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行政・法律2026.11.05

取適法の運用基準に知財・ノウハウを明記。図面データの無償提供や直前の発注取消しの損失も対象に

要点

公正取引委員会は10月1日、取適法の運用基準を改正し、知的財産権やノウハウを無償で出させる行為の例を増やしました。直前の発注取消しで受注者に生じた損失を発注者が負担しないことも問題になると明記し、10月9日には5万社への実態調査も始めました。

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図ファクタリング図鑑編集部(執筆)・公開 2026.11.05

取適法の運用基準に知財・ノウハウを明記。図面データの無償提供や直前の発注取消しの損失も対象に
01

何が変わったか

公正取引委員会は2026年10月1日、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」(取適法の運用基準)を改正したと公表しました。公正取引委員会・中小企業庁・特許庁が6月24日に公表した「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」(知財取引指針)を踏まえたものです。

改正案は6月24日に公表され、7月23日までの意見募集に20件の意見が寄せられました。公正取引委員会は、技術的な修正をしたうえで改正を決めています。フリーランス法の「考え方」も同じ日に改正されました。

全体を通じた変更は、これまで「知的財産権」と書いていた箇所を「知的財産権等」とし、技術上・営業上の秘密(ノウハウを含む)まで含めたことです。

02

主な改正点

  • 発注時の明示:知的財産権等の譲渡・許諾を「給付の内容」に含めるときは、その範囲を明示し、代金を決めるときにもその範囲を勘案する必要があります。給付の内容にせず別の取引として受けるときも、範囲と対価を明確にするよう留意するとしています。
  • 無償の譲渡・許諾:給付の内容にしていない知的財産権等を無償で譲渡・許諾させることは、不当な経済上の利益の提供要請にあたると明記しました。例として、情報成果物を二次利用するのに対価を一切払わない場合を挙げています。
  • 違反行為事例の追加:金型の「設計・加工データ等」を対価なしで提供させる例(見出しも「設計図等の無償譲渡要請」から「設計・加工データ等の無償提供要請」に変更)、ポスター用に頼んだキャラクターデザインをグッズにも使ったのに対価を払わない例、動画の著作権の譲渡が給付に含まれるか曖昧なまま、代金の内訳を説明せず無償で譲渡させた例が加わりました。
  • 価格の協議:知的財産権等の利用範囲や目的が広がって給付の価値が変わる場合も、発注者が協議に応じる必要がある事情に加えました。受注者がレベニューシェア(収益配分)も含めて協議を求めたのに、具体的な理由を説明せず代金を据え置くことは、協議に応じない一方的な代金決定にあたるとしています。写真の利用許諾料が上がったのに、バナー作成の対価の引上げの協議を拒む例や、キャラクターデザインの需要が高まり受注者がレベニューシェアも含めて協議と代金の内訳の説明を求めたのに、説明せず代金を据え置く、またはわずかに上げるだけの例も加わりました。
  • 直前の取消し:相当の期間、受注者に予定を空けさせておきながら、発注者の都合で実施の直前に取り消し、その日に別の仕事をできなくさせた場合を新たに挙げ、発注者が費用・損失の全額を負担しないかぎり認められないとしました。発注者が負担すべきものは「費用」から「費用・損失」に広がっています。
03

5万社への実態調査

公正取引委員会は10月9日、知財取引指針に関する調査を始め、5万の事業者に協力依頼状を送りました。ウェブアンケートで、回答期限は11月5日です。結果をもとに関係する事業者に聞き取りをし、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為が見られた事業者には注意喚起の文書を送るとしています。結果は公表される予定です。

公正取引委員会は、大企業などが知的財産を無償や低い額で吸い上げることは、中小企業の大切な経営資源を損ない、格差の固定やイノベーションの妨げにつながりかねないとしています。図面や加工データ、プログラム、デザインは、受注者が値段をつけて売れるものです。無償で出せば、その分だけ入ってくるはずのお金が減ります。

中小企業庁の令和7年度取引条件改善状況調査では、自社の知的財産等を守る取組みを「実施中」と答えた受注側の会社は43%でした(知的財産権等を持っているか分からないと答えた会社を除いて集計)。半分を超える会社は、まだ手を打てていないことになります。

04

受注者がすること

  1. 図面・加工データ・プログラム・デザインなど、自社で作ったもののうち、発注者に渡す約束をしていないものを洗い出す。
  2. 発注書や契約書に、知的財産権の譲渡・許諾の範囲と対価が書かれているか確かめる。書かれていなければ、渡す前に書面で確認を求める。
  3. 「データも出してほしい」「別の用途にも使いたい」と言われたら、範囲と対価を見積もって示す。
  4. 直前に取り消された仕事は、準備にかかった費用と、空けておいた日程で生じた損失を記録し、負担を求める。
  5. 話が進まないときは、公正取引委員会や中小企業庁の相談窓口に相談する。
出典(3件)行政・団体・公式サイトの資料。2026.11.05に確認
  1. 公正取引委員会「『製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準』及び『特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方』の改正について」(2026年10月1日)www.jftc.go.jp
  2. 公正取引委員会「取適法の運用基準 新旧対照表」(別紙1-1、2026年10月1日)www.jftc.go.jp
  3. 公正取引委員会「『知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針等に係る調査』の開始について」(2026年10月9日)www.jftc.go.jp

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