安全更新 2026.10.16
危ないファクタリング業者の見分け方。申し込む前・電話・契約の場で確かめること
危ない業者は、会社の規模や見た目より、説明のしかたと契約書の中身に出ます。申し込む前に法人番号と社会保険の加入を5分で確かめ、電話では手取り額と前払いの有無、契約の場では「売買」と書いてあるか・買戻しの定めがないか・控えをもらえるかを見て、1つでも引っかかれば契約を見送ってください。
- 21分読み終わるまで
- 10章見出し
- 25件公的な出典
フファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.10.15

先に結論:見るのは「会社の看板」より「取引の中身」
危ないファクタリング業者とは、売掛金(取引先からまだ受け取っていない代金)を買い取る形をとりながら、実際にはお金を貸して高い利息を取る業者のことです。金融庁は、貸金業の登録のない業者がファクタリングを装い、債権を担保にした貸付けを行う事案が確認されているとして、注意を呼びかけています。こうした取引は「偽装ファクタリング」と呼ばれます。
見分けるときに大事なのは、確かめる順番です。申し込む前に公式サイトと公的なデータで5分、電話や面談でいくつかの質問、契約の場で書面の数か所。段階ごとに「ここで引き返す」という線を先に決めておけば、資金が急ぎで必要なときでも判断を誤りにくくなります。
この記事では、ファクタリング図鑑が調べた86サービス(運営会社73社、2026年10月15日時点)のデータも使います。先に言うと、公的なデータで確かめられるのは「会社が実在し、名乗るとおりの会社か」までです。「危ない取引をする会社か」は、公的なデータではほとんど見分けられませんでした。危なさが表に出るのは、説明のしかたと契約書の中身です。
| 段階 | かける時間 | 主に見るもの | 引き返す線 |
|---|---|---|---|
| 申し込む前 | 5分 | 会社概要、法人番号、社会保険の加入、手数料の表示 | 運営会社の名前や所在地が、登記や他のページと合わない |
| 電話・面談 | 10〜15分 | 手取り額、手数料以外の費用、契約の相手、売掛先が払わないときの扱い | 契約前にお金を払わせる、答えをはぐらかす、急がせる |
| 契約の場 | 30分以上 | 「売買」と書いてあるか、買戻しの定め、金額、控え | 売買と書いていない、買戻しの定めがある、控えを渡さない |
| 契約した後 | 気づいたらすぐ | 記録、次の支払い、相談先 | 一人で判断して払い続ける |
「ファクタリングはやめたほうがいい」と言われる4つの理由
「ファクタリング やめたほうがいい」という言葉を見て不安になった方もいるでしょう。理由を分けると、業者の側の問題と、使い方の問題が混ざっています。どれに当たるかで、取るべき対策が変わります。
1. ファクタリングを装った貸付けがある
金融庁は、買取代金が債権額に比べて著しく低い場合や、回収を利用者に任せ、集金できなければ利用者が買い戻すか自分のお金で払うことになっている場合は、偽装ファクタリングの疑いがあるとしています。また、ファクタリングの形をとっていても、経済的に貸付けと同じ働きをする取引は貸金業に当たるおそれがあるとしています。中身が貸付けなら、無登録の営業は禁止され、高すぎる利息は処罰の対象になります。※1※2※3どこから貸付けとされるかの線引きと処罰の中身は、ファクタリングは違法かにまとめています。
2. 本物の売買でも、負担が重い
本当の売買なら、手数料は利息ではなく債権の値引き分です。ただ、負担の重さは年率に直すとわかります。式は「手数料額 ÷ 手取り額 ÷ 入金までの日数 × 365」で、たとえば手数料10%・入金まで30日なら、10÷90÷30×365で約135%です。手数料の決まり方と年率の早見表は手数料の計算方法と実質年率で確かめられます。
3. 一度使うと、繰り返しやすい
売掛金を前倒しで現金にすると、翌月に入るはずのお金がその分減ります。足りない分をまた次の売掛金で埋めると、手数料を毎月払い続ける形になります。危ない業者は、この状態の利用者を「次回は安くする」「継続なら優遇」と囲い込もうとします。続けた場合の総額はメリット・デメリットで試算しています。
4. サイトを読むだけでは中身がわかりにくい
図鑑で86サービスの公式サイトを読み比べると、43サービス、ちょうど半分で、同じサイトの中に食い違う表記がありました。入金までの早さ、買取額の上限、手数料、受付時間などです。多くは更新漏れと思われますが、利用者から見れば「どれが本当か、聞かないとわからない」状態です。
このうち、会社そのものに関わる食い違いは8サービス(運営会社で7社)にありました。内訳は、公式サイトの所在地が法人登記と違う(2サービス)、会社概要と別のページで所在地が違う(2)、郵便番号が住所と合わない(1)、設立年と「創業○年」が合わない(2)、FAX番号がページで違う(1)、運営会社として別の会社名も書かれている(1)です(1サービスで2つ当てはまるものがあります)。こうした食い違いは、それだけで違法の証拠にはなりません。ただ、契約の相手が誰かという一番基本のところなので、申し込む前に問い合わせて確かめてください。
この章の根拠(3件)
- 貸金業法3条
- 貸金業法11条
- 出資法5条
図鑑の86サービスで見る:外から確かめられること、確かめられないこと
「危ない業者を外から見分けられるか」を、図鑑のデータで確かめました。公式サイトから読める項目と、公的なデータ(国税庁の法人番号、日本年金機構の厚生年金保険の加入者数)に分けて数えています。会社ごとの名前は出しません。
公式サイトから読める4つの手がかり
| 手がかり | 当てはまる数 | 読み方 |
|---|---|---|
| 運営会社に法人番号がある | 86中86(運営会社73社) | 今回の掲載はすべて法人。個人で営む業者は法人番号がないので、この確かめ方が使えない |
| サイトの所在地が法人登記と一致 | 86中84 | 残る2は同じ運営会社で、サイトの番地が登記と違った |
| 手数料の上限を公表 | 86中34 | 6割は上限を出していない。見積りを取るまで負担の最大値がわからない |
| 「償還請求権なし」と契約書のひな形 | 明記は半分強、ひな形の公開はほぼない | 数字の読み方はファクタリングは違法かと契約書で確かめる箇所 |
4つ(所在地の一致、償還請求権なしの明記、上限の公表、ひな形の公開)のうち、いくつ当てはまるかをサービスごとに数えると、3つが19、2つが42、1つが25で、4つすべては0、1つもないのも0でした。サイトの情報だけで「全部そろっている」と言える会社は、ありませんでした。
公的なデータから見える会社の姿
運営会社73社について、日本年金機構の適用事業所検索で厚生年金保険の加入者数を、法人番号公表サイトで商号と所在地の変更履歴を調べました。
| 項目 | 数(73社中) | 読み方 |
|---|---|---|
| 社会保険の加入者が0〜1人 | 14社(0人が5社、1人が9社) | このほか10社は検索で見つからなかった |
| そのうち社歴10年以上 | 14社中6社 | 小さいことは、新しいことと同じではない |
| 商号を変えたことがある(2015年10月以降) | 10社 | 合併やグループの再編によるものも含む |
| 直近2年以内に所在地を変えた | 14社 | 移転は事業の拡大でも起きる |
| 「加入者0〜1人か不明」「社歴3年未満」「直近2年の移転」「商号変更あり」のうち2つに当てはまる | 12社 | 3つ以上に当てはまる会社はなかった。1つが29社、0が32社 |
社歴や会社の規模の分布を上場グループと独立系に分けて見たい方は、大手・上場の会社は安心かを見てください。
「推奨しない」2サービスは、公的なデータでは見分けられなかった
図鑑が「推奨しない」としたのは86サービス中2つで、理由はいずれも公式サイトの文章にありました(売掛金の買取ではなく貸付けと読める説明がある、運営会社の事業内容にファクタリングがない、など。詳しくはファクタリングは違法か)。
この2つの運営会社を公的なデータで見直すと、社会保険の加入者は4人と7人、社歴は7〜8年、商号の変更はなく、所在地の変更は1回だけでした。上の表の4つの信号は、どちらも1つも当てはまりません。サイトから読める4つの手がかりも、1つと2つで、ほかの多くの会社と同じ水準でした。
ここから言えることは2つです。公的なデータは「実在しない会社」「名前を偽っている会社」をはじく足切りには役立ちます。一方で、データが普通に見えても安心はできず、最後は説明の中身と契約書を読むしかありません。逆に、加入者が1人の会社や設立3年未満の会社が危ないとも言えません。小さな会社でも、契約がきちんとしていれば問題なく使えます。
申し込む前に5分で確かめられること
ここからは、読者が自分で確かめる手順です。パソコンかスマートフォンがあれば、どれも無料で、5分ほどでできます。
手順1:公式サイトの「会社概要」を控える
サービス名ではなく、運営会社の正式な商号、本店の所在地、代表者名、電話番号を書き写します。会社概要、プライバシーポリシー、特定商取引法の表記、フッターなど、会社名や住所が出るページを2つ以上開いて、同じかどうかを比べてください。上で見たとおり、ここで食い違いが見つかることは珍しくありません。サービス名しか書いていない、会社概要がない、連絡先が携帯電話の番号とメールだけ、という場合は申し込みをやめる理由になります。
手順2:国税庁の法人番号公表サイトで、名前と所在地の履歴を見る
- 法人番号公表サイトを開き、「商号又は名称」に会社名を入れます。「株式会社」などは省いて入れると見つけやすくなります。
- 「公表以後の変更履歴を検索対象に含める」にチェックを入れて検索します。これで、2015年10月5日以降に名前や所在地を変えた会社も、変更前の名前で見つかります。
- 検索結果の「変更履歴情報等」の欄にある「履歴等」を押すと、その会社の商号と所在地の変更の履歴が表示されます。
見るところは3つです。会社概要の住所と、公表されている所在地が一致するか。短い期間に名前と所在地が何度も変わっていないか。サイトの「創業○年」と、記録上の設立の時期が大きく食い違っていないか。なお、2015年10月より前からある会社は、記録の最初の行が2015年10月5日の番号の指定になっているので、その日を設立日と読み違えないでください。
検索しても出てこない場合は、所在地の番地の書き方(漢数字と算用数字)や法人の種類の入れ方が原因のことがあります。国税庁は、まず都道府県と市区町村までで検索するよう案内しています。それでも出てこなければ、法人として登記されていない可能性があります。
手順3:日本年金機構の適用事業所検索で、社会保険の加入を見る
株式会社などの法人の事業所は、事業主1人だけの場合も含めて、厚生年金保険と健康保険に入らなければなりません。日本年金機構の「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」では、事業所の名前、所在地、または法人番号で、加入している事業所を調べられます。法人番号で検索すると、似た名前の別会社と取り違えずに済みます。
結果には、今も加入しているか(現存)、脱退したか(全喪)と、加入した日、被保険者の人数が出ます。人数は毎月20日ごろ時点のものです。加入者が少ないことだけで危ないとは言えませんが、「スタッフ50名」「全国に拠点」とサイトに書いてあるのに加入者が1人、というように、サイトの説明と大きく違う場合は、その理由を聞いてみる価値があります。なお、日本年金機構は検索結果の転載や二次利用を禁じています。自分で確かめる目的で使ってください。
手順4:「貸金業の登録」と書いてあれば、番号を照らし合わせる
本当の売買なら、ファクタリングに貸金業の登録は要りません。登録がないことは危ない証拠ではなく、登録があることも安全の証拠ではありません。ただ、サイトに登録番号を書いている、あるいは「融資もできる」と言っている業者なら、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で、名前と登録番号と所在地が一致するかを確かめてください。金融庁は、架空の登録番号やほかの貸金業者の登録番号を使って登録業者を装う無登録業者がいること、登録番号を答えない業者は無登録の可能性が高いことを注意しています。財務局は、登録番号を詐称している業者の名前も公表しています。
手順5:手数料の書き方を見る
手数料の下限だけを大きく書き、上限を書いていないサイトは多くあります(図鑑では86中52)。それ自体は珍しくありませんが、上限がない以上、見積りで初めて負担がわかります。「手数料○%〜」の下限の数字で決めず、次の電話で手取り額を聞く前提で進めてください。
もう一歩:登記事項証明書を取る
金額が大きいときや、手順1〜3で引っかかりがあったときは、登記事項証明書(会社の登記簿の写し)を取ると、役員の名前、会社の目的、設立の日まで確かめられます。法務局の手数料は、窓口や郵送で頼むと1通600円、オンラインで頼んで郵送で受け取ると520円、オンラインで頼んで登記所で受け取ると490円です(2025年4月1日から)。オンラインの請求は、ブラウザから使える「かんたん登記・供託申請」でできます。証明書でなくてよければ、登記情報提供サービスで画面で見ることもでき、料金は1件数百円です。
見るのは「目的」の欄です。ファクタリングを営む会社なのに、目的に債権の買取りや金融に関わる事業が見当たらない場合は、なぜかを聞いてみてください。会社のサイトの事業内容にファクタリングがないことは、図鑑が「推奨しない」とした理由の一つでもありました。
業界団体への加盟は何を意味するか
サイトに業界団体の名前を載せている業者もあります。図鑑の86サービスでは、オンライン型ファクタリング協会(OFA)の会員や認定事業者と書いているのが5サービス、日本貸金業協会の会員と書いているのが3サービスでした。
OFAは、ファクタリング会社と金融機関がつくる一般社団法人です。2023年3月に施行した自主ガイドラインでは、会員に、ファクタリングを装った貸付けをしないこと、契約の重要なことを告げなかったりうそを言ったりしないこと、取引の前と後に内容を利用者へ伝えることなどを求めています。入会の際には、役員や主要な株主、手数料の内容(直近12か月の最低・最高・平均の手数料率)などを協会に出す決まりです。会員一覧は協会のサイトで公開されています。
ただし、限界も知っておいてください。
- 国の登録や許可ではありません。ガイドラインは業界の自主ルールで、守らなかったときに法律上の罰則があるわけではありません。
- 協会が勧めているという意味ではありません。OFAのガイドラインは、会員が広告で協会の名前を出すとき、協会がその会社の取引を推奨しているかのように書くことを禁じています。
- 加盟していないことは、危ない証拠ではありません。OFAの会員一覧に載るファクタリング会社は12社(2026年10月時点)で、多くの会社は加盟していません。
- 個別のトラブルを解決してくれるとは限りません。OFAには会員への苦情を受け付ける窓口がありますが、案内では内容を会員企業に伝えるとしています。
日本貸金業協会は、貸金業者が入る協会です。協会員の名簿を都道府県ごとに公開していて、会員権を停止されている協会員には印が付きます。団体の名前がサイトにあったら、その団体の名簿に、同じ商号と所在地で載っているかを確かめてください。載っていなければ、名前を勝手に使っている可能性があります。
電話や面談で確かめること
申し込んだ後、担当者と話す場面は、業者の姿勢がいちばんよく見えるところです。次の質問をそのまま使ってください。答えの中身と同じくらい、答え方が手がかりになります。
| 聞くこと | 安心できる答え | 赤信号の答え |
|---|---|---|
| この請求書だと、手取りはいくらになりますか | 手数料の率と金額、差し引くもの、手取り額を書面やメールで出す | 「審査してみないとわからない」の一点張りで、目安も計算の方法も示さない |
| 手数料のほかにかかる費用はありますか | 登記の費用、印紙代、振込手数料など、名目と金額を先に言う | 「事務手数料」「調査料」などを、契約の直前になって足す |
| 契約の前に払うお金はありますか | ない(費用は買取代金から差し引く) | 申込金、保証金、審査料などを先に振り込ませる |
| 契約の相手は、どの会社ですか | サイトの会社概要と同じ商号と所在地を答える | 別の会社を紹介する、紹介先の担当者と一度も会わせない |
| 売掛先が払えなかったら、どうなりますか | その損は業者が負う。利用者が責任を負うのは、請求書が偽物だったなど自分の落ち度があるときだけ | 利用者が買い戻す、または不足分を払う。回収が遅れたら代金を減らす |
| 契約書のひな形を先に送ってもらえますか | PDFなどで先に送る。持ち帰って読む時間をくれる | 「当日その場で」としか言わない。控えは渡せないと言う |
| 売掛先や取引の実績は、どう確かめますか | 売掛先の名前、取引の履歴、入金の記録を見る | ほとんど確かめず、すぐ買い取ると言う |
最後の質問には理由があります。本当に債権を買い取る会社にとって、売掛先が払ってくれるかどうかは自社の損得に直結します。それを確かめようとしないのは、売掛先が払わなかったときの損を利用者に負わせる前提だからかもしれません。審査でふつう何を見るかは審査で見られることにまとめています。
公的機関が挙げる「話の段階」の手口
東京都多重債務問題対策協議会のチラシは、ファクタリングをうたった違法な貸付けが疑われる例として、次のような場面を挙げています。
- インターネット広告や電話・FAXで「ファクタリング」と勧誘しながら、実際には債権を担保にした貸付けの契約を結ばせた
- 買取りの申し込みの際に申込金を払わせ、別の業者をあっせんし、その業者と一度も会わせないまま売買契約を結ばせた。代金は債権額の3分の2しか払われず、さらに売掛先から回収できなかった分を払わせた
- 「手数料」「割引料」という名目で、法律の上限を大きく超える金額を買取代金から差し引いた
どれも、契約書を見る前の会話の段階で気づけるものです。先にお金を払わせる、紹介や仲介と称して相手が入れ替わる、相手の顔が見えない、という場面では、そこで止まってください。
話し方で気をつけたいこと
- 「今日中に決めないと、この条件は出せない」と急がせる
- 「取引先に知られたら困るでしょう」と不安をあおり、2社間を強く勧める
- 「次回も使うなら今回は安くする」と、継続を条件に値引きを持ちかける
- 「審査はかたちだけ」「どんな会社でも大丈夫」と、確かめるべきことを省く言い方をする
こうした言い方は、利用者が考える時間を奪う方向に働きます。迷ったら「社内で確認してから返事をします」と言って、いったん電話を切ってかまいません。
契約の場で確かめること
署名の前に見るべき箇所は多くありますが、ここでは「危ない業者かどうか」を分ける点だけに絞ります。条項ごとの細かい読み方は契約書で確かめる箇所に任せます。
金融庁のリーフレットの3点
金融庁のリーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」は、被害が疑われる例として次の3つを挙げています。東京都のチラシも同じ3点を挙げています。
- 買取代金が債権額に比べて著しく低い、または高額な手数料が差し引かれる
- 契約書に「売買契約」であることが定められていない
- 回収(集金)を利用者に任せ、回収できなかったときに利用者による買戻しや、業者による償還請求が行われることになっている
3つめの「償還請求」は、売掛先が払えなかったときに業者が利用者に支払いを求めることです。これがあると、売掛先の不払いのリスクを利用者が負うことになり、借金と変わらなくなります。契約書に「ノンリコース(償還請求権なし)」と書いてあっても、ほかの条項で同じ効果を持たせていないかを見る必要があります。詳しくは償還請求権とはで説明しています。
見落としやすい形
- 代金の後払いと減額:買取代金の一部しか先に払わず、売掛金がすべて回収されてから残りを払う。回収できなければ代金を減らす。大阪府は、これも偽装ファクタリングが疑われる例として挙げています。「買戻し」という言葉がなくても、同じ効果になります。
- 売掛先の支払いまで保証させる:売掛先が支払いを止めないことなどを利用者に保証させ、違反したら買い戻させる。こうした条項などから、金銭の貸し借りに当たるとされた裁判例があります。※1
- 不払いに備えた公正証書:売掛先が払わないとき、債権額以上を支払うと約束する公正証書(公証役場で作る、強制執行に使える書面)を作らせる。※2
書面の扱いで確かめること
- 契約書の相手方の商号と所在地が、会社概要や法人番号公表サイトで確かめたものと同じか
- 見積りや電話で聞いた手数料の額と、契約書の金額が同じか
- 空欄のまま署名を求められていないか。金額や日付が手書きで後から入る形になっていないか
- 契約書の控え(電子契約なら署名済みのPDF)を受け取れるか
控えを渡さない業者とは契約しないでください。控えがないと、後から何を約束したのか示せなくなります。持ち帰って読む時間をくれない場合も、同じように見送る理由になります。
この章の根拠(2件)
- 東京地裁 令和4年3月4日判決
- 東京高裁 令和3年7月1日判決
契約した後に気づいたとき
契約した後で「買戻しの定めがあった」「手数料が聞いていた額と違う」と気づくこともあります。そのときにまずやることは、次の3つです。
- 記録を手元に残す。契約書と控え、見積書、振込の記録、メールやチャットのやりとり、電話の日時と内容のメモ。業者から書類の返却や削除を求められても、自分の控えは手放さないでください。
- 次の利用をしない。「次回で調整する」「乗り換えれば解決する」と持ちかけられても、新しい契約は結ばないでください。乗り換えの勧誘で気をつけることは乗り換えと併用の手順にあります。
- 払い続けるかどうかを、一人で決めない。契約の中身が貸付けに当たるなら、契約自体が無効とされることがあります。※1どう動くかは、相談してから決めてください。
相談先は、金融庁が注意喚起のページで挙げている金融サービス利用者相談室(0570-016811)、警察相談専用電話(#9110)、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051051)などです。トラブルの型ごとにどこへ相談するか、弁護士の選び方、厳しい取立てを受けたときの対処は、ファクタリングのトラブルと相談先にまとめています。
なお、会社員が給料を売る「給与ファクタリング」は、事業者向けとは別の問題です。国民生活センターも「給与のファクタリング取引と称するヤミ金」への注意を呼びかけています。詳しくは給与ファクタリングが違法とされる理由を見てください。
この章の根拠(1件)
- 貸金業法42条
赤信号のチェックリスト
ここまでの内容を、段階ごとの一覧にしました。印刷して手元に置き、申し込みのたびに上から確かめてください。「すぐ見送る」に1つでも当てはまれば契約しない。「持ち帰る」に当てはまれば、その場で決めずに答えを書面でもらい、他社と比べる。この線で判断します。
すぐ見送る
- 運営会社の商号や所在地が書いていない、または法人番号公表サイトで見つからない
- サイトに書いた貸金業の登録番号が、金融庁の検索で見つからない、または名前が合わない
- 団体の会員と書いているのに、その団体の名簿に載っていない
- 契約の前に、申込金・保証金・審査料などの名目でお金を振り込ませる
- 説明していた会社と、契約の相手が違う。紹介先の業者と一度も会わせない
- 契約書に「売買」「債権譲渡」と書いていない
- 売掛先が払わないとき、利用者が買い戻す、または自分のお金で払うと定めている
- 買取代金の一部しか払わず、回収できなければ代金を減らすと定めている
- 売掛先が払わないときに備えて、公正証書を作らせる
- 契約書の控えを渡さない
持ち帰って確かめる
- サイトの中で、所在地・設立年・電話番号などの表記が食い違っている
- サイトの説明(社員数や拠点)と、社会保険の加入者数が大きく違う
- 短い期間に名前や所在地が何度も変わっている
- 手数料の上限を書いておらず、電話でも目安を言わない
- 見積りと契約書で金額が違う。手数料以外の費用が直前に出てくる
- 売掛先や取引の実績をほとんど確かめない
- 「今日中に」と決断を急がせる。継続利用を条件に値引きする
- 実質年率に直すと、事業の利益で払える水準を超えている
よくある失敗の例
- 下限の率だけで決めた:サイトの「手数料○%〜」を見て申し込み、見積りで初めて高い率と事務手数料を知ったが、入金日が迫っていて断れなかった。上限を書いていない会社では、見積りが出るまで負担はわからないと考え、2社以上に同時に見積りを頼んでおくと断りやすくなります。
- サービス名で調べて、会社名を調べなかった:口コミはサービス名で探したが、契約書の相手は別の会社名だった。法人番号公表サイトと社会保険の検索は、契約書に書かれる会社名で行ってください。
- 「書類は後で送る」を受け入れた:急いでいたので控えを後日送ると言われて署名し、届かなかった。控えはその場で受け取るか、電子契約なら署名済みのPDFを保存してから入金を待ちます。
どちらにも当てはまらなくても、契約書は自分の目で読んでください。上で見たとおり、図鑑が「推奨しない」とした会社も、外から見えるデータはふつうでした。会社ごとの公表情報と出典は図鑑の各社のページで確かめられます。
使わない方がよい場合と、ほかの方法
危ない業者を避けられても、ファクタリングそのものが合わない場面があります。次の場合は見送った方がよいでしょう。
- 毎月のように使わないと資金が回らない状態になっている
- 実質年率で見た負担が、事業の利益で払える水準を超えている
- 売掛金の金額が小さく、手数料を引くと必要な額に届かない
- 急かされて、比べる時間がまったく取れない
ほかの方法として、次も検討してください。
- 融資:融資の利息には法律で上限があり、元本100万円以上なら年15%までです。※1日本政策金融公庫や、取引のある金融機関に早めに相談します。
- 支払いの延期:仕入先や外注先に、支払日を延ばせないか早めに相談します。
- 納税の猶予:国税を一度に納めると事業の継続が難しくなるおそれがあるときは、税務署に申請して猶予を受けられる場合があります。
どの順番で手を打つかは支払いに間に合わないときの対処の順番に、自社に合う方法の絞り込みは資金調達診断にあります。
この章の根拠(1件)
- 利息制限法1条
出典(25件)公的機関の資料・法令。2026.10.16に確認
- ファクタリングの利用に関する注意喚起:金融庁www.fsa.go.jp
- その資金調達 大丈夫ですか?(金融庁 ファクタリング注意喚起リーフレット 表面)www.fsa.go.jp
- あやしい業者に関する相談窓口(金融庁 ファクタリング注意喚起リーフレット 裏面)www.fsa.go.jp
- 登録貸金業者情報検索サービス:金融庁www.fsa.go.jp
- 違法な金融業者にご注意!:金融庁www.fsa.go.jp
- 「ファクタリング」をうたった違法貸し付けにご注意ください(東京都多重債務問題対策協議会貸金業部会)www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp
- 違法なファクタリングについて(大阪府)www.pref.osaka.lg.jp
- 給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意!(国民生活センター)www.kokusen.go.jp
- 国税庁法人番号公表サイトwww.houjin-bangou.nta.go.jp
- ご利用方法(検索・閲覧):国税庁法人番号公表サイトwww.houjin-bangou.nta.go.jp
- 名称・所在地から検索しても表示されない原因(国税庁法人番号公表サイト よくある質問)www.houjin-bangou.nta.go.jp
- 法人番号はどのように公表されるのですか(国税庁法人番号公表サイト よくある質問)www.houjin-bangou.nta.go.jp
- 厚生年金保険・健康保険適用事業所情報を検索できます(日本年金機構)www.nenkin.go.jp
- 適用事業所と被保険者(日本年金機構)www.nenkin.go.jp
- 登記手数料について(法務省)www.moj.go.jp
- 登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です(法務局)houmukyoku.moj.go.jp
- 登記情報提供サービスについて(法務省)www.moj.go.jp
- 自主ガイドライン(一般社団法人オンライン型ファクタリング協会)j-ofa.org
- 会員企業一覧(一般社団法人オンライン型ファクタリング協会)j-ofa.org
- 会員企業への苦情(一般社団法人オンライン型ファクタリング協会)j-ofa.org
- 協会員名簿(日本貸金業協会)www.j-fsa.or.jp
- 貸金業法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 利息制限法(e-Gov法令検索)laws.e-gov.go.jp
- 猶予の申請の手引(国税庁)www.nta.go.jp
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