社あたり」と書いていた会社が5社ありました。売掛先1社への偏りは、ファクタリング会社にとっても危険が集中する点です。大きな額が必要なときは、複数の売掛先の請求書に分けられないかも考えておきましょう。

この章の根拠(3件)
  1. 政府契約の支払遅延防止等に関する法律6条1項
  2. 政府契約の支払遅延防止等に関する法律14条
  3. 政府契約の支払遅延防止等に関する法律8条
03

取引の継続性と支払いサイト

取引の続き方は、3つの型で見られる

型 例 見られ方 用意したいもの
継続取引 毎月の保守料、毎月締めの納品 通帳に同じ売掛先からの入金が並ぶので、もっとも判断しやすい 過去3か月以上の請求書と、対応する入金の記録
案件ごとの取引 年に数回の工事、制作の受託 過去の案件の入金が確かめられれば、継続取引に近い扱いになりやすい 過去の案件の請求書・入金と、今回の発注書・検収書
初めての取引 新しい元請けからの最初の受注 支払いの癖がわからず、取引の実在も書類だけで判断する 契約書、発注のメール、納品・検収の記録、売掛先の担当者の連絡先

初めての取引の請求書が売れないわけではありません。ただ、通帳という「過去の答え合わせ」がない分、契約書や検収の記録を厚めに用意しておくほうが話が早く進みます。継続取引の請求書と、初めての取引の請求書の両方を持っているなら、継続取引の方から申し込むのが基本です。

売上の集中

売上の大半が1社からという事業者は珍しくありません。それだけで断られることはありませんが、その1社との関係が変わると事業そのものが揺らぐため、契約の期間や更新の見込みを聞かれることがあります。売上の上位3社とその割合を、ざっくりで構わないので数字で答えられるようにしておきましょう。

支払いサイトの数え方

支払いサイトは、取引を締めてから代金が入るまでの期間です。「月末締め翌月末払い」なら約30日、「月末締め翌々月10日払い」なら約40日です。審査で効いてくるのは、サイトの長さそのものより、申込日から支払期日まで何日残っているかです。期日が遠いほど、その間に売掛先の状況が変わるおそれが増え、手数料の見積もりにも響きます。

逆に、期日が近すぎても扱えないことがあります。図鑑のデータでは、売掛先の入金日まで6営業日以上ある確定した債権を条件にしているサービスがありました。手続きの時間が足りないためです。期日の数日前に慌てて申し込むより、請求書を出した時点で動くほうが選べる会社が多くなります。

サイトがそもそも長すぎる取引では、ファクタリングの前に、売掛先と支払条件を話し合う余地もあります。2026年1月から下請法は「中小受託取引適正化法(取適法)」に変わり、対象の取引には支払期日の決まりがあります。中身は売掛金を入金前に現金化する方法で説明しています。

確定しているかどうか

売れるのは、原則として金額と期日が決まった売掛金です。検収前の工事代金、返品や値引きの交渉中の代金、月末まで金額が決まらない従量の料金などは、金額が動くおそれがあるため確認が増えます。まだ請求書を出していない段階の資金化は注文書ファクタリングで扱っています。

04

請求書・通帳・契約書で突き合わされる箇所

審査の担当者は、請求書を1枚だけ見るのではなく、請求書・通帳・契約書(または発注書や納品書)を横に並べて、同じ取引のことが同じように書かれているかを確かめます。何を出すかの一覧はファクタリングの必要書類に任せ、ここでは「どこを比べられるか」を書きます。

比べる項目 請求書 通帳 契約書・発注書・納品書
相手の名前 宛名 振込人の名義(カナ) 契約の当事者・発注者
金額 請求額(税込・税抜) 実際に入った額 単価・数量・契約金額
日付 請求日・支払期日 入金日 支払条件(締め日と支払日)、納品日・検収日
中身 品目・作業の名前 — 発注の内容、作業の範囲
自社の情報 発行者名・口座・登録番号 口座の名義 受注者の名前・住所

例1:名義が合わない

請求書の宛名は「株式会社○○建設」なのに、通帳の振込人は「○○ホールディングス」や支払代行会社の名前、ということがあります。親会社がまとめて払っている、経理を外に任せている、といった理由があればそのまま説明できますが、説明がないと「本当にこの売掛先からの入金か」がわかりません。過去の入金の行に印をつけ、名義が違う理由を一言メモにして添えましょう。

例2:金額が合わない

請求額と入金額がぴったり同じとは限りません。よくある差は次の3つです。

  • 振込手数料が差し引かれている:請求額から数百円少なく入っている。取引の慣行として差し引かれているなら、毎回同じ額だけ少ないはずです。
  • 源泉徴収されている:個人の事業者が原稿料などを受け取る場合、支払う側が所得税と復興特別所得税を差し引きます。100万円以下の部分は10.21%です。※1たとえば原稿料30万円と消費税3万円を分けて書いた33万円の請求書なら、源泉徴収は30万円×10.21%=30,630円で、入金は299,370円です。請求書で報酬と消費税がはっきり分かれていれば、報酬の額だけを源泉徴収の対象にしてよいとされています。※1
  • 相殺されている:売掛先にも自社への請求(材料の支給代、協力会費など)があり、差し引いて払われている。

3つ目の相殺は、審査でとくに気にされる点です。売掛金を売ったあとでも、売掛先は、譲渡の通知や承諾の前から自社に対して持っていた理由をもとに、支払いを減らすことを主張できる場合があります。※2※3つまり、請求書の額面どおりに回収できないおそれがあるということです。相殺や値引きの取り決めがある取引なら、隠さず先に伝え、差し引かれる額の見込みを示したほうが、結果として話が早く進みます。

例3:日付が合わない

請求書の期日は「10月31日」なのに、過去の入金はいつも翌月10日前後、ということがあります。契約上の支払日と実際の支払日がずれている、あるいは請求書の期日の書き方が契約と違う、といった理由が考えられます。ファクタリング会社は実際の入金日をもとに回収の時期を見込むので、ずれがあるなら過去の実績の方を伝えましょう。

例4:中身が合わない

請求書の品目が「業務委託費 一式」だけで、契約書や発注書がない場合は、何の代金なのかを確かめる手段がありません。作業報告書、納品のメール、検収の連絡など、取引があったことを示す資料を探しておきましょう。

例5:自社の情報が合わない

請求書の振込先口座が、今回提出した通帳の口座と違う、発行者の住所が古い、といった食い違いも確認の対象です。インボイス(適格請求書)を出している事業者なら、請求書に登録番号が載っています。登録番号は、国税庁のインボイス公表サイトで検索できます。自社の登録番号と名前が請求書と一致しているかも、出す前に見ておきましょう。

通帳は何か月分見られるか

図鑑のデータで、通帳や入出金明細の期間を書いていた会社は25社でした。いちばん多いのは3か月で16社、次いで6か月以上が5社、4か月が3社、2か月が1社です。3か月分を基本に、売掛先からの入金が3か月に1回もない取引なら、過去の入金が入っている期間までさかのぼって用意すると、突き合わせができます。

なお、譲渡制限特約(売掛金の譲渡を禁止・制限する条項)がある契約や、同じ売掛金をほかで売ったり担保に入れたりしていないかの確認は、審査に落ちる理由でくわしく扱っています。

この章の根拠(3件)
  1. 国税庁タックスアンサーNo.2795
  2. 民法468条1項
  3. 民法469条1項
05

審査の電話や面談で聞かれる質問と、答え方の準備

書類を出したあと、担当者から電話やオンライン面談で質問されることがあります。図鑑のデータで面談の扱いを整理すると、次のとおりでした。

公式サイトの書き方 会社数
面談不要と明記 15社
オンライン面談や電話の聞き取りがある(「状況により」「必要に応じて」を含む) 14社
対面の面談や訪問がある(契約時だけのものを含む) 14社
オンライン・対面・郵送から選べる、など 35社
記載なし 8社

出典:ファクタリング図鑑の調査(2026年10月15日時点、86社)。各社の公式サイトの記載を分類。

「状況により電話で聞き取りをする」とはっきり書いていたのは4社で、反対に「面談・訪問・電話なし」と書いていたのは1社でした。面談不要と書く会社でも、書類だけで判断がつかなければ問い合わせが来ることがあると考えておきましょう。よく聞かれる質問と、その意図、準備しておくものは次のとおりです。

聞かれること 確かめたいこと 準備しておくもの
売掛先と取引を始めたのはいつか、きっかけは何か 取引の継続性と実在 取引開始の年月、最初の請求書
毎月の取引額はどのくらいか。今回の請求額はいつもより多いか 水増しや架空の請求ではないか 過去の請求額の一覧、今回の見積書・発注書
支払いが遅れたことはあるか 売掛先の支払いの癖 通帳の入金の行に、請求書の番号を書き込んだ写し
売上全体のうち、この売掛先は何割か 売上の集中 売上の上位3社と割合のメモ
相殺や値引き、返品の取り決めはあるか 額面どおりに回収できるか 契約書の該当条項、差し引かれた実績
売掛先の担当部署と、支払いの手続きの流れ 期日に払われる段取りがあるか 検収の締め日、支払いの承認の流れ
今回の資金で何を払うのか 一時的な不足か、恒常的な不足か 今月と来月の支払い予定
売掛先に知らせてもよいか 2社間で進めるか、3社間にできるか 売掛先との関係を踏まえた自社の希望

答え方のこつ

  • 数字は書類と同じものを言う:口で言う金額や日付が書類と違うと、それだけで確認が増えます。答える前に手元の請求書と通帳を開いておきましょう。
  • わからないことは、確かめて折り返す:その場で推測で答えるより、「確認して何時までに連絡します」と言う方が信頼されます。
  • 不利なことほど先に言う:入金の遅れが一度あった、相殺がある、売上が1社に偏っている、といった点は、聞かれる前に事情と一緒に伝えた方が、後から見つかるより印象は悪くなりません。
  • 売掛先への連絡を勝手に約束しない:3社間にするか、売掛先に確認の連絡が入るかは、事前に担当者とすり合わせてください。2社間と3社間の違いは2社間と3社間の違いで説明しています。

担当者の質問に答える中で、利用者の側から聞いておくとよいこともあります。手数料の内訳、売掛先に連絡が入るかどうか、債権譲渡登記をするかどうか、入金予定の時刻です。答えをはぐらかす会社や、書類の確認をほとんどせず「すぐ買い取る」とだけ言う会社には注意してください。見分け方は危ないファクタリング業者の見分け方にあります。

06

審査にかかる時間:図鑑のデータで見る

多くの会社は「審査の時間」ではなく「入金までの最短時間」を公式サイトに書いています。図鑑のデータで、その最短時間を分けると次のとおりでした。

公式サイトに書かれた入金までの最短 会社数
60分以内 17社
61分〜2時間 14社
2時間超〜当日中(「最短即日」を含む) 40社
翌日 4社
2日以上 7社
記載なし 4社

出典:ファクタリング図鑑の調査(2026年10月15日時点、86社)。「最短即日」とだけ書く36社は当日中として数えた。

2日以上かかる7社には、医療・介護の報酬を扱う会社や、売掛先の側にも審査の書類を求める会社が含まれます。最短の時間は、書類がすべてそろい、追加の質問がない場合のものです。初めての申込みで同じ時間が出るとは考えないでください。

「審査そのもの」の時間を書いていた会社

入金までではなく、審査そのものの時間を書いていた会社は6社でした。最短30分が3社、最短1営業日・最短2営業日・約1週間が各1社です。最短30分の3社は、どれも2社間を扱う会社です。約1週間の会社は介護報酬を対象にしたサービスでした。

初めてかどうかで変わる

初回と2回目以降で時間を分けて書く会社もあります。図鑑のデータでは、入金まで「最短2営業日(初回は最短5営業日)」と書く会社、「利用審査が済んでいる場合は最短2営業日」と書く会社がありました。初回は、会社や代表者の確認、売掛先の確認、契約書の取り交わしが一度に来るので、時間がかかりやすいのです。2回目以降は、同じ売掛先の請求書であれば確認が短くなることが多くなります。

審査が動く時間帯

申込みは24時間受け付けていても、審査は営業時間内だけ、という会社がほとんどです。図鑑のデータでも、「振込は24時間365日だが審査は24時間ではない」「Web申込は24時間受付、審査・振込は営業日」と、受付と審査を分けて書く会社がありました。夜や休日に申し込んだときは、翌営業日の朝に審査が始まると考えておきましょう。

時間が延びる主な理由

  • 書類のどれかが足りない、または読めない(通帳の写真が切れている、ページが抜けている)
  • 請求書・通帳・契約書の名義や金額が合わず、説明を求められる
  • 売掛先が初めての相手で、確認に時間がかかる
  • 3社間で、売掛先の承諾の手続きを待っている
  • 担当者からの電話に出られず、折り返しが遅れる

今日中の入金を狙う場合の当日の動き方と会社の選び方は今日中に入金してもらう方法にまとめています。

07

掛目(買取率)は審査でどう決まるか

掛目(かけめ)は、請求額のうち何割を買取の対象にするか、という割合です。「買取率」と呼ぶ会社もあります。手数料と掛目を分けて示す会社もあれば、手数料を引いた後の手取りの割合だけを示す会社もあり、言葉の使い方はそろっていません。見積もりを受け取ったら、言葉ではなく「請求額」「手数料の額」「手取りの額」「いつ、いくら受け取るか」の4つを数字で確かめてください。

図鑑のデータには、掛目や買取率を数字で公式サイトに書いていた会社の記録はありませんでした。手数料の率は公表していても、掛目は審査のあとに個別に決まるのがふつうだということです。手数料の公表の状況は手数料の相場で集計しています。

掛目や手数料に響く審査の結果

審査で見た点 有利に働きやすい 不利に働きやすい
売掛先 規模が大きい、官公庁、支払いの遅れがない 設立間もない、情報が少ない、個人あて
取引の続き方 毎月の入金が通帳で確かめられる 初めての取引、単発の大口
期日までの日数 短い 長い
金額のぶれ 請求額と過去の入金がほぼ同じ 相殺・値引き・返品の可能性がある
契約の形 3社間(売掛先から直接回収できる) 2社間(利用者を通して回収する)

計算例:同じ請求書でも、期日で年率が変わる

請求額100万円の売掛金を、手数料8%・入金から期日まで30日で売る場合、手数料は8万円、手取りは92万円です。実質年率は、手数料8%・30日なら8÷92÷30×365で約106%になります。同じ100万円を、手数料10%・入金から期日まで60日で売る場合は、10÷90÷60×365で約68%です。1回の率は2つ目の方が高いのに、年率にすると低くなります。逆に言えば、期日の近い請求書で率が低く見えても、年率では割高なことがあります。年率の考え方は手数料の計算方法と実質年率、自分の数字での試算は手数料と実質年率の計算で確かめられます。

請求書の一部だけを売る

必要な額が請求額より少ないなら、請求書の一部だけを売れないか相談する方法もあります。たとえば100万円の請求書のうち、必要な60万円に見合う分だけを売れば、手数料の額は小さくなり、残りは期日に自社で受け取れます。一部の買取に応じるかどうか、そのときの率がどうなるかは会社によって違うので、申し込む前に聞いてください。

08

審査を早く通すための準備のチェックリスト

申し込む前の30分でできる点検です。上から順に確かめてください。

売掛先

  1. 請求書の宛名が、法人番号公表サイトで検索した商号・所在地と同じか
  2. 売掛先が官公庁・地方公共団体なら、検査が終わり、支払請求まで済んでいるか
  3. 売掛先が個人あてでないか(個人あてなら、受け付ける会社かを先に確かめる)
  4. 同じ売掛先の請求書をまとめて売るなら、1社あたりの上限にかからないか

請求書

  1. 金額と支払期日が確定しているか(検収前・値引きの交渉中ではないか)
  2. 申込日から期日まで何日あるか。近すぎないか、遠すぎないか
  3. 品目が「一式」だけでなく、何の代金かがわかる書き方か
  4. 振込先口座・発行者の住所・登録番号が、今の自社の情報と同じか

通帳

  1. 売掛先からの過去の入金が入っている期間を、表紙と一緒に用意したか(3か月分が基本)
  2. 入金の行に印をつけ、どの請求書の代金かを書き込んだか
  3. 振込人の名義が売掛先と違う場合、その理由をメモにしたか
  4. 請求額と入金額の差(振込手数料・源泉徴収・相殺)を説明できるか

契約書・取引の証拠

  1. 契約書・発注書・注文書のどれかがあるか。なければ発注のメールや納品・検収の記録があるか
  2. 契約書に、代金債権の譲渡を禁止・制限する条項や、相殺の条項がないか読んだか

説明の準備

  1. 取引を始めた時期、毎月の取引額、売上に占める割合を数字で言えるか
  2. 今回の資金で何を払うのか、来月の入金と支払いの見通しを言えるか
  3. 担当者からの電話に出られる時間を空けてあるか
09

よくある失敗例

1. 宛名が屋号や旧社名のままだった

売掛先が社名を変えたのに、古い名前で請求書を出し続けていた例です。取引は本物でも、宛名と登記上の商号が違うと確認が止まります。法人番号公表サイトの変更履歴で、いつ名前が変わったかを確かめ、契約書や通帳の名義と合わせて説明できるようにしておきましょう。

2. 通帳の入金がどれかわからなかった

毎月たくさんの入金がある口座で、どれが売掛先からの代金かを示さずに通帳を出した例です。担当者が探すことになり、名義がカナの略称だと見つけられません。入金の行に印をつけて請求書の番号を書くだけで、確認の手間は大きく減ります。

3. 差し引かれる額を伝えていなかった

売掛先が毎月、協力会費や材料代を差し引いて払っていたのに、請求額のまま申し込んだ例です。後で通帳から差額が見つかると、ほかにも伝えていない事情があるのではと見られます。相殺や控除は、最初に額と理由を伝えてください。

4. 締め日と期日を取り違えた

「月末締め」の月末を支払期日だと思い込み、実際の期日は翌々月だった例です。期日までの日数が思ったより長くなり、手数料の見積もりが変わったり、扱える会社が変わったりします。契約書の支払条件と、過去の実際の入金日を確かめてから申し込みましょう。

5. 初めての取引の大口の請求書だけで申し込んだ

新しい取引先からの最初の大きな請求書だけを持って申し込み、取引の実在を示す書類が請求書しかなかった例です。継続取引の請求書を組み合わせる、契約書や発注のメールを添える、必要な額を小さくする、といった工夫で、確認が進むことがあります。

6. 検収前の請求書を出した

工事や制作で、作業が終わる前、または売掛先の検収が済む前に請求書を出していた例です。金額が確定していない売掛金は扱えない、または確認が増えます。検収の連絡を受けてから申し込むか、注文書の段階で資金化する方法を検討してください。

7. 同じ請求書を何社にも同時に出した

早く決めたい一心で、同じ請求書の写しを何社にも送った例です。審査の途中で同じ請求書が別の会社にも出ているとわかると、二重に売るつもりではないかと疑われます。比べたいときは、条件を確かめて2〜3社に絞り、ほかにも見積もりを取っていることを最初に伝えましょう。

8. 書類の見た目を整えようとして手を加えた

請求書の日付を書き換えたり、通帳の写しの一部を消したりした例です。軽い気持ちでも、他人が作った書類を変えたり、事実と違う書類で代金を受け取ったりすれば、罪に問われるおそれがあります。※1※2※3都合の悪い記録は、手を加えずに事情を説明してください。

この章の根拠(3件)
  1. 刑法159条
  2. 刑法161条
  3. 刑法246条
10

使わない方がよい場合と、ほかの方法

審査に通りそうな請求書があっても、次のような場合は、ファクタリングを使う前にほかの方法を比べてください。

  • 毎月の赤字を埋めるために、次の月も、その次の月も売ることになりそう
  • 手数料を払ったあとの手取りで、目の前の支払いに足りない
  • 融資の入金が支払い日に間に合う
  • 契約書に、売掛金の買戻しや、売掛先が払わないときに利用者が払う条件がある

最後の点について、金融庁は、利用者が売掛金を買い戻すことになっている取引や、売掛先が払えないときに利用者が自分のお金で払う取引は、貸金業に当たるおそれがあると注意を呼びかけています。審査らしい確認をほとんどしないまま、こうした条件の契約を急がせる業者には近づかないでください。

ファクタリング以外には、売掛先に支払いを早めてもらえないかの相談、仕入先や外注先への支払いの延期の相談、銀行や日本政策金融公庫の融資、税金や社会保険料の猶予などがあります。どれから手をつけるかの順番は支払いに間に合わないときの対処の順番、融資との違いはファクタリングと融資の違いで説明しています。自分に合う方法は資金調達診断でも確かめられます。

出典(8件)公的機関の資料・法令。2026.10.16に確認
  1. ファクタリングの利用に関する注意喚起(金融庁)www.fsa.go.jp
  2. 民法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  3. 政府契約の支払遅延防止等に関する法律(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  4. 刑法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
  5. 国税庁法人番号公表サイトwww.houjin-bangou.nta.go.jp
  6. 国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトwww.invoice-kohyo.nta.go.jp
  7. インボイス制度について(国税庁)www.nta.go.jp
  8. No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき(国税庁)www.nta.go.jp

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